近年では、専業主夫という言葉が一般的に使われるようになってきました。
統計上も、2000年から現在まで専業主夫の数は5倍以上に増加しています。
女性の社会進出・地位向上のたまものですが、不況により職を得られない男性が就職を諦めていることも背景にあるようです。
専業主夫の方が交通事故に遭い、家事を行なえなくなった場合、その休業による損害は、専業主婦の方と同様、賃金センサスによる全年齢平均の平均賃金を元に計算します。
しかし、男性の全年齢平均賃金は524万円であり、女性の平均は353万円です(平成25年賃金センサス)。
主夫と主婦で1.5倍もの大きな違いが出てしまいます。
これは男女差別となりますので、主夫業は主婦業と同視し、男性であっても、女性の平均賃金で計算するのが裁判所での通例となっています。
男性からしてみると不公平な気もしますが、家族以外の方に家事を頼むとするならば、たいていは女性の家政婦さんにお願いすることになりますので、その家政婦さんの労働分の埋め合わせと考えれば女性の平均賃金に基づくことも妥当という考え方もあります。
さらに、主夫業の方は保険会社からその認定に疑義を呈されることがあります。
つまり、主夫業ではなく無職者なのではないかという主張です。
これに対しては家事労働に従事していたことや就職活動をしていないことなどの証拠を挙げて反論していくことになります。
ただし、主たる家事従業者が他にいて、その補助を行っているような場合は、従たる家事従業者として実態を考慮した減額の可能性があります。
いずれにせよ、正確な実態の主張・立証が必要となります。