
はじめに
交通事故で頭部や顔面に衝撃を受けると、頭蓋骨骨折や顔面骨折を負う可能性があります。これらは外見の変形や神経損傷だけでなく、脳機能障害など深刻な後遺障害を伴うケースもあるため、早期の精密検査と適切な治療が不可欠です。頭部・顔面の骨折はレントゲンやCTで確認しやすい反面、びまん性軸索損傷など軽度外傷性脳損傷を見落とすリスクもあり、示談交渉で事故との因果関係を争われる場合があります。
本稿では、頭部・顔面骨折が後遺障害に認定される際の基準や、脳機能障害との関連を解説します。顎や頬骨の変形、視力低下、顔面神経麻痺といった外観や機能障害だけでなく、脳外傷による記憶障害・注意障害が見落とされる例が少なくありません。事故後に頭痛や意識障害、顔面変形などがある場合は、医師の精密検査とともに弁護士へ相談し、示談金を正当に評価してもらえるよう準備を進めましょう。
Q&A
Q1:頭蓋骨骨折で後遺障害になる例はありますか?
はい。頭蓋骨骨折自体で頭部に陥没変形が残ったり、脳挫傷などを合併して高次脳機能障害が生じれば幅広い等級の対象となります。外見上の変形が顕著なら醜状障害、脳機能障害があれば高位等級が検討されます。
Q2:顔面骨折だと何が折れるのでしょうか?
顔面骨(上顎骨・頬骨・鼻骨・下顎骨など)が折れたり、複数部位が同時に骨折することもあります。頬骨骨折で顔の左右差が生じたり、下顎骨骨折で噛み合わせ異常が起こるなど、後遺障害として外観変形や咬合障害が残るケースがあります。
Q3:頭部・顔面が骨折した場合、脳機能障害のリスクも同時に考えるべきですか?
その通りです。外見上の骨折に注目するあまり、脳挫傷や軽度外傷性脳損傷(MTBI)を見落とす例が少なくありません。CTやMRIで脳内の損傷を確認し、神経心理学的検査を受けて記憶・注意機能を評価することが重要です。
Q4:醜状障害として認定されるのはどのくらいの変形があればいいのでしょうか?
顔面の陥没や顕著な左右差、目立つ瘢痕などがあれば醜状障害が検討されます。具体的には「人目に付く程度の変形」が基準とされ、医師が撮影した写真や顔面CTなどで評価します。
Q5:頭部や顔面の骨折で高次脳機能障害になった場合、1つの等級が付くのか、別々に付くのですか?
脳機能障害と顔面変形などの障害は別々に等級が認定されることが多く、併合等級が上位になる可能性があります。たとえば高次脳機能障害が9級、醜状障害が12級と認定されれば併合8級になる場合があります。
Q6:頭部・顔面骨折の手術後に長期リハビリが必要ですか?
はい。顎骨固定や頬骨整復、頭蓋骨形成術などの術後は咀嚼訓練や発声訓練、高次脳機能リハビリが必要になることがあります。保険会社が軽傷扱いをすることもあるため、弁護士により医師の意見書を作成して示談交渉を有利に進める例が多いです。
解説
頭蓋骨骨折
- 発生状況・症状
- 頭部を道路や車内構造物に強打するなどで陥没骨折や線状骨折が起こる。脳挫傷を併発すると意識障害や神経症状。
- 軽度骨折でも後に頭痛やめまいが長引く場合、脳神経がわずかに損傷している可能性。
- 後遺障害
- 脳機能障害(記憶障害・注意障害など) → 高次脳機能障害として評価
- 外観変形(頭蓋骨陥没) → 醜状障害で評価
- いずれも重複すれば併合等級で上位になる可能性あり。
顔面骨折(頬骨・上顎骨・下顎骨など)
- 頬骨骨折
- 衝撃で頬骨が陥没し、顔面の左右差や視力障害(眼窩底骨折を伴う)を引き起こす。三叉神経支配の感覚障害が残る場合も。
- 後遺障害として醜状障害や感覚麻痺を検討。
- 上顎骨骨折
- 歯列や鼻腔に近い部分が折れ、噛み合わせ不全や顔面変形、鼻の変形を伴う場合も。
- 咀嚼障害・鼻骨変形などが後遺障害として評価され、等級は幅広い。
- 下顎骨骨折
- 下顎の左右や関節突起が折れると、顎関節にも影響して開口障害や咬合不全が残る。
- 後遺障害で咀嚼機能障害や開口障害などが考えられる。
脳機能障害との関連
- 軽度外傷性脳損傷(mTBI)
- 顔面や頭部を強打して頭蓋骨骨折が起こるような衝撃なら、脳も何らかのダメージを受けている可能性。
- CTで正常でもMRIや神経心理学的検査で微細損傷や高次脳機能障害が見つかる場合がある。
- 併合等級
- 顔面変形で12級、脳機能障害で9級 → 併合8級になるなど、複数部位の障害が認められると賠償額が大きく増える。
弁護士に相談するメリット
- 追加検査・専門医紹介
顔面骨折や頭蓋骨骨折で脳外傷を見逃していないか弁護士が確認し、神経心理学検査を受けるよう提案。 - 後遺障害診断書の的確な記載
顔面変形を写真やCTで客観的に示す、顎関節の開口・咀嚼機能、視力・嗅覚・味覚の異常などを詳細に書いてもらう。 - 醜状障害や脳機能障害の併合
弁護士が複数部位の障害をまとめて申請し、併合等級を上げて示談金アップ。 - 介護費や家屋改造費
重度の高次脳機能障害を併発すれば介護や住環境整備が必要 → 弁護士が将来費用を計上。 - 示談金大幅増
頭部・顔面骨折で外観や機能障害がある場合、保険会社は軽傷扱いできない。裁判所基準で交渉すると数百万〜数千万単位の増額が見込まれる。
まとめ
頭部・顔面骨折では、
- 頭蓋骨骨折:陥没骨折、脳機能障害合併 → 高位等級や醜状障害
- 顔面骨折(頬骨・上顎骨・下顎骨など)→ 外観変形、咬合障害、感覚麻痺 → 醜状障害や機能障害
- 脳損傷との関連 → CTで無症状でも軽度外傷性脳損傷が潜在→ 後遺障害申請で併合等級
- 弁護士サポート:追加検査(MRI/神経心理検査)、複数部位の障害を一括申請→ 示談金大幅アップ
弁護士法人長瀬総合法律事務所は、頭部・顔面骨折による外観変形、神経麻痺、高次脳機能障害など複合的な後遺障害を数多く扱い、裁判所基準での示談交渉により高額賠償を勝ち取っております。事故後に顔面の変形・痛み、頭痛・記憶障害などが続く場合は、早期にご相談ください。
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