幼児の逸失利益算定上の留意点

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はじめに

交通事故の被害者が幼児である場合、その後遺障害によって将来的な収入が減少する可能性があります。この「逸失利益」をどのように算定するのかは、被害者の権利を守る上で非常に重要です。

しかし、幼児はまだ働いておらず、将来どのような職業につくかも不確定なため、その計算には独特の留意点があります。本稿では、逸失利益の基本的な考え方や幼児の場合の算定方法、また注意すべきポイントについて解説します。

Q&A

Q1:逸失利益とは何ですか?

逸失利益とは、交通事故の後遺障害によって被害者が将来得られるはずだった収入が失われる場合、その金額を損害賠償として請求するものです。

Q2:なぜ幼児にも逸失利益が認められるのですか?

幼児はまだ収入を得ていませんが、成長して将来労働収入を得る可能性があるためです。後遺障害が残ることで、その収入が減少するリスクがあるとみなされます。

Q3:幼児の場合、どのように算定されますか?

幼児の将来の収入は「賃金センサス」のデータを基に仮定的に計算されます。これについては後述します。

逸失利益とは

逸失利益は、交通事故の被害者が後遺障害によって将来的に得られたはずの収入を損害として計算するものです。算定には以下の計算式を用います。

基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

  • 基礎収入
    通常は事故前の収入が基準となりますが、幼児の場合は賃金センサスを利用します。
  • 労働能力喪失率
    後遺障害の等級によって定められた割合です。
  • 労働能力喪失期間
    就労可能年齢から死亡時までの期間が基準です。

交通事故被害者が幼児の場合の逸失利益の算定方法

賃金センサスを基にした算定

幼児はまだ働いていないため、基礎収入として実際の収入を用いることができません。その代わり、厚生労働省が発表している「賃金センサス」のデータを用います。このデータには、産業や学歴、性別ごとに分類された全年齢平均賃金が記載されています。

学歴別の取り扱い

幼児の場合、将来の学歴が不確定であるため、一般的には「全学歴計」の平均賃金が基礎収入として採用されます。ただし、大学進学の可能性が高いと認められる場合は、「大卒者の平均賃金」が基礎収入とされる場合もあります。

幼児の男女差はあるのか

男女差の現状

賃金センサスのデータでは、男性の平均賃金が女性よりも高い傾向があります。これは、社会構造や性別役割分担の影響が反映されているためです。

幼児における特別な配慮

男女平等が求められる現代社会では、幼児の将来を性別に基づいて不当に評価するべきではないと考えられています。そのため、女子幼児の場合でも「女性労働者の平均賃金」ではなく、「全労働者(男女含む)の平均賃金」を基礎収入とすることが推奨されるケースがあります。

弁護士に相談するメリット

複雑な計算をプロに任せられる

逸失利益の算定は、賃金センサスの解釈や後遺障害等級、ライプニッツ係数など、専門知識を必要とします。弁護士に依頼することで、これらの複雑な手続きを正確に行うことができます。

公平な金額の算定をサポート

特に幼児の場合、将来の収入や学歴などが不確定なため、適切な金額を算定するには経験が重要です。交通事故の専門弁護士であれば、適切かつ公平な金額を主張するためのサポートを受けられます。

保険会社との交渉を代行

保険会社との交渉は時間や精神的な負担が大きいものです。弁護士に相談することで、これらの負担を軽減し、適切な賠償金を得る可能性が高まります。

まとめ

幼児が交通事故に遭い、後遺障害が残ってしまった場合でも、逸失利益を適切に算定することは重要です。賃金センサスを用いた基礎収入の算出や、男女差を考慮した公平な取り扱いが求められます。

また、専門的な知識を必要とするこの分野では、交通事故の経験豊富な弁護士に相談することが有効です。お子さんの将来を守るためにも、正確で適切な算定と対応を心がけましょう。

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