事業所得者の方は、事業を継続する上で、家賃、従業員給料などの様々な経費を支払っています。
事業所得者の方が交通事故に遭い一時的に事業を行うことができなくなった場合、家賃のような経費は休業中も支払続けなければ契約を解除されてしまい将来的に事業を継続していけない場合があります。
このように、事業を維持継続するために支払が避けられない経費は、固定費として、休業損害に含めて保険会社に賠償を求めることができます。
固定費かどうかは、事業の内容・性質、経費の種類などから判断されます。
固定費とされやすい例としては、従業員の給料、地代家賃、減価償却費、公租公課などが挙げられます。
光熱費など、事業を行わなければ支出する必要がない経費は、変動費として休業損害に含めることは難しいでしょう。
一般的には固定費、変動費といいますと売上に関係なく支払われ続けるのが固定費、売上に比例して増加する経費が変動費にあたります。
しかし、損害賠償額の算定においては、事業継続のために支払を余儀なくされるものであれば賠償の対象となります。
ですから、保険会社からこれは変動費にあたるという主張がされたとしても、支払を続けなければ事業を存続することができないときは、それらの事情を示して賠償を求めることができます。
例えば、お歳暮・お中元などは通常交際費として変動費に参入されるところ、保険外交員について、休業中のこれらの支出は事業継続のためにやむをえない支出であるとして賠償を認めた裁判例があります(東京地判平成23年1月26日)。