給与所得者(いわゆるサラリーマンです)の方が交通事故被害にあった場合の休業損害は,事故前の収入を基礎として,受傷によって休業したことによる現実の収入減とされます。
したがって,事故後も出勤し続け,実際に給与の減少がない場合には,休業損害は発生していないことになります。
もっとも,実際には事故の受傷のために仕事を休みたくとも,代替がきかない役職やプロジェクトを担当しているために,無理をして出勤を続けている,というケースも少なくありません。
では,このようなケースでは何ら休業損害を請求できないかというと,決してそうではありません。
例えば,事故が原因で昇給・昇格が遅れた場合には,この昇給等の遅延を損害として請求することができます。
そして,昇給遅延が1年間に限らず,その後も継続する場合には,数年分にわたって損害として請求することが可能です。
年額がそれほど大きくない場合でも,事故時から定年退職までの昇給遅延が損害として認められた場合には,相当な金額となります。
実際に,昇給遅延が損害として認められた事例としては,以下の判例があります。
1 福岡地裁小倉支部昭和57年7月28日判決
1年分56,580円を損害として認定
2 福岡地裁昭和55年11月4日判決
昭和52年〜通常の勧奨退職年齢である58歳までの分678,893円を損害として認定
3 横浜地裁平成9年10月30日
事故による長期欠勤のための現状据え置きとされたこと,昇給遅れが解消するまでに5年間を要するものとして1,200,000円を損害として認定
4 長崎地裁平成9年1月29日
60歳定年までの39年間分の昇格昇給遅延の損害として1,242,143円を損害として認定
交通事故によって昇格・昇給が遅れてしまった方は,弁護士にご相談することをおすすめします。
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