3 診断書記載事項のポイント
交通事故被害に遭われた場合、症状固定日がいつになるのか,また後遺障害等級が認定されるかどうかは,診断書の記載内容によって判断されることになります。
したがって,診断書にはどのような事項を記載してもらうのかが重要といえます。
以下では,診断書の記載事項に関する注意事項を記載いたします。
【後遺障害診断書書式】
【既存障害】
既存障害の有無は,自賠責保険における後遺障害等級の認定にあたり,加重障害扱いになるのかどうかにも影響することがあります。
また,既存障害が認められる場合には,素因減額事由になったり,通院治療期間が長期になった場合に交通事故との因果関係が否定される理由になったりすることがあります。
このように,既存障害の有無は,後遺障害等級や損害額の減額事由にも影響する可能性があるため,正確に記載されているかどうかをチェックする必要があります。
【自覚症状】
自覚症状蘭には,被害者本人の症状をできる限り正確に記載してもらうようにしましょう。
なお,頚椎捻挫後の頭痛や頚部痛に悩まされている方の中には,気圧が変化したり,雨天時に特に痛みがひどくなると訴える方も少なくありません。
この場合,「雨天時に痛み」と自覚症状を記載されてしまうと,常時痛みがあるにもかかわらず,あたかも「雨天時に限って痛みがある」かのように誤解されかねませんので,表現には注意しましょう。
【精神・神経の障害 他覚症状及び検査結果】
「精神・神経の障害 他覚症状及び検査結果」蘭には,実際に受けた検査結果を正確に記載してもらうようにしましょう。
頚椎捻挫・腰椎捻挫等による神経症状がみられる場合には,握力テストやMMTテスト,スパーリングテスト等,各種神経テストの結果をできる限り多くあげてもらうようにしましょう。
神経症状テストの結果が記載していなければ,神経症状に異常があったとしても見落とされてしまうおそれがありますので,必ず実施してもらった上で検査結果を追記するようにしましょう。
【障害内容の増悪・寛解の見通しなど】
症状固定以降も後遺障害が残存するかどうかについて,担当医の意見を記載していただくことになります。
初診時から終診時までの間の症状の推移を踏まえ,症状固定以降に予想される症状を記載してもらう必要があります。