事故の結果、後遺障害が残った場合、症状の度合いによって後遺障害等級が認定されます。後遺障害等級は1級から14級までに分類されます。
それぞれの等級によって認定される後遺障害慰謝料や労働能力喪失率は大きく異なります。以下では、各等級の内容についてご説明します。
後遺障害等級1級
後遺障害等級1級の例
以下のいずれかに該当する場合を言います。
- 両目が失明したもの
- 咀嚼及び言語の機能を廃したもの
- 両上肢をひじ関節以上で失ったもの
- 両上肢の用を全廃したもの
- 両下肢をひざ関節以上で失ったもの
- 両下肢の用を全廃したもの
後遺障害慰謝料
いわゆる裁判基準では、2800万円とされます。なお、1級、2級等の重度後遺障害の場合、被害者本人だけではなく、さらに近親者にも別途慰謝料請求権が認められます。
労働能力喪失率
1級の場合、労働能力喪失率は100%とされています。
後遺障害等級2級
後遺障害等級2級の例
以下のいずれかに該当する場合を言います。
- 1眼が失明し、他眼の視力が0.02以下になったもの
- 両眼の視力が0.02以下になったもの
- 両上肢を手関節以上で失ったもの
- 両下肢を足関節以上で失ったもの
後遺障害慰謝料
いわゆる裁判基準では、2370万円とされます。なお、1級、2級等の重度後遺障害の場合、被害者本人だけではなく、さらに近親者にも別途慰謝料請求権が認められます。
労働能力喪失率
2級の場合、労働能力喪失率は100%とされています。
後遺障害等級3級
後遺障害等級3級の例
以下のいずれかに該当する場合を言います。
- 1眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になったもの
- 咀嚼又は言語の機能を廃したもの
- 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
- 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
- 両手の手指の全部を失ったもの
後遺障害慰謝料
いわゆる裁判基準では、1990万円とされます。
労働能力喪失率
3級の場合、労働能力喪失率は100%とされています。
後遺障害等級4級
後遺障害等級4級の例
以下のいずれかに該当する場合を言います。
- 両眼の視力が0.06以下になったもの
- 咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの
- 両耳の聴力を全く失ったもの
- 1上肢をひじ関節以上で失ったもの
- 1下肢をひざ関節以上で失ったもの
- 両手の手指の全部の用を廃したもの
- 両足をリスフラン関節以上で失ったもの
後遺障害慰謝料
いわゆる裁判基準では、1670万円とされます。
労働能力喪失率
4級の場合、労働能力喪失率は92%とされています。
後遺障害等級5級
後遺障害等級5級の例
以下のいずれかに該当する場合を言います。
- 1眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になったもの
- 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
- 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
- 1上肢を手関節以上で失ったもの
- 1下肢を足関節以上で失ったもの
- 1上肢の用を全廃したもの
- 1下肢の用を全廃したもの
- 両足の足指の全部を失ったもの
後遺障害慰謝料
いわゆる裁判基準では、1400万円とされます。
労働能力喪失率
5級の場合、労働能力喪失率は79%とされています。
後遺障害等級6級
後遺障害等級6級の例
以下のいずれかに該当する場合を言います。
- 両眼の視力が0.1以下になったもの
- 咀嚼又は言語の機能に著しい障害を残すもの
- 両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの
- 1耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
- 脊柱に著しい変形又は運動障害を残すもの
- 1上肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの
- 1下肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの
- 1手の5の手指又はおや指を含み4の手指を失ったもの
後遺障害慰謝料
いわゆる裁判基準では、1180万円とされます。
労働能力喪失率
6級の場合、労働能力喪失率は67%とされています。
後遺障害等級7級
後遺障害等級7級の例
以下のいずれかに該当する場合を言います。
- 1眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になったもの
- 両耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
- 1耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
- 神経系統の機能または精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
- 胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
- 1手のおや指を含み3の手指を失ったもの又はおや指以外の4の手指を失ったもの
- 1手の5の手指又はおや指を含み4の手指の用を廃したもの
- 1足をリスフラン関節以上で失ったもの
- 1上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
- 1下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
- 両足の足指の全部の用を廃したもの
- 女子の外貌に著しい醜状を残すもの
- 両側の睾丸を失ったもの
後遺障害慰謝料
いわゆる裁判基準では、1000万円とされます。
労働能力喪失率
7級の場合、労働能力喪失率は56%とされています。
後遺障害等級8級
後遺障害等級8級の例
以下のいずれかに該当する場合を言います。
- 1眼が失明し、又は1眼の視力が0.02以下になったもの
- 脊柱に運動障害を残すもの
- 1手のおや指を含み2の手指を失ったもの又はおや指以外の3の手指を失ったもの
- 1手のおや指を含み3の手指の用を廃したもの又はおや指以外の4の手指の用を廃したもの
- 1下肢を5センチメートル以上短縮したもの
- 1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの
- 1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの
- 1上肢に偽関節を残すもの
- 1下肢に偽関節を残すもの
- 1足の足指の全部を失ったもの
後遺障害慰謝料
いわゆる裁判基準では、830万円とされます。
労働能力喪失率
8級の場合、労働能力喪失率は45%とされています。
後遺障害等級9級
後遺障害等級9級の例
以下のいずれかに該当する場合を言います。
- 両眼の視力が0.06以下になったもの
- 1眼の視力が0.06以下になったもの
- 両目に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの
- 両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
- 鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの
- 咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの
- 両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
- 1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの
- 1耳の聴力を全く失ったもの
- 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができるロぷ無我相当な程度に制限されるもの
- 胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
- 1手のおや指又はおや指以外の2の手指を失ったもの
- 1手のおや指を含み2の手指の用を廃したもの又はおや指以外の3の手指の用を廃したもの
- 1足の第1の足指を含み2以上の足指を失ったもの
- 1足の足指の全部の用を廃したもの
- 生殖器に著しい障害を残すもの
後遺障害慰謝料
いわゆる裁判基準では、690万円とされます。
労働能力喪失率
9級の場合、労働能力喪失率は35%とされています。
後遺障害等級10級
後遺障害等級10級の例
以下のいずれかに該当する場合を言います。
- 1眼の視力が0.1以下になったもの
- 正面を見た場合に複視の症状を残すもの
- 咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの
- 14歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
- 両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの
- 1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの
- 1手のおや指又はおや指以外の2の手指の用を廃したもの
- 1下肢を3センチメートル以上短縮したもの
- 1足の第1の足指又は他の4の足指を失ったもの
- 1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
- 1下肢の3第関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
後遺障害慰謝料
いわゆる裁判基準では、550万円とされます。
労働能力喪失率
10級の場合、労働能力喪失率は67%とされています。
後遺障害等級11級
後遺障害等級11級の例
以下のいずれかに該当する場合を言います。
- 両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
- 両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
- 1眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
- 10歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
- 両耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの
- 1耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することが」できない程度になったもの
- 脊柱に変形を残すもの
- 1手のひとさし指、なか指又はくすり指を失ったもの
- 1足の第1の足指を含み2以上の足指の用を廃したもの
- 胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの
後遺障害慰謝料
いわゆる裁判基準では、420万円とされます。
労働能力喪失率
11級の場合、労働能力喪失率は20%とされています。
後遺障害等級12級
後遺障害等級12級の例
以下のいずれかに該当する場合を言います。
- 1眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
- 1眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
- 7歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
- 1耳の耳殻の大部分を欠損したもの
- 鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの
- 1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
- 1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
- 長管骨に変形を残すもの
- 1手のこ指を失ったもの
- 1手のひとさし指、なか指又はくすり指の用を廃したもの
- 1足の第2の足指を失ったもの、第2の足指を含み2の足指を失ったもの又は第3の足指以下の3の足指を失ったもの
- 1足の第1の足指又は他の4の足指の用を廃したもの
- 局部に頑固な神経症状を残すもの
- 男子の外貌に著しい醜状を残すもの
- 女子の外貌に醜状を示すもの
後遺障害慰謝料
いわゆる裁判基準では、290万円とされます。
労働能力喪失率
12級の場合、労働能力喪失率は14%とされています。
後遺障害等級13級
後遺障害等級13級の例
以下のいずれかに該当する場合を言います。
- 1眼の視力が0.6以下になったもの
- 正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの
- 1眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの
- 両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
- 5歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
- 1手のこ指の用を廃したもの
- 1手のおや指の指骨の一部を失ったもの
- 1下肢を1センチメートル以上短縮したもの
- 1足の第3の足指以下の1又は2の足指を失ったもの
- 1足の第2の足指の用を廃したもの、第2の足指を服に2の足指の用を廃したもの又は第3の足指以下の3の足指の用を廃したもの
- 胸腹部臓器の機能に障害を残すもの
後遺障害慰謝料
いわゆる裁判基準では、180万円とされます。
労働能力喪失率
13級の場合、労働能力喪失率は9%とされています。
後遺障害等級14級
後遺障害等級14級の例
以下のいずれかに該当する場合を言います。
- 1眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
- 3歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
- 1耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの
- 上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
- 下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
- 1手のおや指以外の手指の指骨の一部を失ったもの
- 1手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの
- 1足の第3の足指以下の1または2の足指の用を廃したもの
- 局部に神経症状を残すもの
- 男子の外貌に醜状を残すもの
後遺障害慰謝料
いわゆる裁判基準では、110万円とされます。
労働能力喪失率
14級の場合、労働能力喪失率は5%とされています。