はじめに
交通事故により「尺骨茎状突起骨折」という怪我を負った場合、その後遺症がどのように扱われるのかは、被害者の損害賠償請求において重要なポイントです。特に後遺障害等級の認定は、適切な賠償額の請求に直結します。本記事では、尺骨茎状突起骨折に関連する後遺障害等級と、認定されるための主張・立証のポイントを解説します。弁護士に相談するメリットや専門的なサポートの必要性についても触れていきます。
Q&A:尺骨茎状突起骨折について
Q1: 尺骨茎状突起骨折とはどのような怪我ですか?
尺骨茎状突起骨折は、前腕の小指側にある「尺骨」の突起部分が折れる怪我を指します。転倒や手をついた際の衝撃で発生することが多く、橈骨遠位端骨折と合併して起こるケースが一般的です。
Q2: 症状や診断方法は?
症状としては、手首部分の痛み、腫れ、可動域の制限が挙げられます。神経に影響が及ぶと、しびれや運動麻痺も現れることがあります。診断はレントゲン画像で行われ、場合によってはCTやMRIでさらに詳しい検査が必要です。
Q3: 後遺障害等級の認定が必要な理由は?
骨折後に後遺症が残る場合、後遺障害等級の認定を受けることで損害賠償請求が可能になります。この等級は、怪我の影響を適切に評価し、逸失利益や慰謝料を算定する重要な基準となります。
尺骨茎状突起骨折とは
尺骨茎状突起は、前腕の骨である尺骨の末端にある突起部分です。この部分の骨折は、以下のような特徴を持ちます。
- 発生原因
転倒などで手をついた際の衝撃や、交通事故での強い打撃が主な原因です。 - 合併症
橈骨遠位端骨折と同時に発生することが多く、関節内の損傷が加わる場合があります。 - 症状
痛みや腫れに加え、神経への影響によるしびれや可動域の制限が見られることがあります。 - 診断
レントゲンによる骨折確認が基本ですが、骨のずれが大きい場合や複雑骨折の場合にはCTやMRIを用いて精密検査を行います。
想定される後遺障害等級
尺骨茎状突起骨折に関連して認定される可能性のある後遺障害等級は以下の通りです。
1. 神経症状
骨折が神経に影響を与える場合、以下の等級が想定されます。
- 12級13号: レントゲンやMRIで器質的損傷が確認でき、しびれや麻痺などの症状が残る場合。
- 14級9号: 器質的損傷が画像で証明できないものの、神経症状が持続している場合。
2. 関節の機能障害
関節可動域に制限が生じた場合、次の等級が適用される可能性があります。
- 10級10号: 健側(けんそく)の可動域の1/2以下に制限されている場合。
- 12級6号: 健側の可動域の3/4以下に制限されている場合。
3. 尺骨の変形障害
骨折の治癒後に変形が残る場合。
- 12級8号: 長管骨(尺骨を含む)に変形が残る場合。
適切な後遺障害等級が認定されるための主張立証のポイント
後遺障害等級の認定は、申請者が症状の存在と因果関係を証明する責任を負います。認定を得るための主張立証には以下のポイントがあります。
1. 医学的証拠を揃える
- 画像診断の提出: レントゲン、CT、MRIなどで骨折や神経損傷を明確に示すことが重要です。
- 診断書の詳細化: 医師に、骨折の部位、治療内容、残存する症状の詳細を記載してもらいます。
2. リハビリや治療経過の記録
治療中の経過を細かく記録し、可動域の制限や神経症状の変化を証明します。
3. 他覚的所見の提示
神経症状がある場合は、筋電図や神経伝導速度検査などの結果を添付し、器質的損傷を客観的に示します。
4. 日常生活への影響を具体的に記載
家事や仕事、趣味など日常生活への支障を記載することで、逸失利益や慰謝料の算定に有利な資料となります。
弁護士に相談するメリット
尺骨茎状突起骨折に伴う後遺障害等級認定を適切に進めるには、専門家のサポートが不可欠です。弁護士に相談する主なメリットは次の通りです。
- 専門的知識で確実な手続きを実現
後遺障害等級の申請手続きや、適切な書類作成をサポートし、認定の可能性を高めます。 - 保険会社との交渉を有利に進める
保険会社が提示する賠償金額は、しばしば適正額を下回ります。弁護士が交渉を代理することで、適切な賠償額を請求できます。 - 将来のリスクへの備え
後遺症が長期的な影響を及ぼす場合でも、逸失利益や将来の介護費用などを適切に計算して請求できます。
まとめ
尺骨茎状突起骨折は、交通事故で発生しやすい怪我の一つです。その後遺症が残った場合、適切な後遺障害等級の認定を得ることで、正当な賠償金を受け取ることが可能になります。しかし、この認定は専門的な知識と証拠が求められるため、弁護士のサポートを受けることが強く推奨されます。
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