ひき逃げ事故で加害者が一時不明だったが、弁護士会照会等の調査により特定に成功し、約300万円の損害賠償請求が認められた事例

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相談前の状況

本件は、いわゆる「ひき逃げ事故」により依頼者が大きな被害を受けたにもかかわらず、事故直後には加害者を特定できなかったケースです。

運転手は車を降りることなく、そのまま現場から走り去ってしまったため、依頼者は加害者の顔はもちろん、自動車の車種やナンバーもわかりませんでした。

警察に通報し、捜査が行われましたが、被疑車両の特徴が漠然としており、しかも事故発生現場に防犯カメラがなかったため、捜査は難航しました。

依頼者が当時目撃した車の色、車種に類似する車を探すことはできたものの、該当する車両の数が多く、すぐに加害者を特定するには至りませんでした。警察からも「このまま犯人が見つからない可能性もある」と言われ、依頼者は大きな不安を抱えることになりました。

事故による依頼者の負傷は打撲が中心でしたが、通院が必要となりました。

日常生活で不自由を感じるようになり、整形外科でのリハビリや湿布の処方などを受けましたが、加害者不明の状態が長く続くと、治療費や通院費をどのように補償請求すればよいかが大きな問題となっていったのです。

また、事故の影響で仕事を休まざるを得ない日数が増え、生活費の不安も膨らんでいきました。依頼者は「ひき逃げのため精神的にもショックが大きく、加害者が責任を回避するように逃げていることがどうしても許せない」という思いを強く持つようになりました。

警察の捜査だけでは限界を感じていた依頼者は、少しでも早く加害者を特定し、自らの負傷に対する正当な損害賠償を受けたいと考え、当事務所へ相談にいらっしゃいました。当初、依頼者の不安は以下のような点に集約されていました。

  1. 加害者不明のままではどうやって治療費や休業損害を請求すればよいのか
  2. 警察の捜査だけで本当に加害者が見つかるのか
  3. 自分で加害者を探すことが可能なのか、どんな手段があるのか

相談後の対応

当事務所は、まず「加害者を特定する」ことを最優先課題と位置づけ、同時に「加害者不明でも取れる法的手段はないか」を検討しました。具体的には以下のステップを踏んで対応しました。

  1. 警察捜査との連携
    警察がどの程度まで捜査を進め、どのような情報を握っているのかを把握するため、捜査状況を適宜確認しました。
  2. 弁護士会照会による情報収集
    最大のポイントとなったのが弁護士会照会です。弁護士は訴訟提起を視野に入れる場合、弁護士会を通じて公的機関や民間事業者に対して照会を行い、一定の情報提供を求めることができます。
  3. 加害者の特定と訴訟提起
    弁護士会照会で得られた候補の一つと、警察捜査で得られた複数の情報とを付き合わせることで、最終的に「加害車両の所有者」を特定することができました。その所有者が実際に事故当時運転していたかどうかが問題となりましたが、警察の取り調べ等により、当該所有者(加害者)が事故当時その車を運転していたことが明らかになりました。
    当事務所は、加害者の特定に成功した後、訴訟を通じて解決を図ることになりました。
  4. 約300万円の損害賠償請求が認められる
    訴訟手続きにおいて、当事務所は「加害者側に重大な過失があること」「事故後に現場を離れて救護義務を怠ったこと」を強調するとともに、依頼者が被った具体的損害を積み上げる形で主張立証しました。治療費や通院交通費、休業損害、精神的苦痛に対する慰謝料などを整理し、合計で約300万円の請求を行いました。その結果、裁判所は当方の主張を概ね認め、加害者に対し合計約300万円の支払いを命じる判決が下されました。加害者が上訴を行わず、判決が確定したため、依頼者は長期間不明だった加害者から正当な損害賠償を受け取ることができたのです。

担当弁護士からのコメント

本件の特徴は、「ひき逃げ事故で加害者が長期間特定できなかった」という点です。通常の交通事故であれば、警察や当事者同士、保険会社を通じて加害者を特定でき、示談や民事交渉を行います。しかし、加害者がそのまま逃走してしまうと、被害者は治療費や生活費の不安を抱えながら、相手方がどこの誰なのかも分からない状態で過ごさざるを得ません。結果的に治療の中断や、手続きの遅れにつながるケースも多いです。

本件では、警察の捜査と弁護士会照会の両面から情報収集を行い、加害者を特定することに成功しました。弁護士会照会は強制力を伴う手続きではありませんが、正当な理由や訴訟の可能性がある場合には各種機関が協力してくれることがあります。特に自動車の登録情報に関する照会は、加害者特定の手段として有効な場合が少なくありません。

また、本件では「加害者が事故直後に救護義務を果たさずに離れた」という事実が、裁判所にとっても加害者側の責任を重く見る材料となりました。日本の法律では、交通事故を起こした運転者には、被害者を救護し、警察へ速やかに通報する義務があります。いわゆるひき逃げは刑事上の責任が問われるだけでなく、民事上の損害賠償責任においても「悪質性」が考慮される傾向にあります。その結果、精神的苦痛に対する慰謝料の増額要因となることが多いのです。

依頼者は当初、「加害者が見つからないのではないか」と悩んでいました。

しかし、実際には弁護士を通じて加害者を特定できただけでなく、裁判という公的手段を用いることで約300万円もの損害賠償を認めさせることができました。早い段階で弁護士に依頼し、警察の捜査と並行して独自の調査・照会を行うことで、解決への大きな一歩を踏み出せたと言えます。

一方で、本件のように「加害者が分からない」というケースでは、被害者側が焦って自力調査に乗り出し、無理な聞き込みやSNS検索等で個人情報を不適切に収集しようとして問題化する例も見受けられます。場合によっては被害者自身がプライバシー侵害や誹謗中傷で責任を追及される恐れがあるため、やはり専門家の助言を受けつつ合法的な手段を積み重ねることが重要になります。

ひき逃げ事故に遭われると、被害者の方は強い怒りと不安を感じられると思います。まずは警察に届け出て、必要な情報収集を行い、そのうえで弁護士のサポートを受けることで加害者を発見し、適切な損害賠償を得られる可能性があります。本件の結果を見ても分かるように、「加害者不明だからどうしようもない」と諦める必要はありません。当事務所では、こうした困難な状況にも対応できるよう、幅広い調査手法を駆使して被害者の方々を支援しています。ぜひお気軽にご相談ください。


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