はじめに
交通事故に遭い、後遺症が残ると日常生活や仕事に大きな影響を及ぼすことがあります。このような後遺症に対しては、「後遺障害等級」が認定され、等級に応じた補償を受けることができます。本記事では、交通事故被害者やそのご家族が知っておくべき後遺障害等級について、詳しく解説します。
後遺障害等級に関するQ&A
Q1:後遺障害等級とは何ですか?
A:交通事故で後遺症が残った場合に、その症状の種類や程度に応じて認定される等級を指します。後遺障害等級によって、受け取ることができる賠償金の額が大きく変わります。
Q2:どの等級に認定されるかはどれくらい重要ですか?
A:非常に重要です。等級によって後遺障害慰謝料や逸失利益の金額が大きく変わるため、どの等級に認定されるかが被害者にとっては重要な問題です。
Q3:自分がどの等級に該当するか分からない場合はどうすれば良いですか?
A:後遺障害の認定基準は複雑で専門的です。弁護士法人長瀬総合法律事務所に相談することで、自分の症状に応じた適切な等級のアドバイスを受けることができます。
後遺障害等級の詳細
後遺障害等級は、症状の種類や程度に応じて1級から14級まであります。数字が小さいほど重い障害を示します。
等級 | 等級の詳細 |
---|---|
介護を要する後遺障害1級 | 1号・2号 |
介護を要する後遺障害2級 | 1号・2号 |
後遺障害1級 | 1号・2号・3号・4号・5号・6号 |
後遺障害2級 | 1号・2号・3号・4号 |
後遺障害3級 | 1号・2号・3号・4号・5号・相当 |
後遺障害4級 | 1号・2号・3号・4号・5号・6号・7号 |
後遺障害5級 | 1号・2号・3号・4号・5号・6号・7号・8号 |
後遺障害6級 | 1号・2号・3号・4号・5号・6号・7号・8号・相当 |
後遺障害7級 | 1号・2号・3号・4号・5号・6号・7号・8号・9号・10号・11号・12号・13号 |
後遺障害8級 | 1号・2号・3号・4号・5号・6号・7号・8号・9号・10号・相当 |
後遺障害9級 | 1号・2号・3号・4号・5号・6号・7号・8号・9号・10号・11号・12号・13号・14号・15号・16号・17号 |
後遺障害10級 | 1号・2号・3号・4号・5号・6号・7号・8号・9号・10号・11号・相当 |
後遺障害11級 | 1号・2号・3号・4号・5号・6号・7号・8号・9号・10号 |
後遺障害12級 | 1号・2号・3号・4号・5号・6号・7号・8号・9号・10号・11号・12号・13号・14号・相当 |
後遺障害13級 | 1号・2号・3号・4号・5号・6号・7号・8号・9号・10号・11号 |
後遺障害14級 | 1号・2号・3号・4号・5号・6号・7号・8号・9号・相当 |
後遺障害等級の一覧表
後遺障害等級と障害の内容は以下の一覧表のとおりです。
1級と2級は介護が必要かどうかで表が別になっています。
介護を要する後遺障害一覧
等級 | 障害の内容 |
1級 | 1.神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの 2.胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの |
2級 | 1.神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの 2.胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの |
上記以外の後遺障害一覧
等級 | 障害の内容 |
1級 | 1.両眼が失明したもの 2.咀嚼及び言語の機能を廃したもの 3.両上肢をひじ関節以上で失ったもの 4.両上肢の用を全廃したもの 5.両下肢をひざ関節以上で失ったもの 6.両下肢の用を全廃したもの |
2級 | 1.1眼が失明し、他眼の視力が0.02以下になったもの 2.両眼の視力が0.02以下になったもの 3.両上肢を手関節以上で失ったもの 4.両下肢を足関節以上で失ったもの |
3級 | 1.1眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になったもの 2.咀嚼又は言語の機能を廃したもの 3.神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの 4.胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの 5.両手の手指の全部を失ったもの |
4級 | 1.両眼の視力が0.06以下になったもの 2.咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの 3.両耳の聴力を全く失ったもの 4.1上肢をひじ関節以上で失ったもの 5.1下肢をひざ関節以上で失ったもの 6.両手の手指の全部の用を廃したもの 7.両足をリスフラン関節以上で失ったもの |
5級 | 1.1眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になったもの 2.神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの 3.胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの 4.1上肢を手関節以上で失ったもの 5.1下肢を足関節以上で失ったもの 6.1上肢の用を全廃したもの 7.1下肢の用を全廃したもの 8.両足の足指の全部を失ったもの |
6級 | 1.両眼の視力が0.1以下になったもの 2.咀嚼又は言語の機能に著しい障害を残すもの 3.両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの 4.1耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの 5.脊柱に著しい変形又は運動障害を残すもの 6.1上肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの 7.1下肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの 8.1手の5の手指又はおや指を含み4の手指を失ったもの |
7級 | 1.1眼が失明し、他眼の視力が0.6以下になったもの 2.両耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの 3.1耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの 4.神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することがでないもの 5.胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの 6.1手のおや指を含み3の手指を失ったもの又はおや指以外の4の手指を失ったもの 7.1手の5の手指又はおや指を含み4の手指の用を廃したもの 8.1足をリスフラン関節以上で失ったもの 9.1上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの 10.1下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの 11.両足の足指の全部の用を廃したもの 12.外貌に著しい醜状を残すもの 13.両側の睾丸を失ったもの |
8級 | 1.1眼が失明し、又は1眼の視力が0.02以下になったもの 2.脊柱に運動障害を残すもの 3.1手のおや指を含み2の手指を失ったもの又はおや指以外の3の手指を失ったもの 4.1手のおや指を含み3の手指の用を廃したもの又はおや指以外の4の手指の用を廃したもの 5.1下肢を5センチメートル以上短縮したもの 6.1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの 7.1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの 8.1上肢に偽関節を残すもの 9.1下肢に偽関節を残すもの 10.1足の足指の全部を失ったもの |
9級 | 1.両眼の視力が0.6以下になったもの 2.1眼の視力が0.06以下になったもの 3.両眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの 4.両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの 5.鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの 6.咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの 7.両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの 8.1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの 9.1耳の聴力を全く失ったもの 10.神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの 11.胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの 12.1手のおや指又はおや指以外の2の手指を失ったもの 13.1手のおや指を含み2の手指の用を廃したもの又はおや指以外の3の手指の用を廃したもの 14.1足の第1の足指を含み2以上の足指を失ったもの 15.1足の足指の全部の用を廃したもの 16.外貌に相当程度の醜状を残すもの 17.生殖器に著しい障害を残すもの |
10級 | 1.1眼の視力が0.1以下になったもの 2.正面を見た場合に複視の症状を残すもの 3.咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの 4.14歯以上に対し歯科補綴を加えたもの 5.両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの 6.1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの 7.1手のおや指又はおや指以外の2の手指の用を廃したもの 8.1下肢を3センチメートル以上短縮したもの 9.1足の第1の足指又は他の4の足指を失ったもの 10.1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの 11.1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの |
11級 | 1.両眼の眼球に著しい調整機能障害又は運動障害を残すもの 2.両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの 3.1眼のまぶたに著しい欠損を残すもの 4.10歯以上に対し歯科補綴を加えたもの 5.両耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの 6.1耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの 7.脊柱に変形を残すもの 8.1手のひとさし指、なか指又はくすり指を失ったもの 9.1足の第1の足指を含み2以上の足指の用を廃したもの 10.胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの |
12級 | 1.1 眼の眼球に著しい調整機能障害又は運動障害を残すもの 2.1 眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの 3.7 歯以上に対し歯科補綴を加えたもの 4.1 耳の耳殻の大部分を欠損したもの 5. 鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの 6.1 上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの 7.1 下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの 8. 長管骨に変形を残すもの 9.1 手のこ指を失ったもの 10.1 手のひとさし指、なか指又はくすり指の用を廃したもの 11.1 足の第2の足指を失ったもの、第2の足指を含み2の足指を失ったもの又は第3の足指以下の3の足指を失ったもの 12.1 足の第1の足指又は他の4の足指の用を廃したもの 13. 局部に頑固な神経症状を残すもの 14.外貌に醜状を残すもの |
13級 | 1.1 眼の視力が0.6以下になったもの 2. 正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの 3.1 眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの 4. 両眼のまぶたの一部に欠損を残し、又はまつげはげを残すもの 5.5 歯以上に対し歯科補綴を加えたもの 6.1 手のこ指の用を廃したもの 7.1 手のおや指の指骨の一部を失ったもの 8.1 下肢を1センチメートル以上短縮したもの 9.1 足の第3の足指以下の1又は2の足指を失ったもの 10.1 足の第2の足指の用を廃したもの、第2の足指を含み2の足指の用を廃したもの又は第3の足指以下の3の足指の用を廃したもの 11. 胸腹部臓器の機能に障害を残すもの |
14級 | 1.1 眼のまぶたの一部に欠損を残し、又はまつげはげを残すもの 2.3 歯以上に対し歯科補綴を加えたもの 3.1 耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの 4. 上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの 5. 下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの 6.1 手のおや指以外の手指の指骨の一部を失ったもの 7.1 手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの 8.1 足の第3の足指以下の1又は2の足指の用を廃したもの 9. 局部に神経症状を残すもの |
後遺障害等級の認定基準
後遺障害1級の認定基準
1級の後遺障害は、両眼が失明した場合や両上肢をひじ関節以上で失った場合など、重度の障害が該当します。
後遺障害2級の認定基準
2級の後遺障害は、1眼が失明し、他眼の視力が0.02以下になった場合や両上肢を手関節以上で失った場合などが該当します。
後遺障害3級の認定基準
3級の後遺障害は、1眼が失明し他眼の視力が0.06以下になった場合や、両手の手指の全部を失った場合などが該当します。
後遺障害4級の認定基準
4級の後遺障害は、両眼の視力が0.06以下になった場合や、1上肢をひじ関節以上で失った場合などが該当します。
後遺障害5級の認定基準
5級の後遺障害は、1眼が失明し他眼の視力が0.1以下になった場合や、1上肢を手関節以上で失った場合などが該当します。
後遺障害6級の認定基準
6級の後遺障害は、両眼の視力が0.1以下になった場合や、1上肢の3大関節中の2関節の用を廃した場合などが該当します。
後遺障害7級の認定基準
7級の後遺障害は、1眼が失明し他眼の視力が0.6以下になった場合や、1手の母指を含み3の手指を失った場合などが該当します。
後遺障害8級の認定基準
8級の後遺障害は、1眼が失明し1眼の視力が0.02以下になった場合や、1手の母指を含み2の手指を失った場合などが該当します。
後遺障害9級の認定基準
9級の後遺障害は、両眼の視力が0.6以下になった場合や、両眼に半盲症、視野狭窄または視野変状を残す場合などが該当します。
後遺障害10級の認定基準
10級の後遺障害は、1眼の視力が0.1以下になった場合や、14歯以上に対し歯科補綴を加えた場合などが該当します。
後遺障害11級の認定基準
11級の後遺障害は、両眼の眼球に著しい調節機能障害または運動障害を残す場合や、1耳の聴力が40センチメートル以上の距離で普通の話声を解することができない程度になった場合などが該当します。
後遺障害12級の認定基準
12級の後遺障害は、1眼の眼球に著しい調節機能障害または運動障害を残す場合や、7歯以上に対し歯科補綴を加えた場合などが該当します。
後遺障害13級の認定基準
13級の後遺障害は、1眼の視力が0.6以下になった場合や、両眼のまぶたに欠損を残す場合などが該当します。
後遺障害14級の認定基準
14級の後遺障害は、1眼のまぶたに欠損を残す場合や、3歯以上に対し歯科補綴を加えた場合などが該当します。
弁護士に相談するメリット
交通事故の被害者が弁護士に相談することで、以下のようなメリットがあります:
- 専門的なアドバイス:後遺障害等級の認定基準は複雑で専門的です。弁護士はその知識を持ち、適切なアドバイスを提供します。
- 交渉力の強化:保険会社との交渉は専門知識が必要です。弁護士が代理人として交渉にあたることで、より有利な条件で解決する可能性が高まります。
- ストレスの軽減:事故後の対応に追われる被害者にとって、弁護士に任せることで精神的な負担が軽減されます。
まとめ
交通事故で後遺症が残ると、その後の生活や仕事に大きな影響を与えます。後遺障害等級の認定は、適切な賠償を受けるために非常に重要です。弁護士法人長瀬総合法律事務所に相談することで、専門的なアドバイスや適切な等級認定を受けることができます。
交通事故被害者の方々は、自分の権利を守るために、ぜひ専門家の助けを借りてください。
動画解説の紹介
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