交通事故の損害賠償と自賠責保険:重過失減額の仕組みと活用方法

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はじめに

交通事故に遭った際、被害者としてどのように対応するべきか、賠償金の算定や保険の適用について悩まれる方は多いと思います。特に、自分に過失がある場合や、重過失が認められる状況では、どのように保険金が支払われるのか、減額されるのかといった問題が生じます。

今回は、交通事故における損害賠償額の算定基準と自賠責保険における「重過失減額」の仕組みについて、わかりやすく解説します。

Q&A

Q1:自賠責保険とは何ですか?

A:自賠責保険は、被害者救済の観点から全ての車両に強制的に加入が義務付けられている保険です。交通事故により怪我を負った場合、加害者の自賠責保険を通じて治療費や慰謝料などを支払うことで、被害者の経済的負担を軽減することを目的としています。

Q2:交通事故において自分に過失がある場合でも、保険金を受け取れますか?

A:自賠責保険では、被害者が7割以上の過失を負わない限り、基本的に過失による減額がありません。しかし、過失割合が7割以上となる「重過失」の場合、支払保険金の一部が減額されることがあります。

Q3:重過失減額とはどのような仕組みですか?

A:重過失減額とは、被害者の過失が7割以上ある場合に適用される減額制度です。たとえば、被害者に90%の過失がある場合、支払保険金は本来の保険金額の80%(2割減額)になります。後遺障害や死亡事故においても、過失割合が一定以上であれば、支払額がさらに減少します。

Q4:裁判による賠償と自賠責保険を利用する場合、どちらが有利ですか?

A:ケースによって異なりますが、自賠責保険を利用する方が、裁判による賠償よりも被害者にとって有利となる場合があります。特に、裁判では過失割合による賠償額の大幅な減額が適用されるのに対し、自賠責保険では過失が7割未満の場合に減額がされないためです。

1.自賠責保険の基礎知識

自賠責保険(正式名称:自動車損害賠償責任保険)は、被害者救済のために加入が義務付けられている保険で、車を運転する全ての人が加入しなければなりません。交通事故における被害者の治療費、慰謝料、休業補償などをカバーしますが、物的損害(車両の修理費など)は対象外です。

支払上限額は次の通りです。

  • 傷害事案(後遺障害なし):120万円まで
  • 後遺障害が認められた場合:等級に応じた定額の支払
  • 死亡事案:3000万円まで

被害者は、自賠責保険の「被害者請求制度」を利用して直接保険金を受け取ることができます。

2.重過失減額の仕組みと適用条件

交通事故における「重過失減額」とは、被害者の過失が著しく大きい場合に、自賠責保険の支払額が減額される制度です。通常の事故では、被害者に7割未満の過失がある限り、自賠責保険金は減額されません。しかし、被害者に次のような重過失が認められると、支払額が減額されることがあります。

被害者の過失割合減額割合
後遺障害又は死亡に係るもの傷害に係るもの
7割未満減額なし減額なし
7割以上8割未満2割減額2割減額
8割以上9割未満3割減額
9割以上10割未満5割減額

具体例

  • 傷害事案で後遺障害がなく、保険金額が120万円と認定された場合、被害者の過失が90%であれば、支払額は120万円×0.8=96万円になります。
  • 死亡事故で保険金額が3000万円の場合、被害者の過失が80%と認定されると、支払額は3000万円×0.7=2100万円に減額されます。

3.自賠責保険を利用するメリット

弁護士に相談するメリット

  1. 専門的なアドバイス
    交通事故に関する知識や法律は非常に専門的で複雑です。弁護士に相談することで、自賠責保険の適用範囲や重過失減額の基準について正確なアドバイスを受けることができます。
  2. 裁判を通さずに解決できる
    自賠責保険の請求は、裁判を通さずに被害者が直接保険会社に請求することができ、比較的迅速な解決が可能です。弁護士はこの手続きをサポートし、適正な保険金を受け取れるように支援します。
  3. 適正な賠償額を確保できる
    弁護士に相談することで、裁判や保険会社との交渉を通じて適正な賠償額を確保することができます。特に、重過失がある場合や過失割合が問題となる事案では、弁護士のサポートが重要です。

まとめ

交通事故における自賠責保険の適用と重過失減額の仕組みについて理解することは、適正な賠償を得る上で重要です。特に、自分に過失がある場合や、賠償額が大きく変動する可能性がある事案では、専門家である弁護士に相談することをお勧めします。

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