高速道路での多重事故による後遺障害認定事例

ホーム » コラム » 高速道路での多重事故による後遺障害認定事例

はじめに

高速道路で発生する多重事故は、玉突きやスリップ、追突が連鎖して複数台が絡む大規模な事故となりやすいのが特徴です。一般道よりも速度が高いため、1回の衝突でも大きな衝撃を受け、被害者が骨折や脊髄損傷、脳外傷など重度のケガを負う例も少なくありません。さらに、どの車がどの車を押し出したのか責任関係が複雑化し、過失割合や後遺障害認定手続きが長引くことも少なくありません。

本稿では、高速道路で多重事故に遭い、後遺障害が残った被害者事例をケーススタディとして取り上げ、どのようなポイントを押さえるべきか解説します。過失割合の確定後遺障害等級の認定保険会社との示談交渉など、通常の事故より煩雑なプロセスをどう乗り越えるか学びましょう。

Q&A

Q1:高速道路での多重事故だと、「どの車が加害者なのか」分からなくなることがあるのでしょうか?

はい。玉突きで車A→B→C→D…と順番に押し出されていると、Bが後続Aの衝突に押されてCに当たったのか、B自身が前方不注意だったのかなど責任の所在が複雑化します。実況見分調書やドライブレコーダー映像を分析して一台ずつ責任を区分することが必要です。

Q2:後遺障害認定手続きが長引く原因は何でしょう?

多重事故では複数の保険会社が絡んでおり、事故態様を巡る意見が対立することが多いです。また、被害者のケガが複雑(複数部位骨折など)で治療や検査に時間がかかるため、症状固定の判断も先送りになるケースが多いです。

Q3:高速道路多重事故でむちうち(頸椎捻挫)になり、後遺障害14級を求めたいのですが、何に注意すべきですか?

しっかりと整形外科で通院し、MRI・神経学的テストを受けて症状の一貫性を示すことが大切です。多重事故で加害者が複数いる場合、どの衝突が原因で首を痛めたか混乱しやすいので、事故状況や症状発現を正確に記録するのがポイントです。

Q4:高速道路多重事故で被害者に過失がつく例はありますか?

被害者が安全運転義務を怠っていた(速度超過、車線変更不注意など)かどうかが問われます。多車巻き込み事故でも、被害者に特段の違反がなければ過失0%となる事例もありますが、逆に速度超過が顕著だったり車間距離不保持を疑われると、過失が認定されることもあり得ます。

Q5:多重事故で車が大破し、被害者が半身不随の重度障害を負った場合、示談金は1億円を超えることもあるのでしょうか?

逸失利益や介護費用が長期にわたると、総賠償額が1億円規模になるケースもあります。被害者が働き盛りだったり、家族の介護負担が大きい場合など、後遺障害1級・2級で生涯介護が必要となるケースでは高額になりやすいです。

Q6:示談の途中で保険会社同士が責任のなすり合いをして示談が進まないとき、どうすればいいですか?

弁護士に依頼して一括して保険会社との交渉を進めるか、場合によっては裁判で過失割合と責任分配を明確にしてもらう方法があります。被害者自身が複数保険会社と個別にやり取りするのは困難なので、弁護士に依頼することがおすすめです。

解説

想定事例:高速道路で前方車両との多重玉突きで被害者が脊髄損傷

  1. 事故概要
    • 高速道路で渋滞が発生していたが、後方車がスピードを落とせず前車に追突。前車がさらに被害者の車を押し出し、被害者の車が中央分離帯に激突。
    • 被害者は頸髄損傷により四肢麻痺の重度後遺障害が残る結果となった。
  2. 過失割合・責任分配
    • 後続車Aが原因衝突→前車Bが押され被害者Cに激突、CがさらにD車へ衝突…など複数の衝突が重なり、各車の責任が複雑化。
    • 最終的に、事故を引き起こした車Aが被害の大部分を賠償。その他BやDも相応の過失があれば一部負担するが、被害者Cには過失0%が認定された事例も。
  3. 後遺障害認定
    • 頸髄損傷は1級または2級に該当し、後遺障害慰謝料として2,000万〜2,800万円、介護費用・逸失利益を含め総額で1億円近い賠償が認められる例がある。

多重事故で後遺障害認定を得るためのポイント

  1. 衝突タイミングの特定
    • どの車との衝突が最終的に被害者の重大なケガを引き起こしたか、因果関係を明確化。
    • ドライブレコーダー映像、目撃者証言、車両の損傷位置・物理的分析などで構造を解明。
  2. 医学的立証
    • 頸髄損傷や骨折などで後遺障害が残った場合、適切なMRI・CTなどの画像検査と医師の詳細診断が必要。
    • 介護が必要なら介護認定ケアプランなどを提出して長期的な支出を見込む。
  3. 車両ごとの責任と保険制度
    • 玉突きで複数車両が保険契約している場合、それぞれの過失割合に応じて分担賠償。被害者は全体に対して請求し、各保険会社間で求償しあう形になることも。

示談交渉・裁判の対処法

  1. 保険会社同士が揉めている場合
    • 被害者は弁護士を通じて「まとめて賠償してもらい、保険会社間の調整はそちらで行うように」と主張できる。
    • 被害者自身が保険会社間のトラブルに巻き込まれずに済む。
  2. 過失0%を確保
    • 被害者の車に違反がなければ、多重事故でも過失0%が十分あり得る。保険会社が被害者に一定の過失割合を押し付けようとしても、弁護士が反論しやすい。
    • 速度超過・車線変更不注意がないか事前に確認し、無過失主張を固める。
  3. 裁判視野の増額交渉
    • 多重事故で損害が大きくなりやすく、保険会社が低額提示してくる場合が多い。弁護士が「裁判になれば○○万円を上回る判例がある」と説得。
    • 長期交渉になれば弁護士費用特約の活用で費用リスクを回避。

弁護士に相談するメリット

  1. 複雑な事故態様の分析
    多重事故では証拠や物理的検証が複雑。弁護士が専門家や事故鑑定人と連携し、原因車両と責任割合を明確化。
  2. 後遺障害認定サポート
    頸髄損傷や重度骨折などで長期リハビリが必要な場合、医師との連携で後遺障害等級を正しく取得できるよう支援。
  3. 大規模賠償への対応
    多重事故で被害者が重度障害を負うと1億円規模の賠償もあり得る。弁護士が逸失利益や介護費など広範囲の損害を主張し、保険会社の過少評価を防ぐ。
  4. 保険会社間の調整
    被害者側は弁護士を介して一括請求し、複数保険会社が過失割合で揉めても被害者への支払を優先させられる。
  5. 費用特約の活用
    長期化が想定される多重事故でも、弁護士費用特約があれば費用負担を軽減して依頼できる。

まとめ

高速道路での多重事故は、高速走行かつ複数車両が絡むため、被害者が重度ケガや後遺障害を負うリスクが高いのが特徴です。

  • 複数台の玉突き衝突
    責任の所在を確定するのが難しく、保険会社同士の調整が長引く
  • 重度後遺障害
    脊髄損傷や複数部位骨折で1級〜3級認定されれば1億円近い賠償も
  • 被害者過失0%もあり得る
    自分に違反がなく、後続車や他車の不注意が原因なら、被害者無過失を主張
  • 弁護士の専門サポート
    事故鑑定、医師との連携で後遺障害認定を得て示談金を大きく増やす

弁護士法人長瀬総合法律事務所は、こうした多重事故での後遺障害認定や、複数保険会社との難しい交渉を一括して代理し、被害者が適正に補償を受けられるようサポートします。複雑な責任関係や重度障害対応でお困りの場合は、ぜひ当事務所へご相談ください。

その他のコラムはこちら|交通事故のコラム一覧


リーガルメディアTV|長瀬総合YouTubeチャンネル

交通事故についてさらに詳しく知りたい方のために、当事務所では交通事故後の対応に役立つ解説動画を配信しています。ご興味がある方はぜひご視聴及びチャンネル登録をご検討ください。

初回無料・全国対応|お問い合わせはお気軽に

長瀬総合法律事務所では、ホームページからの予約、オンラインでの予約、電話、LINEといった複数のお問い合わせ方法をご用意しております。お好みの方法でお気軽にお問い合わせください。

keyboard_arrow_up

0298756812 LINEで予約 問い合わせ