はじめに
交通事故で車両が損傷を受けた場合、その修理費用はもちろん、修理後も車の価値が下がってしまうことがあります。この「格落ち損(かくおちそん)」は、事故車両の価値の低下分を指し、通常の修理費用に加えて賠償を求めることができます。しかし、その算定方法や賠償が認められるかどうかについては、明確な基準が存在しないため、被害者にとって悩ましい問題となります。
本記事では、格落ち損とは何か、賠償請求の可否、損害額の算定方法、裁判例、さらに弁護士に相談するメリットについて解説します。
Q1:格落ち損とはどのような損害ですか?
格落ち損とは、交通事故によって損傷を受けた車両が修理された場合でも、事故前の状態と比べて市場価値が下がってしまうことによる損害を指します。修理によって元の状態に戻すことができない、あるいは「事故歴」があるために市場価値が下落してしまうため、事故の前と後の価値の差額が賠償請求の対象となります。
Q2:格落ち損は賠償されるのですか?
格落ち損が賠償されるかどうかについては、裁判所の判断も分かれており、明確な基準が存在しません。裁判例では以下の要素を考慮して、賠償の可否が判断されることが多いです。
- 初年度登録からの期間
新車登録からの期間が短いほど、格落ち損が認められやすい傾向があります。 - 走行距離
走行距離が少ない車両ほど、価値の下落が認められやすいです。 - 損傷箇所
フレームなど、重大な損傷箇所がある場合、事故歴として市場価値が大きく下がるため、賠償される可能性が高まります。 - 事故車両の人気
市場価値がもともと高い車種(外国車や人気の国産車)ほど、格落ち損が認められやすいです。
Q3:格落ち損の損害額はどのように算定されますか?
格落ち損の損害額の算定方法についても、裁判所での判断基準は統一されていませんが、主に以下の方法が用いられます。
- 事故前の車両時価から修理後の価値を差し引いたもの
- 修理費用の一定割合を適用する方法
- 財団法人日本自動車査定協会による査定証明書に基づく計算
裁判では、修理費の一定割合や修理による市場価値の低下を総合的に判断して、損害額を算定することが多い傾向にあります。
Q4:格落ち損についての裁判例はありますか?
格落ち損に関する裁判例では、事故による市場価値の下落が認められるケースと認められないケースが存在します。
格落ち損が認められた例
神戸地裁平成2年1月26日の判決では、購入3年後、走行距離約4万6000kmのベンツについて、格落ち損として35万円が認められました。
弁護士に依頼するメリット
交通事故における格落ち損は、専門的な判断が求められるため、弁護士に依頼することをお勧めします。
1.保険会社との交渉がスムーズに進む
保険会社は、被害者自身では格落ち損を認めず、支払いに応じないことが多いため、弁護士が交渉することで、示談の段階でも賠償額の増額が期待できます。
2.裁判例に基づいた適切な主張が可能
弁護士は、格落ち損が認められた類似の裁判例をもとに、保険会社や裁判所に対して効果的な主張を行います。
3.訴訟やADRの利用による解決の可能性
示談で合意が得られない場合、弁護士は訴訟やADRを通じて格落ち損の賠償を求めることができます。
まとめ
格落ち損は、交通事故後の損害賠償請求の中でも判断が難しく、保険会社との交渉が難航することが多い損害項目です。そのため、まずは専門家である弁護士に相談し、今後の対応を検討されることをお勧めします。
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