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早期相談する重要性とポイント
交通事故でむちうちになった際に弁護士に早期相談する重要性と3つのポイント
交通事故によるむちうちの被害に遭った場合、早期に弁護士に相談することが重要です。本記事では、むちうちの被害者が注意すべき事項や相談のタイミングについて詳しく説明します。
1 早期の相談が重要な理由
1. 早期相談の重要性
交通事故でむちうちになった際には、できる限り早い段階で弁護士に相談することが推奨されます。早期相談が重要な理由は、以下の通りです。
行動の影響
交通事故後の警察対応、加害者や保険会社対応、病院での対応などの行動によって、事故による損害の内容・程度が誤解されるリスクがあるためです。適切な損害賠償を受けるためには、正しい対応が必要です。
むちうちの特性
むちうちの場合、症状を裏付ける客観的な画像所見が得られないことが多く、被害者が訴える激しい痛みやしびれの症状が実態よりも軽く見られがちです。このため、早期に弁護士に相談し、適切な対応を図ることが重要です。
2. 具体的な注意事項
むちうちの被害者が損害賠償を適切に受けるために注意すべき具体的な事項について説明します。
迅速な診察
交通事故後、速やかに病院で診察を受け、診断書に交通事故による傷害を記載してもらうことが重要です。これにより、むちうちの症状が交通事故以外の原因と誤解されることを防げます。
症状の伝達
医師に対して症状を十分に伝え、必要な検査を受けることが大切です。不十分な検査で済ませてしまうと、症状が軽いと誤解される可能性があります。
継続的な治療
痛みが残っているにもかかわらず、忙しさから治療を中断してしまうと、症状が治ったと誤解され、治療費の支払いが止められるリスクがあります。
2 誤解による不利益を避けるために
交通事故後の行動によって損害の内容・程度が誤解されることは珍しいことではありません。被害者が適切な損害賠償を受けるためには、どのような行動を取るべきかを知ることが重要です。そこで、以下のポイントに注意してください。
1. 早期相談の利点
交通事故後、できるだけ早い段階で弁護士に相談することで、適切な対応を取るためのアドバイスを受けることができます。これにより、誤解による不利益を避けることができます。
2. 正確な情報提供
弁護士には、交通事故の状況や症状について正確な情報を提供しましょう。これにより、弁護士は適切なアドバイスを提供しやすくなります。
3. 継続的なフォローアップ
弁護士との相談を一度で終わらせず、必要に応じて継続的に相談することが大切です。状況の変化に応じたアドバイスを受けることで、最適な対応が可能になります。
まとめ
交通事故によるむちうちの被害に遭った場合、早期に弁護士に相談することが重要です。適切な損害賠償を受けるためには、迅速な診察、正確な症状の伝達、継続的な治療が必要です。誤解による不利益を避けるために、早期相談と継続的なフォローアップを心掛けましょう。
弁護士法人長瀬総合法律事務所は、交通事故によるむちうちの被害者をサポートし、適切な損害賠償を受けるためのお手伝いをいたします。お困りの際は、ぜひご相談ください。
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むちうち事故によるヘルニアと後遺障害について
むちうち事故によるヘルニアと後遺障害について
1 むちうち事故とヘルニア
交通事故の被害にあった方の中には、事故後のMRI検査によって頸椎や腰椎にヘルニアが発見されることがあります。このような場合、頸椎や腰椎にヘルニアがあることは、むちうちの後遺障害等級認定にどのような影響を与えるのでしょうか?
むちうちに対して認定される可能性のある後遺障害等級は、以下の通りです。
・14級9号:「局部に神経症状を残すもの」
・12級13号:「局部に頑固な神経症状を残すもの」
2 後遺障害14級9号の認定のポイント
「局部に神経症状を残すもの」(14級9号)と認定されるためには、神経症状の原因が医学的に説明できるものであれば足ります。MRI画像上でヘルニアが確認されれば、神経根の圧迫がなくても、ヘルニアを原因として神経症状が生じていると説明できる場合があります。
たとえヘルニアが神経症状の原因を医学的に証明できなくても、通院頻度や通院期間を考慮して14級9号の認定がなされることがあります。
3 後遺障害12級13号の認定のポイント
「局部に頑固な神経症状を残すもの」(12級13号)と認定されるためには、神経症状の原因が医学的に証明される必要があります。MRI検査によって頸椎や腰椎にヘルニアが見つかり、そのヘルニアが神経根を圧迫している場合、神経症状の原因に対する医学的な証明となることがあります。
しかし、MRI画像上で明らかに神経根を圧迫している所見がなければ、医学的に証明されたとは認められません。また、ヘルニアが明らかに神経根を圧迫していると認められたとしても、交通事故との因果関係がなければ後遺障害は認められません。ヘルニアは加齢によっても生じるため、交通事故との因果関係が認められないこともあります。
実際には、MRI画像上で明らかに神経根を圧迫している所見が認められることは少なく、むちうちによって後遺障害12級13号が認められることは容易ではありません。
4 交通事故によるむちうちに関するご相談
弁護士の重要性
交通事故による後遺障害の問題は、非常に複雑で専門的な知識が必要です。交通事故に精通した弁護士に相談することが不可欠です。
弁護士法人長瀬総合法律事務所のサポート
弁護士法人長瀬総合法律事務所では、交通事故を専門とする弁護士が多数在籍しています。事故後の対応や後遺障害の等級認定に関するご相談を承っております。交通事故でお困りの方は、ぜひご相談ください。
まとめ
むちうち事故によるヘルニアと後遺障害について、14級9号と12級13号との認定基準や、その難しさについて解説しました。交通事故後は、適切な医療機関での診断と弁護士によるサポートが重要です。弁護士法人長瀬総合法律事務所では、皆様のサポートを全力で行いますので、お困りの際はお気軽にご相談ください。
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むちうちの画像診断 3つの方法と留意点
むちうちの画像診断 3つの方法と留意点
むちうち症状の原因や状態を正確に把握するためには、画像診断が重要です。むちうちの診断には、主にレントゲン撮影、CT、MRIの3つの画像診断方法があります。それぞれの検査は特徴や目的が異なるため、むちうちの症状や状態に応じて適切な診断方法が選ばれます。ここでは、それぞれの画像診断について説明します。
画像診断の種類
むちうちの画像診断には以下の3つの方法があります。
1. レントゲン撮影
2. CT(コンピューター断層撮影)
3. MRI(磁気共鳴映像)
これらのうち、レントゲン撮影はほとんどの整形外科で行うことができますが、CTやMRIは高額な機材が必要となるため、設備が整っていない場合は大病院での撮影が必要になることがあります。
レントゲン撮影とは
レントゲン撮影はX線を利用して体内の状態を確認する検査です。交通事故の被害者が首の痛みを訴えた場合、医師は頚部のレントゲン撮影を行い、骨の状態を確認します。レントゲン撮影は簡易で安価な検査方法ですが、精度はCTやMRIに比べて劣ります。骨折の有無などを迅速に確認するのに適しています。
レントゲン撮影の特徴
・簡易かつ安価
・骨折の有無を迅速に確認可能
・CTやMRIに比べ精度が低い
CTとは
CT(コンピューター断層撮影)は、X線を利用して人体の横断断層像を撮影する検査です。CTは体内の詳細な構造を確認するのに優れています。精密な画像を得ることができるため、むちうちの症状の原因を詳細に調べることができます。
CTの特徴
・X線を利用
・精密な横断断層像を撮影可能
・高額で大規模な器材が必要
MRIとは
MRI(磁気共鳴映像)は磁気を利用して体内の状態を確認する検査です。X線を使用しないため、軟部組織(脳や脊髄など)の状態を詳細に確認できます。むちうちの症状である手の指のしびれや腱反射の異常など、神経の異常を疑う場合に有効です。
MRIの特徴
・磁気を利用
・軟部組織の詳細な状態を確認可能
・X線では確認しづらい部位を精密に検査
むちうちの場合、レントゲン撮影だけでは原因が特定できないことも多いため、症状が継続する場合はMRIによる精密検査を検討することが重要です。主治医としっかり相談し、必要な検査を受けることで、早期の適切な治療が期待できます。
まとめ
むちうちの画像診断には、レントゲン撮影、CT、MRIの3種類があり、それぞれに特徴と適用範囲があります。症状や診断目的に応じて、適切な画像診断方法を選ぶことが重要です。症状が続く場合や詳細な診断が必要な場合には、主治医と相談のうえ、必要な検査を受けることをお勧めします。むちうちの正確な診断と適切な治療を受けるために、これらの画像診断を活用しましょう。
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交通事故の加害者になった場合に留意すべき3つの責任と7つのポイント
交通事故は予測が難しく、誰もが加害者になる可能性があります。特に死亡事故の場合、行政責任、民事責任、刑事責任の三つの責任を負うことになります。以下に、それぞれの責任と弁護士に依頼するメリットについて詳しく説明します。
行政責任
交通事故により、運転免許の取り消しや停止などの行政処分を受ける可能性があります。
1 免許取消し
死亡事故を起こした場合、基本的に免許取消しの対象となります。最低でも1年間の免許欠格期間が設けられます。
2 罰点の加算
事故の内容に応じて罰点が加算され、免許停止や取消しの期間が延長されることがあります。飲酒運転やひき逃げの場合、非常に高い罰点が加算され、長期間の免許欠格期間が設けられます。
根拠条文
行政責任に関する規定は、道路交通法第90条に基づきます。
道路交通法第90条
一定の交通違反点数が累積した者に対して、運転免許の取り消し又は停止の処分を行う。
民事責任
交通事故で相手を死亡させた場合、被害者の遺族に対して損害賠償責任を負います。損害賠償には主に以下の項目が含まれます。
1 慰謝料
被害者の死亡に対する慰謝料と遺族・近親者固有の慰謝料が含まれます。慰謝料は通常2000万〜3000万円が相場です。
2 逸失利益
被害者が将来得るはずだった収入(逸失利益)を遺族に支払う必要があります。
3 葬儀費用
被害者の葬儀にかかる費用も損害賠償に含まれます。
根拠条文
民事責任に関する規定は、民法第709条ないし第711条に基づきます。
民法第709条
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
民法第710条
他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。
民法第711条
他人の生命を侵害した者は、被害者の父母、配偶者及び子に対しては、その財産権が侵害されなかった場合においても、損害の賠償をしなければならない。
刑事責任
1 過失運転致死罪
交通事故で相手を死亡させてしまった場合、過失運転致死罪が適用される可能性があります。これは、運転に必要な注意を怠り、人を死亡させた場合に成立する犯罪です。不注意で起こした場合でも、7年以下の懲役または禁錮、100万円以下の罰金が科される可能性があります。
根拠条文
過失運転致死罪は、自動車運転処罰法(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律)第5条に基づきます。
自動車運転処罰法第5条
自動車の運転により、過失によって人を死傷させた者は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。
2 危険運転致死罪
飲酒運転や極端なスピード違反など、明らかに危険な行為で事故を起こした場合には、危険運転致死罪が適用されます。この場合、1年以上20年以下の懲役刑が科されます。罰金刑はなく、非常に重い刑罰です。
根拠条文
危険運転致死罪は、自動車運転処罰法第2条に基づきます。
自動車運転処罰法第2条
次の各号に掲げる行為を行い、その結果、人を死亡させた者は、1年以上の有期懲役に処する。
一 アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為
二 その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為
三 その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為
四 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
五 車の通行を妨害する目的で、走行中の車(重大な交通の危険が生じることとなる速度で走行中のものに限る。)の前方で停止し、その他これに著しく接近することとなる方法で自動車を運転する行為
六 高速自動車国道(高速自動車国道法(昭和三十二年法律第七十九号)第四条第一項に規定する道路をいう。)又は自動車専用道路(道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第四十八条の四に規定する自動車専用道路をいう。)において、自動車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の前方で停止し、その他これに著しく接近することとなる方法で自動車を運転することにより、走行中の自動車に停止又は徐行(自動車が直ちに停止することができるような速度で進行することをいう。)をさせる行為
七 赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
八 通行禁止道路(道路標識若しくは道路標示により、又はその他法令の規定により自動車の通行が禁止されている道路又はその部分であって、これを通行することが人又は車に交通の危険を生じさせるものとして政令で定めるものをいう。)を進行し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
3 ひき逃げ
事故後に被害者を救護せずに逃げた場合、ひき逃げとして追加の刑罰が科されます。10年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される可能性があります。
根拠条文
ひき逃げに関する規定は、道路交通法第72条および第117条に基づきます。
道路交通法第72条
自動車の運転者は、交通事故が発生した場合、直ちに車両を停止させ、負傷者を救護し、必要な措置を講じなければならない。
道路交通法第117条
道路交通法第72条に違反して、負傷者を救護せずに事故現場を離れた者は、10年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
4 準危険運転致死罪
正常な運転が困難とは言えないものの、アルコールや薬物の影響によって正常な運転に支障が生じる恐れがある状態での運転により人を死亡させた場合に適用されます。この場合、15年以下の懲役が科されます。
根拠条文
準危険運転致死罪は、自動車運転処罰法第3条に基づきます。
自動車運転処罰法第3条
酒気又は薬物の影響により、正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で自動車を運転し、その結果、人を死亡させた者は、15年以下の懲役に処する。
5 過失運転致死アルコール等影響発覚免脱罪
事故後にアルコールや薬物の影響が発覚するのを防ぐために、事故後にさらにアルコールを摂取したり、警察への報告を怠ったりした場合に適用されます。この場合、15年以下の懲役が科されます。
根拠条文
過失運転致死アルコール等影響発覚免脱罪は、自動車運転処罰法第4条に基づきます。
自動車運転処罰法第4条
アルコールや薬物の影響が発覚するのを防ぐために、事故後にアルコールや薬物を摂取したり、警察への報告を怠ったりした者は、12年以下の懲役に処する。
死亡事故加害者に科される可能性のある刑罰
1 過失運転致死罪
過失運転致死罪は、自動車運転処罰法第5条に基づき、運転中の不注意で人を死亡させた場合に適用されます。法定刑は7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金です。この罪は、不注意であったとしても重大な結果を招いた場合に適用されるため、厳しい処罰が伴います。
2 危険運転致死罪
危険運転致死罪は、自動車運転処罰法第2条に基づき、酒気帯び運転や無謀な運転により人を死亡させた場合に適用されます。法定刑は1年以上20年以下の懲役です。この罪は、意図的に危険な運転を行った結果、重大な事故を引き起こした場合に適用されるため、非常に重い刑罰が科されます。
3 準危険運転致死罪
準危険運転致死罪は、自動車運転処罰法第3条に基づき、アルコールや薬物の影響下での運転により人を死亡させた場合に適用されます。法定刑は15年以下の懲役です。この罪は、正常な運転が困難な状態で運転を続けた結果、事故を引き起こした場合に適用されます。
4 過失運転致死アルコール等影響発覚免脱罪
過失運転致死アルコール等影響発覚免脱罪は、自動車運転処罰法第4条に基づき、事故後にアルコールや薬物の影響が発覚するのを避けるために、追加のアルコール摂取や警察への報告を遅らせる行為を行った場合に適用されます。法定刑は15年以下の懲役です。
5 ひき逃げ
ひき逃げは、道路交通法第72条および第117条に基づき、事故後に被害者を救護せずに現場を離れた場合に適用されます。法定刑は最大で15年以下の懲役又は200万円以下の罰金です。
交通死亡事故で加害者が逮捕されたあとの流れ
交通死亡事故で加害者が逮捕された場合、以下のような流れで手続きが進みます。
1 逮捕
事故直後、警察は加害者を逮捕し、身柄を拘束します。逮捕された場合、警察は被疑者として取り調べを行います。
2 検察への送致
逮捕から48時間以内に、警察は事件を検察に送致します。検察官は、警察から事件を引き継ぎ、さらに取り調べを行います。
3 勾留
検察官は、被疑者の勾留を裁判所に請求します。裁判所が勾留を認めると、被疑者は最長10日間勾留され、その後さらに10日間の延長が可能です。合計で最長20日間、勾留されることがあります。
4 起訴・不起訴の決定
検察官は、取り調べの結果に基づき、被疑者を起訴するか不起訴にするかを決定します。不起訴の場合、被疑者は釈放されますが、起訴された場合、正式に裁判が行われます。
5 公判
起訴された場合、裁判が行われます。公判では、検察官が証拠を提示し、被疑者の弁護人が反論します。裁判官が最終的に判決を下します。
6 判決
公判の結果、裁判官が判決を下します。判決には、無罪、罰金刑、懲役刑、禁錮刑があります。刑の重さは、事故の内容や被疑者の過去の経歴などによって決まります。
交通死亡事故で想定される量刑相場
交通死亡事故の場合、過失運転致死罪や危険運転致死罪が適用される可能性が高く、刑罰の重さも事故の内容によって大きく異なります。
過失運転致死罪の統計データ
過失運転致死罪では、一般的に以下のような刑罰が科されることが多いです。
罰金刑:少なくないケースで適用されます。特に、軽微な過失による事故の場合、罰金刑で済むことがあります。
執行猶予付き懲役刑:初犯であり、過失が軽微な場合、執行猶予付きの懲役刑が科されることが多いです。
実刑:重度の過失や再犯の場合、実刑が科されることがあります。
令和5年度版「犯罪白書」によると、令和4年における過失運転致死罪の一審判決では、以下のような結果が報告されています。
過失運転致死傷(自動車運転死傷処罰法5条及び平成25年法律第86号による改正前の刑法211条2項に規定する罪に限る。)事件について見ると、言渡しを受けた者のうち実刑の者の割合は、同致傷事件では1.8%(無免許過失運転致傷事件では17.7%)だったのに対し、同致死事件では3.9%(無免許過失運転致死事件では63.6%)であった。
危険運転致死罪の統計データ
危険運転致死罪では、罰金刑がなく、必ず懲役刑が科されます。過失運転致死罪に比べて刑罰が重くなります。
執行猶予付き懲役刑:適用されることは非常に少ないです。特に重大な危険運転の場合、執行猶予はほとんど期待できません。
実刑:大半のケースで実刑が科されます。懲役期間は3年以上が一般的です。
令和5年度版「犯罪白書」によると、令和4年における危険運転致死罪の第一審判決では、以下のような結果が報告されています。
危険運転致死傷(自動車運転死傷処罰法2条及び3条並びに平成25年法律第86号による改正前の刑法208条の2に規定する罪に限る。)事件について見ると、言渡しを受けた者のうち実刑の者の割合は、同致傷事件では9.6%(無免許危険運転致傷(自動車運転死傷処罰法6条1項及び2項に規定する罪)事件では52.6%)だったのに対し、同致死事件では100%であった。同致死事件では、言渡しを受けた者21人のうち19人の刑は5年を超えている。
弁護士に依頼するメリット
1 早期対応
事故直後の対応が非常に重要です。弁護士に依頼することで、現場での対応や警察・保険会社とのやり取りをスムーズに進めることができます。事故現場での対応や警察への報告、二次災害の防止策など、適切な行動を取るためのアドバイスを受けることができます。
2 刑事手続のサポート
逮捕や勾留された場合、弁護士は早期の釈放に向けて活動してくれます。また、起訴されないようにするための対応や、刑を軽減するための弁護活動を行います。弁護士は、警察の取り調べや検察官の起訴決定に対して、適切な対応を取ることができます。
3 民事責任における示談交渉のサポート
被害者の遺族との示談交渉を弁護士が代行します。示談が成立すれば、刑事処分が軽減される可能性があります。弁護士は、被害者とのコミュニケーションを円滑に進め、適切な賠償額を提示することで、示談成立の可能性を高めます。
4 法的アドバイス
事故後の対応や法的手続きについてのアドバイスを受けることで、適切な判断を下すことができます。特に、過失割合や保険金請求に関する問題についても適切に対処できます。弁護士は、法律の専門知識を活用し、あなたの権利を守るための最善の策を提案します。
5 メンタルサポート
交通事故の加害者としての精神的な負担を軽減するためにも、弁護士のサポートは有益です。法的な手続きに関する不安や疑問を解消し、安心して対処することができます。弁護士は、あなたの気持ちに寄り添い、精神的なサポートを提供することで、事故後のストレスを軽減します。
まとめ
交通事故の加害者となった場合、刑事、民事、行政の三つの責任を負うことになりますが、適切な対応をすることでその影響を最小限に抑えることが可能です。特に、弁護士に依頼することで、法的手続きのサポートや示談交渉など、様々なメリットを享受することができます。事故後は迅速に弁護士に相談し、適切な対応を取ることが重要です。
弁護士法人長瀬総合法律事務所では、交通事故に関するご相談を随時受け付けております。事故後の対応にお困りの方は、ぜひご相談ください。
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死亡事故における遺族の損害賠償請求と適切な解決方法
交通事故で大切な家族を失うことは、遺族にとって計り知れない苦痛をもたらします。こうした状況において、適切な損害賠償を請求することは、遺族の経済的な負担を軽減し、心の平穏を取り戻すために重要です。
本稿では、死亡事故に関する損害賠償請求の流れ、請求できる損害項目、逸失利益や死亡慰謝料について解説し、弁護士に依頼するメリットや具体的な解決事例についても触れます。
Ⅰ 死亡事故が発生した場合の損害賠償請求の流れ
1 葬儀の準備と費用の請求
事故直後、遺族はまず被害者の葬儀を行う必要があります。
葬儀費用は積極損害として加害者に請求できます。自賠責保険では適切な証明書類を提出することで100万円まで認められる場合もあります。
具体的には、葬儀にかかった費用の明細書や領収書を準備する必要があります。
なお、裁判基準では、一般的に150万円が限度額として認められています。
2 必要書類の収集
損害賠償請求を行うためには、いくつかの書類を揃える必要があります。これには、事故証明書、診断書、死亡診断書、戸籍謄本、相続人の身分証明書などが含まれます。これらの書類を速やかに揃えることで、請求手続きがスムーズに進みます。
3 保険会社との交渉
必要書類が揃ったら、保険会社との示談交渉を開始します。保険会社は、できるだけ賠償額を減らそうとする傾向があります。そのため、示談交渉を行う際には、交通事故に詳しい弁護士に相談することが強く推奨されます。弁護士は、適正な賠償額を確保するために交渉を行い、遺族の権利を守ります。
Ⅱ 死亡事故において請求できる損害項目
死亡事故により遺族が請求できる損害項目は、大きく分けて積極損害、消極損害、その他の損害の三つに分類されます。
1 積極損害
積極損害には、実際に支払った費用が含まれます。代表的なものとして、葬儀費用があります。葬儀費用は、前記のとおり、自賠責保険では適切な証明があれば100万円まで請求することが可能です。また、裁判基準では、一般的に150万円が限度額として認められています。
2 消極損害
消極損害には、事故がなければ得られていたはずの利益が含まれます。これは主に逸失利益と呼ばれ、被害者が将来得るはずだった収入が対象となります。逸失利益は、基礎収入から生活費を差し引いた金額をもとに算出されます。
3 その他の損害
その他の損害には、死亡慰謝料が含まれます。死亡慰謝料は、被害者の精神的苦痛に対する賠償として遺族が請求することができます。
Ⅲ 死亡慰謝料について
死亡事故の慰謝料は、被害者の遺族が精神的苦痛に対する賠償として請求するものです。具体的な慰謝料の額は、被害者の地位や年齢によって異なります。
以下の一覧表は、裁判基準における一般的な死亡慰謝料の相場になります。
但し、個別の事案によって死亡慰謝料の金額は増減することにご留意ください。
家族構成 | 保険金額 |
---|---|
一家の支柱 | 2,800万円 |
母親、配偶者 | 2,400万円 |
その他(独身の男女、子供、幼児等) | 2,000万円〜2,200万円 |
Ⅳ 逸失利益について
逸失利益とは、被害者が事故に遭わなければ得られていたであろう収入を指します。具体的には以下のように計算されます。
1 基礎収入の算出
被害者の事故前の収入を基に基礎収入を算出します。これは、被害者の職業や年齢に応じて異なります。
2 生活費の控除
基礎収入から生活費を控除します。通常、被害者の基礎収入の30%から50%が生活費として控除されます。これは、被害者が生存していれば日常的に消費していたであろう費用を反映したものです。
3 労働能力喪失期間の算定
被害者の年齢や職業を考慮し、労働能力を喪失した期間を算定します。これにより、被害者が将来にわたって得られたはずの収入を計算します。
Ⅴ 弁護士に依頼するメリット
死亡事故の損害賠償請求は、法的な知識と経験が必要な複雑な手続きです。弁護士に依頼することで、以下のようなメリットがあります。
1 専門的な知識と経験
弁護士は法律の専門家であり、損害賠償請求に関する豊富な経験を持っています。これにより、遺族が適正な賠償を受けるための強力なサポートを提供します。
2 適正な賠償額の確保
保険会社は、できるだけ賠償額を減らそうとする傾向があります。弁護士は、保険会社との交渉を通じて適正な賠償額を確保するための役割を果たします。
3 手続きの代行
弁護士は、書類の収集や保険会社との交渉など、煩雑な手続きを代行します。これにより、遺族は手続きのストレスから解放され、精神的な負担を軽減することができます。
Ⅵ 当事務所における死亡事故の解決事例のご紹介
当事務所では、これまでに多くの死亡事故の損害賠償請求を成功に導いてきました。以下にいくつかの具体的な事例をご紹介します。
事例1:70代女性の事例 3000万円へ増額
自動車同士の衝突事故で高齢者が亡くなった事例です。事故当初、保険会社から提示された賠償額は約1,800万円でしたが、弁護士が被害者の生活状況を詳細に立証し、最終的には約3,000万円に増額されました。
事例2:60代男性の事例 5000万円へ増額
60代の男性が交通事故で亡くなったケースです。遺族は任意保険から5,000万円の慰謝料を受け取りました。弁護士の交渉により、初期提示額から大幅に増額されました。
事例3:30代男性の事例 4700万円へ増額
30代の男性が交通事故で亡くなったケースです。保険会社は、被害者にも5割の過失があると主張した上で、自賠責保険金以上の支払義務はないと主張しましたが、過失割合の修正に成功し、最終的に4700万円の支払いが認められました。
Ⅶ おわりに
死亡事故による損害賠償請求は、遺族にとって非常に重要な手続きです。しかし、その過程は複雑で専門知識が必要となるため、弁護士に依頼することが強く推奨されます。弁護士は、適正な賠償額を確保するための交渉を行い、遺族の権利を守るために尽力します。
当事務所では、初回相談を60分無料で提供しておりますので、お気軽にご相談ください。交通事故に関する法律相談は、専門の弁護士が親身になって対応いたします。
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傷害慰謝料の算定ルール
はじめに
保険会社と示談交渉を行うにあたり、保険会社から言われる説明として、「自賠責基準を上回っているから問題ありません」、「保証として欠けるところはありません」という趣旨の説明を受けることがあります。
この保険会社の説明は妥当といえるのか、傷害慰謝料の算定基準について解説します。
傷害慰謝料算定の基準・3つのルール
傷害慰謝料の算定基準には、以下の3つのルールがあると言われています。
- 自賠責基準
- 任意保険基準(保険会社基準)
- 裁判基準(弁護士基準)
1つ目の自賠責基準は、強制加入保険の自賠責で定められています。
2つ目の任意保険基準は、加害者が加入している保険会社が自社で設定している算定基準によるものです。
3つ目の裁判基準は、「民事交通事故訴訟損害賠償額 算定基準」(いわゆる「赤本基準」)に基づくものです。
この3つの基準で算定していく場合の傷害慰謝料は、自賠責基準よりも任意保険基準の方が高額になり、任意保険基準よりも裁判基準の方が高額に算定されるという傾向で整理されています。
過失割合や後遺傷害等級の該当性が争いになる場合には、自賠責基準によった方が高額となるケースもありますが、原則として
自賠責基準 < 任意保険基準 < 裁判基準
に従って傷害慰謝料は高額になる傾向にあります。
自賠責における傷害慰謝料の算定方法
この3つの算定ルールがあるということを押さえていただいた上で、次に押えていただくポイントは、自賠責基準における傷害慰謝料の算定方法になります。
自賠責基準における傷害慰謝料の算定にあたって押えておくべきポイントは2つ挙げられます。
一つは、慰謝料は日額4300円(令和2年3月31日以前に起きた交通事故の場合には日額4200円)で計算するという点です。
もう一つは、治療期間と通院実日数の2倍のうち、いずれか短い方で計算をしていくという点になります。
具体例における慰謝料の算定(自賠責)
具体例を通じて自賠責の算定方法をみると、上記のようになります。
通院期間6ヶ月(180日間)、通院実日数60日という場合において、治療期間180日と通院実日数の2倍にあたる120日を比較し、短い方の120日を基準に算定することになります。
この場合、自賠責保険における傷害慰謝料は120日×4300円=51万6000円となります。
具体例における慰謝料の算定(裁判基準)
通院期間6ヶ月(180日) 通院実日数60日の場合
赤本基準Ⅱ:89万円
赤本基準Ⅰ:116万円
一方、裁判基準で傷害慰謝料を算定する場合には、上記のようになります。
自賠責基準、裁判基準(赤本別表Ⅰ、別表Ⅱ)を整理すると、以下のようになります。
算定基準 | 慰謝料 | 自賠責基準との差額 |
---|---|---|
自賠責基準 | 51万6000円 | ― |
赤本Ⅱ基準 | 89万円 | 37万4000円 |
赤本Ⅰ基準 | 116万円 | 64万4000円 |
赤本別表Ⅰと赤本別表Ⅱ
なお、赤本では、傷害慰謝料の算定に関して別表Ⅰと別表Ⅱという2つの基準が掲載されています。
赤本別表Ⅰは「傷害慰謝料については、原則として入通院期間を基礎として別表Iを使用する。」、赤本別表Ⅱは「むち打ち症で他覚所見がない場合等は入通院期間を基礎として別表IIを使用する。」と区別されています。
実務上は、むち打ち症のように「頚椎捻挫、腰椎捻挫」という診断に留まる場合には、赤本別表Ⅱを基準とすると指摘される傾向にありますが、赤本別表ⅠとⅡの区別の基準によれば、傷害慰謝料の算定は原則として赤本別表Ⅰを基準とすることが妥当するといえます。
原則は通院実日数ではなく通院期間で算定
次に、裁判基準における傷害慰謝料の算定方法は、赤本別表Ⅰでは「通院が長期にわたる場合は、症状、治療内容、通院頻度をふまえ実通院日数の3.5倍程度を慰謝料算定のための通院期間の目安とすることもある。」、赤本別表Ⅱでは「通院が長期にわたる場合は、症状、治療内容、通院頻度をふまえ実通院日数の3倍程度を慰謝料算定のための通院期間の目安とすることもある。」と整理されています。
上記算定方法では、赤本別表Ⅰ、別表Ⅱいずれにおいても、通院期間だけでなく、通院実日数も参考にする旨が指摘されています。
もっとも、裁判基準における傷害慰謝料の算定にあたっては、原則として通院実日数ではなく通院期間に基づくことが示唆されていることにはご注意ください。
通院実日数が少ない場合であっても、安易に通院実日数の3倍又は3.5倍を基準に傷害慰謝料を算定するのではなく、まずは原則として通院期間を基準に傷害慰謝料を算定することになります。
傷害慰謝料 3つのポイント
傷害慰謝料の算定において押えておくべきポイントは以下の3つです。
傷害慰謝料の算定基準は3つ
傷害慰謝料の算定方法には、自賠責基準、保険会社基準、そして裁判基準の3つの基準が存在します。
自賠責基準よりも保険会社基準が高く、保険会社基準よりも裁判基準が高い傾向があります。
赤本別表Ⅰと赤本別表Ⅱの判断基準
裁判基準を適用する場合でも、赤本別表Ⅰの基準が適用されるのか、または別表Ⅱの基準が適用されるのかによって、慰謝料の金額は数十万円変わることがあります。
赤本別表ⅠとⅡのいずれの基準が適用されるのかは、判断基準に従って慎重に検討しましょう。
原則は通院実日数ではなく通院期間で算定する
裁判基準を適用する場合でも、通院実日数を基準にするのか、または通院期間を基準にして算定していくのかという点も確認しましょう。
裁判基準における傷害慰謝料の算定にあたっては、原則として通院期間を基準にすることが指摘されていることにご留意ください。
結論
以上が傷害慰謝料の算定における留意点に関する解説です。
交通事故における示談交渉では、様々な項目で損害額を争うことになりますが、特に傷害慰謝料の算定は賠償額に大きく影響する項目の一つといえます。
傷害慰謝料は、算定ルールを正しく理解しているかどうかによって、賠償される金額が数十万円も変わってしまうことがあります。
適切な損害賠償を得ることができるように、傷害慰謝料の算定方法は整理しておきましょう。
動画のご紹介
こちらのコラムは、長瀬総合法律事務所が運営するYouTubeチャンネル「リーガルメディアTV」で解説動画が公開されております。
交通事故で弁護士に相談するタイミングはいつ?
◆ 交通事故の直後がおすすめです
弁護士をあなた専属アドバイザーに。交通事故の直後は最もおすすめです。
交通事故で弁護士に相談するタイミングは、まずは、交通事故直後です。
交通事故に遭った際、どのように対応すればよいか、この先どのような流れで手続きが進んでいくのかなど、わからないことが多いと思われます。たとえば、怪我をした場合、どのような病院に行けば良いのか、どのくらいの頻度で通院を継続すれば良いのかなど、お悩みになるでしょう。
実は、これらの病院の選択や、通院頻度の選択は、後の賠償金請求や後遺障害等級認定の際に関わってくる重要な要素なのです。この点、弁護士に依頼していれば、その都度アドバイスをもらうことができますので、不利な状況に陥る心配がありません。
◆ 交通事故の手続きの流れが聞ける
交通事故の手続きの流れは、専門家に聞かなければ分からないことが多いため、精神的な負担を感じる方も少なくありません。
たとえば、人身事故(死亡事故以外)の示談交渉を行う場合。まずは怪我の治療を行い、その怪我が完治または症状固定してから、ようやく示談交渉を開始することになります。症状固定までには1、2年がかかるケースもありますし、症状固定をしたら、後遺障害等級認定請求もしなければなりません。
事故直後に弁護士に依頼すると、このような手続きの流れについて、いつでも聞ける環境を作ることができるため、安心して治療に集中できるようになります。
◆ 重症のケースでは早めの相談をおすすめ
交通事故に遭って重大な怪我をしてしまったら、自分では身体を動かせないことがあります。事故現場から救急車で病院に運ばれ、そのまま入院ということもあるでしょう。
このように、ご自分で動けない場合には、無理に弁護士に依頼をする必要はありません。必要な手術などの処置が終わって退院した後など、自分で動けるようになってから弁護士を探しても問題はありません。
どうしても心配な場合、家族や知人などに弁護士に相談に行ってもらい、アドバイスの内容などを聞いておくと良いでしょう。
また、当事務所では、入院されている病院へ直接弁護士がご相談に伺う出張相談サービス(出張相談料・交通費はお客様負担)も行っております。
このような重大なケースでは、早めに弁護士のアドバイスを受けておくことがとても重要です。
怪我をされているご本人の状況が落ち着いたら、家族など、周囲の人が早めのタイミングで弁護士へ相談し、アドバイスをもらうことをおすすめします。
【後遺障害等級14級】保険会社提示額から2倍以上の増額
【相談前】
本件は,加害車両に衝突され,頚椎捻挫・腰椎捻挫等の傷害を負ってしまったという事案です。
相談者は,本件事故被害に遭った後,酷い頭痛や腰痛に悩まされてしまい,休業も余儀なくされてしまいました。
また,相談者は,兼業主婦でしたが,仕事のみならず,家事にも支障をきたしてしまいました。
【相談後】
当事務所でご相談をうかがい,まずは後遺障害等級の認定を目指して被害者請求を行いました。
被害者請求の結果,頚椎捻挫・腰椎捻挫それぞれに神経症状が残るものと認められ,後遺障害等級併合14級と認定されました。
そして,後遺障害等級併合14級と認定されたことを前提に,加害者側保険会社と交渉を行いましたが,加害者側の提示額は,慰謝料,逸失利益いずれも裁判基準よりも低額の提示しかしないために,当方の提示額との開きは大きいままでした。
特に,本件の被害者は兼業主婦であり,仕事のみならず家事にも深刻な支障を来していたのですが,いわゆる家事従事者としての休業損害についても否定的な回答でした。
そこで,相談者が実際に本件事故によって仕事や家事にどのような支障を来したのかを具体的に明らかにする立証活動を行いました。
その結果,最終的には休業損害,慰謝料,後遺障害慰謝料,逸失利益を大幅に増額することができ,当初提示額から2倍以上の増額で解決することができました。
【担当弁護士からのコメント】
本件のように,兼業主婦の場合には,傷害慰謝料や逸失利益,後遺障害慰謝料だけでなく,休業損害も大きな争点の1つとなります。
このようなケースでは,本件事故前後で家事や日常生活にどのような支障を来したのかを具体的に立証することがポイントになります。
また,主婦の休業損害は,治療期間をベースとして,割合的に認定される傾向にありますが,立証内容によって,認定される割合も異なることがあります。
主婦の平均年収は約360万円と評価されますので,決して小さい金額ではありません。
どこまで具体的に主張立証するのかは個別の事例に応じた判断が必要ですが,安易に判断しないことが大切といえます。
【後遺障害非該当】後遺障害に準じた賠償金の獲得
【相談前】
本件は,加害車両に衝突され,頚椎捻挫・腰椎捻挫等の傷害を負ってしまったという事案です。
相談者は,本件事故被害に遭った後,あまりにも酷い頭痛や腰痛に悩まされてしまい,本件事故以前から長年にわたって勤務していた会社も退職せざるを得なくなりました。
【相談後】
当事務所でご相談をうかがい,まずは後遺障害等級の認定を目指して被害者請求を行いました。
ところが,それまでの治療中に作成した診断書等の内容中,実際には完治していないにもかかわらず,「治癒」したと判断された旨の記載があったために,後遺障害は認定されませんでした。
しかしながら,相談者の自覚症状の酷さや,長年の勤務先を退職するほどに追い詰められた経緯等からすれば,後遺障害が認定されないこと自体に疑問がありました。
そこで,相談者が本件事故によって受けた被害を具体的に立証するために,本件事故前後の生活状況の変化等について整理しました。
そして,加害者側の保険会社と交渉を重ねた結果,後遺障害非該当を前提としつつも,逸失利益や後遺障害慰謝料を意識した内容の賠償金を獲得して示談に至ることができました。
【担当弁護士からのコメント】
本件のように,事故の衝撃内容や事故後の症状の重さ等からすれば,後遺障害等級が認定されてもおかしくないにもかかわらず,自賠責では後遺障害等級が認定されないケースというものも少なからず存在します。
自賠責保険では後遺障害等級が認定されない原因としては複数考えられますが,本件のように,通院治療中の診断書等に,完治していないにもかかわらず,「治癒」したとの記載がある場合にも,後遺障害等級の認定が否定されることがあります。
このようなケースでは,後遺障害等級非該当を前提に示談交渉を行うことが一般的ですが,中には自賠責保険上は後遺障害等級非該当であっても,なお後遺障害等級に該当することを前提に示談交渉を行い,増額が認められることもあります。
どこまで争うか,またどこまで認められるかはケースバイケースの判断となりますが,赤い本に記載される裁判基準はあくまでも一般論であって,必ずしもすべてのケースにあてはまるわけではありません。
実際に受けた被害に見合った,適正な賠償金額が認められるためには具体的な主張・立証を重ねることが大切です。
本件は,諦めずに立証を重ねたことが功を奏した一事例と言えます。
【後遺障害等級12級】逸失利益及び後遺障害慰謝料等の増額
【相談前】
本件は,加害車両に衝突され,「足舟状骨骨折」等の傷害を負ってしまったという事案です。
相談者は,「足舟状骨骨折」等の傷害を負ってしまった結果,足関節の可動域を制限されてしまった上,足関節の疼痛やしびれに悩まされるようになりました。
【相談後】
当事務所でご相談をうかがい,被害者請求を行った結果,足関節の神経症状について,「局部に頑固な神経症状を残すもの」と判断され,後遺障害等級12級13号に該当すると認定されました。
その後,加害者加入の保険会社と示談交渉を行いましたが,当初は保険会社も逸失利益等について全額の支払には否定的な見解を述べていました。
もっとも,示談交渉を重ねた結果,最終的に逸失利益や後遺障害慰謝料の増額に応じ,提示額からの増額を実現することができました。
【担当弁護士からのコメント】
本件のように,足関節を骨折した場合,主に問題となる後遺障害は,神経症状と機能障害となります。
もっとも,骨折した骨が癒合した場合には,治癒したものとみなされ,神経症状も機能障害も否定されることは珍しくありません。
実際には,骨折によって事故後の日常生活のみならず業務にも深刻な支障を来してしまうことは少なくないのですが,適正な後遺障害として評価されないこともまま見受けられます。
本件では,機能障害は認められなかったものの,神経症状としての後遺障害が認定されたことはせめてもの救いといえます。
そして,後遺障害等級が認定されたとしても,保険会社が裁判基準どおりの保険金を支払ってくれるとは限りません。
この点については,後遺障害等級の認定申請とは別に,裁判基準を理解した上で損害内容について主張・立証をしていく必要があります。
損害内容を具体的に主張・立証するにあたっては,ご相談者の協力が不可欠です。
中には何度も打ち合わせを重ねさせていただくケースもありますが,その際にはご理解・ご協力をお願いしています。
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