交通事故による上肢・手指の後遺障害について

はじめに

交通事故は突然の出来事であり、被害者に大きな影響を及ぼします。その中でも、上肢(肩、肘、手、指)の後遺障害は日常生活や仕事に多大な支障をきたすことがあります。本記事では、上肢の構造、後遺障害等級の種類と基準、具体的な後遺障害例、そして弁護士に相談するメリットについて詳しく解説します。

上肢の基本構造

上肢とは?

上肢は肩、肘、手、指を含む部分を指します。具体的には、上腕、前腕、手から構成されます。

  • 上腕:肘よりも上の部分で、上腕骨が含まれます。上腕骨は肩から肘まで伸びる長い骨で、腕の主な支持構造です。
  • 前腕:肘から手首までの部分で、尺骨と橈骨が含まれます。尺骨は前腕の内側にあり、橈骨は外側に位置します。この二つの骨が手首の動きを支えます。
  • :手首から指先までの部分で、5本の指、手の平、手の甲で構成されます。手は非常に複雑な構造を持ち、精密な動きを可能にしています。

上肢の後遺障害等級

後遺障害等級とは?

後遺障害等級は、交通事故などで負った障害の重さを評価し、賠償額を決定するための基準です。上肢の後遺障害等級は1級から14級まであります。それぞれの等級は、障害の重さや日常生活への影響度に応じて設定されています。

  • 1級:両上肢を肘関節以上で失った場合
  • 2級:両上肢を手関節以上で失った場合
  • 3級:両手の手指の全部を失った場合
  • 4級:1上肢を肘関節以上で失った場合
  • 5級:1上肢を手関節以上で失った場合
  • 6級:1手の5の手指または母指を含み4の手指を失った場合
  • 7級:1手の母指を含み3の手指または母指以外の4の手指を失った場合
  • 8級:1手の母指を含み2の手指または母指以外の3の手指を失った場合
  • 9級:1手の母指または母指以外の2の手指を失った場合
  • 10級:1手の母指または母指以外の2の手指の用を廃したもの
  • 11級:1手の人差し指、中指または薬指を失ったもの
  • 12級:1手の小指を失ったもの
  • 13級:1手の母指の指骨の一部を失ったもの
  • 14級:1手の母指以外の手指の指骨の一部を失ったもの

上肢の後遺障害の種類

上肢の後遺障害には、大きく分けて欠損障害、機能障害、変形障害の3つの種類があります。

1.欠損障害

欠損障害とは、上肢の一部が失われた状態を指します。例えば、手や指の一部または全部を失った場合がこれに該当します。具体的な例としては、以下のものがあります。

  • 両手の手指の全部を失った場合:これに該当する場合、日常生活におけるほとんどの作業が困難になります。例えば、食事、書字、物の持ち運びなど基本的な行動が制限されます。
  • 1手の5の手指を失った場合:この場合、片手の全ての指を失った状態であり、手の機能が著しく低下します。

2.機能障害

機能障害とは、上肢の動きや力が著しく低下した状態を指します。これは、関節や筋肉、神経の損傷によって引き起こされます。具体的には以下のようなケースがあります。

  • 両上肢の用を全廃したもの:両腕の主要な関節(肩、肘、手首)がすべて機能しなくなった状態です。この場合、腕を使った全ての動作が不可能になります。
  • 1上肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの:片腕の3つの主要な関節のうち2つが機能しなくなった状態です。この場合も、日常生活での動作に大きな支障をきたします。

3.変形障害

変形障害とは、上肢の骨や関節が正常な形状を保てない状態を指します。骨折が治癒せずに偽関節を形成した場合や、骨が不適切に癒合した場合がこれに該当します。

  • 1上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの:上肢の骨が癒合せずに偽関節を形成し、これが原因で著しい運動障害が残った状態です。
  • 長管骨に変形を残すもの:上肢の長い骨(上腕骨、橈骨、尺骨)が不適切に癒合し、正常な形状を保てない状態です。

欠損障害の基準

欠損障害の認定基準としては、以下のような具体的な状態が含まれます。

  • 肩関節での離断:肩甲骨と上腕骨が離断された場合、これに該当します。肩関節は非常に重要な関節であり、これが失われると腕の全体的な機能が著しく低下します。
  • 肘関節での離断:上腕骨と橈骨および尺骨が肘関節で離断された場合、これも欠損障害に該当します。この場合、前腕の動きが完全に失われます。

具体的な例として、上肢を肘関節以上で失った場合や、手関節以上で失った場合が含まれます。

機能障害の基準

機能障害の認定基準には、関節が強直している場合や完全に麻痺している場合が含まれます。これらの状態は、関節の動きが失われたり、非常に制限されたりすることを意味します。

  • 関節の強直:関節が完全に動かなくなった状態を指します。肩関節、肘関節、手関節のいずれかがこの状態になった場合、その腕の機能は著しく制限されます。
  • 弛緩性麻痺:関節が完全に緩んでしまい、自動運動がほぼ不可能になった状態です。これも重大な機能障害に該当します。

また、人工関節や人工骨頭を関節に挿入置換した場合も、可動域が制限されている場合には機能障害として認定されます。

変形障害の基準

変形障害の認定基準には、骨が不適切に癒合している場合や、偽関節を形成している場合が含まれます。

  • 上腕骨の骨幹部に癒合不全を残すもの:上腕骨が適切に癒合せずに偽関節を形成し、これが原因で運動障害が残った場合が該当します。
  • 橈骨および尺骨の骨幹部に癒合不全を残すもの:両方の骨が適切に癒合せずに偽関節を形成し、運動障害が残った場合が該当します。

その他にも、長管骨に変形を残すものとして、外部から15度以上屈曲して不正癒合した場合や、骨の直径が減少した場合などが含まれます。

具体的な後遺障害例

以下に、具体的な後遺障害の例をいくつか挙げます。

1.肩関節の用廃

肩関節の用廃とは、肩関節が完全に動かなくなった状態を指します。これにより、腕を上げたり、後ろに回したりする動作が不可能になります。この状態になると、衣服を着替えたり、髪を整えたりする日常動作が大きく制限されます。

2.肘関節の強直

肘関節の強直とは、肘関節が完全に動かなくなった状態を指します。この状態では、物を持ち上げたり、押したりする動作ができなくなります。特に、仕事で腕を多用する場合には大きな影響があります。

3.手指の欠損

手指の欠損とは、手や指の一部または全部を失った状態を指します。例えば、親指を失った場合、物をつかむことが非常に難しくなります。また、複数の指を失った場合、日常的な動作や仕事において大きな支障をきたします。

弁護士に相談するメリット

交通事故で上肢に後遺障害が残ると、適切な賠償を受けるためには専門的な知識が必要です。弁護士法人長瀬総合法律事務所に相談することで、以下のメリットがあります。

1.賠償金の増額

弁護士に依頼することで、加害者側から受け取る賠償金が増える可能性があります。交通事故の被害者は、後遺障害等級に基づいて賠償金を請求しますが、その過程で弁護士が介入することで、正当な評価を受けやすくなります。

2.専門的なサポート

後遺障害等級の認定をサポートし、適切な証拠を集めることで、正当な評価を受けることができます。弁護士は、医師との連携や証拠の収集など、被害者が適切な賠償を受けるための支援を行います。

3.無料相談

弁護士法人長瀬総合法律事務所では、無料相談を行っており、無理に依頼をすすめることはありません。安心して相談できます。無料相談では、現在の状況や今後の見通しについてアドバイスを受けることができ、依頼を考える際の参考になります。

まとめ

交通事故による上肢・手指の後遺障害は、日常生活や仕事に大きな影響を与えることがあります。適切な賠償を受けるためには、専門的な知識を持つ弁護士のサポートが必要です。弁護士法人長瀬総合法律事務所では、無料相談を行っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

弁護士法人長瀬総合法律事務所は、交通事故に関する豊富な経験と実績を持っています。皆様のお悩みを解決するために、全力でサポートいたします。

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