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1 事故を起こしたときの処置と責任

交通事故を起こしてしまった場合、加害者には道路交通法上、緊急措置義務が課されています(道路交通法72条1項前段)

まず何をすべきか?

① 被害者の救護

真っ先にしなければならないことは、被害者の救護です。

② 道路上の危険を除去

救護義務を尽くした後は、引き続き交通事故が起こることを防ぐため、道路上の危険を除去しなければなりません。

③ 警察への報告

こうした救護義務等の次には、警察に事故を報告しなければなりません(道路交通法72条1項後段)。

④ 保険会社への報告

警察とは別に、保険会社に対しても、直ちに事故を報告する必要があります。正当な理由なく保険会社への報告を怠った場合には、保険金の支払が拒絶されることもあり得ます。

⑤ 事故状況の調査や証拠の収集

後日のトラブルを未然に防ぐためにも、事故状況の調査や証拠の収集をしておく必要があります。

2 加害者の責任

自動車運転者の事故による責任として、民事上、刑事上、行政上の3つの責任があります。

① 民事上の責任

被害者に対する損害賠償義務を負います(民法709条等)

② 刑事上の責任

自動車運転中の過失で、人身の死傷事故を起こしたときは、刑法211条2項による自動車運転過失致死傷罪にあたり、7年以上の懲役か禁錮、または100万円以下の罰金で処罰されます。

また、自動車運転中、飲酒、薬物、無免許、最高速度違反、共同危険行為、安全運転義務、信号無視などによって人身の死傷事故を起こしたときは、刑法208条の2の危険運転致死傷罪として、人を負傷させた者は15年以下の懲役、人を死亡させた者は1年以上の有期懲役で処罰されます。

物損事故の場合、自動車の運転者が、業務上必要な注意を怠り、または重大な過失により他人の家屋等建造物を損壊したときは6ヶ月以下の禁錮または10万円以下の罰金に処せられます(道路交通法116条)。

③ 行政上の責任

行政上の責任は刑罰ではなく、運転免許の取消・停止などの処分を指します。行政処分は、管轄地の公安委員会がします。

3 過失相殺

被害金額を請求された場合、加害者からはまず「過失相殺」を主張することになります。「過失相殺」の次には、「損益相殺」を検討することになります。

過失相殺とは

過失割合とは、当事者の不注意(過失)が、交通事故の原因にそれぞれどれだけ寄与したかを双方の割合で示すものです。事故によって生じた損害のうち、各当事者がどれだけの責任を負担するかは過失割合に従って決定されます

例えば、被害車両と加害車両が衝突して、被害者の損害総額が1000万円だったとします。

この場合、仮に被害者と加害者の過失割合が30:70であったならば、加害者が1000万円のうち700万円の損害について責任を負担することになります。被害者に20%の過失があったことから、賠償額を20%減額するということです。

このように、被害者の過失の程度に従って、加害者の損害賠償額を減額することを「過失相殺」と言います。

過失割合の認定基準

過失割合は、別冊判例タイムズ第16号「民事訴訟における過失相殺率の認定基準」(以下「本書」と言います)に記載されている基準を用いて算定することが一般的です。

本書には、様々な事故状況が270以上にわたって類型化されており、事故状況ごとに基本過失割合と、それを修正する要素(一時停止、先入、重過失等)が掲げられています。

実務上は、実際に起きた事故の状況(当事者、道路状況、事故の態様等)と類似する事故状況を本書の中から検索し基本過失割合を割り出した上で、修正要素を加えて、最終的な過失割合を算定するのが通常です。

しかし、当事者間で事故状況や考慮するべき修正要素について争いが生じることはまま見受けられます。

また、「別冊判例タイムズ」に掲げられている過失割合はあくまで一つの基準にすぎませんから、訴訟において裁判所を拘束するものではありません。

したがって、当事者の主張の仕方によっては、裁判所が「別冊判例タイムズ」と異なる過失割合を認定することも十分に考えられます。

過失割合によって認められる賠償額は大きく変わってきますので、慎重に検討する必要があります

4 損益相殺

被害者が事故にあったことによって損害を被るとともに、利益をも受けた場合、損害賠償額からその利益相当額を差し引くことを「損益相殺といいます。

「損益相殺」により、損害賠償額から差し引かれるべき利益は、事故にあった場合に通常受け取るものに限られます。

自賠責保険、任意保険、労災保険等の既払額については、損害の全額から過失割合による減額を行った後に、これら填補額を控除して残損害額を算定することになります。

損益相殺とは

被害者が事故を原因として一定の利益を受けたときは、その利益の額が損害賠償額から控除される場合があります。控除すべき基準は以下のように整理できます。

  • 当該級が本来損害の填補を目的とし、非定額かどうか
  • 給付原因事由が事故と因果関係を有するかどうか
  • 給付の趣旨からみて損害額から控除することが妥当かどうか
  • 当該給付が損害賠償制度との調整規定(代位、求償、返還義務等)を設けているかどうか
  • 当該給付についての費用負担者は誰か
  • 負担した費用との対価性を有するかどうか

損益相殺の対象となるかどうかによって賠償額は大きく異なってしまいます。保険会社が主張する損益相殺が果たして妥当かどうか、慎重に検討する必要があります。

5 料金

相談料は、5,500円(60分)です。加害者の方の料金は、被害者の方の料金とは別料金となります。自動車運転過失致死等、刑事罰に関するお問い合わせは、刑事事件専門サイトよりお願い致します。

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