はじめに
交通事故に遭った際、胸腹部の臓器に後遺障害が残ることがあります。この記事では、胸腹部臓器の後遺障害について、具体的な等級や症状、治療方法について解説します。さらに、弁護士に相談するメリットについても紹介します。交通事故の被害者が適切な補償を受けるために必要な情報を提供します。
胸腹部臓器の定義
胸腹部臓器とは、呼吸器(鼻、のど、気管、肺)、循環器(心臓、血管)、腹部臓器(胃、小腸、大腸、肝臓、胆のう、すい臓、ひ臓)、泌尿器(腎臓、尿管、膀胱、尿道)、生殖器(睾丸、卵巣、子宮)などを指します。
胸腹部臓器の後遺障害で認定される等級
胸腹部臓器の後遺障害は、症状の程度や部位により、介護を要する後遺障害1級から14級までの等級が存在します。これらの等級は、各臓器の機能障害の程度に基づいて決定されます。
後遺障害の詳細と等級認定の基準
胸腹部臓器の障害は、主に呼吸器、循環器、腹部臓器、泌尿器、生殖器に分類されます。例えば、呼吸器の障害は、動脈血酸素分圧やスパイロメトリー(呼吸機能検査)によって診断され、これに基づいて等級が決定されます。胸腹部臓器に2つ以上の障害がある場合、併合の方法を使用して相当する等級を決定することができます。
具体的な後遺障害等級の例
胸腹部臓器の後遺障害等級の一例を以下に示します。
- 介護を要する後遺障害1級2号:胸腹部臓器に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
- 介護を要する後遺障害2級2号:胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
- 後遺障害3級4号:胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
- 後遺障害5級3号:胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
- 後遺障害7級5号:胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
- 後遺障害9級11号:胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
- 後遺障害11級10号:胸腹部臓器に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの
- 後遺障害13級11号:胸腹部臓器の機能に障害を残すもの
呼吸器の後遺障害の解説
呼吸器の障害は、動脈血酸素分圧やスパイロメトリー(呼吸機能検査)によって診断されます。動脈血酸素分圧が50Torr以下の場合、介護を要する後遺障害1級や2級に該当することがあります。また、スパイロメトリーの結果に基づいても、呼吸困難の程度によって等級が認定されます。
例えば、動脈血酸素分圧が37Torr以下の場合、介護を要する後遺障害1級に該当し、50Torr以下の場合は後遺障害3級に該当する可能性があります。スパイロメトリーの検査結果も重要であり、1秒量や肺活量の減少に基づいて等級が決定されます。これにより、呼吸機能の低下が労働能力に与える影響を評価します。
循環器の後遺障害とその基準
心筋梗塞や狭心症、心臓外傷などによる循環器の後遺障害は、METs(メッツ)に基づいて等級が決定されます。METsとは、安静時の酸素消費量を基準にした運動や作業の強度を示す単位です。たとえば、6METsを超える強度の身体活動が制限される場合は後遺障害9級に、8METsを超える強度の身体活動が制限される場合は後遺障害11級に認定されることがあります。
また、除細動器やペースメーカを植え込んだ場合も、等級が決定されます。除細動器を植え込んだ場合は後遺障害7級、ペースメーカを植え込んだ場合は後遺障害9級に該当します。
胃の後遺障害の具体例
胃の後遺障害は、胃全摘や部分摘出による消化吸収障害、ダンピング症候群、胃切除術後逆流性食道炎などに基づいて等級が認定されます。例えば、胃の一部または全部を切除した場合、食べ物が十分に消化されず、身体に吸収されなくなる消化吸収障害が生じます。この状態は、BMIが20以下の場合に障害等級として認定されることがあります。
ダンピング症候群は、胃の幽門部を切除したことによって食べ物が急速に小腸に流れ込み、食後にめまいや立ちくらみなどの症状を引き起こす状態を指します。また、胃切除術後逆流性食道炎は、胃の入り口である噴門部を切除したことで、胃液や消化物が食道に逆流し、胸焼けや胸痛などの症状を引き起こす状態です。
小腸および大腸の後遺障害の詳細
小腸や大腸の後遺障害は、大量切除、人工肛門の造設、皮膚瘻の形成、狭窄などによって等級が認定されます。小腸を大量に切除した場合、残存する空腸および回腸の長さが100cm以下になった場合は後遺障害9級、100~300cmの場合は後遺障害11級に認定されることがあります。
人工肛門を造設した場合は、ストマ周辺に著しい皮膚のびらんを生じ、パウチ等の装着ができない場合は後遺障害5級、そうでない場合は後遺障害7級に認定されます。また、皮膚瘻とは、皮膚まで通じた穴から小腸や大腸の内容が出てくる状態であり、瘻孔からの漏出量に応じて等級が決定されます。
泌尿器の後遺障害と等級
泌尿器の後遺障害は、腎臓や尿路の機能障害に基づいて等級が認定されます。例えば、片方の腎臓を失った場合は後遺障害7級、GFR(糸球体濾過量)が31~50ml/分の場合は後遺障害9級に認定されます。
尿路変向術を行った場合は、尿が漏出しストマ周辺に皮膚のびらんを生じる場合は後遺障害5級、そうでない場合は後遺障害7級に認定されます。また、排尿障害や畜尿障害も、残尿量や失禁の程度に応じて等級が決定されます。
生殖器の後遺障害の認定基準
生殖器の後遺障害は、睾丸や卵巣、子宮などの機能障害に基づいて等級が認定されます。例えば、両側の睾丸や卵巣を失った場合は後遺障害7級、陰茎の大部分を欠損した場合や勃起障害を残す場合は後遺障害9級に認定されます。
弁護士に相談することの重要性
交通事故による後遺障害が残った場合、弁護士に相談することで多くのメリットがあります。まず、適切な賠償金の獲得が期待できます。弁護士は後遺障害等級の認定に詳しく、適切な賠償金を獲得するためのサポートを提供します。賠償金が数十万円から数百万円増額することも珍しくありません。
さらに、保険会社との交渉を弁護士が代行することで、被害者自身がストレスなく手続きを進めることができます。交通事故の被害者が知っておくべき法的知識や手続きについても、弁護士から適切なアドバイスを受けることができます。
弁護士法人長瀬総合法律事務所では、交通事故に詳しい弁護士が無料相談を行っています。後遺障害等級の獲得や適切な賠償金の受け取りに向けて、ぜひご相談ください。
まとめ
交通事故による胸腹部臓器の後遺障害は、適切な診断と等級認定が重要です。弁護士に相談することで、適切な賠償金の獲得やストレスのない手続きを進めることができます。弁護士法人長瀬総合法律事務所では、無料相談を通じて被害者の方々をサポートしていますので、ぜひご相談ください。
動画解説の紹介
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