交通事故によって後遺障害が残った場合、賠償金の支払い時期や手続きの流れ、受け取れる金額など、多くの疑問が生じるでしょう。本記事では、後遺障害認定後の慰謝料の支払い時期や手続きの流れ、申請方法、そして受け取ることができる賠償金について詳しく解説します。
目次
1. 後遺障害の認定後の慰謝料の支払時期
後遺障害が認定された後の慰謝料の支払い時期は、「被害者請求」か「事前認定」のどちらの方法で申請したかによります。「被害者請求」の場合は、申請から1ヶ月以内に支払いが始まることもありますが、「事前認定」の場合は、保険会社と示談が成立した後の支払いになります。
被害者請求は、交通事故の被害者が相手方の自賠責保険に対して直接賠償金を請求する方法です。この方法の利点は、比較的早い時期に賠償金の一部を受け取れることです。後遺障害等級が認定されたタイミングで、自賠責保険から基準に従って賠償金が支払われます。これにより、示談成立前に一定の賠償金を受け取ることができ、早ければ請求から1ヶ月以内に振り込まれることもあります。
事前認定は、相手方の任意保険会社に後遺障害認定手続きを任せる方法です。この方法のメリットは、被害者自身の手間が少ないことです。保険会社が手続きを代行してくれるため、被害者は必要書類を準備して送付するだけで済みます。しかし、賠償金の支払いは保険会社と示談が成立した後になるため、等級認定後すぐに支払いを受けることはできません。
2. 賠償金の支払の流れ
交通事故後、最終的に賠償金を受け取るまでの手続きは以下のとおりです。
医療機関での診察
交通事故に遭ったらすぐに適切な医療機関を受診し、必要な治療を受けます。医師から症状固定や完治の診断が下されるまでは、治療を続けることが重要です。治療を中断すると慰謝料が減額される可能性があり、後遺障害等級の認定に不利になることもあります。
後遺障害診断書の取得
治療が終了した後、医師に後遺障害診断書を作成してもらいます。この診断書が後遺障害等級の認定に必要な重要書類となります。
賠償金請求手続き
被害者請求または事前認定の方法で賠償金を請求します。被害者請求の場合は、被害者自身が自賠責保険に必要書類を提出し、事前認定の場合は、保険会社が手続きを代行します。
賠償金の支払い
後遺障害等級が認定され、示談が成立するか判決が出た後、賠償金が支払われます。被害者請求の場合は早ければ1ヶ月以内に支払いが始まることもあります。
3. 後遺障害認定の申請方法
後遺障害認定の申請方法には「被害者請求」と「事前認定」の2つがあります。
被害者請求
被害者または被害者の代理人(弁護士)が自賠責保険に直接請求する方法です。この方法では、被害者が必要書類を集めて自賠責保険に提出します。被害者請求に必要な書類には、交通事故証明書、診断書、施術証明書、診療報酬明細書、後遺障害診断書などがあります。被害者請求のメリットは、示談成立前に一定の賠償金を受け取ることができる点です。
事前認定
保険会社が後遺障害申請手続きを行う方法です。被害者は、医師に後遺障害診断書を作成してもらい、同意書などの必要書類を保険会社に送付します。保険会社が申請手続きを代行し、後遺障害等級の結果が保険会社に戻ってきます。事前認定のメリットは、被害者の負担が少ないことです。しかし、賠償金の支払いは示談成立後になるため、迅速な支払いを望む場合には被害者請求の方が適しています。
4. 後遺障害慰謝料の金額
後遺障害慰謝料の金額は、後遺障害等級に応じて異なります。慰謝料の算定基準は、以下のように整理できます。
自賠責基準:自賠責保険が賠償金を計算するための基準です。
弁護士基準:弁護士が交渉や裁判で使用する基準で、最も高い算定基準です。
以下は、各基準の後遺障害慰謝料の相場です。
等級 | 自賠責保険基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|
1級 | 1150万円 | 2800万円 |
2級 | 998万円 | 2370万円 |
3級 | 861万円 | 1990万円 |
4級 | 737万円 | 1670万円 |
5級 | 618万円 | 1400万円 |
6級 | 512万円 | 1180万円 |
7級 | 419万円 | 1000万円 |
8級 | 331万円 | 830万円 |
9級 | 249万円 | 690万円 |
10級 | 190万円 | 550万円 |
11級 | 136万円 | 420万円 |
12級 | 94万円 | 290万円 |
13級 | 57万円 | 180万円 |
14級 | 32万円 | 110万円 |
弁護士基準は自賠責保険基準や任意保険基準よりも高額であり、弁護士を介した交渉や裁判で使用されます。
5. 後遺障害で受け取ることができる賠償金
後遺障害が残った場合に受け取れる賠償金には以下のものがあります。
慰謝料:交通事故によって受けた精神的な苦痛を金銭に換算したものです。慰謝料には、入通院慰謝料(傷害慰謝料)、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料の3つがあります。
積極損害:交通事故によって被害者が必要となった費用を損害として請求するものです。治療費や入院費、通院のための交通費、装具や器具の購入費などが含まれます。
休業損害:交通事故によって仕事を休まざるを得なくなった場合の損害です。有職者や家事を行う主婦(主夫)が対象となります。休業損害は、「1日あたりの賃金 × 休業日数」で算出されます。
逸失利益:交通事故によって後遺障害が残り、将来得られなくなった収入を損害として請求するものです。逸失利益は、「基礎収入 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」で算出されます。
まとめ
後遺障害が残った場合、適切な手続きを踏むことで賠償金を受け取ることができます。不安がある場合は、交通事故に詳しい弁護士に相談することをお勧めします。
長瀬総合法律事務所では、交通事故案件に精通した弁護士が対応し、全国どこからでも相談を受け付けています。
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