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【解決事例】交通事故による後遺障害と開業準備費用が考慮された事例

2025-05-15
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ご相談の経緯

Aさんは、歩行中に後方から来た自動車に衝突されるという交通事故に遭われました。この事故により、首や腰、特に左肩に強い痛みが生じ、日常生活にも支障が出るようになりました。Aさんは当時、長年の夢であったご自身の飲食店を開業するために準備を進めていましたが、事故による怪我の影響で、開業そのものが危ぶまれる事態となり、途方に暮れていました。

治療を続けても症状はなかなか改善せず、将来への不安、加害者側との交渉、そして何より開業準備にかけた費用が無駄になってしまうのではないかという心配から、専門家である弁護士に相談することを決意され、当事務所にご相談に来られました。

事故の概要とご依頼内容

事故の状況

Aさんが歩道を歩いていたところ、後方から進行してきた自動車がAさんに気づかずに衝突。Aさんは転倒し、全身を強く打ち付けられました。

お怪我の状態

事故後、Aさんには頚椎捻挫(むちうち)、腰椎捻挫、そして特に左肩関節周囲炎といった診断がなされ、左肩の痛みと腕のしびれが強く残りました。これにより、調理作業など、飲食店経営に不可欠な動作が困難な状態となりました。

ご依頼の背景

Aさんは、事故当時、念願だった飲食店の開業に向けて、店舗契約や内装工事、厨房設備の購入など、多額の費用を投じて準備を進めていました。しかし、事故による怪我、特に利き手である左腕の不調により、調理はもちろん、店の運営全般に支障が生じることが明らかになり、開業を断念せざるを得ない状況に追い込まれました。

Aさんからは、事故による治療費や慰謝料はもちろんのこと、開業できなくなったことによる損害、特にすで支出していた開業準備費用についても、加害者側に適切に賠償してもらいたいとの強いご希望がありました。

弁護士の活動と事件のポイント

ご依頼を受けた当事務所の弁護士は、まずAさんから事故状況、お怪我の状態、開業準備の進捗状況などを詳細にヒアリングしました。その上で、以下の点に注力して弁護活動を進めました。

後遺障害等級の適切な認定のサポート

Aさんの症状は、治療を継続しても改善が見られず、後遺障害が残存する可能性が高い状況でした。弁護士は、医師と連携を取りながら、後遺障害診断書の作成をサポートし、事故とAさんの症状(特に左肩の腱板断裂を含む症状)との医学的な因果関係を明らかにするための証拠収集に努めました。当初、保険会社から提示された後遺障害等級は、Aさんの症状の実態にそぐわない可能性があったため、より上位の等級が認定されるよう、あるいは実態に見合った賠償がなされるよう、医学的見地からの反論や追加資料の提出を行いました。

損害賠償請求における多岐にわたる項目の主張

治療費、通院交通費、入通院慰謝料といった一般的な損害項目に加え、Aさんの実情に合わせて以下の損害を主張しました。

  • 休業損害
    事故により開業準備作業が中断し、また仮に開業できていたとしても営業できなかった期間の損害。
  • 後遺障害逸失利益
    後遺障害により将来にわたって労働能力が低下したことによる減収。
  • 後遺障害慰謝料
    後遺障害が残ったことによる精神的苦痛。
  • 開業準備費用
    本件で特に大きな争点となった、事故がなければ無駄にならなかったはずの店舗契約金、内装費、設備購入費などの開業準備費用。

裁判における粘り強い主張と立証

加害者側の保険会社との交渉では、特に開業準備費用の賠償について見解の隔たりが大きく、訴訟に至りました。訴訟では、以下の点を改めて強く主張・立証しました。

  • 事故と症状の直接的な因果関係の再度の強調
    Aさんの左肩の痛み(腱板断裂を含む)は、加齢によるものではなく、本件事故という外傷によって生じたものであることを、カルテや医学文献、医師の意見書などを用いて詳細に主張しました。
  • 症状の一貫性と「症状増悪」の否定
    事故直後からAさんは左肩を含む強い症状を訴え続けており、治療経過をみても、相手方が主張するような事故後数ヶ月経ってからの「急な増悪」ではなく、事故当初から重篤な状態であったことを反論しました。
  • 労働能力喪失率の適正な評価
    第一審で低く評価された労働能力喪失率について、事故直後の状態や症状の程度を考慮すれば、より高い喪失率が認められるべきであると主張しました。
  • 開業準備費用と事故との相当因果関係
    事故がなければAさんは予定通り飲食店を開業できていたこと、そしてその準備に投じた費用が事故によって全て無駄になったことの因果関係を丁寧に立証しました。

解決結果

訴訟では、裁判所から和解案が提示されました。当事務所の弁護士が粘り強く交渉と主張を重ねた結果、Aさんの症状の実態や開業準備費用を含む損害が考慮された内容での和解が成立しました。

最終的に、Aさんは、納得のいく水準の賠償金を受け取ることができました。これにより、事故によって被った経済的・精神的損害が一定程度回復され、Aさんは新たな一歩を踏み出すための区切りをつけることができました。

担当弁護士より

この事例のように、交通事故によってお怪我をされ、その結果、予定していた事業(開業など)に影響が出てしまうケースは少なくありません。特に、開業準備費用のような特殊な損害については、事故との因果関係の立証が難しく、保険会社との交渉や裁判でも大きな争点となりやすい傾向があります。

また、むちうちや肩の痛みといった症状は、外見からは分かりにくいため、その辛さや仕事への影響を相手方や裁判所に理解してもらうためには、カルテなどの医療記録はもちろん、ご本人の具体的な状況を丁寧に説明し、証拠に基づいて主張を組み立てていく必要があります。

本件では、依頼者であるAさんが事故直後から詳細な記録を残されていたこと、そして何よりも諦めずに弁護士を信頼してくださったことが、最終的な良い解決に繋がったと考えております。

交通事故に遭われ、お怪我の治療や将来のことでお悩みの方は、決して一人で抱え込まず、できるだけ早い段階で専門家である弁護士にご相談ください。それぞれの事案に応じた最善の解決策を一緒に見つけ出すお手伝いをさせていただきます。

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【解決事例】個人事業主・頸椎捻挫等(約220万→約320万)

2018-12-05

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交通事故

被害者  個人事業主
賠償額  受任前  約220万円
 受任後  約320万円
部位別後遺障害  首
等級 14級
事故状況  自動車同士の衝突事故

【概要】

本件は、自動車同士の衝突事故によって、頚椎捻挫等の傷害を負ってしまったという事案です。

本件では、ご本人が整形外科への通院治療を継続し、後遺障害等級14級が認定されていました。

 

【交渉経緯】

後遺障害等級14級が認定されたことを踏まえ、相手方保険会社と交渉を開始しました。

もっとも、本件では、事故態様に争いがあり、過失割合が争点となっていました。また、素因減額を争われたほか、休業損害の有無自体も争点となりました。

当事務所では、改めて事故態様を立証する刑事事件記録を取り寄せて検討したほか、持病と本件事故による治療との関連性、休業損害の有無に関する資料を収集・検討しました。

そして、被害者の方が本件事故によって被った損害を裏付ける資料を整理し、主張を粘り強く続けたところ、当初の提示額約220万円から、最終的に約320万円まで賠償金額を引き上げることができ、合意に至りました。

【示談書を締結する前に】

他の事例でも当てはまることですが、交通事故事案では、ご本人だけで対応するよりも、弁護士に交渉を依頼したほうが、結果として損害賠償額が増額できるケースは少なくありません。

特に後遺障害に該当するケースであれば増額できる可能性は高まりますが、後遺障害に該当しないケースであっても、専門家の目からチェックすれば増額できるケースも決して少なくありません。

また、私たちは、増額した金額よりも弁護士費用が高額になってしまうような場合には、弁護士費用を減額調整し、依頼者の方のご負担は出ないようにしていますからご安心ください。

示談書にサインする前に、まずは一度弁護士にご相談されることをおすすめします。

弁護士に相談することで、正確な知見に基づいたアドバイスを得ることができ、果たして保険会社が提示した示談金額が妥当かどうかを検討することができます。

交通事故被害に遭われた方は、まずは私たちにご相談ください。

 

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