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【複数部位の骨折】後遺障害等級の「併合」ガイド|計算ルールと実務上の注意点
はじめに
交通事故、特にバイクや自転車での転倒事故や、歩行中に自動車にはねられた場合などは、身体の一箇所だけでなく、腕と足、首と腰など、複数の部位を同時に骨折してしまうことが少なくありません。
治療を尽くしても複数の箇所に後遺症が残ってしまった場合、後遺障害等級はどのように決まるのでしょうか。「足の障害が12級、手の障害が12級だから、合わせて24級?」あるいは「足して6級?」といった計算にはなりません。
後遺障害等級制度には、複数の障害がある場合の計算ルールとして「併合(へいごう)」という仕組みが存在します。
この併合ルールは複雑で、どのルールが適用されるかによって、最終的な等級(併合等級)が変わり、受け取れる賠償金の額が数百万、数千万円単位で変動することも珍しくありません。
本記事では、複数の部位を骨折し、複数の後遺症が残った場合に適用される「併合認定」の基本的なルールから、間違いやすい「系列(けいれつ)」の考え方、実務上の注意点について、交通事故に強い弁護士法人が分かりやすく解説します。
併合認定に関するQ&A
まずは、複数の怪我をした場合の後遺障害等級について、よくある疑問にQ&A形式でお答えします。
Q1:右腕の骨折で12級、左足の骨折でも12級に該当する場合、最終的な等級はどうなりますか?
ルールに基づき等級が繰り上がり、「併合11級」となります。
13級以上の後遺障害が2つ以上ある場合、最も重い等級を1つ繰り上げる(重くする)というルールがあります。このケースでは、重い方(どちらも同じですが)の12級を1つ繰り上げて、11級と認定されます。
Q2:むちうちで14級、腰の骨折による痛みで14級が認定されました。合わせると13級になりますか?
いいえ、この場合は繰り上げられず、「併合14級」のままとなります。
最も軽い等級である14級に関しては、いくつあっても等級を繰り上げるというルールが適用されません。したがって、14級の障害が複数あっても、最終結果は14級となります。
Q3:腕の骨折で「関節の機能障害(動きが悪い)」と「変形障害(曲がってくっついた)」の両方が残りました。これも併合されますか?
原則として併合されず、上位の等級がそのまま認定されるか、あるいは別の評価方法がとられます。
同一の部位(この場合は同じ腕)に生じた障害については、併合ではなく「派生(はせい)」や「加重(かじゅう)」といった別の関係として扱われることが多く、単純な併合ルールが適用されない場合があります(詳細は後述の「系列」の項目で解説します)。
解説:後遺障害等級「併合」の基本ルール
交通事故で複数の部位に後遺障害が残った場合、それぞれの部位ごとに等級を判断した上で、「併合(へいごう)」という処理を行って最終的な等級を決定します。
併合処理には、主に「併合繰上げ(等級が重くなる)」と「併合維持(等級が変わらない)」の2つのパターンがあります。
1. 併合繰上げ(等級が重くなるケース)
認定された等級のうち、最も重い等級を基準にして、以下のルールに従って等級を繰り上げます。
① 13級以上の後遺障害が2つ以上ある場合 ⇒ 最も重い等級を「1級」繰上げる
- 【例】12級(手首の痛み) + 12級(足首の痛み)
⇒ 重い方の12級を1つ繰り上げて、「併合11級」となります。 - 【例】10級(腕の可動域制限) + 12級(骨折部の変形)
⇒ 重い方の10級を1つ繰り上げて、「併合9級」となります。
② 8級以上の後遺障害が2つ以上ある場合 ⇒ 最も重い等級を「2級」繰上げる
- 【例】8級(肘関節の用廃) + 8級(膝関節の用廃)
⇒ 重い方の8級を2つ繰り上げて、「併合6級」となります。 - 【例】6級(腕の欠損) + 8級(脚の短縮)
⇒ 重い方の6級を2つ繰り上げて、「併合4級」となります。
③ 5級以上の後遺障害が2つ以上ある場合 ⇒ 最も重い等級を「3級」繰上げる
- 【例】5級(片足の全廃) + 5級(片腕の全廃)
⇒ 重い方の5級を3つ繰り上げて、「併合2級」となります。
※ただし、繰り上げの結果、等級が1級を超えることはありません。また、それぞれの障害ごとの賠償額の合計が、繰り上げ後の等級の賠償額を上回るような逆転現象が起きる場合は、調整が行われることがあります。
2. 併合維持(等級が変わらないケース)
以下のパターンの場合、等級の繰り上げは行われず、最も重い等級がそのまま最終的な等級(併合等級)となります。
① 14級の後遺障害が含まれる場合
14級は後遺障害の中で最も軽い等級であり、これがいくつあっても上位等級への繰り上げは行われません。
- 【例】14級(首の神経症状) + 14級(腰の神経症状)
⇒ 「併合14級」(13級にはなりません) - 【例】12級(腕の骨折後の痛み) + 14級(首の神経症状)
⇒ 「併合12級」(14級は計算上、吸収される形になります)
② その他、繰上げルールに該当しない組み合わせ
例えば、「9級」と「13級」の組み合わせの場合などです。
- 【例】9級(顔面の醜状) + 13級(指の欠損)
⇒ この場合、13級以上が2つあるため「1級繰上げ」のルールが適用されそうですが、9級を1つ繰り上げると「8級」になります。しかし、8級と9級の差は大きいため、単純に繰り上げると不均衡が生じることがあります。
実は、異なる系列の障害の場合、基本的には繰上げルール①(1級繰上げ)が適用され、「併合8級」となります。
3. 注意が必要な「系列(けいれつ)」の概念
併合の計算をする際、最も注意しなければならないのが「系列(けいれつ)」という考え方です。
後遺障害等級表では、身体の部位や機能ごとにグループ分け(系列)がされています。
- 原則: 「異なる系列」の障害は併合する。
- 例外: 「同一系列」の障害は、併合ではなく、その部位全体として総合的に評価する(評価方法が異なる)。
同一系列とみなされる例
- 両眼の障害: 右目の視力低下と左目の視力低下は、それぞれ別々に等級を出すのではなく、「両眼の視力障害」として定められた等級表(例:両眼の視力が0.1以下なら6級)を直接適用します。
- 同一上肢(腕)の障害: 「右肩の機能障害(12級)」と「右手首の機能障害(12級)」は、同じ「右上肢」という系列です。この場合、単純な併合繰上げ(11級)ではなく、併合した結果が序列を乱さないか等の調整が入ることがあります(実務上は併合扱いになることが多いですが、専門的な判断が必要です)。
派生関係にある場合
「骨折による変形障害(12級)」と、その変形部分が神経を圧迫して生じている「神経症状(12級)」は、通常、別々の障害とはみなされません。
「通常派生する関係」にあるため、これらは包括的に評価され、上位の等級(この場合は12級)のみが認定されます。これを「法条競合(ほうじょうきょうごう)」といいます。
【実例で見る併合計算シミュレーション】
より理解を深めるために、よくある交通事故のケースでシミュレーションしてみましょう。
ケースA:バイク事故で右足と腰を負傷
障害1: 右足首の機能障害(可動域が健側の3/4以下) ⇒ 12級7号
障害2: 腰椎圧迫骨折による変形障害 ⇒ 11級7号
【計算結果】
どちらも「13級以上」の障害です。
したがって、重い方の等級(11級)を1つ繰り上げます。
結果:併合10級
ケースB:歩行中に跳ねられ、全身を打撲・骨折
障害1: 左大腿骨骨折後の脚の短縮(1cm以上) ⇒ 13級8号
障害2: むちうちによる首の痛み ⇒ 14級9号
障害3: 鎖骨骨折後の変形障害 ⇒ 12級5号
【計算結果】
3つの障害があります。
まず、14級(障害2)は繰上げの計算に入りません。
次に、13級(障害1)と12級(障害3)を見ます。これらはどちらも「13級以上」です。
したがって、最も重い等級(12級)を1つ繰り上げます。
結果:併合11級(14級は併合11級の中に含まれる形で処理されます)
ケースC:重度の後遺障害が複数残った場合
障害1: 右腕の全廃(用を廃したもの) ⇒ 5級6号
障害2: 右足の全廃(用を廃したもの) ⇒ 5級7号
【計算結果】
どちらも「5級以上」の障害です。
したがって、重い方の等級(5級)を3つ繰り上げます。
結果:併合2級
実務上の注意点と弁護士の役割
併合認定は自動的に正しく行われるとは限りません。被害者の方が損をしないために、実務上注意すべきポイントがあります。
1. 「併合」と「既存障害(素因減額)」の違い
今回認定された等級が「併合」によるものなのか、それとも元々持っていた障害(既存障害)を加味して調整されたものなのかを区別する必要があります。
例えば、以前の事故で14級を持っていて、今回の事故で新たに別の14級相当の怪我をした場合、結果は「併合14級」ですが、保険会社によっては「既に14級があったのだから、新たな支払いは不要」といった主張をしてくることがあります(これを「加重障害」の計算といいます)。
正しいルールが適用されているか、専門家のチェックが必要です。
2. 「みなし系列」や「派生関係」の誤った適用
保険会社側の認定機関(自賠責損害調査事務所)は、複数の症状を「別々の障害」として併合認定するのではなく、「一つの原因から派生した一連の症状」としてまとめて扱い、低い等級で認定してくることがあります。
例えば、「骨折による痛み」と「可動域制限」を別々に評価せず、「可動域制限の中に痛みも含まれる」として、低い方の等級を無視するケースなどです。
弁護士は、それぞれの症状が独立した評価対象であることを医学的・法的に主張し、正しい併合等級の獲得を目指します。
3. 賠償額の大幅な違い
等級が1つ違うだけで、賠償額(特に後遺障害慰謝料と逸失利益)は大きく変わります。
併合のルールを適用して12級が11級になれば、弁護士基準の慰謝料だけでも290万円から420万円へと増額します。逸失利益を含めればその差はさらに広がります。
「たかが1級の違い」と思わず、適正な計算がなされているかを確認することが重要です。
まとめ
複数部位の骨折における後遺障害等級の認定は、単なる足し算ではなく、複雑な「併合ルール」に基づいて決定されます。
- 基本は「繰上げ」: 13級以上が2つなら1級アップ、8級以上なら2級アップ。
- 14級の壁: 14級はいくつあっても繰り上がらない。
- 系列の罠: 同じ部位や関連する機能の障害は、単純な併合にならないことがある。
ご自身の症状が最終的にどの等級になるのか、保険会社の提示している等級や賠償額が正しい計算に基づいているのかを判断するのは、一般の方には非常に困難です。
複数の部位にお怪我をされた方は、適正な補償を受け取るためにも、示談をする前に一度、交通事故に詳しい弁護士にご相談されることをお勧めします。
弁護士法人長瀬総合法律事務所では、複雑な後遺障害事案の解決実績が豊富にございます。等級認定の申請から賠償交渉まで、トータルでサポートいたします。
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【下肢の骨折】交通事故による後遺障害等級認定ガイド|脚・膝・足首の機能障害と短縮障害
はじめに
交通事故において、歩行中や自転車・バイクの運転中に車と接触したり、自動車乗車中に強い衝撃を受けたりすることで、下肢(脚)を骨折するケースは非常に多く発生します。
下肢は、大腿骨(太ももの骨)、膝蓋骨(膝の皿)、脛骨・腓骨(すねの骨)、足首、足指などで構成されており、これらを損傷すると、「歩く」「立つ」「走る」といった日常生活の基本動作に直結する深刻な影響が生じます。
治療によって骨が癒合し、以前と同じように歩けるようになれば良いのですが、残念ながら治療を尽くしても、「膝が曲がらない」「足首が固まった」「脚の長さが左右で変わってしまった」「歩くと痛みが走る」といった後遺症が残ってしまうことがあります。
このように、治療を行っても完治せず、医学的にこれ以上の改善が見込めなくなった状態(症状固定)で残存した障害については、適切な「後遺障害等級」の認定を受けることで、後遺障害慰謝料や逸失利益(将来得られるはずだった収入の減少分)を請求することが可能となります。
しかし、下肢の後遺障害は、関節の可動域制限、骨の変形、脚の短縮、欠損など多岐にわたり、認定基準も非常に複雑です。適正な補償を受けるためには、ご自身の症状がどの等級に該当する可能性があるのかを正しく理解しておくことが重要です。
本記事では、交通事故による下肢(大腿骨、膝蓋骨、脛骨、足関節、足指など)の骨折で残りやすい後遺障害の種類や認定基準、適正な等級認定を受けるためのポイントについて、弁護士法人長瀬総合法律事務所が詳しく解説します。
下肢の骨折に関するQ&A
まずは、下肢を骨折された被害者の方からよく寄せられる疑問について、Q&A形式でお答えします。
Q1:骨折した方の脚が短くなってしまい、歩くときにびっこを引いてしまいます。これは後遺障害になりますか?
はい、「短縮障害」として等級認定の対象となります。
大腿骨や脛骨などの骨折に伴い、骨が重なって癒合したり、骨の一部が欠損したりすることで、脚の長さが短くなることがあります。
これを「下肢の短縮障害」といい、短縮した長さによって等級が決まります。1cm以上短縮した場合は13級8号、3cm以上で10級8号、5cm以上で8級5号が認定される可能性があります。測定は、医師によるロールレントゲン撮影などを用いて厳密に行う必要があります。
Q2:膝の皿(膝蓋骨)を割りました。骨はくっつきましたが、階段の上り下りで膝に激痛が走ります。
痛みの原因が医学的に証明できれば、神経症状として認定される可能性があります。
骨癒合が完了していても、関節面の不適合(形がいびつになること)や、周囲の軟部組織の損傷により痛みが残ることがあります。
画像検査(レントゲンやCT、MRI)で痛みの原因となる異常が確認できる場合は12級13号、画像上の異常が明らかでなくても、事故状況や治療経過から痛みの存在が医学的に説明できる場合は14級9号が認定される可能性があります。
Q3:足首の骨折後、足首が固まってしまい、正座ができなくなりました。
足関節の「機能障害(可動域制限)」として等級認定が検討されます。
関節の動く範囲(可動域)が、怪我をしていない方の足(健側)と比べて制限されている場合、その制限の程度に応じて等級が認定されます。
健側の可動域の4分の3以下に制限されていれば12級7号、2分の1以下であれば10級11号、関節がほぼ動かない(強直)状態であれば8級7号に該当する可能性があります。
解説:下肢の骨折による後遺障害の分類と認定基準
下肢の骨折による後遺障害は、大きく分けて「機能障害(関節の動き)」「短縮障害(長さ)」「変形障害(骨の形)」「欠損障害(足指など)」「神経症状(痛み)」の5つに分類されます。それぞれの具体的な基準を解説します。
1. 下肢の機能障害(関節可動域制限)
股関節、膝関節、足関節(足首)のいずれかの動きが悪くなった場合です。これを「3大関節」といいます。
原則として、健側(怪我をしていない側)の可動域と比較して判定します。
| 等級 | 認定基準(抜粋) | 具体的な状態 |
| 第8級7号 | 1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの | 関節が完全強直(固まって動かない)した場合、またはそれに近い状態 |
| 第10級11号 | 1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの | 可動域が健側の2分の1以下に制限された場合 |
| 第12級7号 | 1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの | 可動域が健側の4分の3以下に制限された場合 |
※人工関節や人工骨頭を挿入した場合は、可動域の制限度合いにかかわらず、原則として10級11号以上が認定されます(可動域制限が著しい場合はさらに上位等級の可能性もあります)。
【部位別の注意点】
- 膝関節: 膝蓋骨(パテラ)骨折や脛骨高原骨折などで生じやすい障害です。
- 足関節: 脛骨・腓骨の遠位端骨折(足首付近の骨折)で生じやすく、背屈(つま先を上げる)や底屈(つま先を下げる)の動きが重要視されます。
2. 下肢の短縮障害
前述の通り、骨折等の影響で脚が短くなった場合です。
測定は、上前腸骨棘(骨盤の出っ張り)から下腿内果(内くるぶし)までの長さを計測し、健側と比較します。
- 第8級5号: 1下肢を5cm以上短縮したもの
- 第10級8号: 1下肢を3cm以上短縮したもの
- 第13級8号: 1下肢を1cm以上短縮したもの
※逆に、成長期の子供の骨折などで過成長が起き、脚が「長く」なってしまった場合(過長障害)も評価対象となり得ますが、短縮障害とは基準が異なります(例:3cm以上の過長で10級相当など)。
3. 下肢の変形障害(偽関節・長管骨の変形)
骨が正常に癒合しなかったり、曲がってくっついたりした場合です。
偽関節(ぎかんせつ)
骨折部の癒合が止まり、本来関節ではない部分がグラグラと動いてしまう状態です。
- 第7級10号: 1下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの(大腿骨や脛骨・腓骨に偽関節があり、常に硬性補装具が必要な場合)
- 第8級9号: 1下肢に偽関節を残すもの(7級に至らない程度の偽関節)
- 第12級8号: 長管骨に変形を残すもの(腓骨のみに偽関節を残す場合など)
長管骨の変形
大腿骨や脛骨が曲がって癒合してしまった場合です。
- 第12級8号: 長管骨に変形を残すもの
- 大腿骨または脛骨が15度以上屈曲して不正癒合した場合
- 外部から見て明らかにわかる程度の変形がある場合 など
4. 足指の後遺障害
足の指(足趾)の骨折等による障害は、「欠損障害」と「機能障害」に分けられます。手指と同様に、親指(母趾)は歩行時の蹴り出しに重要な役割を果たすため、他の指よりも重く評価されます。
足指の欠損障害(指を失った場合)
- 第5級5号: 1足の足指の全部を失ったもの
- 第8級10号: 1足の第1の足指(親指)を含み2以上の足指を失ったもの
- 第10級9号: 1足の第1の足指を失ったもの など
足指の機能障害(用を廃した場合)
足指の根元の関節(MTP関節)やその先の関節の可動域が、健側の2分の1以下になった場合などが該当します。
- 第7級11号: 1足の足指の全部の用を廃したもの
- 第9級15号: 1足の第1の足指を含み2以上の足指の用を廃したもの
- 第12級12号: 1足の第1の足指の用を廃したもの
- 第13級10号: 1足の第2の足指(人差し指)の用を廃したもの、第2の足指を含み2の足指の用を廃したもの、または第3の足指以下の3の足指の用を廃したもの
5. 神経症状(痛み・痺れ)
関節の動きや骨の形に基準を満たすほどの異常がなくても、痛みが残ることは多々あります。
下肢の骨折では、骨折部の痛みのほか、足首の捻挫を併発した場合の痛みや、骨折に伴う神経損傷による痺れなどが対象となります。
- 第12級13号: 局部に頑固な神経症状を残すもの(他覚的所見あり)
- 第14級9号: 局部に神経症状を残すもの(自覚症状中心だが医学的に説明可能)
弁護士に相談するメリット
下肢の骨折による後遺障害認定は、専門的な知識と経験が結果を大きく左右します。弁護士に依頼することで、以下のようなメリットが得られます。
1. 「可動域」と「短縮」の正確な立証
関節の機能障害(可動域制限)は、測定の仕方ひとつで等級が変わります。例えば、10級(2分の1以下)と12級(4分の3以下)では、賠償額に数百万円の差が生じることがあります。
また、脚の短縮についても、単にメジャーで測るだけでは不正確とされる場合があり、スキャングラム(ロールレントゲン)などの特殊な撮影方法で証明する必要があります。
弁護士は、適正な測定方法が行われているかを確認し、必要であれば再検査のアドバイスを行います。
2. 複数の障害がある場合の「併合」判断
下肢の骨折では、「足首の機能障害(12級)」と「骨折部の痛み(14級)」、あるいは「脚の短縮(13級)」など、複数の障害が同時に残ることがあります。
この場合、それぞれの等級をどのように組み合わせるかという「併合(へいごう)」のルールが適用されます。保険会社が提示する等級が、必ずしも正しいルールに基づいているとは限りません。弁護士は、複数の症状をもれなくピックアップし、最適な等級が認定されるよう主張します。
3. 逸失利益の減額に対する反論
後遺障害が認定されると、将来の収入減少分として「逸失利益」が請求できます。しかし、保険会社は「骨折の痛みがあってもデスクワークなら支障はない」「短縮障害があっても靴の調整で対応できる」などと主張し、逸失利益を減額しようとしてくることがあります。
弁護士は、被害者の方の具体的な職務内容や日常生活への支障を詳細に主張し、安易な減額を許さず、本来受け取るべき賠償金の獲得を目指します。
まとめ
下肢の骨折は、歩行という基本的な生活動作に直結するため、後遺症が残った場合の精神的・経済的苦痛は計り知れません。
- 3大関節(股・膝・足)の可動域制限: 健側との比較が重要。
- 脚の短縮: 1cm以上の短縮から認定対象。正確な画像診断が必要。
- 足指の障害: 親指かそれ以外かで等級が大きく異なる。
- 痛みの残存: 画像所見がない場合でも14級の可能性がある。
「足が痛くて長時間歩けないのに、後遺障害ではないと言われた」「保険会社の提示額が低すぎる気がする」といった不安をお持ちの方は、示談をする前に弁護士にご相談ください。
弁護士法人長瀬総合法律事務所では、交通事故被害者の方の「これからの生活」を守るため、適正な等級認定と賠償金の獲得に向けて全力でサポートいたします。
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【手・指の骨折】交通事故による後遺障害等級認定ガイド|手首の可動域制限・変形治癒・機能障害
はじめに
私たちは朝起きてから夜眠るまで、食事、着替え、スマートフォンの操作、仕事でのパソコン入力など、あらゆる場面で「手」や「指」を使っています。そのため、交通事故で手や指を骨折すると、日常生活や仕事に甚大な支障をきたすことになります。
交通事故による手や指の怪我には、手首の骨折(橈骨遠位端骨折など)や、指の骨折、脱臼、腱の断裂など様々なものがあります。治療によって元通りに回復すれば良いのですが、懸命なリハビリを行っても「手首が以前のように曲がらない」「指が変形したまま固まってしまった」「握力が戻らない」「雨の日になると痛む」といった症状が残ってしまうことが少なくありません。
このように、治療を続けても症状が改善しなくなった状態(症状固定)で残っている障害については、適切な「後遺障害等級」の認定を受けることで、後遺障害慰謝料や逸失利益(将来の収入減少分に対する補償)を受け取ることができます。
しかし、手や指の後遺障害認定基準は非常に細分化されており、わずかな関節の動きの差や、欠損した部位の長さによって、認定される等級(=賠償額)が大きく変わります。
本記事では、交通事故による手・指の骨折等で残りやすい後遺障害の種類や等級認定の基準、そして適正な補償を受けるためのポイントについて、弁護士法人長瀬総合法律事務所が解説します。
手・指の骨折に関するQ&A
まずは、手や指を骨折された被害者の方からよく寄せられる疑問について、Q&A形式でお答えします。
Q1:手首の骨折は治りましたが、以前ほど手首を反らせなくなりました。これは後遺障害になりますか?
はい、「機能障害(可動域制限)」として認定される可能性があります。
骨折の影響で関節が固まり、動く範囲(可動域)が狭くなることを「機能障害」といいます。
手首(手関節)の場合、怪我をしていない方の手首(健側)と比べて、可動域が2分の1以下になっていれば10級10号、4分の3以下になっていれば12級6号が認定される可能性があります。単に「動きにくい」という自覚症状だけでなく、医師による厳密な計測が必要です。
Q2:小指を骨折し、曲がったまま伸びなくなってしまいました。仕事に支障があるのですが、等級は認定されますか?
指の機能障害として、等級認定の対象となります。
指の関節が動かなくなったり、可動域が半分以下になったりした場合は、「指の用(よう)を廃したもの」として扱われます。
小指1本が用を廃した場合は13級6号、もし完全に小指を失ってしまった場合(欠損障害)は12級10号となります。どの指が、どのような状態になったかによって等級が細かく決められています。
Q3:骨はくっつきましたが、手首に痛みが残っています。握力も事故前の半分くらいしか出ません。
痛みは「神経症状」として認定される可能性がありますが、握力低下単独での認定は困難です。
骨折部の変形癒合や神経損傷により痛みが残っている場合、医学的に証明できれば12級13号、医学的に説明可能であれば14級9号が認定される可能性があります。
一方で、「握力の低下」だけを理由に後遺障害等級が認定されることは、実務上ほとんどありません。ただし、痛みのせいで力が入らない、あるいは神経麻痺の結果として握力が低下しているといった場合は、痛みや神経麻痺の症状として評価されることになります。
解説:手関節(手首)の後遺障害等級
ここからは、部位や症状ごとに具体的な認定基準を解説します。まずは手首(手関節)についてです。
交通事故では、ハンドルを持ったまま強い衝撃を受けたり、転倒した際に手をついたりすることで、橈骨(とうこつ)や尺骨(しゃっこつ)といった前腕の骨の手首側を骨折することがよくあります。
1. 手関節の機能障害(可動域制限)
手首の関節の動きが悪くなった場合です。原則として、健側(怪我をしていない側)の可動域角度と比較して判断します。
| 等級 | 認定基準 | 具体的な状態 |
| 第10級10号 | 1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの | 手首の可動域が健側の2分の1以下に制限された場合 |
| 第12級6号 | 1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの | 手首の可動域が健側の4分の3以下に制限された場合 |
測定方法の注意点
手首の動きには「掌屈(手を内側に曲げる)・背屈(手を甲側に反らす)」と「橈屈(親指側に曲げる)・尺屈(小指側に曲げる)」があります。
原則として、主要運動である掌屈・背屈の合計角度で判断します。ただし、掌屈・背屈が基準値(健側の制限の枠内)をわずかに上回る場合でも、参考運動である橈屈・尺屈の制限が著しければ、等級が認定されることもあります。
2. 手関節周辺の変形障害
骨折した骨が、ズレたままくっついてしまった(変形癒合)場合や、骨がつながらずグラグラしている(偽関節)場合です。
第12級8号:長管骨に変形を残すもの
橈骨や尺骨の骨折部に変形癒合があり、外部から見て変形がわかる場合や、レントゲン等で変形が確認できる場合に認定されます。手首が曲がって見える、骨が出っ張っているといったケースです。
第7級9号 / 第8級8号:偽関節(ぎかんせつ)を残すもの
骨癒合が完了せず、関節ではない部分が関節のように動いてしまう状態です。常に硬性補装具が必要な重度なものは7級、それ以外は8級となります。
3. 神経症状(痛み・痺れ)
可動域制限や変形が認定基準に達しない場合でも、痛みが残っている場合は以下の等級が検討されます。
- 第12級13号: 局部に頑固な神経症状を残すもの(画像検査などで痛みの原因が他覚的に証明できるもの)
- 第14級9号: 局部に神経症状を残すもの(事故状況や治療経過から痛みの存在が医学的に説明できるもの)
特に、手首の小指側にある軟骨組織であるTFCC(三角線維軟骨複合体)を損傷した場合、レントゲンには写らないためMRI検査が必要不可欠です。発見が遅れると「単なる捻挫」として扱われ、後遺障害が認められないリスクがあるため注意が必要です。
解説:手指の骨折と後遺障害等級
次に、指の後遺障害について解説します。
指の後遺障害は、「指を失った場合(欠損障害)」と「指の機能が失われた場合(機能障害)」に分けられます。また、親指は他の指よりも機能的に重要であるため、他の指よりも重い等級が設定されています。
1. 手指の欠損障害
指の一部、または全部を失ってしまった場合です。
| 等級 | 認定基準(抜粋) | 具体的な状態 |
| 第3級5号 | 両手の指の全部を失ったもの | 両手とも全ての指を失った場合 |
| 第6級8号 | 1手の5の手指を失ったもの | 片手の全ての指を失った場合 |
| 第8級3号 | 1手の親指を含み2以上の手指を失ったもの | 片手の親指+人差し指などを失った場合 |
| 第9級12号 | 1手の親指を失ったもの | 親指の指節間関節(IP関節)以上を失った場合 |
| 第11級8号 | 1手の人差し指、中指または薬指を失ったもの | 近位指節間関節(PIP関節)以上を失った場合 |
| 第12級9号 | 1手の小指を失ったもの | 近位指節間関節(PIP関節)以上を失った場合 |
| 第13級7号 | 1手の親指の指骨の一部を失ったもの | 親指の骨の一部を失った場合(遊離骨折等) |
※「指を失った」とは、親指であれば指節間関節、その他の指であれば近位指節間関節より根元から失った場合などを指します。切断の場所によって細かく定義されています。
2. 手指の機能障害(用を廃したもの)
指自体は残っているものの、動かなくなったり、感覚がなくなったりして、指としての機能が失われた場合です。
「手指の用を廃した」とは、以下のいずれかに該当する場合を指します。
- 手指の末節骨(指の先端の骨)の長さの2分の1以上を失ったもの。
- 中手指節関節(MP関節)または近位指節間関節(PIP関節)(親指は指節間関節)の可動域が、健側の2分の1以下になったもの。
- 手指の末節の指腹部(指の腹)や側部の深部感覚および表在感覚が完全に脱失したもの(感覚が全くない)。
| 等級 | 認定基準(抜粋) |
| 第4級6号 | 両手の指の全部の用を廃したもの |
| 第7級7号 | 1手の5の手指の用を廃したもの |
| 第8級4号 | 1手の親指を含み3の手指の用を廃したもの又は親指以外の4の手指の用を廃したもの |
| 第9級13号 | 1手の親指を含み2以上の手指の用を廃したもの |
| 第10級7号 | 1手の親指の用を廃したもの |
| 第12級10号 | 1手の人差し指、中指または薬指の用を廃したもの |
| 第13級6号 | 1手の小指の用を廃したもの |
※例えば、交通事故で指の腱を断裂し、手術をしたものの指が曲がったまま伸びなくなった場合や、逆に伸びたまま曲がらなくなった場合などが該当します。
3. 指の末節骨骨折等による神経症状
指の先端部分(末節骨)を骨折した場合などは、可動域制限の基準には満たないものの、痛みや痺れが残ることがあります。この場合は、手首と同様に12級13号または14級9号の認定を検討します。
弁護士に相談するメリット
手や指の後遺障害認定において、弁護士に相談・依頼することには、以下のような具体的かつ大きなメリットがあります。
1. 正確な可動域測定のサポート
手や指の機能障害(可動域制限)の認定において最も重要なのは、「可動域の角度」です。
認定基準は「2分の1以下」「4分の3以下」と数値で明確に決まっています。例えば、健側が180度動く場合、患側が90度なら「2分の1」で10級の可能性がありますが、95度だと12級、あるいは非該当になる可能性があります。
医師は治療の専門家ですが、後遺障害等級認定の専門家ではありません。そのため、測定方法が厳密でなかったり、補助運動(無理やり動かした場合の角度)と自動運動(自力で動かせる角度)の区別が曖昧だったりすることがあります。
弁護士は、正しい測定方法で計測されているか、診断書の数値に矛盾がないかをチェックします。
2. 適切な後遺障害診断書の作成依頼
「手指の用を廃した」という認定を受けるためには、単に「動かない」と書くだけでなく、その原因(神経断裂、関節の強直など)が医学的に記載されていなければなりません。
弁護士は、どのような検査結果(MRI、神経伝導速度検査など)を添付し、どのような所見を診断書に記載してもらうべきかについて、主治医に伝えるためのアドバイスを行います。
3. 賠償金の増額交渉(弁護士基準の適用)
後遺障害等級が認定されると、等級に応じた「後遺障害慰謝料」と「逸失利益」が支払われます。しかし、相手方の保険会社は、自社の基準(任意保険基準)で算出した低い金額を提示してくるのが通常です。
【後遺障害慰謝料の比較例(10級の場合)】
- 自賠責基準: 190万円
- 任意保険基準(推定): 300万円程度
- 弁護士基準(裁判基準): 550万円
このように、弁護士が代理人として交渉し、「弁護士基準」を適用することで、慰謝料だけで数百万単位の増額が見込める場合があります。特に手や指の障害は、仕事への影響(労働能力喪失)が大きいため、逸失利益の計算においても専門的な主張・立証が金額を大きく左右します。
まとめ
交通事故による手や指の骨折は、たとえ小さな骨折であっても、繊細な機能を持つ手においては大きな障害となり得ます。
- 手首の骨折: 可動域制限の角度測定が命。TFCC損傷などの見落としにも注意。
- 指の骨折: 欠損障害と機能障害(用を廃したもの)の区分を理解する。親指は特に等級が高い。
- 等級認定: わずかな角度の差や、診断書の記載内容一つで結果が変わる。
「保険会社から提示された金額が妥当かわからない」「指が動かしにくいのに、後遺障害は無理だと言われた」といったお悩みをお持ちの方は、示談書にサインをする前に、ぜひ一度弁護士にご相談ください。
弁護士法人長瀬総合法律事務所では、交通事故の被害者救済に力を入れており、適正な後遺障害等級の認定と賠償金の獲得に向けて、専門チームが全力でサポートいたします。
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【骨盤骨折】交通事故による後遺障害等級の認定ポイント|仙腸関節・股関節の機能障害と痛み
はじめに
交通事故、特にバイクや自転車での事故や、歩行中に自動車にはねられた場合など、身体に強烈な衝撃が加わるケースで発生しやすいのが「骨盤骨折」です。
骨盤は、背骨(上半身)と大腿骨(下半身)をつなぐ身体の要(かなめ)となる部位であり、腸や膀胱、生殖器などの重要な臓器を保護する役割も担っています。そのため、骨盤を骨折すると、歩行が困難になるだけでなく、内臓損傷を伴う重篤な状態になることも少なくありません。
治療を経て骨が癒合(ゆごう)した後も、「股関節が動かしにくい」「長く歩くと腰やお尻が痛む」「左右で足の長さが変わってしまった」といった後遺症に悩まされる方は非常に多いです。
このような症状が残った場合、適切な「後遺障害等級」の認定を受けることで、適正な賠償金(慰謝料や逸失利益)を受け取ることができます。しかし、骨盤骨折による後遺障害は、骨の変形、関節の機能障害、神経症状、さらには妊娠・出産への影響など多岐にわたり、認定基準も複雑です。
本記事では、骨盤骨折によって残りやすい後遺障害の種類や、適正な等級認定を受けるためのポイントについて、交通事故に詳しい弁護士が解説します。
骨盤骨折に関するQ&A
まずは、骨盤骨折をされた被害者の方からよく寄せられる疑問について、Q&A形式でお答えします。
Q1:骨盤が変形して治ってしまいましたが、痛みはありません。それでも後遺障害になりますか?
はい、「骨盤骨の変形障害」として認定される可能性があります。
骨盤骨折の後遺障害には、痛みの有無に関わらず、骨そのものの形状が変わってしまったことに対する「変形障害」という区分があります。
具体的には、裸体になったときに、外部から見て変形が分かる程度のものであれば、12級5号が認定される可能性があります。ただし、レントゲン画像だけで変形が分かるものの、外見上は分からない(触っても分からない)程度の変形は、等級認定の対象外となることが多い点に注意が必要です。
Q2:骨折自体は治癒しましたが、腰とお尻のつなぎ目あたりが常に痛みます。
仙腸関節(せんちょうかんせつ)の障害による「神経症状」の可能性があります。
骨盤の後ろ側にある仙骨と腸骨をつなぐ「仙腸関節」は、強い衝撃でズレや損傷が生じやすい部位です。画像上、明らかな骨折が治っていても、仙腸関節の適合が悪くなったり、周囲の靭帯や神経が損傷したりすることで、慢性的な痛み(疼痛)が残ることがあります。
この場合、痛みの原因が医学的に証明できれば12級13号、医学的な説明がつく程度であれば14級9号が認定される可能性があります。
Q3:女性の場合、将来の出産への影響も後遺障害として認められますか?
はい、骨盤の変形により自然分娩が困難になる場合は等級認定の対象となります。
骨盤骨折の結果、産道が狭くなってしまう場合は、11級10号(胸腹部臓器の機能に障害を残すもの)として認定される可能性があります。
解説:骨盤骨折による後遺障害の認定基準
ここからは、骨盤の構造を簡単に触れた上で、具体的な後遺障害の分類と等級認定基準について詳しく解説します。
1. 骨盤の構造と骨折の種類
骨盤は、左右一対の寛骨(かんこつ)と、中央にある仙骨(せんこつ)、尾骨(びこつ)で構成されています。さらに寛骨は、腸骨(ちょうこつ)、坐骨(ざこつ)、恥骨(ちこつ)という3つの骨が組み合わさってできています。
交通事故では、以下のような骨折が多く見られます。
- 寛骨臼(かんこつきゅう)骨折: 大腿骨頭がはまるソケット部分(股関節)の骨折。関節機能に影響が出やすい。
- 骨盤輪(こつばんりん)骨折: 骨盤のリング構造が壊れる骨折。不安定性が強く、重症化しやすい。
- 仙腸関節脱臼骨折: 仙骨と腸骨のつなぎ目が外れたり折れたりするもの。
これらの損傷部位や程度によって、認定される後遺障害の種類が異なります。
2. 骨盤骨の「変形障害」
骨折した部分が、元の形とは違う形でくっついてしまった(変形癒合した)場合です。
第12級5号:骨盤骨に著しい変形を残すもの
ここで言う「著しい変形」とは、裸体になったときに、外部から見て明らかにその変形が分かる程度のものを指します。
衣服を着ていて分からないのはもちろん、レントゲン写真では変形が確認できても、外見上分からなければこの等級は認定されません。ただし、変形によって痛みがある場合は、別途「神経症状」としての等級認定を検討します。
3. 股関節の「機能障害(可動域制限)」
骨盤骨折が股関節の一部である「寛骨臼」に及んだ場合や、長期間の固定により関節が固まってしまった場合、股関節の動く範囲(可動域)が狭くなることがあります。
第10級11号:1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
股関節の可動域が、健康な側(健側)の可動域と比べて2分の1以下に制限された場合です。
第12級7号:1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
股関節の可動域が、健康な側の可動域と比べて4分の3以下に制限された場合です。
※可動域の測定は、日本整形外科学会が定める厳密な測定方法に基づいて行われる必要があります。医師に測定を依頼する際は、主要運動(屈曲・伸展など)だけでなく、参考運動もしっかり測定してもらうことが重要です。
4. 神経症状(痛み・痺れ)
骨の変形や可動域制限が認定基準に達しない場合でも、患部に痛みが残っている場合は「神経症状」として等級認定を求めます。
第12級13号:局部に頑固な神経症状を残すもの
レントゲン、CT、MRIなどの画像検査により、痛みの原因となる異常所見(骨の不整癒合や関節面の不適合など)が他覚的に証明できる場合です。
第14級9号:局部に神経症状を残すもの
画像上の明らかな異常までは指摘できなくても、事故の状況、治療経過、症状の一貫性などから、痛みの存在が医学的に説明できる場合です。
骨盤骨折では、骨折部の痛みだけでなく、仙腸関節の痛みや、骨盤内を通る神経の損傷による下肢の痺れ(坐骨神経痛など)が生じることがあります。
5. 下肢の短縮障害
骨盤骨折(特にマルゲーヌ骨折などの垂直方向の不安定性を伴う骨折)により、骨盤が上にずれたまま固まってしまうと、結果として脚の長さが短くなったのと同じ状態(見かけ上の短縮)になることがあります。
また、骨盤の傾きにより機能的な脚長差が生じることもあります。
- 第8級5号: 1下肢を5センチメートル以上短縮したもの
- 第10級8号: 1下肢を3センチメートル以上短縮したもの
- 第13級8号: 1下肢を1センチメートル以上短縮したもの
この場合、上前腸骨棘(骨盤の出っ張り)から内果(足首の内くるぶし)までの長さを測定し、健側と比較して判定します。
6. 生殖機能への影響(分娩困難)
女性の場合、骨盤骨折によって骨盤腔(産道となる通り道)が狭くなり、正常な分娩ができなくなることがあります。
第11級10号:胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの
産道が狭窄し、帝王切開による出産を余儀なくされる場合などが該当します。これを確認するためには、骨盤計測の検査結果などが必要となります。
弁護士に相談するメリット
骨盤骨折は、単に「骨が折れた」というだけでなく、身体のバランスや歩行機能、さらには内臓機能にまで影響を及ぼす複雑な外傷です。そのため、適正な後遺障害等級を獲得するためには、専門的な知識と戦略が必要不可欠です。
1. 必要な検査の提案と「変形」の立証
骨盤の変形や仙腸関節の異常は、通常のレントゲンだけでは分かりにくいことがあります。弁護士は、3D-CT(骨を立体的に撮影する検査)などの精密検査を受けるようアドバイスを行い、視覚的に分かりやすい証拠を揃えます。
また、「変形障害」における「外見上の変形」を立証するために、患部の写真を適切な角度から撮影して提出するなどのサポートも行います。
2. 股関節の可動域測定のチェック
股関節の機能障害(可動域制限)は、測定数値がわずか数度違うだけで、等級が認定されるかどうかが変わってきます(例:10級か12級か、あるいは非該当か)。
医師であっても、後遺障害認定のための厳密な測定方法に精通していない場合があります。弁護士は、測定方法が適正か、診断書の記載に不備がないかをチェックし、必要に応じて修正を依頼します。
3. 慰謝料・逸失利益の増額交渉
骨盤骨折による後遺障害は、労働能力に大きな影響を与えます。しかし、保険会社は「デスクワークなら影響は少ないはずだ」などと主張し、逸失利益(将来の収入減少分)を低く見積もることがあります。
弁護士は、被害者の方の具体的な職業や業務内容、日常生活への支障を具体的に主張・立証し、裁判所基準(弁護士基準)に基づいた適正な賠償金の獲得を目指します。
例えば、後遺障害12級が認定された場合、保険会社の提示額(任意保険基準)と弁護士が交渉する場合の基準(裁判所基準)では、後遺障害慰謝料だけでも約200万円(12級の場合、基準額290万円に対し、提示額は100万円以下等のケースが多い)もの差が出ることがあります。
まとめ
骨盤骨折による後遺障害は、以下のポイントが重要です。
- 多岐にわたる障害: 変形、関節の動き、痛み、脚の短縮、分娩への影響など、様々な形で症状が現れます。
- 画像診断の重要性: 3D-CTなどを活用し、骨のズレや変形を正確に記録することが認定への第一歩です。
- 外見上の変形の確認: 変形障害の認定には「裸体で見て分かる」ことが要件となります。
- 専門家のサポート: 複雑な認定基準をクリアし、適正な賠償を得るためには、交通事故に強い弁護士のサポートが有効です。
「治療が終わっても痛みが引かない」「以前のように歩けなくなった」とお悩みの方は、諦めずに弁護士へご相談ください。弁護士法人長瀬総合法律事務所では、重傷事案の解決実績が豊富にあります。適正な等級認定と賠償金の獲得に向けて、全力でサポートいたします。
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【複数部位の骨折】後遺障害等級の「併合」完全ガイド|計算ルールと実務上の注意点
はじめに
交通事故、特にバイクや自転車での転倒事故や、歩行中に自動車にはねられた場合などは、身体の一箇所だけでなく、腕と足、首と腰など、複数の部位を同時に骨折してしまうことが少なくありません。
治療を尽くしても複数の箇所に後遺症が残ってしまった場合、後遺障害等級はどのように決まるのでしょうか。「足の障害が12級、手の障害が12級だから、合わせて24級?」あるいは「足して6級?」といった単純な計算にはなりません。
後遺障害等級制度には、複数の障害がある場合の計算ルールとして「併合(へいごう)」という仕組みが存在します。
この併合ルールは非常に複雑で、どのルールが適用されるかによって、最終的な等級(併合等級)が変わり、受け取れる賠償金の額が数百万、数千万円単位で変動することも珍しくありません。
本記事では、複数の部位を骨折し、複数の後遺症が残った場合に適用される「併合認定」の基本的なルールから、間違いやすい「系列(けいれつ)」の考え方、実務上の注意点について、交通事故に強い弁護士が分かりやすく解説します。
併合認定に関するQ&A
まずは、複数の怪我をした場合の後遺障害等級について、よくある疑問にQ&A形式でお答えします。
Q1:右腕の骨折で12級、左足の骨折でも12級に該当する場合、最終的な等級はどうなりますか?
ルールに基づき等級が繰り上がり、「併合11級」となります。
13級以上の後遺障害が2つ以上ある場合、最も重い等級を1つ繰り上げる(重くする)というルールがあります。このケースでは、重い方(どちらも同じですが)の12級を1つ繰り上げて、11級と認定されます。
Q2:むちうちで14級、腰の骨折による痛みで14級が認定されました。合わせると13級になりますか?
いいえ、この場合は繰り上げられず、「併合14級」のままとなります。
最も軽い等級である14級に関しては、いくつあっても等級を繰り上げるというルールが適用されません。したがって、14級の障害が複数あっても、最終結果は14級となります。
Q3:腕の骨折で「関節の機能障害(動きが悪い)」と「変形障害(曲がってくっついた)」の両方が残りました。これも併合されますか?
原則として併合されず、上位の等級がそのまま認定されるか、あるいは別の評価方法がとられます。
同一の部位(この場合は同じ腕)に生じた障害については、併合ではなく「派生(はせい)」や「加重(かじゅう)」といった別の関係として扱われることが多く、単純な併合ルールが適用されない場合があります(詳細は後述の「系列」の項目で解説します)。
解説:後遺障害等級「併合」の基本ルール
交通事故で複数の部位に後遺障害が残った場合、それぞれの部位ごとに等級を判断した上で、「併合(へいごう)」という処理を行って最終的な等級を決定します。
併合処理には、主に「併合繰上げ(等級が重くなる)」と「併合維持(等級が変わらない)」の2つのパターンがあります。
1. 併合繰上げ(等級が重くなるケース)
認定された等級のうち、最も重い等級を基準にして、以下のルールに従って等級を繰り上げます。
① 13級以上の後遺障害が2つ以上ある場合 ⇒ 最も重い等級を「1級」繰上げる
- 【例】12級(手首の痛み) + 12級(足首の痛み)
⇒ 重い方の12級を1つ繰り上げて、「併合11級」となります。 - 【例】10級(腕の可動域制限) + 12級(骨折部の変形)
⇒ 重い方の10級を1つ繰り上げて、「併合9級」となります。
② 8級以上の後遺障害が2つ以上ある場合 ⇒ 最も重い等級を「2級」繰上げる
- 【例】8級(肘関節の用廃) + 8級(膝関節の用廃)
⇒ 重い方の8級を2つ繰り上げて、「併合6級」となります。 - 【例】6級(腕の欠損) + 8級(脚の短縮)
⇒ 重い方の6級を2つ繰り上げて、「併合4級」となります。
③ 5級以上の後遺障害が2つ以上ある場合 ⇒ 最も重い等級を「3級」繰上げる
- 【例】5級(片足の全廃) + 5級(片腕の全廃)
⇒ 重い方の5級を3つ繰り上げて、「併合2級」となります。
※ただし、繰り上げの結果、等級が1級を超えることはありません。また、それぞれの障害ごとの賠償額の合計が、繰り上げ後の等級の賠償額を上回るような逆転現象が起きる場合は、調整が行われることがあります。
2. 併合維持(等級が変わらないケース)
以下のパターンの場合、等級の繰り上げは行われず、最も重い等級がそのまま最終的な等級(併合等級)となります。
14級の後遺障害が含まれる場合
14級は後遺障害の中で最も軽い等級であり、これがいくつあっても上位等級への繰り上げは行われません。
- 【例】14級(首の神経症状) + 14級(腰の神経症状)
⇒ 「併合14級」(13級にはなりません) - 【例】12級(腕の骨折後の痛み) + 14級(首の神経症状)
⇒ 「併合12級」(14級は計算上、吸収される形になります)
3. 注意が必要な「系列(けいれつ)」の概念
併合の計算をする際、最も注意しなければならないのが「系列(けいれつ)」という考え方です。
後遺障害等級表では、身体の部位や機能ごとにグループ分け(系列)がされています。
- 原則: 「異なる系列」の障害は併合する。
- 例外: 「同一系列」の障害は、併合ではなく、その部位全体として総合的に評価する(評価方法が異なる)。
同一系列とみなされる例
- 両眼の障害
右目の視力低下と左目の視力低下は、それぞれ別々に等級を出すのではなく、「両眼の視力障害」として定められた等級表(例:両眼の視力が0.1以下なら6級)を直接適用します。 - 同一上肢(腕)の障害
「右肩の機能障害(12級)」と「右手首の機能障害(12級)」は、同じ「右上肢」という系列です。この場合、単純な併合繰上げ(11級)ではなく、併合した結果が序列を乱さないか等の調整が入ることがあります。
派生関係にある場合
「骨折による変形障害(12級)」と、その変形部分が神経を圧迫して生じている「神経症状(12級)」は、通常、別々の障害とはみなされません。
「通常派生する関係」にあるため、これらは包括的に評価され、上位の等級(この場合は12級)のみが認定されます。
実例で見る併合計算シミュレーション
より理解を深めるために、よくある交通事故のケースでシミュレーションしてみましょう。
ケースA:バイク事故で右足と腰を負傷
- 障害1: 右足首の機能障害(可動域が健側の3/4以下) ⇒ 12級7号
- 障害2: 腰椎圧迫骨折による変形障害 ⇒ 11級7号
【計算結果】
- どちらも「13級以上」の障害です。
- したがって、重い方の等級(11級)を1つ繰り上げます。
結果:併合10級
ケースB:歩行中に跳ねられ、全身を打撲・骨折
- 障害1: 左大腿骨骨折後の脚の短縮(1cm以上) ⇒ 13級8号
- 障害2: むちうちによる首の痛み ⇒ 14級9号
- 障害3: 鎖骨骨折後の変形障害 ⇒ 12級5号
【計算結果】
- 3つの障害があります。
- まず、14級(障害2)は繰上げの計算に入りません。
- 次に、13級(障害1)と12級(障害3)を見ます。これらはどちらも「13級以上」です。
- したがって、最も重い等級(12級)を1つ繰り上げます。
結果:併合11級(14級は併合11級の中に含まれる形で処理されます)
ケースC:重度の後遺障害が複数残った場合
- 障害1: 右腕の全廃(用を廃したもの) ⇒ 5級6号
- 障害2: 右足の全廃(用を廃したもの) ⇒ 5級7号
【計算結果】
- どちらも「5級以上」の障害です。
- したがって、重い方の等級(5級)を3つ繰り上げます。
結果:併合2級
実務上の注意点と弁護士の役割
併合認定は自動的に正しく行われるとは限りません。被害者の方が損をしないために、実務上注意すべきポイントがあります。
1. 「併合」と「既存障害(素因減額)」の違い
今回認定された等級が「併合」によるものなのか、それとも元々持っていた障害(既存障害)を加味して調整されたものなのかを区別する必要があります。
例えば、以前の事故で14級を持っていて、今回の事故で新たに別の14級相当の怪我をした場合、結果は「併合14級」ですが、保険会社によっては「既に14級があったのだから、新たな支払いは不要」といった主張をしてくることがあります(これを「加重障害」の計算といいます)。
正しいルールが適用されているか、専門家のチェックが必要です。
2. 「みなし系列」や「派生関係」の誤った適用
保険会社側は、複数の症状を「別々の障害」として併合認定するのではなく、「一つの原因から派生した一連の症状」としてまとめて扱い、低い等級で認定してくる場合がありえます。
例えば、「骨折による痛み」と「可動域制限」を別々に評価せず、「可動域制限の中に痛みも含まれる」として、低い方の等級を無視するケースなどです。
弁護士は、それぞれの症状が独立した評価対象であることを医学的・法的に主張し、正しい併合等級の獲得を目指します。
3. 賠償額の大幅な違い
等級が1つ違うだけで、賠償額(特に後遺障害慰謝料と逸失利益)は大きく変わります。
併合のルールを適用して12級が11級になれば、弁護士基準の慰謝料だけでも290万円から420万円へと増額します。逸失利益を含めればその差はさらに広がります。
「たかが1級の違い」と思わず、適正な計算がなされているかを確認することが重要です。
まとめ
複数部位の骨折における後遺障害等級の認定は、単なる足し算ではなく、複雑な「併合ルール」に基づいて決定されます。
- 基本は「繰上げ」: 13級以上が2つなら1級アップ、8級以上なら2級アップ。
- 14級の壁: 14級はいくつあっても繰り上がらない。
- 系列の罠: 同じ部位や関連する機能の障害は、単純な併合にならないことがある。
ご自身の症状が最終的にどの等級になるのか、保険会社の提示している等級や賠償額が正しい計算に基づいているのかを判断するのは、一般の方には困難です。
複数の部位にお怪我をされた方は、適正な補償を受け取るためにも、示談をする前に一度、交通事故に詳しい弁護士にご相談されることをお勧めします。
弁護士法人長瀬総合法律事務所では、複雑な後遺障害事案の解決実績が豊富にあります。
等級認定の申請から賠償交渉まで、トータルでサポートいたします。
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腕・肘の骨折(上腕骨・尺骨・橈骨骨折の後遺障害、関節可動域への影響)

はじめに
交通事故で腕(上腕)や前腕(尺骨・橈骨)、肘関節を強打すると、上腕骨骨折や尺骨・橈骨骨折をはじめ、肘関節の骨折や脱臼など多様なケガを負うリスクがあります。腕は物を持つ、曲げ伸ばしして生活動作を行うなど日常生活に不可欠な機能を担っているため、骨折後に関節可動域が制限されると、仕事や家事に大きな制限を残すことが珍しくありません。また、骨折片が神経を損傷し、しびれや筋力低下が長期化する例もあり、後遺障害として12級〜7級などの等級が想定されます。
本稿では、腕・肘の骨折(上腕骨・尺骨・橈骨骨折)に伴う後遺障害や関節可動域への影響を解説します。事故後に肘が曲がらない、手首が回せないなどが続く場合、適切な手術・リハビリを行わないと後々まで障害を残す恐れが高いため、早期から医師と弁護士へ相談し、保険会社の軽視に対抗することが重要です。
Q&A
Q1:腕の骨折で肘関節が固まってしまうケースはあるのでしょうか?
あります。上腕骨骨幹部骨折や肘周囲の骨折で長期固定や不十分なリハビリが続くと、肘関節が拘縮を起こし、屈伸角度が狭くなることがあります。可動域が一定以上失われると12級〜10級の後遺障害が認定される場合があります。
Q2:尺骨・橈骨の前腕骨折で、手首の回内回外(ひねる動き)ができない状態も後遺障害になるのでしょうか?
はい。回内回外(プロネーション・スピネーション)の可動域低下も後遺障害として認められます。骨癒合の際にズレが生じたり、手術固定によって前腕の捻転角度が狭まると12級13号あたりが検討されます。
Q3:神経を巻き込む骨折とは具体的にどのような状態でしょうか?
骨片や腫脹が上腕の橈骨神経・尺骨神経、前腕の正中神経・尺骨神経等を圧迫・断裂するケースです。結果としてしびれや手指の巧緻運動低下、手首背屈不可など後遺障害が残る可能性が高くなります。
Q4:腕の骨折で1年以上リハビリが必要ですか?
複雑骨折や関節内骨折などの場合、関節可動域を取り戻すために1年以上リハビリが続くケースは珍しくありません。保険会社の3〜6ヶ月程度で治るという見方は実情と異なり、弁護士が医師の所見を活用し治療打ち切りを防ぐことがよくあります。
Q5:腕が曲がらなくなったり、手首が回せなくなったら、具体的にどの等級が想定されるのでしょう?
肘や手首の可動域制限は12級〜が適用されます。詳細は医師の測定結果次第です。
Q6:主婦が腕を骨折して包丁が握りにくい、洗濯物を干せないなど支障が大きい場合、逸失利益は認められますか?
認められます。家事労働の逸失利益として、賃金センサス女性労働者平均などを基礎収入に計算する仕組みがあり、後遺障害等級に応じて一定の労働能力喪失率が掛け合わされます。弁護士が具体的家事内容を立証すれば大きな賠償金につながります。
解説
上腕骨骨折(肘寄りを除く)
- 骨折の種類
- 近位部骨折は肩関節に影響、骨幹部骨折は神経巻き込みが多い。遠位部骨折は肘関節に近い。
- 交通事故では斜骨折や粉砕骨折が多く、手術固定が必要な場合が多数。
- 後遺障害のリスク
- 肘関節との連動で腕の挙上や屈曲伸展に支障
- 神経麻痺(橈骨神経など)
- 変形治癒や骨短縮
尺骨・橈骨骨折(前腕骨折)
- 両骨骨折
- 交通事故で強い外力が加わり、尺骨と橈骨が同時に折れる → 不安定骨折で手術が必要。
- リハビリを怠ると回内回外や肘・手首の動きが拘縮、12級など後遺障害認定。
- 単独骨折
- 橈骨遠位端骨折(コーレス骨折)など → 手首可動域制限が残る例多し。
- 保存療法でもズレが大きいと変形治癒で「手首が曲がらない」
- 神経合併損傷
- 骨片が正中神経・尺骨神経を傷付け → 指のしびれ、巧緻動作困難
肘周辺の骨折・関節可動域への影響
- 肘関節内骨折
上腕骨の遠位端骨折や橈骨頭骨折、肘関節脱臼合併など → 関節が複雑に破壊され可動域制限が顕著に残る。 - 可動域制限の評価
肘の屈曲伸展角度、前腕の回内回外角度を計測
弁護士に相談するメリット
- 治療打ち切り防止
長期リハビリが必要な腕・肘の骨折 → 弁護士が医師の意見書を提示し、保険会社の早期打ち切りを防ぐ。 - 後遺障害診断書の充実
可動域測定結果(屈曲伸展、回内回外など)や痛み・しびれの程度を詳細に記載 → 12級〜など上位認定狙い。 - 神経症状の立証
MRIや神経伝導検査で麻痺・しびれを客観的に証明 → 9級の可能性も出てくる。 - 家事・仕事影響の大きさを示す
弁護士が具体例を示し、逸失利益や家事労働損害を高めに算定 → 示談金増額につなげる。 - 弁護士費用特約
- 腕・肘骨折で示談金数百万円〜1千万円超となる例多々 → 特約で費用負担を軽減して依頼 → 大幅な増額分を受け取れる。
まとめ
腕・肘の骨折(上腕骨・尺骨・橈骨骨折)では、
- 上腕骨骨折:肩可動域・肘運動障害
- 尺骨・橈骨骨折:回内回外、手首可動域制限、骨短縮・変形
- 肘関節内骨折:屈伸角度失われる
- 神経損傷:しびれ・麻痺
- 弁護士介入:追加検査・リハビリ継続、後遺障害申請で示談金大きくアップ
弁護士法人長瀬総合法律事務所では、腕・肘骨折で可動域制限やしびれが残った被害者の方に対し、正確な診断書作成や裁判所基準での交渉により、高位等級や大きな逸失利益を認めさせる実績が多くあります。事故後に腕の痛みや動きの悪さが続く場合は、ぜひ早期にご相談ください。
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肋骨骨折(多発肋骨骨折による呼吸障害・変形障害の評価)

はじめに
交通事故で胸部に強い衝撃が加わると、肋骨骨折が生じやすく、特に多発肋骨骨折では肺や胸膜など呼吸器系への影響や、胸郭変形に伴う長期障害が懸念されます。肋骨は胸郭を形成し、呼吸運動や内臓保護に関わる重要な骨で、軽度なヒビでも強い痛みがあり、複数本が折れると呼吸障害や肺挫傷を合併する可能性もあります。これらが後遺障害として評価される場合、呼吸機能障害や変形障害が等級認定の鍵となります。
本稿では、肋骨骨折に焦点を当て、多発肋骨骨折の場合に生じる呼吸障害や胸郭変形などの後遺障害評価について解説します。事故後に胸の痛みが長引く、呼吸がしづらいと感じる場合は、レントゲンやCTで肋骨の状態をチェックし、内臓損傷がないかも確認する必要があります。保険会社が軽症扱いすることも多い部位ですが、弁護士と連携して症状の深刻度を立証すれば、示談金が大幅に変わる事例も少なくありません。
Q&A
Q1:肋骨骨折は単なるヒビでも痛いのですよね? なぜそんなに痛みが強いのでしょうか?
肋骨は呼吸運動や上半身の動きで常に動くため、わずかなヒビでも痛みが強く長引く傾向があります。くしゃみ・咳・笑いでも痛みが増すため、日常生活に支障が大きいです。
Q2:多発肋骨骨折とは何を指しますか?
複数本の肋骨が同時に折れる、あるいは同じ肋骨の複数箇所が折れている状態(フレイルチェスト)を指します。胸郭が不安定になり、呼吸困難や肺損傷のリスクが上昇します。
Q3:フレイルチェストになるとどのくらい重症化するのでしょう?
フレイルチェストでは胸郭の一部が呼吸時に逆方向に動く(動揺胸郭)ため、十分な換気ができず呼吸不全を起こすことがあります。集中治療や人工呼吸管理が必要になり、後遺障害として呼吸機能や胸郭変形が認定される例があります。
Q4:肋骨骨折が原因で肺が損傷したり、胸膜が傷つくこともありますか?
はい。鋭利な骨片が肺や胸膜を突き刺して気胸や血気胸、肺挫傷を起こす恐れがあります。これらが後に肺機能低下を引き起こす場合、呼吸機能障害の後遺障害となる可能性も。
Q5:骨折後に呼吸障害が残ったら、後遺障害等級はどのくらいでしょうか?
呼吸機能障害は幅広く、肺活量などの呼吸機能検査結果で判定します。
Q6:肋骨骨折で胸郭変形が残るって、具体的にはどういう状態でしょう?
肋骨がずれて癒合し、胸郭の形が歪んだり、前面に盛り上がりや陥没ができたりして、呼吸時の動きが不自然になる状態です。外見上分かりやすい変形や、呼吸時の可動性制限が顕著なら、後遺障害として等級認定が検討されます。
解説
肋骨骨折のメカニズムと種類
- 単発骨折
- 1本だけヒビが入る、折れるなど軽度〜中度のケース。
- 咳やくしゃみでも痛みが強く、固定しにくい部位のため自然治癒を待つ保存療法が中心。
- 多発骨折(フレイルチェスト)
- 肋骨が複数本、あるいは同一肋骨が2箇所以上折れて胸郭が自由に動いてしまう状態。
- 呼吸不全を起こすリスクが高く、重症例では集中治療管理や胸郭安定化手術が行われる。
- 合併症
- 気胸・血気胸:骨片が肺や血管を損傷 → 胸腔内に空気や血液が溜まる。
- 肺挫傷:肺組織が打撲され内出血や腫れ → 酸素交換の障害。
後遺障害となる症状
- 呼吸障害
- 多発肋骨骨折後、胸郭の可動性が低下し息苦しさや肺活量低下が続く。
- 呼吸機能検査(スパイロメトリー)で肺活量や一秒量を測定 → 障害程度を算定する。
- 胸郭変形
- 肋骨が変形癒合し、外観上盛り上がりや歪みが残る。呼吸時の動きが不自然で痛みが続く場合、醜状障害や機能障害として認定される可能性。
- 重度なら肋骨の固定や胸郭の不安定が原因で日常動作に大きな制限。
- 神経痛・慢性疼痛
- 肋骨骨折で肋間神経を刺激し、慢性的に肋間神経痛が続くことも。14級9号の神経症状扱いで認定される例がある。
示談交渉・後遺障害等級の評価
- 呼吸機能障害の検査
- 肺活量などを計測する呼吸機能検査が後遺障害評価の根拠となり、軽度〜重度に応じて等級が分かれる。
- 変形障害・醜状障害
- 骨が突出したり大きく沈むなど、見た目に明らかな異常があれば12級相当、可動域の大幅低下で10級〜を狙うケースも。
- 弁護士が写真やCTで客観的に変形を立証し、保険会社の過小評価を防ぐ。
- 肺損傷の合併
- 肋骨骨折で肺挫傷・気胸を起こし、慢性的な呼吸不全が残った場合 → 高位等級も検討対象。
- 弁護士は呼吸機能検査やCTを元に医師の意見書を整備し、示談金を大きく増額させる。
弁護士に相談するメリット
- 医学的資料の整備
肋骨骨折で「軽症」扱いされがち → 弁護士が呼吸機能検査や胸部CTなど追加検査を要請し、後遺障害をしっかり立証。 - 高位等級の申請
呼吸機能障害が中度以上なら重度の後遺障害の可能性 → 弁護士が等級認定基準を精査し、裁判所基準で示談金を算定。 - 変形障害や神経痛の評価
- 胸郭変形が視覚的にわかる場合、醜状障害も考慮。肋間神経痛で慢性痛があるなら14級9号主張。
- 治療費打ち切り対策
弁護士が医師の所見で「まだ呼吸リハビリが必要」「骨癒合不十分」と保険会社に説明し、治療継続を認めさせる。 - 弁護士費用特約
多発肋骨骨折で高額示談金が見込まれるなら特約で費用リスクなく依頼 → 得られる増額分が大きい。
まとめ
肋骨骨折(多発肋骨骨折による呼吸障害・変形障害の評価)では、
- 多発骨折(フレイルチェスト):胸郭不安定→呼吸困難→後遺障害で呼吸機能障害が認定される可能性
- 合併症(気胸・肺挫傷):肺活量低下→高位認定も
- 変形障害:肋骨変形で盛り上がり・陥没→12級程度、神経痛で14級神経症状
- 弁護士対策:呼吸機能検査・CT所見を整備→保険会社の軽視を防ぎ、示談金大幅アップ
弁護士法人長瀬総合法律事務所では、肋骨骨折で「単なる捻挫・打撲扱い」される方や、多発骨折や肺損傷を抱える重症被害者に対し、機能検査や写真資料を用いて後遺障害を証明し、裁判所基準で大きな示談金を獲得してきた経験があります。事故後に胸の痛みや呼吸しづらさが続く方は、早期にご相談ください。
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肩・鎖骨骨折(可動域制限や変形が残る場合の等級)

はじめに
交通事故で肩周辺に強い衝撃が加わると、肩関節を支える骨(上腕骨近位部など)の骨折だけでなく、鎖骨骨折が生じやすくなります。肩は複数の骨と関節・靱帯・腱によって構成されており、一度骨折や変形が起きると腕の挙上や回旋などの可動域が制限され、日常動作や仕事・家事に大きな支障を及ぼすケースがあります。さらに鎖骨は皮膚のすぐ下にあり、骨折後に変形治癒が生じると外観にも影響を残すことがあり、後遺障害の認定につながる可能性が高い部位です。
本稿では、肩・鎖骨骨折に焦点を当て、可動域制限や変形が残った場合の後遺障害等級、具体的にどのようなポイントで認定されるかを解説します。事故後に肩が上がらない、鎖骨が盛り上がっているなどの症状が続く場合は、医師の正確な診断とあわせて、保険会社との示談交渉を有利に進めるために弁護士への相談をお勧めします。
Q&A
Q1:肩・鎖骨骨折で可動域制限が残ると、具体的に何級くらいが認定されるのでしょう?
肩関節の屈曲・外転・内転などの可動域が著しく制限されれば12級〜10級程度が検討されます。軽度な痛みや筋力低下なら14級に留まることもあります。
Q2:鎖骨骨折が変形治癒すると後遺障害としてはどんな評価になりますか?
見た目に鎖骨の盛り上がりや段差などが顕著で「外観が著しく変形」している場合は、醜状障害として認定される可能性がありますが、肩の可動域制限や疼痛など機能障害と合わせて評価されることも多いです。
Q3:肩が挙がらない原因は骨折だけでなく腱板損傷や靱帯障害もあるかもしれませんが、後遺障害的にはどう扱われるのでしょうか?
骨折に伴う腱板損傷(ローテーターカフ損傷)や靱帯の断裂も、「事故で肩関節が機能障害をきたした」として可動域制限や痛みが残るなら12級や14級などで認定されます。骨折と軟部組織損傷の両面で医師の所見をまとめることが大切です。
Q4:鎖骨が折れてプレート固定した後、プレートを抜去しないと可動域が少し制限されることはありますか?
はい。固定プレートが鎖骨表面に装着されるため、動作時の違和感や痛みが残る場合があります。医師と相談し、骨癒合後に抜釘手術を行うケースも。もしプレートが原因で可動域が制限されているなら、その状態も含めて後遺障害が検討され得ます。
Q5:主婦やデスクワークでも、肩が上がらないとどのくらい逸失利益を請求できるのでしょう?
後遺障害等級が12級なら労働能力喪失率14%、10級なら27%などで賃金センサスか実収入を基に計算します。主婦も家事労働逸失利益として請求可能。弁護士に依頼すれば具体例を踏まえて高い評価を求めていきます。
Q6:骨折後に1年経っても肩がしびれたり上がらないのですが、保険会社は「そろそろ症状固定では?」と言ってきます。どうしたらよい?
弁護士が医師と連携し「まだ筋力回復の余地がある」「可動域向上が見込める」と意見書を作成してもらい、保険会社に治療継続を認めさせる交渉が可能です。十分リハビリしても改善見込みが少なければ後遺障害診断書を作成し、等級申請に移ります。
解説
肩関節・鎖骨骨折と治療法
- 肩関節周囲の骨折
- 上腕骨近位部骨折(解剖頸・外科頸)などが典型。整復固定が必要な場合もあり、転位が大きいと手術を検討。
- リハビリを怠ると肩関節が拘縮し、腕が挙がらない後遺症を残すリスク。
- 鎖骨骨折
- クラビクルバンドでの保存療法が多いが、転位が大きいとプレート固定手術を行う。
- 偽関節や変形治癒が起こると見た目や肩帯の安定性に問題が出る。
- 腱板損傷の合併
- 肩周りを強打した場合、ローテーターカフ(棘上筋など)が断裂することがあり、骨折治療だけでは肩の挙上障害が治らないケースも。
- 関節鏡手術などで修復し、長期リハビリを要する。
後遺障害等級のポイント
- 可動域制限
- 屈曲(腕を前に挙げる)・外転(横に挙げる)・回旋などの角度測定で、12級(関節機能障害)や10級などが検討される。
- 弁護士が医師に依頼し、正確な関節角度を診断書に反映するのが重要。
- 鎖骨変形・醜状障害
- 鎖骨が強く盛り上がるなど外観変形が顕著 → 醜状障害として12級相当、
- 機能障害(肩の動き)と合わせて併合される場合もある。
- 痛み・しびれ(神経症状)
- 長期の痛みやしびれが残れば14級9号で認定されることが多い。
- ただし客観的所見が薄いと非該当リスク。弁護士がMRIなどで軟部損傷を立証すると有効。
示談交渉での注意点
- 医師の診断書作成
保険会社は「肩関節の拘縮が軽微」と主張しがち。弁護士が可動域測定や疼痛の度合いを詳細に医師に書いてもらう。 - リハビリ打ち切り
肩はリハビリが6ヶ月〜1年以上かかることも多く、早期打ち切りされると可動域が十分に回復しない。弁護士が治療継続を交渉。 - 家事・仕事への支障
主婦が腕を上げられない、デスクワークで腕が痛いなど具体的影響を示して逸失利益を算定。弁護士が補強資料を準備。
弁護士に相談するメリット
- 治療期間の確保
肩・鎖骨骨折で長期リハビリが必要 → 弁護士が医師の意見書で保険会社の打ち切りを阻止。 - 後遺障害診断書の強化
可動域測定、変形写真、神経症状を詳細記載し、上位等級を狙う。 - 家事・職業への影響立証
弁護士が家事労働や業務内容の具体例を示し、保険会社に逸失利益を認めさせる。主婦でも大きな賠償獲得可能。 - 示談金大幅アップ
保険会社は任意保険基準で低額提示→弁護士が裁判所基準を提示し、数倍増額を実現。 - 弁護士費用特約
肩周りのケガでも示談金が数百万〜1,000万円超になることがある。特約があれば費用負担を軽減して依頼できメリット大。
まとめ
肩・鎖骨骨折(可動域制限や変形が残る場合の等級)では、
- 上腕骨近位部骨折や鎖骨骨折 → 手術or保存療法後に変形・可動域制限が残り、12級〜の後遺障害
- 鎖骨変形治癒 → 醜状障害or 肩機能障害併合の可能性
- 腱板損傷の合併 → 腕が挙がらない症状で追加認定の可能性
- 弁護士連携 → レントゲンやMRI、可動域テスト、逸失利益算定で示談金大幅アップ
弁護士法人長瀬総合法律事務所では、肩・鎖骨骨折により腕が上がらない、骨が盛り上がって変形してしまったなどの後遺障害を負った被害者に対し、医師との連携や裁判所基準での交渉で大きな賠償金を獲得してきた実績があります。事故後に肩が動かしづらい、鎖骨が変形している方は、ぜひ早めにご相談ください。
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頚椎(首)骨折(頸椎固定、神経症状が残る場合の後遺障害)

はじめに
交通事故で首(頚椎)に強い衝撃が加わり、頸椎骨折を負うと、脊髄損傷や神経根障害など重篤な後遺障害を残す可能性が高くなります。頸椎は頭部と胴体をつなぐ重要な構造で、そこに神経(脊髄・神経根)が通っているため、骨折の位置や程度によっては四肢麻痺を招くケースもあります。幸い神経損傷を免れても、頸椎固定や可動域制限が長期に及ぶことがあるため、後遺障害として幅広い等級が想定されます。
本稿では、頚椎(首)骨折の症状や治療法、神経症状が残る場合の後遺障害リスクを解説します。事故後に首が痛い・しびれるだけと軽視されがちですが、CTやMRIで頸椎骨折や神経圧迫が見つかる例が少なくありません。早期の適切な固定・リハビリとともに、保険会社の打ち切り対応に対抗するための弁護士への相談をお勧めします。
Q&A
Q1:頸椎骨折にはどんな種類がありますか?
代表的には椎体骨折や椎弓根骨折、歯突起骨折などがあります。頸椎のC1(環椎)骨折、C2(軸椎)骨折もあり、上位頸椎の骨折は重度脊髄損傷につながりやすいです。交通事故ではハングマン骨折(C2椎弓根骨折)などが挙げられます。
Q2:首の骨が折れた場合、必ず脊髄損傷になるのでしょうか?
そうとも限りません。骨折しても神経管が守られていれば脊髄を傷つけない場合もあります。ただし危険度は高く、わずかなずれでも四肢麻痺になるリスクがあり、整形外科/脊椎外科の注意深い診察が必要です。
Q3:頸椎固定とは何をするのですか?
頸椎カラー(フィラデルフィアカラーなど)で外部固定する保存療法、あるいは頸椎前方固定術や後方固定術でスクリュー・プレートを用いる外科的固定があります。固定期間中は首の可動域が制限され、術後リハビリで可動域を取り戻す必要があります。
Q4:神経症状が残った場合、どんな障害等級が想定されるでしょう?
軽度なら14級(神経症状)、重度の神経根損傷で9級、さらに脊髄損傷の程度で5級〜まで上がり得ます。四肢麻痺で常時介護が要るケースは1級と判断されることもあります。
Q5:頸椎が固定されたままだと、日常的にどのような動作が難しくなるのでしょうか?
首が十分に回らない、上下に動かせないので車の運転や後方確認が困難、家事やパソコン操作でも首の疲労感が大きくなるなど生活の多方面に影響が及びます。これらを後遺障害として可動域制限や痛みを主張する例が多いです。
Q6:保険会社は3〜6ヶ月で治ると述べていますが、長期リハビリが必要ならどうすれば?
弁護士が医師の意見書を用い、「骨癒合」「神経回復」などに時間が必要と論じ、治療費打ち切りをしないよう交渉します。首の術後は6ヶ月〜1年以上のリハビリを要することもあります。弁護士に依頼しないと保険会社の早期打ち切りを受け入れる羽目になるケースが少なくありません。
解説
頸椎骨折の症状と治療
- 骨折の種類
- C1(環椎)骨折:頭部を支える重要な骨が壊れる → 高度不安定で脊髄損傷を伴うと致命的リスク
- C2(軸椎)骨折:歯突起骨折やハングマン骨折 → 強い後方や前方への衝撃で折れる
- 下位頸椎(C3〜C7)骨折:椎体骨折や椎弓骨折、椎間板損傷を合併
- 治療方法
- 保存療法:頸椎カラー・HALOベストなど外部固定。骨癒合を期待して安静を保つ
- 手術療法:椎体にプレートやスクリューを挿入して固定、神経圧迫を除去する。術後はリハビリで筋力回復・可動域訓練
- 後遺障害のリスク
- 変形治癒や頸椎の可動域制限、神経根麻痺
- 脊髄損傷が重い → 四肢麻痺などで1級の場合もあり得る
神経症状が残る場合
- 神経根症状
- 頸椎骨折で椎間孔が狭くなり、腕や手指のしびれ、筋力低下が継続。
- 頸椎カラー解除後も慢性的な痛みや可動域制限
- 脊髄損傷
- 上位頸椎(C1〜C2)骨折で呼吸障害や四肢完全麻痺を伴う重度事例がある。
- 1級〜2級の常時介護を要する状態 → 介護費や家屋改造費なども損害賠償の対象となり、示談金が1億円規模に達するケースも
- 頭痛・めまい・吐き気
- 頸椎損傷で後頭部痛や自律神経症状が出る場合、14級など神経症状扱いがされることがある。MRIやCTで排除診断が重要。
後遺障害と示談金への影響
- 可動域制限
- 頸椎の前屈・後屈・回旋などが一定以上できない → 後遺障害等級の認定可能性がある
- 家事や仕事で首を頻繁に動かす方は逸失利益も高く算定。
- 麻痺
- 上肢・下肢に麻痺が残る →重度の後遺障害等級認定の可能性
- 等級が高いほど休業損害・逸失利益が膨大に。
- 家屋改造・介護費
- 四肢麻痺レベルでは常時介助・車いす利用 → 家屋をバリアフリー化、ヘルパー費含め数千万〜1億円超の賠償事例も。
弁護士に相談するメリット
- 打ち切り阻止、追加検査の提案
頸椎骨折は術後リハビリ1年以上必要なことも。弁護士が医師の意見書で保険会社の早期打ち切りを防ぐ。 - 後遺障害診断書の強化
頸椎可動域の測定、しびれの程度、神経根テスト結果を詳細に記載し、12級以上を狙う。 - 介護費・改造費
重度麻痺で1級〜2級の場合、介護費用(家族介護や職業介護)、家屋改造費を示談金に盛り込み高額化。 - 高次脳機能障害との関連
頸椎骨折で頭部にも衝撃が及んだ場合、弁護士がMRI・神経心理学検査を提案し、併合等級で大幅増。 - 弁護士費用特約
頸椎損傷による後遺障害は示談金数百万〜数千万レベル多発。特約があれば費用リスクを軽減して交渉を依頼可能。
まとめ
頚椎(首)骨折(頸椎固定、神経症状が残る場合の後遺障害)では、
- 頸椎骨折:C1〜C2骨折は四肢麻痺リスク大、C3〜C7でも神経根麻痺や可動域制限 → 12級〜1級
- 頸椎固定術:術後リハビリ長期化、保険会社の打ち切りに要警戒
- 麻痺が重度:後遺障害等級1級〜2級→ 介護費・家屋改造費含め示談金1億円規模
- 弁護士サポート:画像検査、追加検査、後遺障害診断書で高位等級狙う→ 裁判所基準示談金大幅アップ
弁護士法人長瀬総合法律事務所では、頚椎骨折による脊髄損傷・神経麻痺などの重症案件を多数手がけ、医師との連携や裁判所基準を用いた示談交渉で高位後遺障害等級を獲得し、保険会社の過小評価を排除しています。首や腕にしびれ・麻痺がある場合は早期にご相談ください。
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頭部・顔面骨折(頭蓋骨・顔面骨折が後遺障害に認定される基準、脳機能障害との関連)

はじめに
交通事故で頭部や顔面に衝撃を受けると、頭蓋骨骨折や顔面骨折を負う可能性があります。これらは外見の変形や神経損傷だけでなく、脳機能障害など深刻な後遺障害を伴うケースもあるため、早期の精密検査と適切な治療が不可欠です。頭部・顔面の骨折はレントゲンやCTで確認しやすい反面、びまん性軸索損傷など軽度外傷性脳損傷を見落とすリスクもあり、示談交渉で事故との因果関係を争われる場合があります。
本稿では、頭部・顔面骨折が後遺障害に認定される際の基準や、脳機能障害との関連を解説します。顎や頬骨の変形、視力低下、顔面神経麻痺といった外観や機能障害だけでなく、脳外傷による記憶障害・注意障害が見落とされる例が少なくありません。事故後に頭痛や意識障害、顔面変形などがある場合は、医師の精密検査とともに弁護士へ相談し、示談金を正当に評価してもらえるよう準備を進めましょう。
Q&A
Q1:頭蓋骨骨折で後遺障害になる例はありますか?
はい。頭蓋骨骨折自体で頭部に陥没変形が残ったり、脳挫傷などを合併して高次脳機能障害が生じれば幅広い等級の対象となります。外見上の変形が顕著なら醜状障害、脳機能障害があれば高位等級が検討されます。
Q2:顔面骨折だと何が折れるのでしょうか?
顔面骨(上顎骨・頬骨・鼻骨・下顎骨など)が折れたり、複数部位が同時に骨折することもあります。頬骨骨折で顔の左右差が生じたり、下顎骨骨折で噛み合わせ異常が起こるなど、後遺障害として外観変形や咬合障害が残るケースがあります。
Q3:頭部・顔面が骨折した場合、脳機能障害のリスクも同時に考えるべきですか?
その通りです。外見上の骨折に注目するあまり、脳挫傷や軽度外傷性脳損傷(MTBI)を見落とす例が少なくありません。CTやMRIで脳内の損傷を確認し、神経心理学的検査を受けて記憶・注意機能を評価することが重要です。
Q4:醜状障害として認定されるのはどのくらいの変形があればいいのでしょうか?
顔面の陥没や顕著な左右差、目立つ瘢痕などがあれば醜状障害が検討されます。具体的には「人目に付く程度の変形」が基準とされ、医師が撮影した写真や顔面CTなどで評価します。
Q5:頭部や顔面の骨折で高次脳機能障害になった場合、1つの等級が付くのか、別々に付くのですか?
脳機能障害と顔面変形などの障害は別々に等級が認定されることが多く、併合等級が上位になる可能性があります。たとえば高次脳機能障害が9級、醜状障害が12級と認定されれば併合8級になる場合があります。
Q6:頭部・顔面骨折の手術後に長期リハビリが必要ですか?
はい。顎骨固定や頬骨整復、頭蓋骨形成術などの術後は咀嚼訓練や発声訓練、高次脳機能リハビリが必要になることがあります。保険会社が軽傷扱いをすることもあるため、弁護士により医師の意見書を作成して示談交渉を有利に進める例が多いです。
解説
頭蓋骨骨折
- 発生状況・症状
- 頭部を道路や車内構造物に強打するなどで陥没骨折や線状骨折が起こる。脳挫傷を併発すると意識障害や神経症状。
- 軽度骨折でも後に頭痛やめまいが長引く場合、脳神経がわずかに損傷している可能性。
- 後遺障害
- 脳機能障害(記憶障害・注意障害など) → 高次脳機能障害として評価
- 外観変形(頭蓋骨陥没) → 醜状障害で評価
- いずれも重複すれば併合等級で上位になる可能性あり。
顔面骨折(頬骨・上顎骨・下顎骨など)
- 頬骨骨折
- 衝撃で頬骨が陥没し、顔面の左右差や視力障害(眼窩底骨折を伴う)を引き起こす。三叉神経支配の感覚障害が残る場合も。
- 後遺障害として醜状障害や感覚麻痺を検討。
- 上顎骨骨折
- 歯列や鼻腔に近い部分が折れ、噛み合わせ不全や顔面変形、鼻の変形を伴う場合も。
- 咀嚼障害・鼻骨変形などが後遺障害として評価され、等級は幅広い。
- 下顎骨骨折
- 下顎の左右や関節突起が折れると、顎関節にも影響して開口障害や咬合不全が残る。
- 後遺障害で咀嚼機能障害や開口障害などが考えられる。
脳機能障害との関連
- 軽度外傷性脳損傷(mTBI)
- 顔面や頭部を強打して頭蓋骨骨折が起こるような衝撃なら、脳も何らかのダメージを受けている可能性。
- CTで正常でもMRIや神経心理学的検査で微細損傷や高次脳機能障害が見つかる場合がある。
- 併合等級
- 顔面変形で12級、脳機能障害で9級 → 併合8級になるなど、複数部位の障害が認められると賠償額が大きく増える。
弁護士に相談するメリット
- 追加検査・専門医紹介
顔面骨折や頭蓋骨骨折で脳外傷を見逃していないか弁護士が確認し、神経心理学検査を受けるよう提案。 - 後遺障害診断書の的確な記載
顔面変形を写真やCTで客観的に示す、顎関節の開口・咀嚼機能、視力・嗅覚・味覚の異常などを詳細に書いてもらう。 - 醜状障害や脳機能障害の併合
弁護士が複数部位の障害をまとめて申請し、併合等級を上げて示談金アップ。 - 介護費や家屋改造費
重度の高次脳機能障害を併発すれば介護や住環境整備が必要 → 弁護士が将来費用を計上。 - 示談金大幅増
頭部・顔面骨折で外観や機能障害がある場合、保険会社は軽傷扱いできない。裁判所基準で交渉すると数百万〜数千万単位の増額が見込まれる。
まとめ
頭部・顔面骨折では、
- 頭蓋骨骨折:陥没骨折、脳機能障害合併 → 高位等級や醜状障害
- 顔面骨折(頬骨・上顎骨・下顎骨など)→ 外観変形、咬合障害、感覚麻痺 → 醜状障害や機能障害
- 脳損傷との関連 → CTで無症状でも軽度外傷性脳損傷が潜在→ 後遺障害申請で併合等級
- 弁護士サポート:追加検査(MRI/神経心理検査)、複数部位の障害を一括申請→ 示談金大幅アップ
弁護士法人長瀬総合法律事務所は、頭部・顔面骨折による外観変形、神経麻痺、高次脳機能障害など複合的な後遺障害を数多く扱い、裁判所基準での示談交渉により高額賠償を勝ち取っております。事故後に顔面の変形・痛み、頭痛・記憶障害などが続く場合は、早期にご相談ください。
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