【ご質問】
私は主婦をしていますが、交通事故被害に遭って通院をすることになりました。
実際に通院した日数は100日以上で、事故から6ヶ月も通院することになってしまいましたが、ここまでひどい痛みを負わされたことに対して、慰謝料を請求することができると聞いたことがあります。
私の場合には、どのくらいの慰謝料を請求することができるのでしょうか。
【回答】
傷害慰謝料は、原則として入通院期間を基準にして算定することになります。
ただし、傷害慰謝料の算定には、むち打ち症で他覚症状がない場合(赤本別表Ⅱ基準)と、それ以外の場合(赤本別表Ⅰ基準)の2つの算定方法があります。
ご相談のケースでは、特に骨折などもなく、むち打ち症に留まる場合には、赤本別表Ⅱ基準が適用されることになります。
赤本別表Ⅱ基準が適用される場合、通院期間6ヶ月の事例における傷害慰謝料は89万円とされます。
【解説】
1 交通事故における傷害慰謝料
交通事故被害に遭った場合、怪我をしたために入通院治療をするケースも少なくありません。
このような肉体的・精神的苦痛に対しては、慰謝料が認められ、経済的な補償を受けることができます。
傷害慰謝料は、原則として入通院期間を基準にして算定することになります。
ただし、通院が長期にわたり、かつ不規則である場合には、実日数の3.5倍程度を慰謝料算定のための通院期間の目安とされることがあります。
また、被害者が幼児の母親である場合や、仕事等の都合で入院期間を短縮せざるを得なかった場合には、金額を増額されることがあります。
さらに、入院待機中の期間やギブス固定等安静を要する自宅療養期間は、入院期間とみられることがあります。
このように、傷害慰謝料の算定には、入通院期間を基準とするという目安がありますが、必ずしもこれだけで判断されるわけではないことにご留意ください。
2 損害算定の3つの基準
また、交通事故における損害賠償の算定基準は、①自賠責保険基準、②任意保険基準、③裁判基準の3つがあるとされていますが、赤本別表の算定基準は、③裁判基準とされています。
①自賠責保険基準や②任意保険基準では、③裁判基準よりも損害額が低く算定される傾向にありますので、任意保険会社と交渉したとしても、必ずしも③裁判基準である傷害慰謝料89万円全額が認められるとは限らないことにご注意ください。
保険会社が裁判基準と比べても明らかに低額の賠償金しか提示しない場合には、弁護士に相談することもご検討ください。