3 症状固定のポイント
□ 症状固定時期はいつか □ 症状固定後の治療費等の扱い |
□ 症状固定時期はいつか
後遺障害等級認定申請を見据える場合,症状固定時期をいつ頃に設定することがよいのかは難しい問題です。
治療期間が長ければ長いほど,慰謝料や治療費等の賠償額が増えるので,症状固定時期も長いほうが良いのではないかとも思われますが,一概にそうとも言い切れない面があります。
例えば,骨折等による可動域制限(機能障害)に基づく後遺障害等級認定申請を検討する場合,長期間リハビリ治療をすることで,徐々に可動域が改善していくこともあります。
このようなケースでは,症状固定時期を早めに設定し,可動域が改善していない段階で後遺障害等級認定申請をしたほうが,獲得できる後遺障害等級は高くなることが期待できます。
醜状障害のケースでも同じようなことが考えられます。
個別の事案や被害者の意向によって判断は異なりますので,一概には言えませんが,症状固定時期は「遅ければ遅いほどよい」とは単純に言えないことに注意しましょう。
□ 症状固定後の治療費等の扱い
一方で,症状固定日以降の治療費等は,原則として損害賠償の対象にはなりません。
したがって,症状固定とした後は,後遺障害等級認定申請をするのか,示談交渉をするのか,できる限り早く方針を決めて対応していく必要があります。