はじめに
交通事故で後遺障害14級が認められるケースは非常に多く、「むちうち」や「しびれ」など自覚症状が中心の比較的軽度な障害に対して割り振られる等級です。しかし、14級といっても、認定されるか否かで示談金・裁判所基準が数十万円以上変わることが珍しくありません。不認定だとゼロ円、14級が認定されるとそれなりの慰謝料が上乗せされることになるため、実務上も重要な等級といえます。
本項では、14級後遺障害が認められた判例を通じて、「どのような検査や治療を行えば14級が認定されやすいか」「示談交渉や裁判でどんな要素を強調するか」などのポイントを解説します。保険会社が「大したことない痛み」として不認定を主張してくることも多いですが、適切な医証や通院実績を整備することで14級認定を勝ち取り、示談金を大幅に増やせる可能性があります。
Q&A
Q1:後遺障害14級は「軽度」と聞きますが、それでも認定されると示談金にどれくらい差が出るのですか?
裁判所基準(赤い本)では、14級後遺障害慰謝料が110万円前後とされます。また、逸失利益も加算請求することができます。非該当(0円)との間には大きな差があるため、14級の認定を得るだけでも数十万円から数百万円以上の増額が期待できます。
Q2:むちうちで14級が認定されるには何が重要ですか?
医師の診察やMRI・CTなどの検査結果が一定の説得力を持ち、症状の一貫性を示す必要があります。また、整形外科への通院を怠らず、リハビリ記録などを重ねることで「症状が残っている」ことを客観的に裏づけるのがポイントです。
Q3:通院期間が短いと14級が認められにくいのでしょうか?
通院実績があまりに乏しいと、保険会社や審査機関は「本当に症状が継続していたのか?」と疑うため、不認定となる可能性が高いです。最低でも数ヶ月~半年以上はきちんと治療・リハビリを続けるのが望ましいです。
Q4:14級の認定で裁判所が増額する判例があるのはどういう場合ですか?
単に14級が認定されたからといって通常の基準を超える増額になるわけではありませんが、被害者が若年者である、通院実績が特に長いなど、痛みやしびれが依然として生活に支障を及ぼすと裁判所が評価すれば、基準をやや超える額を認めることもあります。
Q5:もし保険会社に14級を否定されても、異議申立や裁判で認定されることはありますか?
はい。異議申立で新たな検査や専門医の意見書などを追加すれば、逆転認定される例もあります。最終的に裁判に進んだ場合も、医学的根拠と通院実績が揃っていれば、14級が認められる可能性は十分あります。
Q6:14級と12級では慰謝料額にどれくらいの差がありますか?
裁判所基準では、12級が290万円前後、14級が110万円前後とされる例が多く、180万円程度の差があります。保険会社の任意保険基準だとさらに低くなるので、正しい等級を目指すことが重要です。
解説
14級後遺障害の典型例
頸椎捻挫(むちうち)・腰椎捻挫による痛み・しびれ
- 画像検査で明確な異常が見られない場合が多いが、痛みやしびれが継続していると認定されれば14級9号などに該当。
- ただし、医師の診断書に「自覚症状が残る」と十分に記載され、一定の他覚所見(筋力低下などの神経学的テスト結果)が必要。
14級を認められた判例の特徴
- 通院実績の長さと一貫性
- 判例では「事故後○ヶ月間、痛みが続いて整形外科やリハビリに通い続けていた」といった治療の継続と、痛みが一定以上の期間続いているという事実を評価し、14級を認めることが多い。
- 3〜4ヶ月程度で通院を打ち切ってしまうと、不認定になるリスクが高まる。
- 神経学的テストや医師の詳細な診断書
- ジャクソンテストやスパーリングテストなどで陽性反応が確認され、痛みやしびれが神経根症状に基づくと示されれば、14級の判例も多い。
- 医師が後遺障害診断書で「症状が残存」「回復の見込みが乏しい」と明確に記載している。
- 事故外原因の否定
- 保険会社が「加齢による痛み」「別の病気が原因では」と反論する場合、判例で事故後の症状経過やMRI所見などが事故に起因すると認められると14級が認定される事例がある。
実務でのアプローチ
- 医師との連携
- 被害者が自覚症状(痛み・しびれ)をこまめに医師へ伝え、カルテに記録してもらう。
- 画像検査や神経学的テストなど、必要な検査を適宜受ける。後遺障害診断書の書き方についても弁護士と医師が連絡をとって十分に説明。
- 通院中の記録
- 通院日記や領収書などの実績を残し、被害者がどう苦しんでいるかを裏づける。
- 診断書作成の際、医師が「痛みやしびれが続いている」と記載しやすくなる。
- 異議申立や裁判の検討
- 保険会社が14級を否定することも多いが、異議申立で新たな検査結果や専門医の所見を出せば認定される可能性あり。
- 裁判で争う場合は、判例タイムズなどで同様のむちうち14級事例を示し、有利な判断を狙う。
弁護士に相談するメリット
- 14級認定に強い医証の整備
弁護士が医師へ「どんな検査結果・記載が必要か」を明確に伝え、後遺障害診断書を最適化。 - 保険会社の不当な不認定への対応
14級のボーダーライン事案では、不認定とされることも多い。弁護士が異議申立の手順や追加検査を指示して逆転を狙う。 - 示談金の増額交渉
14級が認定されれば、後遺障害慰謝料に加え逸失利益も一部認められる。弁護士が裁判所基準を根拠に保険会社と交渉し、大きな増額を勝ち取る事例が多い。 - 裁判での立証サポート
万が一示談がまとまらず裁判に進んでも、弁護士が医師の証人尋問や検査結果の鑑定などを仕切り、14級相当と認めてもらうよう法的主張を展開。 - 弁護士費用特約
14級をめぐる争いは長引くことがあるが、費用特約があれば安心して依頼でき、結果として慰謝料が大幅増となる可能性が高い。
まとめ
後遺障害14級は、一見「軽い障害」に思われがちですが、認定されるかどうかで示談金に大きな差が生じます。裁判例をみると、むちうちや腰椎捻挫などでも、
- 適切な通院(長期間・一貫性)
- MRI・CTなど検査データ
- 神経学的テストの陽性
- 医師の詳細な診断書(痛み・しびれが残存と明記)
といった要素が整っていると、14級が認定され、後遺障害慰謝料として110万円前後(裁判所基準)を得られる例が多いです。保険会社が不認定を主張する場合は、異議申立や裁判で認定を求めることも可能です。
- 14級=単なる軽度症状ではなく、認定で数十万円から数百万円以上の差
- 治療・通院の継続が認定への最大の鍵
- むちうちでも医師の診断書や神経学的所見があれば認定の可能性大
- 弁護士のサポートで不認定からの異議申立・裁判を行い、認定を勝ち取る
弁護士法人長瀬総合法律事務所では、14級が問題となる事案にも豊富な実績があり、医師との連携や異議申立手続きを含め、被害者が最適な認定と増額を得られるよう尽力しています。むちうちや軽度な痛みとみなされがちな症状でも、あきらめずにご相談ください。
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