はじめに
交通事故後、見落とされがちな障害の一つに「キーンベック病」があります。
この病気は月状骨が壊死し、痛みや手首の機能障害を引き起こす疾患です。交通事故による外傷がきっかけで発症することもあり、後遺障害として認定されるケースもあります。適切な後遺障害等級の認定を受けるには、病気の特性を理解し、主張と立証をしっかり行うことが重要です。
この記事では、キーンベック病に関する基本情報、想定される後遺障害等級、そして主張立証のポイントを解説します。
Q&A
Q1. キーンベック病とはどのような病気ですか?
キーンベック病は、手首にある月状骨が血流障害により壊死し、つぶれてしまう病気です。正式には「月状骨軟化症」とも呼ばれ、手首を頻繁に使う仕事や振動工具の使用が多い人に多く発症しますが、交通事故が原因で発症することもあります。
Q2. 交通事故との関係は?
直接的な原因ではないものの、交通事故による骨折や脱臼が月状骨に負担をかけることで、二次的に発症することがあります。事故直後に症状が現れず、時間が経ってから痛みや腫れが生じるケースも少なくありません。
Q3. キーンベック病が疑われる症状は?
- 手首の痛みや腫れ
- 握力の低下
- 手首の可動域制限
- 手の甲の中央部に痛み(圧痛)
これらの症状がある場合は、早急に医師の診察を受けることをおすすめします。
キーンベック病とは
キーンベック病は、交通事故後の外傷だけでなく、日常的な手首の酷使でも発症する病気です。月状骨は血流が乏しいため、一度壊死が進行すると自然治癒は困難で、痛みや運動障害が長期化する恐れがあります。
主な原因
- 血流障害
- 骨折や脱臼による月状骨への圧力増加
- 月状骨の不顕性骨折(診断が難しい微細な骨折)
診断には、レントゲンやMRIが用いられます。早期に適切な治療を受けることで進行を抑えられる場合もあります。
想定される後遺障害等級
キーンベック病が進行し、手首の機能障害が残った場合、次の後遺障害等級に該当する可能性があります。
第8級6号:手関節の用廃
手首の機能がほぼ失われ、日常生活や労働に大きな支障がある場合。
第10級10号:手関節の著しい障害
可動域が極端に狭まり、日常動作に大きな制限がある場合。
第12級6号:手関節の機能障害
可動域が制限されるものの、日常生活に部分的な支障をきたす場合。
適切な等級の認定を受けるには、症状の程度を医学的に証明することが必要です。
適切な後遺障害等級が認定されるための主張立証のポイント
1. 医師の診断書と検査結果
キーンベック病の診断には、レントゲンやMRIの画像が不可欠です。画像で確認できる月状骨の変形や壊死の程度が重要な証拠となります。
2. 症状固定後の状態を明確にする
症状固定とは、治療を続けても症状がこれ以上改善しない状態のことです。この時点での痛みや可動域制限が、後遺障害等級を決定する基準となります。
3. 日常生活への影響を詳細に記録
手首の機能障害が、家事や仕事、趣味にどのような影響を及ぼしているかを具体的に説明します。日記形式で日々の不便を記録することも有効です。
4. 医学的な専門家の意見を取り入れる
整形外科の専門医による意見書を取得すると、後遺障害の認定に向けて信頼性の高い証拠となります。
5. 弁護士を通じた交渉
保険会社が適切な認定に消極的な場合、弁護士の支援を受けて主張を補強することが重要です。
弁護士に相談するメリット
交通事故によるキーンベック病で後遺障害等級認定を目指す際、弁護士に相談することで次のようなメリットがあります。
- 適切な認定に向けたサポート
医学的証拠の収集や、症状の主張を専門的にサポートします。 - 損害賠償請求の適正化
後遺障害に基づき、慰謝料や逸失利益の適切な請求を代行します。 - 保険会社との交渉を代行
専門知識を活かし、保険会社と有利に交渉を進めます。
まとめ
交通事故が原因で発症するキーンベック病は、進行すれば日常生活や労働に大きな影響を及ぼします。適切な後遺障害等級を認定してもらうためには、医師による診断書や画像検査、日常生活への影響を明確に示すことが重要です。
弁護士法人長瀬総合法律事務所は、交通事故による後遺障害認定の実績が豊富です。キーンベック病にお悩みの方は、ぜひ当事務所にご相談ください。専門知識を駆使して、あなたの権利を守るサポートをいたします。
関連動画動画の紹介
交通事故についてさらに詳しく知りたい方のために、当事務所では交通事故後の対応に役立つ解説動画を配信しています。ご興味がある方はぜひご視聴及びチャンネル登録をご検討ください。
初回無料|お問い合わせはお気軽に
その他のコラムはこちら