はじめに
交通事故で負ったケガの中でも、腕や肘に大きな負担がかかる 橈骨頭(とうこっとう)・頚部骨折 は、日常生活に長期的な影響を与える可能性が高い骨折の一つです。
特に、後遺障害が残る場合には適切な等級認定を受けることが重要ですが、そのためには事故後の対応や医療記録の整備が不可欠です。
この記事では、橈骨頭・頚部骨折に関する基礎知識や想定される後遺障害等級、認定のための主張立証のポイントを解説します。
Q&A:橈骨頭・頚部骨折
Q1. 橈骨頭・頚部骨折とはどんなケガですか?
橈骨頭・頚部骨折は、肘関節に近い橈骨の先端部分が損傷する骨折です。交通事故では、バイクや自転車運転中に転倒して腕を伸ばして手をついた際に発生することが多いです。
Q2. 他の損傷も伴いますか?
多くの場合、他の部位にも損傷が見られます。例えば、上腕骨内上顆骨折や尺骨近位端骨折、靭帯損傷などを同時に負うケースが少なくありません。
Q3. 治療にはどんな方法がありますか?
骨折の種類に応じて、ギプス固定や観血的整復固定術(手術)などの治療が選択されます。いずれの場合も早期治療とリハビリが重要です。
橈骨頭・頚部骨折とは
骨折の特徴
橈骨頭・頚部骨折は、肘関節の機能に直結する部位の損傷であり、ひじの可動域や腕の回旋運動に影響を及ぼす可能性があります。事故の衝撃で骨がずれたり、変形治癒することで、日常動作に支障が出ることもあります。
骨折の分類
橈骨頭骨折は、傾斜角の程度に応じてオブライエン分類で3タイプに分けられます。
- タイプⅠ(軽度):傾斜角が30°未満。ギプス固定が主流の治療方法。
- タイプⅡ(中等度):傾斜角が30°以上60°未満。ズレの程度によって手術が必要になる場合もあります。
- タイプⅢ(重度):傾斜角が60°以上。観血的整復固定術が求められることがあります。
想定される後遺障害等級
交通事故後に橈骨頭・頚部骨折で後遺障害が残った場合、以下の等級が想定されます。
1. 肘関節の可動域制限
- 第10級10号:関節の機能に著しい障害を残すもの
→ 健康な側と比較して4分の1以下の可動域になる場合。 - 第12級6号:関節の機能に障害を残すもの
→ 健康な側と比較して2分の1以下の可動域になる場合。
2. 神経損傷
- 後骨間神経麻痺:治療過程で橈骨神経を損傷することがあります。この場合、手指の伸展が困難になり、後遺障害等級が認定される可能性があります。
3. 変形治癒
骨が正しく接合されない場合、ひじの外観や機能に影響を及ぼし、後遺障害として認定されることがあります。
適切な後遺障害等級が認定されるための主張立証のポイント
1. 医療記録の整備
後遺障害等級認定には、骨折後の治療経過や現在の状態を正確に示す医学的資料が必要です。診断書や画像検査結果(レントゲン、CT、MRIなど)を整備し、医師に後遺症の具体的な症状を記載してもらうことが重要です。
2. 関節の可動域測定
関節の可動域制限を主張する際には、計測結果が客観的に示されたリハビリ記録が役立ちます。専門医による正確な測定を依頼しましょう。
3. 神経障害の評価
神経麻痺などの症状が残る場合、電気生理学検査(神経伝導速度検査など)を受け、障害の範囲や程度を明確にすることが必要です。
4. 適切な書類提出
後遺障害等級認定を申請する際には、自賠責保険の診断書、後遺障害診断書などが必要です。これらの書類に不備があると認定が難しくなるため、細心の注意を払いましょう。
弁護士に相談するメリット
後遺障害等級の認定に際し、専門的なサポートを受けることで次のようなメリットが得られます。
1. 適切な等級認定の実現
法律と医学の知識を持つ弁護士が、認定基準に沿った主張をサポートし、より高い等級認定の可能性を高めます。
2. 賠償金の適正化
後遺障害等級に基づく逸失利益や慰謝料の算定を行い、適正な賠償金を得るための交渉を代行します。
3. 書類準備の負担軽減
必要な書類の作成や医師との連携を弁護士が支援するため、申請手続きの負担が軽減されます。
4. 早期解決の可能性
保険会社との交渉や示談がスムーズに進むため、早期解決が期待できます。
まとめ
橈骨頭・頚部骨折は、日常生活や仕事に長期的な影響を与える可能性があります。交通事故による後遺障害等級認定を適切に受けるためには、医学的な資料や客観的な証拠を整備し、的確な主張を行うことが重要です。
しかし、これらをお一人で進めるのは大変です。弁護士に相談することで、医学と法律の両面からサポートを受け、適正な補償を得るための手続きがスムーズに進むでしょう。
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