示談金と保険金の違い(示談金の内訳、保険金との関係)

ホーム » コラム » 示談金と保険金の違い(示談金の内訳、保険金との関係)

はじめに

交通事故の被害者となった場合、さまざまな費用や損失を補償するための「示談金」や「保険金」を受け取る機会が出てきます。しかし、示談金と保険金がどのように関係し、具体的には何が違うのかを正確に理解している方は多くありません。

  • 示談金
    加害者(または加害者側保険会社)と被害者が交渉のうえ、最終的に合意して支払われるお金
  • 保険金
    加入している自賠責保険や任意保険など、保険会社から支払われるお金

これらは似ているようでいて、性質や支払い根拠が異なる部分があります。本記事では、示談金と保険金の違いや、示談金の内訳、そして保険金との具体的な関係について解説していきます。

Q&A

Q1:示談金と保険金はどう違うのですか?

保険金は保険契約(自賠責保険や任意保険)に基づく支払いであり、示談金は加害者(保険会社含む)と被害者の合意による賠償金です。保険金が支払われることで加害者側が負担する示談金の一部が実質的にカバーされる形になります。

Q2:自賠責保険と示談金は別に受け取れるのですか?

自賠責保険は強制保険として「最低限の補償」を行う制度です。示談による賠償金額が自賠責の上限を超える場合、加害者の任意保険や自己負担などで不足分を補うことになります。結果的には「自賠責+任意保険=示談金」のイメージです。

Q3:示談が成立する前に保険金だけ先に受け取ることはありますか?

あります。たとえば自賠責保険の被害者請求などを利用すれば、示談前でも医療費等の一部を早期に支給してもらうことが可能です。また任意保険会社が一時金を立て替えるケースもあります。

Q4:示談金には具体的にどんな項目が含まれますか?

治療費、通院交通費、休業損害、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、逸失利益などが代表的な項目です。被害者の損害が多岐にわたるため、示談金の内訳も細かく計算されます。

Q5:保険会社が提示してくる示談金の金額は、裁判所基準とは違うと聞きました。どういうことでしょうか?

保険会社が独自の「任意保険基準」で計算した金額は、裁判所が認める相場(裁判所基準・弁護士基準)より低めになっていることが多い傾向にあります。示談交渉で不利にならないためには、裁判所基準を理解しておくことが重要です。

Q6:示談金を受け取ったあと、追加で保険金請求はできますか?

示談書に「清算条項」が入っている場合、基本的に示談成立後の追加請求は難しくなります。保険金も含めて、どの範囲まで合意しているのかを示談前にしっかり確認しましょう。

解説

示談金とは

示談金の性質

示談金とは、加害者が被害者に対して支払う「損害賠償金」の総称です。交通事故では、加害者側が加入している任意保険会社が実際に支払う場合がほとんどですが、あくまで「加害者が被害者に支払う賠償金」である点に注意が必要です。

示談金の内訳

  1. 治療費:診察・手術・リハビリ・薬代など
  2. 通院交通費:病院やリハビリ施設への交通費
  3. 休業損害:仕事を休んだことで得られなかった収入
  4. 入通院慰謝料:ケガや通院による精神的苦痛への補償
  5. 後遺障害慰謝料:後遺症が残った場合の精神的苦痛への補償
  6. 逸失利益:後遺障害によって将来得られるはずだった収入が減少する分

保険金とは

自賠責保険(金額には上限あり)

自動車損害賠償保障法に基づく強制保険で、被害者への最低限の救済を目的としています。

  • 傷害の場合:1名につき上限120万円
  • 死亡の場合:1名につき上限3000万円
  • 後遺障害の場合:程度に応じて最大4000万円

任意保険(対人賠償・対物賠償など)

自賠責保険ではカバーしきれない部分を補うための保険です。加害者が加入していれば、多くの場合、対人賠償無制限など手厚い補償がなされ、結果的に示談金の支払いがスムーズになります。

保険会社が支払うお金=加害者の賠償責任を立て替えるもの

任意保険会社が支払う保険金は、あくまで加害者の法的責任(損害賠償)を肩代わりしている形です。よって、本来の支払い義務者は加害者本人である点に留意しましょう。

示談金と保険金の関係

自賠責保険の優先適用

事故でケガをした被害者には、まず自賠責保険の枠内で保険金が支払われます。120万円を超える損害が出た場合、任意保険からの追加支払いで不足分を補填する流れです。

最終的な賠償額=示談金

被害者が受け取る総額は「自賠責保険金+任意保険金」を合わせた金額となり、それが実質的に示談金の総額となります。示談書には「加害者が○○円を支払う」と記載されますが、実際の支払いは保険会社が行うことが多い傾向にあります。

示談書への清算条項

示談書に「本件に関するすべての請求を清算する」旨の条項が含まれていると、示談後に追加で賠償金を請求することは原則できません。保険金も含めて、どの範囲を示談で合意するのかを慎重に確認する必要があります。

弁護士に相談するメリット

示談金の適正化

保険会社から提示される示談金は「保険会社基準」によることが多く、裁判所基準より低めに設定されがちです。弁護士に依頼すれば、判例や裁判所基準を踏まえた交渉が可能になり、増額の見込みが高まります。

複雑な計算や手続きのサポート

示談金には治療費や慰謝料、逸失利益など多くの項目が含まれ、計算も複雑です。弁護士なら正確な損害額を算出し、保険金の仕組みとの整合性を取りながら交渉を進めることができます。

自賠責被害者請求などの手続き代行

示談前でも、被害者請求制度を利用して自賠責保険の支払いを先に受けることが可能です。ただし、必要書類が多く、手続きは煩雑になりがちです。弁護士が手続きを代行すれば、早期の資金確保が期待できます。

保険会社との交渉窓口

保険会社とのやり取りは専門用語も多く、精神的にも大きな負担となります。弁護士に依頼すれば、交渉窓口を全面的に任せられるため、被害者は治療に専念できます。

弁護士費用特約の利用

弁護士費用特約が付いている保険に加入していれば、弁護士費用を保険会社が負担することもあります。自己負担なく専門家の力を借りられるため、示談金の増額メリットを得やすくなります。

まとめ

交通事故後の損害賠償をめぐるお金には、「示談金」と「保険金」があります。保険金は自賠責保険と任意保険に基づく支払いですが、最終的には「加害者が被害者に支払う示談金」として合算される形が一般的です。示談書に書かれる金額と、実際に支払われる保険金との区別や、示談金の内訳を正しく理解しておくことは、適切な補償を受けるうえで欠かせません。

  • 示談金
    被害者が加害者から受け取る損害賠償の総額
  • 保険金
    自賠責保険や任意保険から支払われる補償金(加害者責任の立て替え)
  • 自賠責保険と任意保険
    基本的には自賠責で足りない分を任意保険が補う

もし保険会社との示談交渉で提示される金額に納得がいかない、計算が複雑すぎる、といった場合は弁護士に相談し、裁判所基準や判例に基づく適切な計算を行うことが大切です。弁護士法人長瀬総合法律事務所では、示談金と保険金の関係を含めて、被害者が本来受け取るべき賠償額を最大限確保できるようサポートいたします。

関連動画動画の紹介

交通事故についてさらに詳しく知りたい方のために、当事務所では交通事故後の対応に役立つ解説動画を配信しています。ご興味がある方はぜひご視聴及びチャンネル登録をご検討ください。


初回無料|お問い合わせはお気軽に

その他のコラムはこちら

keyboard_arrow_up

0298756812 LINEで予約 問い合わせ