交通事故に遭い後遺症が残ってしまった場合、事故まで行っていた仕事が今まで通りにはできなくなってしまうということがあります。
後遺障害が重度である場合には、仕事自体ができなくなるということもあり得ます。
このような場合、交通事故の加害者からの賠償において、後遺症による「逸失利益」が問題になります。
逸失利益とは、本来得られるべきであるにもかかわらず、得られなくなった利益のことをいいます。
「得べかりし利益」とも言われます。
【逸失利益の計算方法】
逸失利益がいくらになるのかは、①その方の基礎収入額(年収)に、②後遺症による労働能力喪失率を掛け、1年あたりの喪失利益を算出し、それに③労働がおこなえたであろう期間(労働能力喪失期間)を掛けます。
これが逸失利益の総額になりますが、一括支払いを受ける場合、中間利息控除のため労働能力喪失期間に対し対応する係数を掛けます。
まとめますと、
①基礎収入額(年収)×②労働能力喪失率×③労働能力喪失期間に対応する係数
が逸失利益として支払を受けられる額になります。
それぞれ簡単に説明しますと、以下のとおりです。
【①基礎収入額】
①基礎収入額とは、事故前に被害者が得ていた現実の収入額です。
しかし、将来の昇級が想定できる場合は適宜修正を加えます。
【②労働能力喪失率】
②労働能力喪失率は、後遺症による症状を政令で作成された「後遺障害等級表」へあてはめ、後遺症の等級を確定し、「労働能力喪失率表」によりそれに応じた喪失率を算出します。
【③労働能力喪失期間】
③労働能力喪失期間は症状固定日から67歳に至るまでの期間です。
ライプニッツ係数と呼ばれるこの期間に対応する係数があります。
基本的に逸失利益の支払い額は、上述の計算式により算出されます。
ただ、個々人の事情に応じて実務上様々な修正が加えられております。
保険会社からの賠償額に不満がある方は、お気軽にご相談下さい。