はじめに
交通事故による脊椎損傷は、骨折・脱臼などの骨格部分の怪我だけでなく、神経障害が残るかどうかで、示談金の金額や後遺障害等級に大きな差が生じます。特に、背骨の変形や神経根・脊髄の圧迫によるしびれ・麻痺・排尿障害などが認められる場合、後遺障害の5級〜14級までさまざまな可能性があり、等級差によって数百万円〜数千万円もの示談金格差が生まれるのです。
本稿では、脊椎損傷での後遺障害認定がどのように行われるか、評価基準を整理します。骨折や椎間板損傷、神経根症状、脊髄麻痺など、症状の種類や重症度に応じて等級が異なるため、どんな検査や医証が必要かを理解しておくことが重要です。適切な等級を勝ち取るためにも、医師と弁護士との連携で見落としのない評価を行い、保険会社の過小評価を防ぎましょう。
Q&A
Q1:脊椎損傷の後遺障害って、具体的に何級に区分されることが多いですか?
ケースバイケースですが、軽度の圧迫骨折や椎間板損傷で日常生活に軽度制限があれば12級、14級が多く、神経根症状が強ければ9級前後、脊髄損傷で四肢麻痺など重度なら1級〜2級、下肢麻痺なら3級〜5級と認定される可能性があります。
Q2:脊椎の変形(後弯変形など)が残れば、痛みがなくても後遺障害に該当するのですか?
後遺障害の判定では骨の変形や配列異常が明確な場合、たとえ痛みが軽くても「外観的にまたは機能的に障害を残す」とみなされ、12級や11級が認められる例があります。痛みだけではなく、形態異常も評価の対象です。
Q3:しびれや麻痺がある場合、等級はどう変わるのでしょう?
しびれや麻痺の程度と範囲で大きく変わります。神経根症状が軽度なら14級、MRI所見等で神経圧迫が明確なら12級や9級、下肢・上肢の麻痺が重度で介護が必要なレベルなら5級〜1級と高位の認定が見込まれます。
Q4:痛みやしびれが長期化しているのに、画像上は異常なしでも後遺障害は取れるのでしょうか?
取れる可能性はあります。医学的に説明可能な神経学的検査結果や、一貫した症状経過が証明できれば14級9号で認定される例は多いです。ただし、画像所見や医師の意見書を整えることが重要となります。
Q5:手術してボルト固定したら、可動域制限で後遺障害認定されることはありますか?
はい。脊椎固定術などで背骨の可動域が大幅に制限されれば、その程度に応じて腰椎の可動域制限や頸椎の可動域制限として後遺障害が認定される場合があります。術後のリハビリ成果によって等級が変わることも多いです。
Q6:保険会社が「加齢による変性だから事故は無関係」と主張する場合、どう対抗すればいいですか?
事故前には痛みやしびれがなかったという事実や、事故直後から症状が始まった経緯などを主張し、医師の所見(画像比較など)で「事故によって症状が発症・悪化した」と示すのが有効です。弁護士が過去の判例も参照し、因果関係を立証します。
解説
主な後遺障害等級のパターン
- 1級・2級(常時介護を要する脊髄損傷)
- 頸髄損傷で四肢麻痺、呼吸補助が必要、車いすだけでなく介護者の常時介助を要するレベル。
- 賠償金が1億円近くなる判例もあり、介護費用や家屋改造費、近親者慰謝料など多岐にわたる損害が加算。
- 3級・4級(随時介護を要する高位脊髄損傷)
- ある程度自力で動けるが、日常生活で随時介助が必要な脊髄損傷。
- 自動車運転は困難、歩行も部分的に支援が必須など、下肢麻痺や排尿障害が顕著。
- 5級〜9級(高度な労働能力喪失、下肢麻痺・強い神経症状)
- 下肢に重度の麻痺・筋力低下があり、杖や装具がないと歩行困難。腰痛が重篤で肉体労働不可など。
- 会社員でも職種転換や賃金ダウンが避けられず、逸失利益が数千万円クラスに。
- 12級・14級(軽度圧迫骨折や神経症状)
- MRIや神経学的検査で腰椎・頸椎に軽度の変形や神経根圧迫を確認。痛み・しびれ持続。
- 14級は「画像上はっきりしないが神経症状が続く」場合にも認定可能で、一貫した症状経過が鍵。
評価の要素
- 画像所見(レントゲン・CT・MRI)
- 骨折・変形があれば骨折の程度、椎間板が突出していればヘルニア、神経や脊髄の圧迫状態をMRIで確認。
- 軽度でも、症状と画像が整合すれば後遺障害が認定される。
- 神経学的検査・可動域測定
- しびれや麻痺がある場合、ジャクソンテスト・スパーリングテストなど頸椎特有の検査、腰椎でもSLRテストなど実施し、陽性結果を後遺障害診断書に記載。
- 可動域制限があるなら、動作角度を測って数値化し、関節可動域制限の等級に該当しないか検討。
- 症状の一貫性・通院実績
- 痛みや麻痺が事故直後から続いているか、中途で途切れず継続しているか、医師のカルテ記載が重要。
- 事故後半年以上経って神経症状が顕著化した場合も、医師の所見で因果関係を補強できれば認定可能。
弁護士に相談するメリット
- 医学的資料の整備
弁護士が専門医や放射線科医と連携し、MRIやCTで判明した脊椎変形・神経圧迫を後遺障害診断書に的確に反映。 - 適切な等級の主張
骨折だけなのか、神経症状もあるのか、可動域制限があるのかなどを総合判断し、12級や9級など上位等級を目指す交渉。 - 打ち切り対策
保険会社が「3ヶ月で十分」と言っても、医師の意見書で「まだ改善の余地がある」「骨癒合途中」「神経症状が残存」と主張し、治療を継続させる。 - 示談金大幅アップ
脊椎損傷は裁判所基準を適用すれば数百万〜数千万レベルの増額が見込まれる。特約があれば費用負担なく依頼可能。 - 再申請・異議申立
非該当・低い等級でも、新たな検査で神経根圧迫が確認されたり、手術後に可動域制限が明確化したりすれば異議申立で逆転を狙える。
まとめ
脊椎損傷の後遺障害認定では、
- 骨折・脱臼・椎間板損傷
→ 画像所見+しびれ・可動域制限の程度で12級・14級など - 脊髄損傷
→ 四肢麻痺や排尿障害があれば1級〜5級と高位等級 - 神経根症状
→ しびれ・筋力低下が一貫して続けば9級〜12級の可能性 - 医師の見解と検査
→ MRI・CTで構造的異常を確認、神経学的テストで症状裏付け
弁護士法人長瀬総合法律事務所では、脊椎骨折や椎間板損傷で痛み・しびれが長引く被害者の後遺障害認定を多数サポートし、保険会社の過小評価を排除して高額示談を勝ち取る実績があります。背中・腰・首の痛みや神経症状が続く方は軽視せず、適切な検査と弁護士連携で後遺障害リスクに備えてください。
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