下腿の損傷(脛骨・腓骨骨折、コンパートメント症候群など)

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はじめに

交通事故ですね(下腿部)に大きな衝撃が加わると、脛骨骨折や腓骨骨折など骨折だけでなく、場合によってはコンパートメント症候群と呼ばれる重篤な合併症が発生する恐れがあります。脛骨は体重を支える重要な骨であり、腓骨は膝・足関節の安定や筋付着部として機能しているため、これらが折れると歩行困難長期リハビリを要するケースが少なくありません。さらに、筋肉や血管・神経が同じ区画に収まっているため、コンパートメント内圧が高まると神経・血管が圧迫され、麻痺や組織壊死につながるリスクもあります。

本稿では、下腿の損傷として、脛骨・腓骨骨折コンパートメント症候群の症状・治療、後遺障害の可能性を解説します。事故後にすねの激痛や腫れが続いている、または足先のしびれ脛が硬く張った感じがある場合は、必ず専門医に相談して正確な診断を受け、早期に弁護士とも連携し保険会社対策を進めてください。

Q&A

Q1:脛骨と腓骨が同時に折れる「両骨骨折」は重症なのでしょうか?

はい。下腿両骨骨折では脛骨腓骨が同時に折れているため、下腿部の支持力アライメントが大きく崩れます。転位が大きい場合は髄内釘プレートで整復固定する手術が必要となり、リハビリも長期化しやすいです。

Q2:コンパートメント症候群とはどんな状態なのですか?

下腿部など筋肉・血管・神経がひとつの筋区画(コンパートメント)内にある部位で、骨折や出血によって内部圧が上昇し、血流が阻害される病態です。激痛・腫脹、感覚障害、最悪の場合、筋や神経が壊死してしまい、後に麻痺拘縮が残る重症合併症です。

Q3:脛骨骨折はレントゲンだけでわかるのでしょうか?

多くの場合、レントゲンで骨折線が確認できますが、骨端部近く亀裂骨折などでわかりにくい場合もあります。痛みや腫れが強いのにレントゲンで異常がないときはCTやMRIを追加検査すると骨折や軟部損傷が見つかることがあります。

Q4:手術後に下腿が短くなったり、変形しているように感じたらどうなるのでしょう?

骨短縮変形治癒が起こっている可能性があり、後遺障害として脚長差変形を評価する項目があるので10級11号12級などが検討されます。弁護士が医師と連携し、後遺障害診断書に詳細を記載してもらうとよいです。

Q5:コンパートメント症候群で神経が麻痺した場合、どのくらいの等級が認められますか?

麻痺の範囲と程度によりますが、足関節や足指の可動域が失われたり、感覚麻痺が強いと高位等級の可能性があります。歩行や立位に支障が出れば逸失利益も大きくなるでしょう。

Q6:脛骨骨折で半年以上リハビリするかもしれません。保険会社に打ち切られたらどう対抗すればいいですか?

弁護士を通じて医師の意見書(まだ骨癒合が不安定、リハビリ未完了など)を提示し、治療継続を交渉します。下腿骨折は荷重訓練に時間がかかるため、保険会社の3〜6ヶ月で治るという主張は妥当しないことが少なくありません。

解説

脛骨・腓骨骨折

  1. 骨折のパターン
    • 単独骨折:脛骨のみ、または腓骨のみ。衝撃が部分的に集中した場合に多い。
    • 両骨骨折:脛骨と腓骨が両方折れる。粉砕骨折複雑骨折に発展しやすい。
  2. 治療方法
    • 転位が大きい場合:観血的整復(プレート、髄内釘など)、術後にギプスor装具固定。
    • 小さな転位・亀裂:ギプス固定で自然癒合を待つ。
    • リハビリ期間が長めで、荷重時期の判断を医師と相談。早すぎる負荷は変形治癒を招く。
  3. 後遺障害リスク
    • 変形障害や脚長差
    • 下腿の可動域や足首可動域に支障が出れば12級14級、神経麻痺あると8級以上

コンパートメント症候群

  1. メカニズム
    • 下腿部の筋区画(コンパート)が骨折・出血・浮腫で圧力上昇 → 血流が遮断されて筋・神経が壊死の危険。
    • 痛み、腫脹、触ると硬い、感覚障害があるなどがポイント。
  2. 治療・後遺障害
    • 急性期は緊急の筋膜切開で内圧を下げる。放置すると不可逆的な神経損傷や筋壊死で麻痺が残る。
    • 麻痺が残れば8級以上の高位等級、重度の場合下肢の用廃で5級以上も。

神経損傷と可動域制限

  1. 大腿骨骨折時に生じる神経損傷
    • 下腿の骨折による腓骨神経脛骨神経の巻き添え、またはコンパートメント症候群で二次的に圧迫される。
    • 結果として足首背屈不可足指の動きが失われるなど歩行障害を起こす。
  2. 可動域制限・変形
    • 骨折治癒後に足首や膝との関節運動が制限されれば、日常動作(階段昇降、立ち座りなど)に難が出る。
    • 事故後に常に痛みを伴う場合も後遺障害として評価される。

弁護士に相談するメリット

  1. 検査の追加と治療打ち切り対策
    下腿骨折やコンパートメント症候群は術後リハビリが長い。弁護士が医師の所見を使い、保険会社に治療継続の必要性を説得。
  2. 後遺障害診断書の充実
    脚長差、可動域、神経症状(しびれ・麻痺)を診断書に詳細記載 → 12級〜など上位等級を狙う。
  3. 変形治癒・脚長差
    3cm以上の差で10級など認められる。弁護士が正確な計測を医師に依頼し、示談金に反映。
  4. 介護費・家屋改造費の主張
    重度麻痺で常時介助が要るなら介護費車いす対応の家屋改造など高額費用を請求。
  5. 示談金の増額
    保険会社は「下腿骨折は6ヶ月で完治」と低評価しがちだが、弁護士が裁判所基準で傷害慰謝料・後遺障害慰謝料・逸失利益を算定し、大きく増額。

まとめ

下腿の損傷(脛骨・腓骨骨折、コンパートメント症候群など)では、

  • 両骨骨折:長期リハビリ&変形障害
  • コンパートメント症候群:急性期の筋内圧上昇→ 神経・筋壊死で麻痺残存
  • 変形・脚長差:3cm以上で10級、1cm以上で13級に
  • 神経麻痺:足首背屈不可、しびれ→後遺障害等級認定の可能性

弁護士法人長瀬総合法律事務所では、脛骨・腓骨骨折やコンパートメント症候群で歩行が困難になった被害者に対し、追加検査医師の所見整備を通じて後遺障害等級の高位認定を実現し、保険会社の過小評価を排除して大きな逸失利益を得る交渉で多数の実績があります。すねの痛みや腫れが長引き、歩行に支障がある方は早めにご相談ください。

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