【後遺障害7級】労働能力56%喪失のインパクト|脳・脊髄損傷の補償と逸失利益

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はじめに

後遺障害等級第7級は、自賠責保険の等級表(別表第2)において、比較的上位に位置する重い障害です。

その労働能力喪失率は「56%」と定められています。つまり、事故前の半分以下の能力でしか働けないとみなされる状態です。

これに該当するのは、片目の失明、片手・片足の指の全部の用を廃したもの、そして神経系統(脳・脊髄)の障害により軽易な労務しかできないものなどが含まれます。

特に脳や脊髄の損傷による7級は、外見からは障害の程度が分かりにくくても、「疲れやすくて長時間働けない」「複雑な判断ができない」「足がもつれて長距離歩行ができない」といった深刻なハンディキャップを抱えることになります。適正な補償を受けるためには、こうした目に見えにくい苦労を法的に立証することが不可欠です。

交通事故に関するQ&A(7級編)

後遺障害7級に該当する可能性がある方から、よくある質問にお答えします。

Q1:後遺障害7級の慰謝料はどれくらいですか?

弁護士基準では1,000万円が目安です。

自賠責基準の上限額は409万円ですが、弁護士が交渉する場合の基準(弁護士基準・裁判基準)では、1,000万円程度が相場となります。これに加えて、数千万円規模の「逸失利益」が請求できるため、総額では非常に大きな金額になります。

Q2:復職して給料が変わらない場合、逸失利益はもらえませんか?

いいえ、もらえる可能性が高いです。

保険会社は「減収がない=労働能力喪失はない」と主張し、逸失利益を否定することがあります。

しかし、7級レベルの障害があれば、現時点で減収がなくても、本人が並々ならぬ努力でカバーしているだけだったり、将来の昇進・昇給が閉ざされていたりすることが容易に想像できます。弁護士はこうした事情を主張し、減収がなくとも逸失利益を認めさせる交渉を行います。

Q3:7級でも将来の介護費や装具代は請求できますか?

介護費は対象外となる傾向にありますが、装具代等は必要性が立証できれば請求可能です。

7級は「自力で生活できる」とみなされるため、将来介護費は認められにくい傾向にあります。しかし、脊髄損傷などで歩行に装具(短下肢装具など)が必要な場合や、杖、入浴補助具などが必要な場合は、その購入費や将来の買い替え費用を請求できます。

解説:後遺障害7級の認定基準と実態

7級には様々な障害が含まれますが、ここでは特に生活への影響が大きい「脳・神経・脊髄」の障害を中心にて解説します。

1. 後遺障害7級の主な認定基準

  • 7級1号: 一眼が失明し、他眼の視力が0.6以下になったもの
  • 7級2号: 両耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
  • 7級4号: 神経系統の機能または精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  • 7級5号: 胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  • 7級6号: 片手の親指を含み3本以上の指を失ったもの、または親指以外の4本の指を失ったもの
  • 7級7号: 片手5本の指の用を廃したもの(指はあるが全く動かない等)

2. 「7級4号」脳機能・脊髄損傷の実像

交通事故の実務で特によく争点になるのが、「7級4号」(神経系統の障害)です。

高次脳機能障害の場合

記憶障害、注意障害、遂行機能障害などが残り、「一般就労は維持できているが、単純作業に限られる」「ミスが多く、周囲のサポートなしでは業務が回らない」といった状態です。

  • 日常生活: 金銭管理が苦手になる、約束を忘れる、感情のコントロールが難しくなる等の支障が出ます。

脊髄損傷(不全麻痺)の場合

手足に麻痺が残り、巧緻運動(細かい作業)ができない、または歩行に支障がある状態です。

  • 日常生活:
    • 歩行: 完全に車椅子ではないものの、杖が必要であったり、少しの距離で疲れてしまったりする(跛行)。
    • 排泄: 自分で排泄はできるが、頻尿や失禁のリスクがあり、おむつやパッドが手放せない(排尿障害)。
    • 感覚: 手足のしびれや痛みが激しく、天候によって寝込むこともある。

ポイント
7級4号の「軽易な労務以外の労務に服することができない」とは、肉体労働や高度な知的労働ができなくなり、負担の少ない軽作業に限定される状態を指します。

3. 日常生活動作の制限と「モノ」による補償

7級の認定を受けるような障害では、日常生活の質を維持するために様々な器具が必要になることがあります。これらは損害賠償として請求すべき項目です。

① 装具・杖・車椅子関連

脊髄損傷などで足に麻痺がある場合、将来にわたって装具が必要になります。

  • 短下肢装具(プラスチック製の足首固定具など)
  • ロフストランド杖(腕で支える杖)
  • 電動シニアカーや簡易車椅子(長距離移動用として医師が必要と認めた場合)

これらは数年ごとに買い替えが必要になるため、平均余命までの「将来装具費」として一括請求します。

② 自動車改造費

足に麻痺があり、通常のペダル操作が難しい場合、手動運転装置(アクセル・ブレーキを手で操作するレバー)の取り付け費用などを請求できる場合があります。「通勤や通院に車が不可欠である」という事情があれば、認められる可能性が高まります。

③ 家屋改造費(リフォーム)

7級では、大規模なバリアフリー工事(エレベーター設置など)までは認められにくいですが、以下のような小規模な改造費は請求の余地があります。

  • 浴室やトイレの手すり設置
  • 玄関の段差解消
  • 滑りにくい床材への変更

賠償上の最重要ポイント:逸失利益

7級の賠償額を決定づけるのは、「逸失利益」です。

労働能力喪失率56%という高い数字が、どれくらいの期間認められるかが勝負となります。

争点1:労働能力喪失率(56%)の確保

保険会社は、「デスクワークなら足の障害は関係ない」「工夫すれば働ける」として、56%よりも低い喪失率(例えば12級相当の14%など)を提示してくることがあります。

これに対し、弁護士は「職種限定の不利益(転職の幅が狭まる)」「職場での配置転換の実態」「通勤の困難さ」などを具体的に主張し、基準通りの56%を確保します。

争点2:労働能力喪失期間(何歳まで認めるか)

原則は67歳までですが、むち打ち等の神経症状では「10年程度」に制限されることがあります。

しかし、7級に認定されるような「脳の損傷(画像所見あり)」や「脊髄損傷」、「指の機能全廃」などは、症状が将来回復する見込みがない(器質的損傷)ため、原則通り67歳までの全期間を認めるよう主張する必要があります。

例えば、40歳(年収500万円)の方の場合、期間が「10年」か「67歳まで(27年間)」かで、賠償額には数千万円の差が生じます。

弁護士に相談・依頼するメリット

後遺障害7級は、一歩間違えると「後遺障害非該当」や「12級・14級」といった低い等級にされてしまうリスクと、等級認定後も「賠償額を不当に低く見積もられる」リスクの2つを抱えています。

1. 正しい等級認定の獲得(異議申立て)

7級4号(高次脳機能障害や脊髄損傷)は、医師の診断書やMRI画像だけでなく、「日常生活状況報告書」の内容が審査に大きく影響します。

ご本人やご家族が気づいていない「能力の低下」を拾い上げ、書類に反映させることで、適切な等級認定をサポートします。もし納得のいかない等級が出た場合は、異議申立てを行います。

2. 逸失利益の最大化

前述の通り、逸失利益の計算には専門的な交渉が必要です。

「現在は会社が配慮してくれているから給料は減っていないが、もし会社が倒産したら再就職は絶望的である」といった、将来のリスクを法的に構成し、裁判基準での満額回収を目指します。

3. 将来の生活を見据えたアドバイス

賠償金の獲得だけでなく、身体障害者手帳の取得(等級によっては該当する可能性があります)や、障害年金の申請など、社会保障制度の活用についてもアドバイスを行い、経済的な基盤を盤石にします。

まとめ

後遺障害7級は、日常生活はある程度自立できても、労働能力の半分以上を失うという点で、被害者の方の人生設計を大きく狂わせる重大な障害です。

  • 労働能力喪失率: 56%。仕事への影響は甚大。
  • 脳・脊髄損傷: 見た目以上に疲れやすく、複雑な処理ができない。
  • 必要な補償: 逸失利益に加え、装具や杖、自動車改造費などの実費も漏らさず請求する。

保険会社の提示額を鵜呑みにせず、「自分の失った能力に見合う補償」を追求してください。

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