脊椎損傷の場合の逸失利益と慰謝料相場(労働能力喪失率の高さ)

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はじめに

交通事故で脊椎(背骨)を損傷した場合、首・背中・腰の痛みや神経症状が長期化するだけでなく、骨格そのものの安定性や神経機能のダメージにより、労働能力が大きく損なわれることが珍しくありません。特に、神経根や脊髄が圧迫・損傷されると、しびれや麻痺が生じ、重い物を持てなくなる、長時間立ち仕事ができないなど、実質的に仕事の選択肢が制限される可能性が高くなります。こうしたケースでは逸失利益(本来得られた収入の損失)が非常に大きく、慰謝料も高額になる傾向があります。

本稿では、脊椎損傷における逸失利益慰謝料相場を、労働能力喪失率や後遺障害等級の観点から整理します。保険会社の初回提示では「画像所見が軽微」などと過小評価されがちですが、実質的な職業制限日常生活の支障を総合的に示すことで、裁判所基準に近い高額示談金を得ることが可能です。医師や弁護士との連携を図り、後遺障害認定と賠償の正当評価を目指しましょう。

Q&A

Q1:脊椎損傷でしびれが残る場合、どのくらい労働能力喪失率が認められるのでしょうか?

後遺障害等級(14級、12級、9級など)によって労働能力喪失率が異なります。たとえば14級で5%、12級で10%〜14%、9級で35%、7級で56%など。実際の認定はケースバイケースですが、神経症状が強いほど高率になる可能性があります。

Q2:逸失利益はいつまでの期間で計算されるのですか?

一般に67歳までが基準ですが、被害者の年齢や職種によっては70歳まで定年後継続勤務を考慮する場合もあります。高齢者や自営業者、会社役員なども、それぞれの就労実態を踏まえて計算します。

Q3:圧迫骨折で軽度の腰痛が残っただけでも逸失利益が認められますか?

はい、14級〜12級などが認定されれば、労働能力が5%〜14%程度失われたと評価される可能性があります。職種によっては実際に作業制限があり、賃金ダウン転職を余儀なくされるケースもあり、逸失利益が算定されます。

Q4:慰謝料について、脊椎損傷で神経症状がある場合はどのくらいアップするのでしょう?

神経症状があるかどうかで後遺障害慰謝料が大きく変動します。例えば裁判所基準で14級の後遺障害慰謝料は約110万円、12級だと約290万円、9級なら約690万円が目安。これに傷害慰謝料やその他損害を加えると総示談金はさらに増えます。

Q5:労働能力喪失率が高いと、示談金はどのくらい変わりますか?

喪失率が高いほど逸失利益が大きくなり、数百万円〜数千万円の差が生じることもあります。たとえば14級の5%と9級の35%とでは7倍の開きがあり、結果的に示談金総額で1000万円以上違う例も珍しくありません。

Q6:弁護士に依頼すれば、保険会社提示からどのくらい上積みを期待できますか?

事案によりますが、保険会社は任意保険基準で低めに提示しがちで、弁護士が裁判所基準を適用すれば2倍〜3倍以上の増額に成功する例は多々あります。脊椎損傷で後遺障害が認められれば、数百万円以上の上乗せも十分狙えます。

解説

逸失利益の算定フロー

  1. 後遺障害等級の確定
    • まず症状固定し、脊椎損傷で何級に該当するか自賠責や労災(または厚労省基準)で認定される。
    • 頚椎圧迫骨折やヘルニアで14級〜12級、腰椎神経根圧迫で9級〜7級、脊髄損傷で1級〜5級など。
  2. 労働能力喪失率の決定
    • 等級ごとに目安があるが、個別の職種や医師の所見により増減。
    • 例:14級で5%、12級で10〜14%、9級で35%、5級で90%等。
  3. 基礎収入 × 喪失率 × 就労可能年数 × ライプニッツ係数
    • 年収(または賃金センサス)をベースに、労働能力喪失率と年数を掛け、将来の収入減を一括計算し、現在価値に割り引き。
    • 専業主婦なら家事労働を賃金換算した値(賃金センサス女性全年齢平均など)を基礎収入とする。
  4. 過失相殺や将来介護費との総合調整
    • 被害者側にも過失があれば過失割合で減額。逆に将来介護費家屋改造費が加算される場合も。
    • 弁護士が保険会社と示談交渉や裁判で最終金額を確定。

慰謝料相場(傷害慰謝料+後遺障害慰謝料)

  1. 傷害慰謝料(入通院分)
    • 裁判所基準で通院期間や治療内容に応じて算定。例えば1年通院なら100万〜150万円前後が目安。
    • 保険会社は任意保険基準で低額を提示しがちだが、弁護士が交渉すれば大幅増額の余地あり。
  2. 後遺障害慰謝料
    • 1級〜2級なら2800万円超、3級〜5級で1900万〜2200万円前後、9級で600万〜700万円台、12級で290万円前後、14級で110万円前後が赤い本の目安。
    • 神経症状や排尿障害など重篤度によって変動するが、脊椎損傷は高位等級になりやすい。
  3. その他
    • 近親者慰謝料(重度麻痺など家族の苦痛が大きい場合)、死亡した場合は別途死亡慰謝料などが考慮される。

保険会社の過小評価への対策

  1. 「画像上異常軽微」主張
    • 骨折が軽度の場合、保険会社が「たいした損傷でない」と言いがちだが、神経症状や姿勢制限で働けなくなる例は多い。
    • 弁護士が神経学的テストや通院実績をもとに「痛みやしびれが長期化」と提示し、高位等級認定を狙う。
  2. 「加齢性変性」説
    • 事故前から椎間板が変性していたと保険会社が主張し、因果関係を否定しようとするパターン。
    • 弁護士が事故前の状態(痛みなし)を証明し、医師の意見書で「事故による症状発症」と整理。
  3. 後遺障害診断書の書き方
    • 医師が簡素な記載だと「非該当」や低い等級になる。弁護士が医師と相談し、具体的な痛み・可動域・神経所見を記載させる。
    • 不十分な場合は異議申立で追記を求め、逆転認定を目指す。

弁護士に相談するメリット

  1. 逸失利益と慰謝料を最大化
    脊椎損傷で仕事制限が大きいほど労働能力喪失率が高くなり、示談金が数百万〜数千万レベルで変わる。
  2. 医師との連携で後遺障害認定
    画像所見+神経学的テストを重視し、12級や9級など上位等級を獲得できるようアドバイス。
  3. 保険会社打ち切り防止
    長期リハビリや手術が必要でも、弁護士が医学的根拠を示し、治療費継続を主張。
  4. 介護費・家屋改造費も含めた交渉
    重度麻痺・排尿障害なら将来介護費バリアフリー改造を示談金に加算し、1億円級賠償を狙う。
  5. 弁護士費用特約
    脊椎損傷で高額になるほど特約メリット大。費用負担なしで示談金アップを実現。

まとめ

脊椎損傷の場合、逸失利益慰謝料が非常に大きくなる可能性があり、

  • 労働能力喪失率
    しびれや痛み、可動域制限で業務制限 → 14級で5%、12級で14%、9級で35%など
  • 後遺障害慰謝料
    等級次第で数十万〜数千万円(1級〜2級なら1億円規模も)
  • 医師の意見書・画像検査
    神経根圧迫や椎間板損傷を正確に示し、高位等級を狙う
  • 保険会社の過小評価
    軽度扱いされないよう弁護士と連携して交渉

弁護士法人長瀬総合法律事務所では、脊椎骨折や神経症状が残るクライアントの労働能力喪失率を最大限高く評価させ、逸失利益慰謝料を大きくアップさせる交渉を数多く手がけています。事故後、仕事や生活に不安を感じる場合は、ぜひ早期にご相談ください。

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