【逸失利益の算定と中間利息控除(ライプニッツ係数)】
交通事故において後遺障害が残った場合,逸失利益の算定が問題となります。
そして,逸失利益の算定にあたっては,中間利息控除(ライプニッツ係数)を行うことになります。
【中間利息控除(ライプニッツ係数)の基準時】
問題は,中間利息控除の開始時をどの時点と考えればよいのかということです(中間利息控除の基準時の問題)。
この点は確立した裁判例はなく諸説ありますが,概ね以下の説が挙げられます。
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事故時基準説【交通事故時を開始時期とする見解】
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症状固定時基準説【後遺障害の症状固定時とする見解】
①事故時期基準説によれば,中間利息控除の範囲が拡がることになり,被害者に認められる損害額合計は少なくなってしまいます。
また,①事故時基準時説によると,逸失利益のみならず,その他の治療費や休業損害まで中間利息控除の対象となってしまい妥当ではないといえます。
そこで,被害者の立場からも,また理論的にも,②症状固定時基準説が妥当というべきであり,この考え方に基いて主張するべきといえます。