お悩み別インデックス 1 保険会社との示談交渉のポイント

1 保険会社との示談交渉のポイント

交通事故被害に遭われた場合、何から対応すればよいかわからないまま、保険会社の担当者から指示されるままに進めてしまい、ご自分にとって妥当な内容かどうかがわからないまま示談に応じてしまうことにもなりかねません。

交通事故被害に遭われた後、保険会社と示談交渉を行う際にご注意いただきたい点を整理しました。

保険会社の算定基準≠裁判基準

保険会社から提示される示談書案では、治療費や交通費、傷害慰謝料等、各損害項目に応じて詳細な損害計算式が提示されることがあります。

一見すると、詳細な損害計算式が提示されていることから、保険会社の提示額が妥当と思われるかもしれません。

ですが、保険会社が提示する損害計算式は、裁判になった場合に適用される損害算定基準(いわゆる「裁判基準」)と比べると、低額な傾向にあります。

したがって、詳細な計算式が提示されているからといって、決して裁判基準どおりの適正な賠償額が支払われるわけではありません。

この点、保険会社によっては、示談書で提示している金額は、自賠責保険基準を下回ることはない、と説明することもあります。

しかしながら、自賠責保険金は強制加入の自賠責保険から支払われる性質のものであり、自賠責保険基準を下回らないからといって、保険会社の提示する賠償金額が妥当とは限りませんのでご注意ください。

保険会社の認める治療期間≠症状固定日

保険会社は、治療期間を区切ってくることが少なくありません。

例えば、「事故から6ヶ月経過したのでこれ以上の治療費や休業損害は認められません。」などと指定してくる場合があります。
ですが、保険会社が指定してきた治療期間しか認められないとは限りません。

最終的に、いつまでの治療期間が交通事故と因果関係があるといえるかどうかは、保険会社ではなく裁判所が判断することになります。

そして、いつまでの治療期間が認められるかどうかを左右する重要な証拠は、保険会社の見立てではなく、医師の意見書になります。

したがって、保険会社が交通事故から6ヶ月までしか認めないと指示してきても、主治医の先生が症状固定日は交通事故から10か月後のことであると判断した場合、保険会社が打ち切った日以降の治療費等も認められ得るといえます。

保険会社の主張する過失割合が正しいとは限らない

保険会社は、被害者に対して過失割合を主張してくることも少なくありません。

例えば、交差点での交通事故の場合、過失割合が2割はあるはずであるなどと主張してくることが考えられます。
しかしながら、保険会社が主張する過失割合は、必ずしも正しいとは限りません。

保険会社にとって有利になるよう主張してくることも少なくないのです。

したがって、保険会社の主張する過失割合を鵜呑みにすることなく、別冊判例タイムズ等の文献を調査し、本当に妥当な過失割合はどの程度か、検討する必要があります。

保険会社の提示する後遺傷害慰謝料が正しいとは限らない

後遺障害等級が認定された場合、治療費や傷害慰謝料、休業損害とは別に、後遺障害慰謝料が加算されることになります。

保険会社も、示談交渉の際には、通常は後遺障害慰謝料を加算して提示してきます。

もっとも、保険会社が提示する後遺障害慰謝料が、裁判基準どおりとは限りません。

後遺障害慰謝料が追加されているからといって、安易に示談に応じることは避けるべきといえます。

保険会社の提示する後遺障害逸失利益が正しいとは限らない

後遺障害等級が認定された場合、後遺障害慰謝料のほかに、後遺障害逸失利益が加算修正されることになります。

もっとも、後遺障害慰謝料同様、保険会社が裁判基準どおりの後遺障害逸失利益を算定してくれるとは限りません。

特に、後遺障害逸失利益は、基礎収入をいくらと評価するか、労働能力喪失率をどの程度評価するか、労働能力喪失期間をいつまで算定するのか等、争いになる点が多くあります。

後遺障害逸失利益は算定式も複雑であるため、果たして保険会社の提示する逸失利益が妥当といえるか、慎重に検討する必要があります。

保険会社の提示する示談書にはすぐにサインしない

このように、保険会社との示談交渉にあたっては注意すべき点が多数あります。

保険会社の提示する示談書に安易にサインしてしまうと、損害賠償額について同意したことになり、後日撤回することは原則としてできないことになります。

したがって、保険会社から示談書が提示された場合には、すぐにサインしてしまうのではなく、まずは弁護士に相談するようにしてください。

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