はじめに
交通事故により、外貌や上肢・下肢に大きく傷跡が残ってしまうという後遺障害が残ることがあります。これらの後遺障害は醜状障害とも言われますが、被害者の生活の質や労働能力に大きな影響を及ぼすため、適切な補償を受けることが重要です。本記事では、外貌や上肢・下肢に醜状障害が残存する後遺障害について詳しく解説し、弁護士に相談するメリットや適切な対応方法について紹介します。
外貌の後遺障害に関して
外貌の後遺障害で多い等級
外貌の後遺障害で多い等級は、後遺障害7級、9級、12級、14級などです。これらの等級は、頭部、顔面部、頸部、上肢、下肢の部位に応じて異なります。交通事故による外貌の後遺障害は、大きく外貌(頭部、顔面部、頸部等)、上肢、下肢の3段階に分類して後遺障害等級が認定されます。なお、外貌や上肢・下肢以外に跡が残った場合でも、等級が認定される可能性があります。
外貌とは何か
外貌とは、頭部・顔面部・頸部、上肢および下肢以外の日常露出する部分を指します。外貌の醜状障害に該当するのは、事故によって傷跡が残ってしまった場合です。交通事故外傷で直接生じたもの以外にも、交通事故外傷に関する手術や治療により生じたものも対象です。
外貌醜状と鼻・耳介の欠損の優先順位
外貌の醜状障害と鼻や耳介の欠損が同時に存在する場合、等級が併合されることはなく、いずれかの上位の等級によって認定されます。例えば、耳介欠損で12級4号となり、外貌醜状で「外貌に著しい醜状を残すもの」として後遺障害7級12号が認定される場合、耳介欠損の12級4号よりも上位の外貌醜状の7級12号が優先されます。同様に、鼻の欠損が後遺障害等級9級5号に該当する一方で、「外貌の醜状」としても後遺障害に該当し後遺障害7級12号が認定される場合、鼻の欠損の9級5号よりも上位の外貌醜状の後遺障害7級12号が優先されます。
外貌の醜状障害について
外貌に醜状の後遺症が残った場合の基準
外貌に醜状の後遺症が残った場合に、後遺障害と認定される基準は傷跡が残った部分と大きさによって変わります。外貌とは、頭部、顔面、首のように、上肢と下肢以外で日常的に露出する部分を指します。
- 後遺障害7級12号:頭部・顔面・頸部に著しい醜状を残すもの
- 後遺障害9級16号:頭部・顔面・頸部に相当程度の醜状を残すもの
- 後遺障害12級14号:頭部・顔面・頸部に醜状を残すもの
- 後遺障害14級4号:上肢の露出面にてのひらの大きさの醜い跡を残すもの
- 後遺障害14級5号:下肢の露出面にてのひらの大きさの醜い跡を残すもの
「著しい醜状を残すもの」の基準
後遺障害7級の「著しい醜状を残すもの」とは、以下のいずれかに該当し、人目につく程度のものを指します。
- 頭部:てのひらの大きさ以上の跡が残った、または頭蓋骨がてのひらの大きさ以上欠けた場合
- 顔面部:ニワトリの卵の大きさ以上の跡が残った、または10円玉以上の陥没が生じた場合
- 頚部:てのひらの大きさ以上の跡が残った場合
耳介の欠損により「著しい醜状を残すもの」に該当する場合は、耳介軟骨部の2分の1以上を欠損した場合です。鼻の欠損により「著しい醜状を残すもの」に該当する場合は、鼻軟骨部の全部または大部分を欠損した場合です。
「相当程度の醜状」の基準
9級の「相当程度の醜状を残すもの」とは、原則として長さ5cm以上の傷跡で、人目につく程度のものを指します。特に顔面部においては、長さ5cm以上の傷跡が人目につく程度のものを指します。
外貌における単なる「醜状」の基準
外貌における単なる「醜状」とは、以下のいずれかに該当し、人目につく程度のものを指します。
- 頭部:ニワトリの卵以上の大きさの跡が残った、あるいは頭蓋骨がニワトリの卵の大きさ以上欠けた場合
- 顔面部:10円玉より大きい跡あるいは長さ3cm以上の跡が残った場合
- 頚部:ニワトリの卵の大きさ以上の跡が残った場合
耳介の欠損による「醜状」とは、耳介軟骨部の一部を欠損した場合です。鼻の欠損による「醜状」とは、鼻軟骨部の一部または鼻翼を欠損した場合です。また、顔面神経麻痺で「口のゆがみ」が生じた場合も「醜状」として扱われます。
「てのひらの大きさ」とは
「てのひらの大きさ」とは、指の部分を含まない、手を広げた大きさのことを指します。
上肢・下肢の醜状障害
上肢・下肢に生じる醜状障害の基準
上肢や下肢に醜状の後遺症が残った場合、以下の基準に基づいて後遺障害等級が認定されます。
- 後遺障害14級4号:上肢の露出面にてのひらの大きさの醜い跡を残すもの
- 後遺障害14級5号:下肢の露出面にてのひらの大きさの醜い跡を残すもの
「露出面」とは、上肢については肩関節以下から指先まで、下肢については股関節から足背部までを指します。
外貌醜状に関する男女格差について
以前は、男女によって外貌醜状の等級が異なっていました。しかし、裁判例により、外貌醜状における男女格差は憲法第14条第1項に違反すると判断され、等級が改正されました。
外貌醜状と逸失利益の問題点
外貌醜状の労働能力喪失率は、後遺障害等級によって異なります。後遺障害7級は56%、後遺障害12級は14%、後遺障害14級では5%となります。しかし、醜状障害の場合、保険会社が労働能力喪失率や労働能力期間について争うケースが多くあります。被害者側の弁護士に相談することで、適正な労働能力喪失率や労働能力喪失期間を主張することが重要です。
弁護士に相談するメリット
外貌に醜状障害の後遺症が残る場合、弁護士に相談することで次のようなメリットがあります。
- 適切な賠償金の獲得:弁護士に依頼することで、適切な賠償金を獲得できる可能性が高まります。賠償金が数十万円から数百万円増額することもあります。
- 専門的なアドバイス:交通事故に詳しい弁護士から専門的なアドバイスを受けることができます。
- 無料相談の利用:多くの弁護士事務所では、無料相談を実施しており、無理に依頼を進めることはありません。安心して相談することができます。
まとめ
外貌や上肢・下肢に後遺障害が残った場合、適切な補償を受けるためには専門的な知識が必要です。弁護士法人長瀬総合法律事務所では、交通事故に詳しい弁護士が無料相談を行っており、被害者の方が適切な賠償金を受け取るためのサポートを行っています。ぜひ、外貌に後遺障害が残る場合は、弁護士に相談してみてください。
動画解説の紹介
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