自賠法の適否にあたり要件となる「運行」の定義について、自賠法2条は以下のように規定しています。
次に、自賠法2条にいう、「当該装置の用い方」とは何か、が問題となります。
この点について検討した最判昭和52年11月24日は、「自動車をエンジンその他の走行装置により位置の移動を伴う走行態に置く場合だけでなく、固有の装置であるクレーンをその目的に従って操作する場合も含む。」としています。
このような考え方は、「固有装置説」と呼ばれています。
なお、同最判の事例は、以下のとおりです。
田んぼに転落した貨物自動車を道路に引き上げるために、転落現場でクレーン車を用い、引き上げ作業をしていたところ、クレーンのワイヤーが現場上空の高圧電線に接触したため、引き上げ作業をしていた作業員が感電死した。 |
この事案では、クレーン車に自賠法3条の責任が認められています。
特殊な事案ではありますが、最高裁が自賠法2条にいう「当該装置の用い方」の解釈について判断を示した重要な判例です。