はじめに
交通事故でケガを負った被害者が受け取る慰謝料は、治療期間の長さ、通院日数、後遺障害の有無や等級などで大きく変わります。しかし、保険会社が最初に提示してくる慰謝料の金額は、裁判所基準よりも低いことがほとんどです。実際に交渉を重ねるなかで、具体的な根拠を示して増額を求めることができなければ、被害者は本来受け取れるはずの正当な賠償を逃してしまう可能性があります。
本稿では、慰謝料の増額交渉を行う際に特に注意すべきポイントを整理します。たとえば、適切な治療・通院の継続や後遺障害認定手続きの進め方、客観的証拠の確保など、意識しておくことで大きく示談金が変わる重要事項を解説します。保険会社との交渉で損をしないためにも、以下の内容を参考にしてみてください。
Q&A
Q1:保険会社が提示してくる慰謝料が低く感じるのですが、増額を交渉できるのでしょうか?
はい、交渉できます。保険会社が独自の任意保険基準で低額を提示する場合は多く、裁判所基準をもとに正当な理由を示すことで、増額に応じてもらえる可能性があります。
Q2:通院日数や通院頻度は慰謝料にどう影響しますか?
通院期間が長いほど、日常生活や仕事への影響も大きいと判断され、結果として慰謝料が高額になりやすいです。ただし、単に長期間通っていただけでなく、医師の指示に従った適切な通院である必要があります。
Q3:後遺障害が認定されると、どのように慰謝料が増えるのですか?
後遺障害等級に応じた「後遺障害慰謝料」が追加で認められます。たとえば14級でも数十万円ほどの上乗せが期待でき、1級であれば数千万円に至る場合もあります。後遺障害の認定があるかないかで大きな差が生じます。
Q4:通院日数が少なくても増額できる方法はありますか?
通院日数が少ないと慰謝料は抑えられがちですが、医師の診断書やMRI・CTなどの画像所見で症状の重さを立証できれば増額の余地があります。また、自宅療養が必要だった事情を詳細に伝えるなど、通院日数以外の要素で苦痛を証明する方法があります。
Q5:保険会社が「治療費を打ち切る」と言ってきましたが、通院を続けたい場合はどうすればいいですか?
医師が「まだ治療の継続が必要」と判断しているなら、その旨を保険会社に伝え交渉します。弁護士が代理で交渉することで、保険会社の一方的な打ち切りを抑えられる場合があります。結果的に通院日数が増え、慰謝料も上積みされる可能性があります。
Q6:後遺障害認定のために何かすべきことはありますか?
主治医や専門医に適切な診断書、後遺障害診断書を作成してもらうことが非常に重要です。MRIなどの客観的検査データ、神経学的テスト結果、通院経過などをしっかり整備し、後遺障害を認める証拠を提出しましょう。
解説
慰謝料増額交渉のポイント
- 通院期間・通院頻度の確保
- 医師の指示に従い、きちんと通院する。症状があるのに自己判断で通院をサボると、保険会社に「軽症」とみなされやすい。
- 通院間隔が開きすぎると治療の一貫性が否定され、痛みや症状を過小評価されがち。
- 後遺障害の正確な認定
- 14級であっても、認定されるか否かで百万円以上の差が出ることが多い。
- 医師と相談し、症状固定の時期や必要な画像検査を適切に受ける。後遺障害診断書の書き方がカギ。
- 客観証拠の確保
- MRI・CT・レントゲンなどの画像検査結果、神経学的テストの陽性所見など、痛みを裏付ける客観データが重要。
- 通院日数だけでなく、日常生活の不便(家事ができなくなった、仕事に支障が出たなど)を詳細に記録し、交渉材料にする。
- 弁護士を通じた増額交渉
- 保険会社の担当者は「任意保険基準」を基に低めの金額を提示する。弁護士が裁判所基準で交渉することで、大幅増額につながるケースが多い。
- 過失割合や治療費打ち切りの問題にも専門的に対応可能。
通院日数・通院期間
- 実通院日数 vs. 計算上の通院期間
- 保険会社は「実通院日数×α」で入通院期間を計算し、慰謝料を算出するケースもある。
- しかし、弁護士介入で「診断書から見ても、実際はこれだけの治療が必要だった」と主張すれば、通院の必要性を認めさせやすい。
- 「治療費打ち切り」との関連
- 保険会社が「これ以上の治療は不要」と判断すると、通院費を支払わなくなる。
- 継続治療が必要なら、医師の意見書などを用いて交渉し、実際の痛みや改善の余地を示す。
後遺障害の有無・等級
- 有無で数十万~数千万円の差
- たとえば14級の認定がされるか否かだけで、100万円前後の追加が見込める場合もあり、不認定だと0円。
- 1級・2級であれば何千万円もの慰謝料差がつく。
- 異議申立や専門医の意見書
- 保険会社の審査で不認定となった場合でも、追加の医証を提出して異議申立が可能。
- 弁護士のサポートを受け、適切な検査や専門医の診断を得ることで再審査を求め、認定結果を覆すこともある。
弁護士に相談するメリット
- 裁判所基準を駆使した増額交渉
被害者個人が「裁判所基準」を主張しても、保険会社はあまり取り合わないが、弁護士が正式に主張すると態度が変わることが少なくない。 - 後遺障害認定サポート
病院選び、医師との連携、検査データの確保などを弁護士がアドバイスし、誤った等級認定を避ける。 - 打ち切り対応・過失割合交渉
通院打ち切りや過失割合の押し付けで慰謝料を減らそうとする保険会社の手口に対抗し、被害者の正当な主張を通す。 - 精神的負担の軽減
事故の痛み・治療・仕事との両立で苦しむ被害者が、複雑な交渉をするのは大きな負担。弁護士が全般を担うことで安心。 - 弁護士費用特約の活用
自動車保険の特約があれば、費用負担を心配せず依頼しやすい。
まとめ
慰謝料の増額交渉においては、通院期間の長さや通院頻度、後遺障害認定の有無が大きな影響を及ぼします。保険会社の初回提示が低いと感じる場合、裁判所基準との比較や後遺障害の有無を慎重に検討することが大切です。
- 通院期間:しっかり治療に専念し、医師の指示で通院を継続
- 後遺障害:認定されるか否かで数十万~数千万円の差
- 客観的証拠の確保:MRI・CT、神経学的所見、医師の意見など
- 弁護士のサポート:裁判所基準で交渉し、慰謝料を大幅に増額可能
弁護士法人長瀬総合法律事務所では、通院や後遺障害認定で損をしないためのアドバイスとともに、保険会社との増額交渉を一括して引き受けております。もし提示額が低すぎると感じたり、後遺障害認定で疑問がある場合は、まずは一度ご相談ください。
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