給与所得者の休業損害ー昇給を考慮して基礎収入を認定する場合

休業損害は、「1日当たりの基礎収入(交通事故前3か月分の現実の収入÷90)×休業日数」という式で求められます。

ここで、給与所得者である被害者が勤務先で昇給することが確実である場合、休業損害の中に昇給分も含めて基礎収入とすることができます。

ただ、昇給が確実であることや、細かい昇給金額など、勤務先の昇給基準などの証拠から具体的に昇給分を立証する必要が出てきます。

これについて最高裁判例は、「昇給が証拠に基づいて相当の確かさをもって推定できる場合には,昇給回数,金額等を予測し得る範囲で控えめに見積もってこれを基礎として将来の得べかりし所得額を算定することも許される」としています(最判昭和43年8月27日)。

一般的には、公務員や大企業など、昇給基準が明確な職種である場合に認められやすいと言えます。

高度成長期と違い、現代では不景気により将来の昇給が不確実となっていますので、明確な基準がない民間企業にお勤めの場合、そのような証明は難しくなってきております。

一例として、近年の下級審判例で、銀行員の32歳の男性につき、同期社員その後の昇級状況から症状固定日まで年5%の給料の上昇を前提とした基礎収入に基づき休業損害を算定したものがあります(東地判平成16年12月21日)。

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