後遺障害等級認定に納得できない!異議申立の手順と成功率を高める「追加書類」の重要性

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はじめに

交通事故の被害に遭い、辛いリハビリを続けたにもかかわらず、保険会社(自賠責損害調査事務所)から届いた後遺障害等級の認定結果が「非該当(等級なし)」や「予想よりも低い等級」だった場合、そのショックは計り知れません。

「これだけ痛みが残っているのに、なぜ認められないのか」
「主治医も後遺症だと言っているのに、なぜ事故との関係が否定されるのか」

このような結果通知を受け取ったとき、多くの被害者の方は「もう決まってしまったことだから仕方がない」と諦めてしまいがちです。しかし、一度出された認定結果は絶対的なものではありません。認定結果に不服がある場合、正式な手続きとして「異議申立(いぎもうしたて)」を行う権利が認められています。

とはいえ、単に「納得できない」「もう一度見てほしい」と訴えるだけでは、結果を覆すことはできません。認定機関の判断を覆すためには、最初の審査で見落とされていた事実や、不足していた医学的証拠を新たに提出し、論理的に反論する必要があります。

この記事では、一度出された認定結果を覆すための「異議申立」の具体的な手順、成功率を高めるために不可欠な追加書類の準備、そして専門家である弁護士がどのようにサポートできるかについて解説します。

異議申立に関するQ&A

まずは、異議申立について被害者の方からよく寄せられる疑問にお答えします。

Q1:異議申立に回数制限はありますか?また、費用はかかりますか?

回数に制限はありません。何度でも申請可能です。

制度上、異議申立の回数に制限はなく、理論上は納得いくまで何度でも行うことができます。また、自賠責保険に対する異議申立の手数料自体は無料です(診断書や画像取得の実費はかかります)。ただし、漫然と同じ内容で申請を繰り返しても結果は変わりません。回数を重ねるごとに認定のハードルは高くなる傾向にあるため、1回目の異議申立でいかに充実した証拠を提出できるかが勝負となります。

Q2:異議申立をすれば、等級が下がることはありますか?

原則として、等級が下がる(不利益変更になる)ことはまずありません。

異議申立は、被害者の救済を目的とした不服申し立ての手続きです。「上位の等級に該当するかどうか」を再審査するものであり、既認定の等級を取り消すための審査ではありません。したがって、現状の等級が維持されるか、あるいは上位の等級に変更されるかのどちらかであり、リスクを恐れて申請を躊躇する必要はありません。

Q3:異議申立の成功率はどのくらいですか?

決して高くはありません。5%〜10%程度と言われることもあります。

公式な統計は公表されていませんが、一般的に異議申立によって認定結果が覆る確率は1割未満と非常に厳しいのが現実です。これは、最初の審査(初回認定)がすでに専門機関によって厳格に行われているためです。だからこそ、単なる感情論ではなく、「なぜ非該当だったのか」を分析し、「新たな医学的証拠(医証)」を補充しなければ、結果を変えることはできません。

解説:後遺障害認定への異議申立の手順とポイント

異議申立は、ただ再審査を依頼するだけの手続きではありません。最初の判断が「誤り」または「証拠不足」であったことを証明するための、緻密な立証活動です。以下に具体的な手順とポイントを解説します。

1. なぜ「非該当」になったのか?理由の分析

異議申立を行う前に重要なプロセスは、「認定理由書」の精読です。

後遺障害の認定結果が届いた際、そこには必ず「理由」が記載されています。

非該当の理由例

  • 「提出された画像上、外傷性の異常所見は認められない」
  • 「症状の推移や治療内容から見て、将来においても回復が困難と見込まれる障害とは捉え難い」
  • 「通院実績が乏しく、症状の一貫性が確認できない」

これらの理由は、言い換えれば「ここをクリアできれば認定される可能性がある」というヒントでもあります。

  • 画像所見がないと言われた → 別の撮影方法(MRIの条件変更など)や読影医の意見書が必要。
  • 症状の推移に問題があると言われた → カルテを取り寄せ、事故直後からの症状の一貫性を証明する記述を探す。

このように、相手(審査機関)が「NO」と言った根拠を正確に把握することからスタートします。

2. 「新たな医学的証拠」の準備

異議申立で結果を覆すには、初回申請時に提出していなかった「新しい資料」が必須です。初回と同じ資料をもう一度見てもらうだけでは、同じ結論しか返ってきません。

有効な追加書類(医証)の例

  • 医師の意見書・診断書
    主治医に、認定理由書の内容に対する反論意見を書いてもらいます。例えば、「画像上異常なし」という判断に対し、「このスライスのこの部分に高信号域があり、これは神経圧迫を示唆する」といった具体的な指摘をしてもらいます。
  • 新たな画像検査
    レントゲンしか撮っていなかった場合はMRIを撮る、MRIも画質が悪い場合は高解像度(3.0テスラ等)の機器で再撮影する、などが考えられます。
  • 医療照会(回答書)
    弁護士が医師に対して具体的な質問(「この症状は事故による外力以外で発生する可能性があるか?」など)を投げかけ、それに回答してもらう形式の書類です。
  • 日常生活報告書・陳述書
    被害者本人や家族が、日常生活で具体的にどのような不便があるかを詳細に記述したものです。ただし、客観的な証拠力は医証に劣るため、あくまで補助的な資料となります。

3. 異議申立書の作成

新たな証拠が揃ったら、「異議申立書」を作成します。決まった書式はありませんが、以下の要素を論理的に記述する必要があります。

申立の趣旨

「非該当認定を取り消し、第〇級〇号に認定することを求める」と明確に記載します。

申立の理由

  • 前回の認定理由のどの部分が誤りであるか。
  • 今回提出する追加証拠が何を証明しているか。
  • 医学的な知見に基づき、自賠責の認定基準(労災認定基準準拠)を満たしていることの主張。

4. 提出と審査期間

異議申立書と追加資料を、相手方保険会社(事前認定の場合)または自賠責保険会社(被害者請求の場合)に提出します。

審査期間は、初回申請よりも長くなる傾向があります。通常は2ヶ月〜4ヶ月程度、難しい事案や専門医の鑑定が必要な場合は半年以上かかることもあります。

成功の鍵を握る「追加書類」の重要性

異議申立において、「追加書類(特に新たな医証)」は決定的な役割を果たします。ここでは、代表的な障害における追加書類の具体例を挙げます。

ケース1:むちうち(神経症状)で非該当 → 14級を目指す場合

むちうちで非該当になる主な理由は「他覚的所見の欠如」や「症状の常時性の否定」です。

必要な追加書類の視点

  • 神経学的検査の再実施結果
    ジャクソンテスト、スパーリングテスト、深部腱反射などの検査結果が、カルテ上で一貫して「陽性」であることを示す資料。
  • 画像所見の再評価
    専門医による画像読影レポート。「明らかな圧迫はない」とされていても、「神経根の走行にわずかな狭窄が見られる」等の所見を引き出せれば、医学的説明が可能になります。
  • カルテの精査
    事故直後から現在まで、「首が痛い」「手が痺れる」という訴えが途切れず記録されている箇所を抜粋し、一貫性を主張します。

ケース2:骨折後の痛み等で14級 → 12級を目指す場合

12級認定には「他覚的所見による証明」が必要です。

必要な追加書類の視点

  • CT・MRIの3D画像
    骨の癒合不全(くっついていない部分)や変形を立体的に可視化した画像。
  • 筋電図検査などの生理学的検査結果
    神経が実際に損傷していることを数値や波形で示すデータ。
  • 主治医の意見書
    「画像上の変形部分と、患者が訴える疼痛部位・神経支配領域が完全に一致している」という医学的な整合性の証明。

ケース3:高次脳機能障害が見落とされた場合

事故後、性格が変わったり記憶力が低下したりしているにもかかわらず、頭部外傷として処理されず見過ごされるケースです。

必要な追加書類の視点

  • 脳画像(MRI/CT)の再読影
    微細な脳出血痕や脳室拡大がないかを確認。
  • 神経心理学的検査の結果
    WAIS-IV(ウェクスラー成人知能検査)やWMS-R(記憶検査)などを実施し、知能や記憶力の低下を数値化する。
  • 日常生活状況報告書
    家族や職場の同僚による、「事故前と比べてどう変わったか(ミスが増えた、怒りっぽくなった等)」の具体的な証言。

弁護士に相談するメリット

異議申立は、いわば「プロ(損害調査事務所)の判断に対する反論」であり、極めて高度な専門性が求められます。ご自身だけで行うのは困難な場合が多く、弁護士の介入が成功率を大きく左右します。

1. 「何が足りないか」を的確に判断できる

弁護士は、数多くの認定事例や認定基準(「赤本」や労災認定基準)に精通しています。認定理由書を読み解き、「この書き方なら、この検査結果を補充すれば通る可能性がある」といった戦略的な判断が可能です。

2. 医師との連携・意見書の作成依頼

医師は治療の専門家ですが、後遺障害認定に必要な「法的な証明」の専門家ではありません。そのため、医師に漫然と意見書を頼んでも、認定に役立つ内容にならないことがあります。

弁護士であれば、「認定基準を満たすためには、〇〇という点について医学的見解を書いてほしい」と、医師に対して具体的な照会書を作成することができます。

3. 被害者請求への切り替えサポート

もし初回申請を「事前認定(相手方保険会社任せ)」で行っていた場合、異議申立のタイミングで「被害者請求」に切り替えることが推奨されます。被害者請求であれば、提出する資料をすべて自分でコントロールでき、弁護士が作成した意見書などを漏れなく審査機関に届けることができます。この手続きの変更も弁護士が代行します。

4. 紛争処理センターや裁判への移行判断

異議申立を行っても結果が変わらない場合でも、そこで終わりではありません。「交通事故紛争処理センター」への申立や、「裁判」を起こすことで、裁判所基準での認定を目指す道が残されています。弁護士は、異議申立の結果を見極め、これ以上時間をかけるべきか、それとも裁判等の次のステージに進むべきか、最適な方針を提示します。

まとめ

後遺障害等級の認定結果に納得がいかない場合、諦めずに「異議申立」を検討することは重要です。たとえわずかな等級の違いであっても、賠償金額には数百万円、場合によっては数千万円の差が生じるからです。

しかし、異議申立は「敗者復活戦」であり、初回よりも厳しい審査が待ち受けています。成功のためには、以下の3点が不可欠です。

  1. 感情論ではなく医学的根拠: 「痛いから」ではなく「画像や検査結果がこうだから」という論理構成。
  2. 新たな証拠の提出: 初回審査で見落とされた事実を補完する新規資料(医証)。
  3. 専門家のサポート: 認定基準を熟知した弁護士による戦略立案。

「もう一度申請しても無理だろうか」「どのような検査を受ければいいのか分からない」とお悩みの方は、ぜひ一度、弁護士法人長瀬総合法律事務所にご相談ください。あなたの症状が適正に評価され、正当な賠償を受け取れるようサポートいたします。

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