はじめに
交通事故の被害者が後遺障害を負った場合、その後の生活や仕事に大きな影響を与える可能性があります。後遺障害が残ると、将来の収入が減少する可能性があり、これを補うための賠償金として「逸失利益」(いっしつりえき)が支払われます。この記事では、後遺障害の逸失利益について詳しく解説します。
後遺障害の逸失利益とは?
Q:後遺障害の逸失利益とは何ですか?
A:後遺障害の逸失利益とは、後遺障害を負うことによって労働能力が減少し、将来の収入が減少することを指します。後遺障害が残ると、以前と同じように働くことが難しくなるため、得られなくなった将来の収入を補償する賠償金が逸失利益です。
逸失利益の証拠収集方法
Q:逸失利益の証拠収集方法は?
A:給与所得者の場合は、事故前年分の源泉徴収票または課税証明書(所得証明書)を収集します。これにより、事故前の収入を証明することができます。
逸失利益の計算方法
Q:逸失利益の計算方法は?
A:逸失利益は以下の式で計算します。
逸失利益=基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応する中間利息控除係数(ライプニッツ係数)
- 基礎収入
事故前年の年収が基準となります。収入がない主婦(主夫)や子どもでも、平均賃金をベースに計算します。 - 労働能力喪失率
後遺障害によってどの程度労働能力が失われたかを表す数値です。等級ごとに決められた一定の割合が用いられます。 - 労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
賠償金の運用による利益を調整するための数値です。年齢ごとに異なり、国土交通省の基準で確認できます。
後遺障害等級別の逸失利益
後遺障害の等級認定により、労働能力喪失率や労働能力喪失期間が異なります。以下に、等級別の労働能力喪失率を示します。
- 後遺障害1級:100%
- 後遺障害2級:100%
- 後遺障害3級:100%
- 後遺障害4級:92%
- 後遺障害5級:79%
- 後遺障害6級:67%
- 後遺障害7級:56%
- 後遺障害8級:45%
- 後遺障害9級:35%
- 後遺障害10級:27%
- 後遺障害11級:20%
- 後遺障害12級:14%
- 後遺障害13級:9%
- 後遺障害14級:5%
逸失利益の相場
具体的な逸失利益の計算例として、年収600万円の会社員が後遺障害8級に認定され、症状固定時に40歳の場合を考えます。
- 基礎収入:600万円
- 労働能力喪失率:45%
- 労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数:18.327
この場合の逸失利益は、以下のように計算されます。
600万円×45%×18.327=4948万2900円
逸失利益の金額は高額になることが多く、1億円を超える場合もあります。そのため、争いになることも少なくありません。
逸失利益が認められない場合の対処法
逸失利益が認められない場合、加害者側から「収入は減少しない」と反論されることがあります。例えば、顔に傷跡が残った場合、「身体機能には問題がなく仕事に影響しない」と主張されることがあります。しかし、人目につく傷跡があれば就職先が制限されるなどの影響が考えられます。
相手が逸失利益を認めない場合、仕事で生じる問題点を論理的に指摘する必要があります。自分で主張しても相手が妥協しない場合、弁護士に依頼することを検討すると良いでしょう。
弁護士に相談するメリット
Q:逸失利益の検討が必要な場合、弁護士に相談した方が良いですか?
A:逸失利益の検討が必要な後遺障害が残った場合、弁護士に相談することを強くお勧めします。弁護士に依頼することで、加害者側から受け取る賠償金の金額が大きく増える可能性があります。弁護士法人長瀬総合法律事務所では、後遺障害に詳しい弁護士が無料相談を行っていますので、ぜひご利用ください。
まとめ
後遺障害の逸失利益は、交通事故の被害者にとって重要な賠償金項目の一つです。逸失利益を正確に計算し、適切な賠償金を受け取るためには、弁護士のサポートが不可欠です。弁護士法人長瀬総合法律事務所では、後遺障害に詳しい弁護士が無料相談を行っていますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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