
はじめに
交通事故で首(頚椎)に強い衝撃が加わり、頸椎骨折を負うと、脊髄損傷や神経根障害など重篤な後遺障害を残す可能性が高くなります。頸椎は頭部と胴体をつなぐ重要な構造で、そこに神経(脊髄・神経根)が通っているため、骨折の位置や程度によっては四肢麻痺を招くケースもあります。幸い神経損傷を免れても、頸椎固定や可動域制限が長期に及ぶことがあるため、後遺障害として幅広い等級が想定されます。
本稿では、頚椎(首)骨折の症状や治療法、神経症状が残る場合の後遺障害リスクを解説します。事故後に首が痛い・しびれるだけと軽視されがちですが、CTやMRIで頸椎骨折や神経圧迫が見つかる例が少なくありません。早期の適切な固定・リハビリとともに、保険会社の打ち切り対応に対抗するための弁護士への相談をお勧めします。
Q&A
Q1:頸椎骨折にはどんな種類がありますか?
代表的には椎体骨折や椎弓根骨折、歯突起骨折などがあります。頸椎のC1(環椎)骨折、C2(軸椎)骨折もあり、上位頸椎の骨折は重度脊髄損傷につながりやすいです。交通事故ではハングマン骨折(C2椎弓根骨折)などが挙げられます。
Q2:首の骨が折れた場合、必ず脊髄損傷になるのでしょうか?
そうとも限りません。骨折しても神経管が守られていれば脊髄を傷つけない場合もあります。ただし危険度は高く、わずかなずれでも四肢麻痺になるリスクがあり、整形外科/脊椎外科の注意深い診察が必要です。
Q3:頸椎固定とは何をするのですか?
頸椎カラー(フィラデルフィアカラーなど)で外部固定する保存療法、あるいは頸椎前方固定術や後方固定術でスクリュー・プレートを用いる外科的固定があります。固定期間中は首の可動域が制限され、術後リハビリで可動域を取り戻す必要があります。
Q4:神経症状が残った場合、どんな障害等級が想定されるでしょう?
軽度なら14級(神経症状)、重度の神経根損傷で9級、さらに脊髄損傷の程度で5級〜まで上がり得ます。四肢麻痺で常時介護が要るケースは1級と判断されることもあります。
Q5:頸椎が固定されたままだと、日常的にどのような動作が難しくなるのでしょうか?
首が十分に回らない、上下に動かせないので車の運転や後方確認が困難、家事やパソコン操作でも首の疲労感が大きくなるなど生活の多方面に影響が及びます。これらを後遺障害として可動域制限や痛みを主張する例が多いです。
Q6:保険会社は3〜6ヶ月で治ると述べていますが、長期リハビリが必要ならどうすれば?
弁護士が医師の意見書を用い、「骨癒合」「神経回復」などに時間が必要と論じ、治療費打ち切りをしないよう交渉します。首の術後は6ヶ月〜1年以上のリハビリを要することもあります。弁護士に依頼しないと保険会社の早期打ち切りを受け入れる羽目になるケースが少なくありません。
解説
頸椎骨折の症状と治療
- 骨折の種類
- C1(環椎)骨折:頭部を支える重要な骨が壊れる → 高度不安定で脊髄損傷を伴うと致命的リスク
- C2(軸椎)骨折:歯突起骨折やハングマン骨折 → 強い後方や前方への衝撃で折れる
- 下位頸椎(C3〜C7)骨折:椎体骨折や椎弓骨折、椎間板損傷を合併
- 治療方法
- 保存療法:頸椎カラー・HALOベストなど外部固定。骨癒合を期待して安静を保つ
- 手術療法:椎体にプレートやスクリューを挿入して固定、神経圧迫を除去する。術後はリハビリで筋力回復・可動域訓練
- 後遺障害のリスク
- 変形治癒や頸椎の可動域制限、神経根麻痺
- 脊髄損傷が重い → 四肢麻痺などで1級の場合もあり得る
神経症状が残る場合
- 神経根症状
- 頸椎骨折で椎間孔が狭くなり、腕や手指のしびれ、筋力低下が継続。
- 頸椎カラー解除後も慢性的な痛みや可動域制限
- 脊髄損傷
- 上位頸椎(C1〜C2)骨折で呼吸障害や四肢完全麻痺を伴う重度事例がある。
- 1級〜2級の常時介護を要する状態 → 介護費や家屋改造費なども損害賠償の対象となり、示談金が1億円規模に達するケースも
- 頭痛・めまい・吐き気
- 頸椎損傷で後頭部痛や自律神経症状が出る場合、14級など神経症状扱いがされることがある。MRIやCTで排除診断が重要。
後遺障害と示談金への影響
- 可動域制限
- 頸椎の前屈・後屈・回旋などが一定以上できない → 後遺障害等級の認定可能性がある
- 家事や仕事で首を頻繁に動かす方は逸失利益も高く算定。
- 麻痺
- 上肢・下肢に麻痺が残る →重度の後遺障害等級認定の可能性
- 等級が高いほど休業損害・逸失利益が膨大に。
- 家屋改造・介護費
- 四肢麻痺レベルでは常時介助・車いす利用 → 家屋をバリアフリー化、ヘルパー費含め数千万〜1億円超の賠償事例も。
弁護士に相談するメリット
- 打ち切り阻止、追加検査の提案
頸椎骨折は術後リハビリ1年以上必要なことも。弁護士が医師の意見書で保険会社の早期打ち切りを防ぐ。 - 後遺障害診断書の強化
頸椎可動域の測定、しびれの程度、神経根テスト結果を詳細に記載し、12級以上を狙う。 - 介護費・改造費
重度麻痺で1級〜2級の場合、介護費用(家族介護や職業介護)、家屋改造費を示談金に盛り込み高額化。 - 高次脳機能障害との関連
頸椎骨折で頭部にも衝撃が及んだ場合、弁護士がMRI・神経心理学検査を提案し、併合等級で大幅増。 - 弁護士費用特約
頸椎損傷による後遺障害は示談金数百万〜数千万レベル多発。特約があれば費用リスクを軽減して交渉を依頼可能。
まとめ
頚椎(首)骨折(頸椎固定、神経症状が残る場合の後遺障害)では、
- 頸椎骨折:C1〜C2骨折は四肢麻痺リスク大、C3〜C7でも神経根麻痺や可動域制限 → 12級〜1級
- 頸椎固定術:術後リハビリ長期化、保険会社の打ち切りに要警戒
- 麻痺が重度:後遺障害等級1級〜2級→ 介護費・家屋改造費含め示談金1億円規模
- 弁護士サポート:画像検査、追加検査、後遺障害診断書で高位等級狙う→ 裁判所基準示談金大幅アップ
弁護士法人長瀬総合法律事務所では、頚椎骨折による脊髄損傷・神経麻痺などの重症案件を多数手がけ、医師との連携や裁判所基準を用いた示談交渉で高位後遺障害等級を獲得し、保険会社の過小評価を排除しています。首や腕にしびれ・麻痺がある場合は早期にご相談ください。
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