Archive for the ‘高次脳機能障害’ Category
高次脳機能障害の事例(高額賠償が認められたケース、家族の補償など)
はじめに
交通事故による高次脳機能障害は、記憶障害や注意障害、遂行機能障害など生活全般に深刻な影響を及ぼし、被害者本人だけでなく家族の介護負担も大きくなります。そのため、後遺障害等級が高位に認定された事案では、慰謝料や介護費用、逸失利益を合わせた高額賠償が認められるケースが少なくありません。本稿では、高次脳機能障害における事例を取り上げ、どのように高額な賠償金が認められたのか、また家族の補償(家族介護料や近親者慰謝料など)についても解説します。
実際の裁判や示談交渉で、被害者側が脳損傷の程度や日常生活への支障を丁寧に立証することで、数千万円~1億円近い賠償が認められたケースもあります。これらの事例を知ることで、保険会社の過小評価に対抗する際の戦略や、家族がどのような補償を請求できるかを理解する一助となれば幸いです。
Q&A
Q1:高次脳機能障害の高額賠償で、具体的にどんな項目が加算されるのでしょう?
後遺障害慰謝料、逸失利益、そして介護費(常時介護を要する場合)が大きなウェイトを占めます。また、家屋改造費(車椅子対応やバリアフリー改修)や家族の精神的苦痛(近親者慰謝料)などが認められるケースもあります。
Q2:重度の場合、裁判所で1億円超の賠償が認められた事例もあると聞きましたが、本当ですか?
はい、脊髄損傷や重度の高次脳機能障害で常時介護が必要なレベルだと、逸失利益+介護費用が長期に及び、1億円超の高額賠償になる判例があります。被害者の年齢や職業収入、介護体制の詳細によって額が左右されます。
Q3:軽度の高次脳機能障害でも、判例で増額が認められた例はあるのでしょうか?
軽度でも仕事や日常生活に大きな影響があることを立証できれば、9級・12級でも相応の慰謝料や逸失利益を得られた事例があります。過去の裁判例等を参照し、弁護士が適切に主張するのが重要です。
Q4:家族が介護している場合、家族介護費用や近親者慰謝料は具体的にどのくらい認められるんですか?
後遺障害等級の程度にもよりますが、家族介護費として1日あたり6,000円~8,000円程度が認定された例もあります。また、近親者慰謝料が認容・加算される判例もあります。
Q5:示談交渉だけでは高額になりにくいと聞きましたが、やはり裁判まで行ったほうがいいですか?
保険会社は示談段階で裁判所基準より低額を提示する傾向にあります。弁護士が「裁判になればこれだけ認められた判例がある」と主張して示談交渉で譲歩を引き出すこともあり、示談で高額解決できる場合もあります。交渉で折り合わなければ裁判を選択し、判例を根拠に高額賠償を狙うケースもあります。
Q6:主婦や無職でも高い等級が認定され、高額賠償を得た事例はありますか?
あります。主婦(家事労働)なら家事従事者としての家事労働の逸失利益が大きく認められたり、無職でも賃金センサスを基準に就労可能性を推定することで高額賠償を得られるケースもあります。若年者なら将来収入を高めに認定し、大きな逸失利益が認められることも考えられます。
解説
高次脳機能障害の典型的な高額賠償事例
- 常時介護が必要(1級・2級認定)
- 頻繁に失禁したり、自己判断で外出すると迷子になるなど、家族が24時間監視・介護しなければならないレベル。
- 判例で介護費用(家族介護料かプロ介護か)、後遺障害慰謝料、逸失利益(働けない状態が続く)などが合計1億円超に達する事例もある。
- 職場復帰が不可能、かつ高収入だった事例
- 事故前に会社役員や専門職(医師、弁護士、コンサルなど)で年収が数千万円だったケース。
- 高次脳機能障害で思考力・注意力が著しく低下し、職務遂行不能に。逸失利益が大きく算定される。
- 若年者で将来長期の収入喪失
- 10代~20代で事故に遭い、記憶・遂行機能障害が残ったため大学進学や就職が困難になった例。
- 67歳(または70歳)までの就労可能期間全体の逸失利益を認め、介護が必要なら将来介護費も加算されて1億円超になるケースもある。
家族の補償(家族介護費・近親者慰謝料)に関する事例
- 家族介護費
- 重度障害で在宅介護を選択した場合、家族が介護を行うときにも1日6,000円〜8,000円程度が認められる事例もある。
- 長期間にわたる場合、将来介護費をライプニッツ係数で計算し、数千万円超規模になる。
- 近親者慰謝料
- 被害者本人の障害が重く家族の苦痛が大きい場合、近親者慰謝料として加算されることがある。
- 参考例:子どもが事故で高次脳機能障害となり、家族が介護に追われるケースで加算された事例等。
- 家屋改造費・車いす・ヘルパー費用
- 重度障害で車いす生活となったり、家のバリアフリー改修が必要な場合、判例では数百万円以上が認められた事例もある。
- 家族介護だけでは難しく、ヘルパーを導入する費用も保険会社に請求可能。
示談交渉・裁判でのポイント
- 医療・リハビリ関係者の証言・書類
- 家族が「介護が大変です」と言うだけでは保険会社が軽視することもある。医師や作業療法士の意見書を得て、「一人で調理や買い物ができない」など具体的支障を示す。
- 介護実態日誌や周囲の証言が採用され、大きな増額に結びつくこともある。
- 専門的交渉
- 保険会社は「脳外傷でも軽度ならそこまで労働能力は落ちない」などと過小評価しがち。弁護士が高次脳機能障害の深刻度を論理的に押し出す。
- 事案により裁判も視野に入れ、高額賠償を得るために粘り強い交渉。
- 早期相談の重要性
- 時間が経つほど事故との因果関係が立証しにくくなる。可能な限り早い段階で弁護士に相談し、神経心理学的検査や専門医の受診を行い、証拠をそろえることが大切。
弁護士に相談するメリット
- 過去判例の豊富なデータ
高次脳機能障害の高額賠償が認められた判例を提示し、保険会社に示談金アップを要求できる。 - 医療ネットワークで誤診を防ぐ
弁護士が専門医やリハビリ施設と連携し、MRI検査や神経心理学検査を受けてもらう。 - 家族の負担・介護費も請求
在宅介護の実態を弁護士が調査し、家族介護費や近親者慰謝料の増額を保険会社に主張。 - 裁判基準での検討
示談で折り合いがつかなくても、高額判例を引用し、適切な賠償を勝ち取る。 - 弁護士費用特約の利用
高次脳機能障害の長期化案件でも、特約で費用負担を軽減して弁護士に依頼が可能。
まとめ
高次脳機能障害の判例・事例を見てみると、
- 後遺障害等級
重度(1〜2級)で常時介護が必要 → 1億円超の賠償も
軽度でも日常生活・仕事に支障 → 9級・12級でも相応の増額事例あり
- 家族の補償
家族介護費、近親者慰謝料、家屋改造費などが数百万円〜数千万円に上る事例 - 医療・検査の充実
適切に検査・リハビリを受けることで裁判所が障害実態を理解しやすい
弁護士法人長瀬総合法律事務所では、高額賠償が認められた事例や家族介護費の確保、介護体制の充実を支援したケースもあり、被害者の生活再建に向けて最善策を提案します。高次脳機能障害が疑われる場合は、事故後しばらく経っていてもお気軽にご相談ください。
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高次脳機能障害に強い弁護士の探し方(専門知識・医療ネットワークの有無)
はじめに
交通事故による頭部外傷で高次脳機能障害が発症すると、記憶障害、注意障害、遂行機能障害など複合的な認知機能の低下が生じ、日常や仕事に大きな影響が及びます。外見だけでは分からない障害のため、保険会社が過小評価して後遺障害等級の認定を厳しくするケースも少なくありません。そのような状況を打開するには、高次脳機能障害に強い弁護士のサポートが有効です。
しかし、一般的な弁護士に比べて高次脳機能障害の専門知識を持ち、さらに医療ネットワークを活用して適切な検査・診断を確保できる弁護士を探すのは容易ではありません。本稿では、高次脳機能障害に強い弁護士の探し方として、専門知識や医療ネットワークの有無をどのように確認すればよいか、また依頼するうえで注目すべきポイントを解説します。被害者と家族が的確な後遺障害認定と十分な賠償を得るために、弁護士選びは重要です。
Q&A
Q1:医療ネットワークとは具体的に何ですか?
たとえば、弁護士が脳神経外科医やリハビリ施設、神経心理学検査機関と連携している状態です。被害者が適切な検査・診断を受けられるよう導き、医師との意見交換を通じて事故との因果関係をしっかり立証する仕組みです。これがあると誤診や見落としを最小限に抑えやすいメリットがあります。
Q2:ネット上で「高次脳機能障害に強い」と書いてある弁護士事務所は、どうやって裏付けを取ればいいですか?
事務所のホームページで具体的な事例を掲載しているか、過去の裁判・示談実績でどれだけ高次脳機能障害案件を扱っているかを見ます。また、面談時に「これまでに脳外傷の後遺障害で○○級を取った事例がありますか?」など、具体的な質問をして確認するのが効果的です。
Q3:依頼する前に、複数の弁護士に相見積りして比較してもいいでしょうか?
もちろん可能です。費用体系(着手金・成功報酬など)や専門性、医療連携の有無を聞き比べると良いでしょう。相手に失礼ということはありませんし、自分に合った弁護士選びのために大切なプロセスです。
解説
専門知識を見極めるポイント
- ホームページの解説や事例
- 高次脳機能障害について詳細に言及し、WAIS-ⅣやWMS-Rなどの検査名や後遺障害等級を具体例とともに載せている事務所は専門度が高い可能性。
- 解決事例として「14級→9級に認定」「1億円近い賠償を獲得」など具体的成果を示しているかも確認。
- 初回相談での質疑応答
- 例えば「神経心理学的検査を知っているか?」など具体的に質問してみると良い。
- 医療用語や後遺障害等級表について、スムーズに説明できるかが専門性を測る指標となる。
- 裁判・示談実績
- 実際に高次脳機能障害の裁判例や交渉例を扱い、増額に成功した事例を持っているか。
- 医師やリハビリ施設へのアプローチで被害者の認定等級が上がったなど具体的エピソードを聞けるかどうか。
医療ネットワークの重要性
- 専門医・専門外来との連携
- 弁護士が脳外傷に理解のある病院を把握しており、被害者をスムーズに紹介してもらえる。
- 後遺障害診断書作成時に、医師と詳細に連絡を取りながら症状を漏れなく記載させられるのは大きな利点。
- 神経心理学検査機関との繋がり
- 専門の臨床心理士がいる施設でWAIS-Ⅳ、WMS-Rなどを行い、結果を詳細にレポートしてくれるかどうか。
- 弁護士がその検査レポートを保険会社への提出資料として的確に活用するための調整を行う。
- リハビリテーション病院・デイケア施設
- 高次脳機能障害に特化したリハビリプログラムを持つ施設と連携し、保険会社の治療費打ち切りを防いだり、症状の長期観察で後遺障害を立証したりするケースもある。
弁護士選びの手順
- リサーチ
- 「高次脳機能障害 弁護士」「脳外傷 専門弁護士」などのキーワードで検索し、複数事務所をピックアップ。
- 弁護士ドットコムなどでの口コミや実例を参考に、事例の具体性を確認。
- 初回無料相談で比較
- 資料(事故証明、診断書、MRI等)を用意し、複数事務所に無料相談を申し込む。
- 「神経心理学的検査を受ける必要は?」など質問して専門性を見極める。
- 最終決定
- 費用(着手金・報酬率)の違いや担当弁護士の説明力、対応のスピード感、医療ネットワークなどを総合評価。
- 大手と個人事務所など比較し、自分に合った選択を。
弁護士に相談するメリット
- 後遺障害等級アップの可能性
高次脳機能障害の微妙な症状を見逃さず、神経心理学検査や医師の意見書を活かして認定等級を高める。 - 医療ネットワーク
弁護士が専門医やリハビリ施設と連携し、誤診や不十分な検査を回避して適切な治療と証拠を得やすい。 - 保険会社への対抗
「検査なしで異常なし」と断定したがる保険会社に対して、事故との因果関係を強く主張できる。 - 打ち切りや介護費の確保
長期リハビリが必要な場合でも、弁護士が治療費打ち切りを防ぎ、高度な介護費や家族介護料を損害項目に加算。 - 弁護士費用特約
特約があれば自己負担を軽減して上記のメリットを享受可能。高次脳機能障害の交渉は長期化しやすいが安心して依頼できる。
まとめ
高次脳機能障害に強い弁護士の探し方としては、
- 専門知識
脳損傷の医学・検査(MRI、神経心理学的検査)に理解が深いか - 医療ネットワーク
脳外傷専門医、リハビリ施設、検査機関と連携して適切な診断・証拠収集をサポートできるか - 実績事例
ホームページや面談で具体的に高次脳機能障害案件を扱った成果を示せるか - 費用面・連絡体制
着手金や成功報酬、弁護士費用特約の利用可否、コミュニケーションのしやすさ
弁護士法人長瀬総合法律事務所では、高次脳機能障害を含む交通事故案件を数多く取り扱い、脳外傷専門医等とのネットワークも構築し、被害者が的確な後遺障害認定と適切な賠償を得られるよう力を尽くしています。事故後に頭部外傷が疑われるなら、ぜひ早期にご相談ください。
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認知症やうつ症状との区別(医師による的確な診断の必要性)
はじめに
交通事故後に「物忘れが激しくなった」「感情が不安定で落ち込みやすい」といった状態が生じた場合、それが高次脳機能障害によるものか、それとも認知症やうつ病など他の疾患によるものか、明確に区別することが重要です。特に高齢者の被害者では加齢性の認知症が進んでいる可能性がある一方、事故の外傷が原因で脳の損傷や心理的負荷を受けている可能性も否定できません。同様に、うつ症状が単なるストレス反応か脳損傷に伴う情緒障害か見極めが難しいケースもあります。
本稿では、高次脳機能障害と認知症・うつ症状を区別する際に着目すべきポイントや、医師による的確な診断の必要性を解説します。誤診が生じると事故との因果関係を立証できず、後遺障害認定や示談交渉で大きな不利益を被る恐れがあります。適切に受診し、専門家の協力を得ることで正しい診断と相応の賠償を目指しましょう。
Q&A
Q1:高齢の親が事故後に物忘れや無気力が目立つようになりました。加齢による認知症と何が違うのでしょう?
事故前までは比較的問題なく日常生活を送れていたのに、事故後に急激に症状が進行した場合、外傷性の脳機能障害が疑われます。脳神経外科や神経内科で画像検査や神経心理学検査を行い、脳損傷を確認することが大切です。加齢性認知症は進行が徐々であることが多いので、事故の影響か否かを切り分ける必要があります。
Q2:うつ病との区別が難しいという話を聞きましたが、具体的にはどう区別するのですか?
うつ病は主に抑うつ気分や意欲低下が中心ですが、高次脳機能障害による記憶・注意障害や遂行機能障害も意欲低下や無気力に見える場合があります。また、脳損傷が原因で感情コントロールがうまくいかずうつ状態が併発するケースも。医師が画像所見や神経心理学的検査、精神状態評価を総合して診断します。
Q3:交通事故がきっかけでうつ病を発症した場合も、後遺障害として認められるのでしょうか?
外傷性の脳損傷がなくても、事故による心理的トラウマでうつ病やPTSDを発症し、後遺障害として認められる例があります。ただし、高次脳機能障害とは別のカテゴリーで、「精神・神経の障害」としての等級認定になることもあります。医師の診断書と保険会社との交渉が必要です。
Q4:事故後に一度「認知症かもしれない」と診断されたら、高次脳機能障害として後遺障害を取るのは難しいですか?
最初の診断が認知症であっても、後に精密検査を行い「やはり脳損傷が原因の認知機能障害」と判明するケースがあります。セカンドオピニオンや専門医の意見を得て、事故と症状の因果関係を再検討すれば、後遺障害認定の可能性を残すことはありえます。
Q5:病院で「単なるストレス反応」と言われるばかりで検査してもらえない場合、どうすれば?
主治医に高次脳機能障害の疑いを具体的に伝え、必要な神経心理学的検査やMRIを希望することが重要です。それでも対応が難しい場合は、別の病院や専門外来へのセカンドオピニオンを検討しましょう。弁護士に相談すれば専門医を紹介してくれることもあります。
Q6:事故後すぐと半年後で診断が変わる場合がありますか?
あります。急性期には脳損傷が分からず「異常なし」となっていても、半年後に症状が表面化し検査すると高次脳機能障害と診断されることがあります。慢性期にMRIで脳萎縮が確認できるケースや、神経心理学検査で障害が判明するケースもあり得ます。
解説
高次脳機能障害と認知症の相違点
- 発症のタイミング
- 高次脳機能障害:交通事故など外傷性の脳損傷を契機として発症するのが典型。比較的急に認知機能が低下。
- 認知症(アルツハイマー型など):加齢や病気により脳内の変性が進み、徐々に発症することが多い。
- 年齢・事故前後の変化
- 高齢者なら既存の認知症が事故で進行したのか、新たな脳損傷によるものか見極めが難しい。
- 事故前の生活や認知機能が問題なかった場合、外傷性脳損傷の可能性が高い。
- 画像検査・認知検査
- 脳神経外科で事故による脳挫傷や血腫が見つかれば外傷性が示唆される。
- 神経心理学検査で特定領域の障害が著しいなら、外傷が原因の可能性が高い。認知症は全体的・緩徐に進む傾向。
高次脳機能障害とうつ症状の見極め
- うつ病との併発
- 事故後の辛さや痛み、社会的ストレスで二次的にうつ症状を呈する場合があり、高次脳機能障害による意欲低下と混同されやすい。
- 脳損傷に伴う感情コントロール障害も、うつ症状に似た振る舞いを示すことがある。
- 神経心理学検査の役割
- うつ病の場合も認知機能が低下することはあるが、検査の結果パターンが高次脳機能障害と異なる場合が多い。
- 結果パターンを熟知した医師や心理士の評価で区別が可能。
- MRI・脳波など補助検査
- うつ病は脳萎縮や軸索損傷が必ずしも認められないことが多いが、高次脳機能障害は事故由来の局所損傷やびまん性軸索損傷が疑われる。
- 弁護士が「外傷性うつ」や「脳外傷による症状」として因果関係を整理し、保険会社に主張する。
医師による的確な診断が必要な理由
- 後遺障害認定の可否
- 認知症やうつ病と診断されてしまうと、「事故による外傷」との因果関係が否定され、高次脳機能障害としての後遺障害等級取得が困難になる場合がある。
- 的確な診断で「外傷性脳損傷」に起因する認知障害だと立証できれば、適切な等級を狙える。
- 因果関係の立証
- 事故との因果関係を明確に示すには、画像所見や神経心理学的検査結果、事故前後の生活変化が重要。医師の的確な所見が不可欠。
- 弁護士の助言でセカンドオピニオンや専門外来を受診することで、誤診を避けるケースも多い。
- 治療・リハビリ方針
- 高次脳機能障害ならリハビリテーションや作業療法が効果的だが、単なるうつ病としての薬物療法だけでは十分に改善しないことも。
- 家族への対応指導や、職業復帰支援など、適切な医療・福祉サービスを受けるために正しい診断が必要。
弁護士に相談するメリット
- 医療ネットワーク
高次脳機能障害案件を多数扱う弁護士は、脳外傷専門医や神経心理学検査機関との繋がりがあり、セカンドオピニオンなどで誤診を避けられる。 - 後遺障害等級の取得
「認知症かもしれない」「うつ病かもしれない」と言われても、実際は外傷性の脳損傷による高次脳機能障害の可能性を弁護士が捉え、的確な診断書を作成。 - 保険会社の過小評価を抑止
保険会社が「加齢による認知症」「単なるうつ状態」と主張する場合、弁護士は事故との因果関係を打ち出し、高額な示談金を請求する。 - 長期リハビリや介護費用を確保
重度の場合、介護が必要になったり長期リハビリを要する。弁護士が保険会社の打ち切りを防ぎ、必要な費用を引き出す交渉を代行。 - 弁護士費用特約
高次脳機能障害は大規模賠償につながりやすいが、弁護士費用もかさむ。特約があれば自己負担を軽減してサポートを依頼可能。
まとめ
高次脳機能障害と認知症・うつ症状は症状が類似して混同されることがありますが、
- 発症タイミング
事故後に急激な変化があるなら外傷性を疑う - 画像検査・神経心理学的検査
事故由来の脳損傷を示唆する所見があるか - 医師の的確な診断
誤診で「認知症」「うつ病」とされると後遺障害認定が難しくなる場合も - 弁護士のサポート
正確な診断・因果関係立証を支え、高額賠償を求める
弁護士法人長瀬総合法律事務所では、高齢者や事故後にうつ状態が見られる被害者のご家族からのご相談にも応じ、外傷性脳機能障害の可能性を慎重に検討し、必要な専門医へつなぐなど医療ネットワークを活かした支援を行っています。認知症やうつと誤解され、正当な賠償を得られない恐れがある場合は、ぜひお早めにご相談ください。
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高次脳機能障害が疑われる場合の受診先(脳神経外科・リハビリ科・専門外来)
はじめに
交通事故で頭部に強い衝撃を受けたり、意識を失うほどの怪我を負った場合、その後高次脳機能障害を発症するリスクがあります。外見上の怪我が目立たなくても、「事故のあとからどうも記憶力が落ちた」「注意力や集中力に難がある」「感情コントロールが効かない」といった症状が出ることがあり、これらが家族や職場にも大きな影響を及ぼします。そこで疑問になるのが、「どのような病院・科を受診すればよいか?」という点です。
本稿では、高次脳機能障害を疑った場合に適切な受診先として考えられる、脳神経外科・リハビリ科・専門外来などを取り上げ、どのような治療・検査が行われるのか、その選び方や注意点を解説します。検査や診断を受けられずに見落としが続くと後遺障害の認定にも不利に働くため、事故後に少しでも頭部外傷や認知障害が疑われる場合は、早期に専門医を訪ねることが重要です。
Q&A
Q1:高次脳機能障害を疑ったら、まずどの診療科に行けばいいでしょうか?
まずは脳神経外科や神経内科など、頭部の損傷を診察できる科が候補です。頭痛や意識障害が急性期にあるなら、救急搬送や総合病院で診てもらうのが早いです。その後、リハビリ科や高次脳機能障害専門外来を紹介してもらう流れが一般的です。
Q2:脳神経外科では主にどんな検査を受けられるのですか?
CTやMRIなど画像検査が中心です。頭部外傷による出血や脳挫傷がないか確認します。ただし、びまん性軸索損傷など微細損傷は映らない場合も多く、神経心理学的検査は別途リハビリ科や専門施設で受けることが多いです。
Q3:リハビリ科(リハビリテーション科)ではどのような対応があるのでしょう?
高次脳機能障害に特化した作業療法(OT)や言語聴覚療法(ST)、神経心理学検査が行われる施設があります。認知機能の低下を把握し、改善や補償のための訓練を実践する拠点として重要です。医師・作業療法士・言語聴覚士などのチームが協力して治療に当たります。
Q4:専門外来(高次脳機能障害外来)は全国にあるのですか?
全国にいくつかの専門病院やリハビリテーションセンターがあり、高次脳機能障害外来を開設している施設もあります。ただし地域によっては数が限られ、通院が大変な場合もあるので、通いやすさなども考慮して選ぶ必要があります。
Q5:事故後しばらくしてから「もしかして高次脳機能障害かも?」と思った場合、改めて脳外科を受診してもいいでしょうか?
可能です。受傷直後に気づかなくても、数ヶ月経って認知障害の兆候が出てきたら改めて脳神経外科や専門外来を受診して検査するケースもあります。弁護士と相談しながら、保険会社との交渉も並行して進めると良いでしょう。
Q6:どのように病院や専門外来を探せばいいか分かりません。どんな方法がありますか?
主治医やリハビリ担当医に相談して紹介してもらうのが一般的です。あるいは、脳外傷支援団体や地方自治体の障害福祉担当に問い合わせると、専門医療機関をリストアップしてくれる場合があります。弁護士が医療ネットワークを認識していることもあり、それを頼るのも一つの方法です。
解説
脳神経外科(神経内科)の役割
- 頭部外傷の急性期対応
- 事故直後に外傷性脳損傷の有無を確認し、CTやMRIで脳挫傷、血腫、骨折などを診断。
- 意識障害など重症の場合、救命措置とともに脳外科手術(血腫除去など)を行う。
- 慢性期の再検査
- 頭部外傷後しばらく経過観察し、後遺症が出ていないか確認。
- 軽度外傷でもびまん性軸索損傷などで認知障害がある可能性があれば、MRIや拡散強調画像(DTI)など詳細検査を追加。
- 他科との連携
- 高次脳機能障害の疑いがあれば、リハビリ科や専門外来へ紹介し、認知機能検査を実施してもらう。
- 言語聴覚士や作業療法士、臨床心理士とのチーム医療。
リハビリテーション科(リハビリ科)での対応
- 作業療法(OT)
- 高次脳機能障害の日常生活動作(調理、買い物、家事など)における支障を改善・補償する訓練。
- 実際の動作を通して注意や記憶、遂行機能を再学習し、自立度を高める。
- 言語聴覚療法(ST)
- 記憶・注意・言語理解などを言語聴覚士が訓練。コミュニケーションの改善や社会復帰支援を行う。
- 病院内のデイケアや外来リハビリで行われるケースが多い。
- 神経心理学的検査
- WAIS-Ⅳ、WMS-R、Trail Making Testなどで認知機能を客観的に評価し、結果を治療や後遺障害認定に役立てる。
- その検査結果を基に、個別リハビリプログラムを作成。
- 生活指導・社会復帰支援
- 病院内で社会適応訓練を行い、家族や本人にも認知障害に対する対処法を指導。
- 地域の福祉サービスや障害者雇用制度などと連携。
専門外来・専門施設の利用方法
- 高次脳機能障害外来
- 大学病院やリハビリ専門病院に専用外来を設置しているところがあり、神経心理学検査やリハビリを受けられる。
- 待ち時間や通院距離がネックになる場合もあるので、事前に予約やアクセス方法を確認。
- 医療ソーシャルワーカーとの連携
- 病院の医療ソーシャルワーカーが、介護保険や障害者手帳取得の手続き、地域の支援サービスなどを案内してくれる。
- 弁護士や行政機関との調整役になるケースも多い。
- 弁護士の医療ネットワーク
- 交通事故案件を多く扱う弁護士事務所は、脳外傷や高次脳機能障害に精通した医師や検査機関との繋がりを持っている場合がある。
- 受診先を紹介してもらい、後遺障害認定に必要な検査や書類作成をスムーズに進められる可能性。
弁護士に相談するメリット
- 適切な診断・リハビリ受診先を確保
弁護士が医師や専門施設の情報を把握しており、効率的に精密検査を受けられる体制を整えやすい。 - 保険会社への正当な説明
転院やリハビリ専門外来の利用を保険会社が渋る場合、弁護士が医学的根拠を提示して治療継続を認めさせる交渉を代行。 - 後遺障害等級認定サポート
頭部外傷が軽微に見えても、高次脳機能障害を立証するためにMRIや神経心理学的検査など必要手続きを指示し、保険会社の過小評価を防ぐ。 - 高額賠償の獲得
重度の場合、介護費用、逸失利益が莫大になる。弁護士が裁判所基準で算定し示談交渉を有利に。 - 弁護士費用特約
長期リハビリ案件で弁護士費用が高額化しても、特約があれば自己負担ゼロで依頼可能。
まとめ
高次脳機能障害が疑われる際の受診先としては、
- 脳神経外科・神経内科
まず画像検査や急性期治療 - リハビリ科(OT・ST)
神経心理学検査、認知リハビリ、社会適応訓練 - 専門外来・専門施設
総合的に高次脳機能障害を扱う外来、専門病院・リハビリセンター
が挙げられます。
事故後しばらく経ってから気づく認知障害でも、適切な医療機関にかかることで症状を把握し、後遺障害等級認定やリハビリが進めやすくなります。弁護士法人長瀬総合法律事務所では、医療ネットワークを活用し、脳損傷が疑われる被害者に検査・診断書作成のサポートを行い、保険会社への正当な主張を後押ししています。
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高次脳機能障害における逸失利益の算定(就労困難度、労働能力喪失率など)
はじめに
交通事故による頭部外傷が原因で高次脳機能障害を発症すると、記憶障害や注意障害、遂行機能障害など多面的な認知機能の低下が生じ、就労や日常生活への重大な影響が出るケースがあります。その結果、被害者が事故前のように働くことが難しくなり、将来的な収入が大幅に減少するリスクが高まります。こうした経済的損失を補う賠償項目として重要なのが逸失利益です。
しかし、高次脳機能障害の逸失利益を算定するうえでは、就労困難度や労働能力喪失率を正確に評価する必要があり、身体障害のように一目で分かる障害ではないため、保険会社と大きく争いになることが少なくありません。本稿では、高次脳機能障害の逸失利益に焦点を当て、算定の基本的な考え方や、どのように労働能力喪失率を立証するかを解説します。適正な後遺障害等級を得たうえで、その実態に見合った労働喪失率を主張し、保険会社の過小評価を防ぐことがポイントとなります。
Q&A
Q1:高次脳機能障害での逸失利益は、身体障害と比べて算定が難しいのですか?
はい、難しい傾向があります。視覚的に分かる身体障害とは異なり、高次脳機能障害は外見や画像所見に出にくい場合があり、本人の認知・行動障害が正確に評価されにくいです。そのため、適正な労働能力喪失率を得るには、神経心理学的検査や職場での実態を丁寧に立証する必要があります。
Q2:労働能力喪失率とは具体的にどう決まるのでしょう?
一般的には後遺障害等級に対応して、1級から3級ならば100%、4級ならば92%、5級ならば79%など裁判基準である程度の目安があります。ただし、高次脳機能障害では個別に実際どの程度働けなくなっているかを詳細に検討するケースもあります。
Q3:高次脳機能障害でも軽度の場合、そもそも逸失利益はほとんど認められないのでしょうか?
軽度でも集中力や記憶力の低下で事故前と同等の業務ができなくなり、職種変更や収入ダウンが生じる場合は、ある程度の労働能力喪失率が認められる可能性があります。9級や12級でも、個別事情を立証すれば就労困難度を高めに評価してもらえる例があります。
Q4:もし被害者が学生や専業主婦だったら、事故前の収入がないので逸失利益は請求できないのですか?
いいえ、請求できます。学生なら将来就職して得られるはずだった収入を賃金センサスなどで推定し、専業主婦なら家事労働の経済的価値を算定して労働能力喪失率を反映します。高次脳機能障害で家事や育児が困難になった場合も、主婦(家事従事者)としての逸失利益が認められます。
Q5:重度の場合、家族が介護をするなど日常生活も常時支援が必要ですが、それも逸失利益に関連しますか?
介護が必要なケースは、介護費用や家族介護料を別項目で請求できます。逸失利益は主に本人の将来収入の減少を補填する項目ですが、重度の場合は1級や2級の高次脳機能障害認定で働くことができないと判断され、労働能力喪失率100%で計算される可能性があります。
Q6:保険会社が「認知障害があってもデスクワークなら働けるのでは」と言って、労働能力喪失率を低く見積もってきたら、どう対抗すればいいですか?
神経心理学的検査や医師の意見書で「デスクワークでも注意障害や記憶障害により業務が困難」と立証する方法があります。職場復帰が試みられたが失敗したケースや、家族・職場の証言を収集して現実に働けない実態を強調することで、保険会社の過小評価に反論できます。
解説
労働能力喪失率の決定要素
後遺障害等級
- 1級~2級
常時介護が必要な重度障害 → 労働能力喪失率100% - 4級~5級
社会復帰が大幅に制限される → 79~192%(事案により異なる) - 9級・12級
軽度だが職種や作業によって支障が大きい場合 → 14~35%など、多様
症状の具体的影響
- 記憶障害の程度、注意障害の深刻度、感情コントロール障害がどの程度就労を妨げるかを個別に評価。
- 事故後の復職状況や家族・職場の証言を交えて、客観的に示すほど認定が正当に近づく。
年齢・職業・学歴
- 若年者なら就労可能年数が長く逸失利益が大きい、働き盛りの経営者・会社員なら高い年収の減少分が大きいなど、被害者属性も考慮。
- 家事従事者(主婦)なら家事労働がどの程度できなくなったかを具体的に算定し、喪失率を決定。
逸失利益の計算方法
基礎収入
- 事故前の給与所得や事業所得がある場合は、その金額(または賃金センサス)を基礎収入とする。
- 学生や無職であっても、学歴や平均賃金統計(賃金センサス)から収入を推定する。
労働能力喪失率
前述のとおり、後遺障害等級と個別の障害実態から決定。被害者本人の就労状況や医師の意見など総合判断。
就労可能年数・ライプニッツ係数
- 通常67歳までを基準とする
- 係数(ライプニッツ係数)を用いて、将来の収入減額の現在価値を計算し、一時金としての賠償額を導く。
立証方法と保険会社対応
神経心理学的検査・医師の所見
認知障害の程度と就労困難度を示す主要資料。検査結果やリハビリ経過を弁護士がまとめて保険会社に提出し、労働能力喪失率を高めに主張。
事故前後の収入実績や就労歴
- 事故前は正社員で高収入 → 事故後、復職困難で減収なら、その差額を積算。
- 自営業なら確定申告書や売上推移、家事従事者なら家事労働の価値を賃金センサスで計算。
示談交渉や裁判での争点
- 保険会社は「認知障害があっても軽作業なら可能では?」などと低い喪失率を主張する。
- 弁護士が具体的仕事(マルチタスクを要する、集中力が必要など)の困難を証明し、高い喪失率を確保する。
弁護士に相談するメリット
- 医療ネットワークで検査・診断をサポート
高次脳機能障害に理解がある専門医やリハビリ施設を紹介し、正確な診断と検査を受けられるよう導く。 - 適切な後遺障害等級を取得
外見で分からない障害を神経心理学的検査や日常生活状況の証拠で立証し、保険会社の過小評価を防ぐ。 - 労働能力喪失率を最大化
被害者の仕事の特性や事故後の就労困難度を丁寧に説明し、高い喪失率を認めさせ、逸失利益を大幅に増額。 - 打ち切りや介護費用など総合交渉
保険会社が治療費の早期打ち切りを図っても、弁護士が対抗。重度の場合の介護費用や家族介護料も損害項目として主張。 - 弁護士費用特約の活用
高次脳機能障害案件は長期・大規模化する可能性が高いが、特約があれば費用負担を軽減しつつ、弁護士に依頼できる。
まとめ
高次脳機能障害の逸失利益を算定するには、
- MRIや検査データ
脳損傷の客観的証拠 - 神経心理学的検査
記憶・注意・遂行機能障害を定量化 - 医師の所見や日常生活の実態
事故前後の変化を示し、就労困難度を確立 - 労働能力喪失率
後遺障害等級と個別事情を踏まえた数値で逸失利益を計算
弁護士法人長瀬総合法律事務所では、高次脳機能障害で働けなくなった被害者や、その家族からのご相談に応じ、適切な後遺障害等級と高い労働能力喪失率を目指す交渉を展開しています。もし記憶や注意力が低下し、事故前と同じ業務ができなくなったと感じる場合は、手遅れになる前にぜひご相談ください。
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後遺障害等級認定のポイント(MRI・医師の所見・各種検査データの重要性)
はじめに
交通事故が原因で頭部外傷を負い、記憶・注意・遂行機能障害などの高次脳機能障害を発症した場合、示談交渉や裁判で大きな焦点となるのが後遺障害等級の認定です。後遺障害等級が高く認定されれば、それだけ後遺障害慰謝料や逸失利益が増大し、数百万円~数千万円以上の示談金につながる可能性があります。一方、外見上の怪我が目立たず、MRI画像に異常が明確に映らない場合など、適正な等級認定が得られず過小評価されるリスクも高いのが現実です。
本稿では、高次脳機能障害の後遺障害等級を確保するうえでのポイントとして、MRIやCT画像をはじめとする医師の所見や神経心理学的検査データの重要性を解説します。実際にどのように診断書を作成し、事故と脳機能障害との因果関係を立証していくか、弁護士や家族が押さえるべきステップも示します。見落とされがちな検査や手続きに注意し、適正な後遺障害認定を得るための参考となれば幸いです。
Q&A
Q1:高次脳機能障害で後遺障害等級を申請する場合、やはりMRI画像に異常が映っていないと難しいのでしょうか?
MRI等に脳挫傷や出血痕が映らない場合でも、神経心理学的検査や日常生活での顕著な支障を示す証拠があれば認定される可能性もゼロではありません。ただし、画像所見があった方が保険会社や裁判所も納得しやすいのは事実です。
Q2:どんな検査が後遺障害認定に影響するのですか?
神経心理学的検査(WAIS-Ⅳ、WMS-R、Trail Making Testなど)が代表的です。これらの検査結果とMRI所見、医師の診断書をあわせて「脳機能に客観的な障害がある」と立証します。さらに、日常生活状況(家族の証言、介護日誌など)も重要です。
Q3:医師の診断書だけでなく、作業療法士や言語聴覚士の記録も役に立ちますか?
もちろん役に立ちます。リハビリ記録や専門職の所見は、実際の機能障害やリハビリの進捗を詳細に示す資料となり、後遺障害等級認定時にも活用できます。事故後のリハビリでどんな問題が出たか、どんな訓練をしているかが具体的に分かります。
Q4:等級が認められる基準は1〜9級など幅がありますが、具体的にどう決まるのでしょうか?
自賠責保険の後遺障害等級表に基づき、「高次脳機能障害により、労働能力がどの程度喪失されているか」で判断します。たとえば、介護を要する重度なら1〜2級、相当程度社会復帰が困難なら3〜5級、一部制限であれば7〜9級など、医師の診断と検査結果を総合し等級を決めます。
Q5:病院で「外傷性の脳損傷ではない」と言われた場合でも、事故前後の変化が大きいなら、後遺障害は取れるのでしょうか?
難しいケースですが、事故前の状態と事故後の変化を詳細に比較(職場や家族の証言、検査結果)できれば、因果関係を立証する余地があります。MRIで損傷が見つからない場合も、専門医による繰り返しの検査や行動観察などを通じて、交通事故由来の高次脳機能障害と認定される可能性はあります。
Q6:保険会社が「MRIに異常なしだから認めない」と頑なに主張してきた場合、どう対抗すれば?
弁護士が神経心理学検査の結果や家族・職場の実態証言を含めて、医師の意見書をまとめ、因果関係と機能障害の実在を主張します。保険会社が柔軟に認めない場合は、後遺障害等級申請(事前認定or被害者請求)や異議申立、最終的に裁判も視野に主張する必要があります。
解説
MRI・CT画像の役割
- 画像所見で脳損傷を可視化
- 事故直後のMRI・CTで脳挫傷や血腫が確認されれば、高次脳機能障害を立証しやすい。
- びまん性軸索損傷(DAI)のように画像に映らない微細損傷もあるが、近年は拡散強調画像(DTI)などの高性能MRIで発見可能なケースが増えてきた。
- 慢性期の検査
- 急性期で異常が見つからなくても、数ヶ月後のMRI再検査で変性や委縮が確認できる場合がある。
- 「画像なし=障害なし」とはならず、医師の判断で追加検査を受けることが重要。
- 画像所見の限界
- MRIやCTで異常所見がなくても、高次脳機能障害が存在する可能性はある。その場合検査データや生活上の実態で補強する必要がある。
医師の所見・神経心理学的検査の重要性
- 神経心理学的検査
- WAIS-Ⅳ(知能検査)、WMS-R(記憶検査)、Trail Making Test、Stroopテストなど複数の検査を組み合わせ、認知機能の具体的低下を定量化する。
- 結果は数値や偏差値で示され、後遺障害認定の根拠となる。
- 医師の診断書(後遺障害診断書)
- 高次脳機能障害と診断した医師が、どのような症状があり、日常生活にどの程度支障があるかを詳細に記載。
- 弁護士が医師と連携し、不足事項を補う形で的確な診断書を作成してもらうのが望ましい。
- 家族・周囲の証言やリハビリ記録
- 家族が書く介護日誌、職場での業務評価、リハビリテーション記録(作業療法士・言語聴覚士の所見)も貴重な証拠。
- 「事故前は普通にできていたことが今はできない」といった具体例が後遺障害認定に有力。
後遺障害等級認定の流れ
- 症状固定
- リハビリや治療を継続したうえで、医師が「これ以上大きな改善は見込めない」と判断(症状固定)。
- 急いで症状固定されると適正な等級を得られないリスクが高いので、医師とよく相談。
- 後遺障害診断書の作成
- 医師が認知機能障害の所見を明確に書き、検査データを添付。
- 弁護士がアドバイスして、必要な内容(事故状況、MRI所見、検査結果、日常支障)を網羅させる。
- 損害保険料率算出機構への申請
- 自賠責保険(事前認定 or 被害者請求)にて後遺障害審査を行い、等級を決定。
- 認定結果に不服がある場合、異議申立や裁判で再度争うこともできる。
弁護士に相談するメリット
- 医療ネットワークの活用
高次脳機能障害に詳しい専門医やリハビリ施設を紹介してもらうことで、検査や診断書作成がスムーズに進む。 - 後遺障害認定の戦略
- MRI所見が乏しくても、神経心理学的検査や生活実態証言で認知障害を立証するノウハウがある。
- 不当な低評価に対して異議申立で再審査を求めるなど、複数の手段がある。
- 高額賠償を追求
認定された等級に応じて、後遺障害慰謝料や介護費用、逸失利益を最大化する交渉が可能。 - 保険会社の早期打ち切りを防ぐ
症状固定前に「これ以上の治療は不要」と保険会社が打ち切りを迫ってきても、弁護士が医学的根拠を示し、リハビリ継続を交渉。 - 弁護士費用特約
高次脳機能障害は長期・高額化する可能性が高いが、特約があれば費用リスクなしで安心して依頼できる。
まとめ
高次脳機能障害の後遺障害等級を正しく認定してもらうには、
- MRIなど画像所見
脳挫傷や出血などが確認できれば立証しやすいが、映らないケースも少なくない - 医師の所見・神経心理学的検査
WAIS-Ⅳ、WMS-Rなどの結果と日常生活支障を併せて立証 - 後遺障害診断書の質
弁護士と連携して、事故との因果関係と具体的な認知障害を的確に記載 - 異議申立・裁判対応
保険会社が低い等級を認定しがちな場合、異議申立や裁判で再度争う
弁護士法人長瀬総合法律事務所では、高次脳機能障害の後遺障害申請に豊富な経験があり、専門医や検査機関との連携や裁判所基準での賠償交渉を通じて、被害者が適正評価と高額な賠償を得られるよう尽力いたします。脳外傷の可能性が少しでもある場合は、早期にご相談いただき、適切な検査・書類整備を進めましょう。
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日常生活への影響とサポート(家族の負担、介護・福祉サービスの活用)
はじめに
交通事故で頭部に衝撃を受けた結果、高次脳機能障害を発症すると、記憶・注意・遂行機能などの低下や感情コントロールの困難など、さまざまな認知機能障害が生じます。こうした障害が日常生活に与える影響は、本人だけでなく、家族や周囲の人々にも大きな負担となり得ます。日常の些細な行動(料理、買い物、通勤、社交など)ですら支障が出るため、介護・サポートが必要な場合も多く、家族が疲弊してしまうケースも少なくありません。
本稿では、高次脳機能障害が日常生活へもたらす具体的な影響に加え、家族がどのような負担を抱えるか、そして公的な介護・福祉サービスをどのように活用できるかを解説します。リハビリや医療ケアを進める一方で、家族やケアスタッフのサポート体制を整えることで、被害者が少しでも円滑な社会生活を取り戻し、家族の負担を軽減することが重要です。
Q&A
Q1:高次脳機能障害のある方は、具体的にどんな日常生活動作が難しくなるのでしょう?
記憶障害のある方は買い物で何を買うか忘れてしまう、注意障害だと調理中に火をかけっぱなしで放置する、遂行機能障害では料理の手順や片付けの段取りができなくなるなど、ごく日常的な動作が困難になります。さらに社会的行動障害として、衝動的・攻撃的になってしまい、家族や職場でトラブルを起こす例もあります。
Q2:家族の介護負担はどのような面で大きいでしょうか?
たとえば、本人が外出先で道に迷う、会話や行動が予測不能でトラブルになりかける、感情コントロールができず家族に対して怒りをぶつけるなど、一日中目を離せない状況になりがちです。食事や服薬の管理、入浴・排泄などの身体介助に加え、家事や金銭管理を代行する必要も生じます。精神的ストレスが大きく、家族が疲弊やうつ症状を抱えることも少なくありません。
Q3:介護のために家族が仕事を辞めざるを得ない例もありますか?
十分にあり得ます。重度の高次脳機能障害で常時介護が必要な状態になると、家族がフルタイム勤務を続けるのは困難です。介護離職を余儀なくされ、家計が一層厳しくなるケースもあり、裁判例や示談交渉でも家族介護費の算定が大きな争点になることがあります。
Q4:どのような公的サービスや福祉制度が利用できるのでしょうか?
代表的には、障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳、もしくは身体障害者手帳)の取得を検討できます。これにより障害福祉サービス(ヘルパー利用、日中活動支援など)が受けやすくなります。また、自立支援医療(精神通院医療)制度や介護保険(高齢者)などを併用する場合もあります。地方自治体によっては、高次脳機能障害支援センターなど独自支援を行うところも。
Q5:日常生活の支援だけでなく、職場復帰のサポートもあるのですか?
リハビリ施設や職業センターで就労支援を行うプログラムがあります。たとえばジョブコーチが付き添い、業務を段階的に訓練するなどの方法です。精神保健福祉士が企業との調整を行い、短時間勤務や業務内容の配慮を受けつつ復職する事例もあります。
Q6:弁護士がそうした福祉サービスに詳しいこともあるのですか?
交通事故を多数扱う弁護士のなかには、高次脳機能障害の被害者支援に特化し、福祉制度や公的サービスに関する知見を持つ者もいます。医療ソーシャルワーカーやリハビリ専門家とのネットワークを構築しており、依頼者に適切なサービスを提案できる事務所も多いです。
解説
日常生活での具体的影響
- 家事・料理の困難
- 記憶障害で調味料を買い忘れたり、注意障害で火をかけたまま離れてしまう、遂行機能障害で複数のおかずを同時に作れない。
- 家族が一から指示しないと進められない状況になる。
- 金銭管理・買い物
- 記憶障害や注意障害により買い物メモが役立たずになったり、衝動買いで無駄遣いしたり、計算が苦手になってお釣りミスを繰り返す。
- 家族が財布や口座を預かり、本人に代わって精算する例もある。
- コミュニケーション障害
- 社会的行動障害で突拍子もない発言をしたり、相手の気持ちを読めずにトラブルになるなど。
- 職場や友人関係が破綻し、孤立してしまう人もいる。
- 外出・交通機関利用
- 注意障害や記憶障害で、バスや電車の乗り間違い、道を迷う、運転自体が危険になるケースも。
- 家族の付き添いが必要になったり、タクシー費用などが増大する負担がある。
家族の負担とケア
- 家族介護の実態
- 高次脳機能障害は身体介助に加え、認知面・行動面のケアが求められ、24時間目を離せないことも。
- 家族が仕事や家事育児と両立しながら介護するのは負担が大きく、うつ症状を発症する家族も。
- 介護費や家族介護料
- 交通事故の損害賠償では、家族が介護する場合でも賃金換算できる判例があり、1日数千円~数万円の介護費が認定されるケースがある。
- 弁護士を通じて適正金額を主張しないと保険会社が過小評価しやすい。
- 家族のサポート体制
- 福祉サービスを活用し、ヘルパーや訪問介護を導入し、家族の負担を軽減する。
- 当事者・家族会やカウンセリングを利用し、精神的サポートを受ける。
介護・福祉サービスの活用
- 障害者手帳の取得
- 身体障害者手帳か精神障害者保健福祉手帳を取得すれば、障害者総合支援法による各種支援(介護保険とも連携)が受けやすくなる。
- 等級判定は医師の診断書が必要。高次脳機能障害を診断できる専門医が協力する必要がある。
- リハビリテーションセンター・デイケア
- デイケアやデイサービスで日中活動プログラムを提供している施設がある。通所で認知訓練や社会適応訓練を受け、家族の介護負担を減らせる。
- 住んでいる自治体や医療ソーシャルワーカーに問い合わせると情報が得やすい。
- 職業リハビリ・復職支援
- 地域障害者職業センターや障害者就業・生活支援センターで、就職支援や職場定着支援を行っている。
- 企業に対して合理的配慮を求められる場面もあり、弁護士が社会福祉機関と連携するケースも。
弁護士に相談するメリット
- 専門医・施設の紹介
高次脳機能障害を多く扱う弁護士は、脳外傷専門医やリハビリ病院のネットワークを持つ場合があり、適切な診療先を案内可能。 - 介護費用や家族介護料の確保
弁護士が家族の負担実態を丁寧に立証し、日常生活支援の必要性を保険会社に認めさせ、介護費や家族介護料を損害項目に加算。 - 後遺障害等級の正当評価
高次脳機能障害は見た目では分かりにくいため、証拠集めと医師の所見が重要。弁護士が申請書類を整え、適正な等級を狙う。 - 逸失利益の大幅増
認知障害で就労困難となる場合、逸失利益が数千万円~1億円規模になる可能性も。弁護士が裁判所基準での請求を徹底。 - ストレスの軽減
被害者や家族が介護に忙殺される中、保険会社との交渉まで行うのは過大な負担。弁護士を通じて手続きを委任すれば、日常支援に集中できる。
まとめ
高次脳機能障害が日常生活に及ぼす影響は深刻で、家族が24時間介護や監視を強いられる場合も少なくありません。
- 日常生活動作
記憶・注意・遂行機能の低下で、料理、金銭管理、外出など困難 - 家族の負担
仕事や家事との両立が難しく、精神的ストレスが大きい - 福祉サービスの活用
障害者手帳取得、デイサービス、訪問介護、職業リハビリ - 弁護士介入
介護費や家族介護料、後遺障害等級アップ、逸失利益の大幅増を訴求する
弁護士法人長瀬総合法律事務所では、高次脳機能障害が日常生活と家族にどういう影響を与えるかを認識し、介護・福祉サービスと連携したサポートを提供します。被害者が適切なリハビリと補償を受け取り、家族の負担を少しでも軽減するために、ぜひ早期にご相談ください。
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高次脳機能障害のリハビリと治療方法(専門医・専門施設の選び方)
はじめに
高次脳機能障害は、交通事故などによる頭部外傷・脳損傷が原因で、記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害など多彩な症状を引き起こします。こうした障害を抱えた被害者が生活や職場復帰を目指すには、専門的なリハビリと医療ケアが欠かせません。ところが、「どこでリハビリを受ければいいか」「専門施設はどうやって探すか」など、家族や本人が戸惑う点も多いのが現状です。
本稿では、高次脳機能障害のリハビリと治療方法を中心に、専門医や専門施設の選び方、具体的なリハビリ手法(認知機能訓練、社会復帰支援など)について解説します。また、交通事故の被害者が長期リハビリを受ける際の費用負担や保険会社対応にも触れ、適切な補償を受けつつ回復と社会復帰を目指すポイントを示します。
Q&A
Q1:高次脳機能障害のリハビリは、普通の病院や整形外科でできるのでしょうか?
必ずしもどこでも受けられるわけではありません。高次脳機能障害に特化したリハビリ施設やリハビリ専門病院があり、作業療法士(OT)や臨床心理士、言語聴覚士(ST)などがチームで訓練を行うケースがあります。一般の整形外科だけでは頭部外傷の認知リハビリに対応しきれない場合があります。
Q2:リハビリで具体的にどんなことをするのですか?
たとえば、記憶障害にはメモを活用する訓練や記憶再生を促すプログラム、注意障害には注意配分や集中力トレーニング、遂行機能障害には段取りを踏む練習や問題解決タスクなどが行われます。社会適応訓練として買い物や交通機関利用の練習を実施することもあります。
Q3:通院先を変えたい場合、保険会社から「勝手に変えると治療費を出せない」と言われることはありませんか?
医師の紹介やリハビリ専門施設の必要性をしっかり説明すれば、正当な理由と認められやすいです。保険会社が不当に拒否するなら、弁護士を介して医学的根拠を示し交渉するのが有効です。高次脳機能障害リハビリを行う施設への転院は正当な理由となる場合が多いといえます。
Q4:どのくらいの期間リハビリすれば良くなるのか、目安はありますか?
脳損傷の程度や個人差によって大きく異なりますが、半年から数年にわたるリハビリが必要とされる例もあります。その後も継続的な訓練が効果を発揮することがあります。
Q5:後遺障害が認定されたあとでもリハビリは続けられますか?
もちろん可能です。ただ、保険会社が「症状固定」とみなし、治療費負担を打ち切ろうとするケースがあるため、弁護士と相談して異議を唱える、あるいは健康保険や公的支援(自立支援医療など)を併用するなど、継続リハビリの手段を考える必要があります。
Q6:専門施設を探すにはどうすればいいでしょう?
まずはかかりつけ医やリハビリ科の医師に相談し、高次脳機能障害のリハビリ実績を持つ病院や施設を紹介してもらう方法が一般的です。弁護士が医療ネットワークを持つ場合もあり、弁護士を通じて適切な施設を紹介してもらえることもあります。
解説
高次脳機能障害のリハビリ・治療の主なアプローチ
- 認知機能訓練
- 記憶・注意・遂行機能などの認知機能を改善・補償するため、紙ベースやパソコンプログラムを活用したトレーニングを行う。
- 例:簡単なパズル、単語リスト暗記、複数作業を同時に進めるゲームなど。
- 作業療法(OT)
- 日常生活動作(ADL)を再習得するための訓練。洗濯・料理・買い物・仕事タスクなどを段階的に練習し、自立度を高める。
- 遂行機能障害で段取りが難しい場合、手順リストを作成して実践するなど具体的手法が導入される。
- 言語聴覚療法(ST)
- 記憶や注意、コミュニケーション能力の向上を言語聴覚士が支援。発話障害や理解力低下を補う。
- グループセッションで他者とのやりとりをシミュレーションし、社会的行動障害の改善を図ることも。
- 社会復帰支援・復職支援
- 病院やリハビリセンターによっては、社会復帰を目指したプログラム(ジョブコーチ、企業インターンなど)が用意される。
- 仕事でのミスや対人コミュニケーションに課題を抱える被害者を対象に、ステップアップを図る。
専門医・専門施設の選び方
- 主治医や医療ソーシャルワーカーに相談
- 病院で高次脳機能障害の可能性を指摘されたら、専門医やリハビリ施設を紹介してもらうのが基本。
- 大学病院などで専門外来を設けている場合もある。
- リハビリ科・作業療法科の充実度
- 整形外科や内科では対応が難しい認知リハビリを専門的に行うリハビリ科があるか確認。
- 医師や作業療法士(OT)が高次脳機能障害の研修・資格を持つかどうかは大きなポイント。
- 地域のリハビリテーション支援センター
- 各都道府県に総合リハビリセンターがあり、高次脳機能障害の専門外来を持つところもある。
- 弁護士や支援団体からの情報
- 交通事故の脳損傷案件を多く扱う弁護士は、専門病院やリハビリ施設のネットワークを有している場合がある。
- 公的支援団体から病院情報を得る方法もある。
保険会社対応と費用負担
- 症状固定前のリハビリ費用
- 一般的に、症状固定と判断されるまでの治療費・リハビリ費は保険会社が負担する。ただし、高次脳機能障害は長期になることが多いため、早期打ち切りのリスクがある。
- 弁護士が「まだ治療継続が必要」と医学的根拠を示し、治療費打ち切りを阻止する。
- 後遺障害等級認定後のリハビリ
- 等級認定が下りても、リハビリ継続の必要性がある場合は保険会社と協議。
- 任意保険では“症状固定=治療終了”とみなすことが多く、保険会社が費用を拒否するケースが多い。
- 健康保険(医療保険)の利用や公的支援(障害福祉サービス、自立支援医療)を併用する方法も検討が必要。
- 後遺障害慰謝料・逸失利益
- 高次脳機能障害で1~9級認定されれば、後遺障害慰謝料が数百万円〜数千万円規模、介護費用や逸失利益も多額になる可能性。
- 弁護士が適切に立証すれば高額賠償を得られる可能性がある。
弁護士に相談するメリット
- 専門的リハビリの必要性を保険会社に主張
弁護士が医師の意見書を取得し、高次脳機能障害リハビリが不可欠であることを保険会社へ説明して治療費を継続させる交渉を行う。 - 後遺障害等級認定サポート
脳外傷案件で神経心理学的検査の結果や専門医の診断書を準備し、認定漏れや低い等級を防ぐ。 - 高額示談金を実現
重度の高次脳機能障害なら介護費や将来逸失利益が大きい。弁護士が裁判所基準で計算し、保険会社の過小評価に対抗。 - 家族の負担軽減
高次脳機能障害は家族介護負担が大きい。弁護士が家族介護料や精神的苦痛の増額を主張してサポート。 - 弁護士費用特約
費用特約があれば、長期に及ぶ脳損傷事案でも自己負担を軽減して弁護士に依頼可能。
まとめ
高次脳機能障害の被害者が回復や社会復帰を目指すには、専門のリハビリと治療が欠かせません。
- リハビリ方法
記憶・注意・遂行機能などの特化訓練、作業療法、社会復帰プログラム - 専門施設選び
脳損傷リハビリに実績ある病院や、作業療法士・言語聴覚士など専門職が充実していること - 保険会社対応
長期リハビリ費を認めさせるには医師の意見書や弁護士の交渉が必要 - 後遺障害認定・高額賠償
重度なら1級〜2級で介護費を含む多額示談金、軽度でも9級〜12級が認められる場合あり
弁護士法人長瀬総合法律事務所では、高次脳機能障害のリハビリや治療を要する被害者に対し、専門医との連携や後遺障害申請支援を行い、保険会社との交渉を通じて適正な補償を追求しています。事故後しばらく経ってからでも遅くはありませんので、脳機能の変化が疑われる方はお早めにご相談ください。
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高次脳機能障害の原因と診断(頭部外傷・脳挫傷・脳出血など)
はじめに
交通事故による頭部外傷がきっかけで、高次脳機能障害が発症することがあります。高次脳機能障害の症状としては、前回(No.101)で触れた記憶障害、注意障害、遂行機能障害などが代表的ですが、そもそもなぜ脳が損傷して、このような認知・行動面の問題が生じるのでしょうか。
本稿では、高次脳機能障害の原因と診断のプロセスに焦点を当て、事故後に起こり得る脳挫傷や脳出血、びまん性軸索損傷(DAI)などを含む様々な脳損傷のメカニズムを解説します。さらに、実際に病院で行われる診断手順(画像検査や神経心理学的検査)に触れ、どのように事故との因果関係を立証するかのポイントも示します。交通事故被害者やその家族が「なぜ頭を打っていないはずなのに脳に障害が残るのか」と戸惑うケースも少なくありませんが、事故の衝撃が脳を大きく揺さぶることによる微細損傷など、メカニズムを理解すれば適切な補償やリハビリにつながるでしょう。
Q&A
Q1:高次脳機能障害の原因として、いわゆる“びまん性軸索損傷(DAI)”というのを聞きましたが、どういうものですか?
びまん性軸索損傷(DAI)とは、頭部に強い加速度・減速度がかかった際に、脳内の神経軸索(ニューロンの軸索部分)が微細に断裂する損傷です。CTやMRIで大きく映らない場合も多いため、見た目には“異常なし”とされながら、実際には認知機能の低下が起こる要因となります。
Q2:頭部外傷を負った場合、すぐに脳出血が起きるケースと、遅れて出血するケースがあるのですか?
はい。事故直後に急性硬膜外出血や急性硬膜下出血が起こるケースもあれば、数日〜数週間遅れて慢性硬膜下血腫が発生する場合もあります。慢性硬膜下血腫は、高齢者など頭蓋内スペースがある方に多く、事故後しばらくして認知機能低下や頭痛が出始めることがあります。
Q3:脳挫傷というのは脳内でどのように損傷が起きているのですか?
事故の衝撃によって脳が頭蓋内壁にぶつかり、脳実質が挫滅(打ち付けられる)して内出血や神経細胞破壊を起こすのが脳挫傷です。前頭葉や側頭葉が損傷されると感情・行動・記憶などに影響が出やすく、高次脳機能障害へ移行する可能性があります。
Q4:医学的には画像に映らない軽傷でも、実際に高次脳機能障害が出ることがあるのでしょうか?
先述のDAIなど微細な損傷はMRIの一般的スキャンでは確認困難な場合があります。神経心理学検査などで機能的障害を裏付けていくことが重視されます。画像上異常がないからといって、高次脳機能障害を否定できるわけではありません。
Q5:神経心理学的検査とは具体的にどんな検査ですか?
WAIS-Ⅳ(知能検査)、WMS-R(記憶検査)、Trail Making Test(注意・遂行機能)、Stroop Test(注意・抑制力)など、様々な検査があります。専門の臨床心理士やリハビリ医師が評価し、どの認知機能がどの程度低下しているかを客観的に測定します。
Q6:事故との因果関係を証明するには、事故直後から脳損傷を疑う検査を受けていないと厳しいですか?
事故直後のCTやMRI、入院記録などがあれば因果関係が認められやすいですが、その後数ヶ月〜数年経ってから気づく例もあり、後日検査や心理テストで脳損傷の可能性を示すことも不可能ではありません。弁護士が医師や検査機関の協力を得て可能な限り立証を試みます。
解説
高次脳機能障害の主な原因
- 頭部外傷(外傷性脳損傷)
- 自動車やバイク事故で頭を強く打った、ヘルメットなしで転倒した、シートベルト未着用でダッシュボードに頭部を打ち付けた…など。
- 脳挫傷、硬膜下出血、硬膜外出血、びまん性軸索損傷(DAI)など多様な形態。
- 脳出血・脳梗塞
- 事故による血管損傷や動脈瘤破裂などで脳内出血を起こし、神経細胞が損傷されると高次脳機能障害を発症する場合がある。
- 二次的損傷
- 頭部外傷後の脳浮腫、低酸素状態などが引き金となり、結果的に脳機能が広範囲にダメージを受けることも。
- 事故直後の治療が不十分だと後遺障害が残りやすい。
診断のプロセス
- 画像検査(CT・MRI・fMRI)
- 急性期にCTやMRIで頭蓋内出血や脳挫傷を確認。慢性期にはfMRIやSPECTなど機能的画像検査で脳血流を調べる場合も。
- ただし映らない軽微損傷(DAIなど)もあるため、画像所見が全てではない。
- 神経心理学的検査
- WAIS-Ⅳ(知能・認知機能の全体測定)、WMS-R(記憶力評価)、Trail Making Test(注意・遂行機能)など複数の検査を組み合わせ、数値化して認知機能の低下を確認。
- 検査結果が事故前(推定値)との落差や年齢相応の標準値からの逸脱を示すと、脳機能障害を疑う根拠となる。
- 臨床評価と生活状況
- 医師や心理士が問診や家族からの聞き取りを行い、本人の性格変化、社会的行動障害の程度を評価。
- 仕事復帰困難や家事労働への影響度など、日常生活の実態が診断書に反映される。
高次脳機能障害と交通事故の補償・認定
- 後遺障害等級の取得
- 等級表の「神経系統の障害」を基準に、1級~9級あたりで認定例が多い。介護が必要な重度なら1~2級、軽度の記憶障害・注意障害なら9級~12級というイメージ。
- 事故との因果関係が争点となりやすく、早期から医療記録をしっかり残すことが重要。
- 介護・生活支援費用
- 重度の場合、家族による介護やヘルパー利用が長期にわたる。交通事故賠償では介護費として認められる可能性がある。
- 同居家族が介護する場合でも家族介護料が一定額認められる事例が多い。
- 逸失利益
- 高次脳機能障害により就労不能または就労制限が生じれば、労働能力喪失率を定め、逸失利益を計算。
- 若年被害者の場合、就労可能年数が長いほど金額が大きくなる。
弁護士に相談するメリット
- 症状の見落としを防ぐ
頭部外傷が軽微でも、弁護士が高次脳機能障害の疑いを把握し、専門医や神経心理学検査を勧めることで、的確な診断を得られる。 - 適切な後遺障害等級認定
専門医と連携し、画像検査や検査データを後遺障害診断書に反映させ、過小評価を防ぐ。 - 高額賠償を狙う
重度なら介護費用や将来逸失利益が数千万円~1億円規模になる事例もある。弁護士が示談金計算を裁判所基準で行い、保険会社と交渉。 - 因果関係の立証サポート
事故直後の記録や通院履歴を時系列で整理し、脳損傷と事故を結び付ける証拠を確保。否定されがちな軽度外傷でも丁寧に立証する。 - ストレス軽減
認知障害がある被害者や家族が保険会社と直接折衝するのは大きな負担。弁護士が代理してサポート。
まとめ
高次脳機能障害の原因・診断においては、
- 頭部外傷(脳挫傷、びまん性軸索損傷など)
- 脳出血(急性or慢性)
- 神経心理学的検査(WAIS-Ⅳ、WMS-Rなど)
などが大きく関わります。見た目や画像所見に異常がなくても、認知機能テストで障害が確認されれば後遺障害と認定され、高額賠償を得ることも可能です。
弁護士法人長瀬総合法律事務所では、頭部外傷案件や高次脳機能障害の後遺障害認定に豊富な実績があり、専門医や神経心理学検査機関との連携で正確な診断をサポートします。もし事故後に「記憶力が落ちた」「集中できない」「性格が変わった」などの兆候があれば、早めにご相談ください。適切な補償を得るための第一歩となります。
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高次脳機能障害とは?(症状例:記憶障害、注意障害、遂行機能障害など)
はじめに
交通事故で頭部外傷を負い、意識障害や記憶障害、注意力の低下などが生じる場合、高次脳機能障害が疑われます。高次脳機能障害は、脳の損傷によって認知機能(記憶・注意・遂行機能・判断力など)に障害が残る状態を指し、見た目の外傷が少なくても日常生活や仕事への大きな支障につながるのが特徴です。しかし、外見からは分かりにくいため、周囲に理解されずに苦しむ被害者も少なくありません。
本稿では、高次脳機能障害とは何かを中心に、代表的な症状例(記憶障害・注意障害・遂行機能障害など)や事故後にどのような経過をたどるかを解説します。さらに、認知機能低下が示談交渉や後遺障害認定でどのように評価されるかにも触れ、被害者や家族が正しい認識を持ち、適切な補償を得るための基礎知識を提供します。
Q&A
Q1:高次脳機能障害といってもピンとこないのですが、具体的にどんな症状があるのでしょう?
典型的には記憶障害(新しいことを覚えられない、すぐ忘れる)、注意障害(集中できない、周りの刺激に気を取られやすい)、遂行機能障害(段取りを立てて行動できない、複数作業を同時進行できない)などが挙げられます。ほかにも感情コントロールの難しさや社会的行動障害(突発的に怒りやすい、対人コミュニケーションが不適切になる)なども見られます。
Q2:事故後すぐに高次脳機能障害が分かるものですか?
軽度の頭部外傷の場合、当初は見逃されがちです。意識障害や頭蓋内出血があればすぐ疑われるケースもありますが、日常生活に戻ってから「ミスが増えた」「怒りっぽくなった」などが判明し、数週間~数ヶ月経って気づくことも少なくありません。
Q3:MRIやCTで明確に脳損傷が映らないと、高次脳機能障害とは認められないのですか?
必ずしもそうではありません。画像上で明確な損傷が確認できなくても、神経心理学的検査(WAIS-Ⅳ、WMS-Rなど)で認知機能の低下が客観的に示されれば、高次脳機能障害と診断される場合があります。事故との因果関係立証には医師の所見が重要です。
Q4:高次脳機能障害で日常生活に支障がある場合、後遺障害等級はどれくらいになるのでしょう?
事故で生じた脳損傷の程度にもよりますが、1~9級あたりで認定される事例があります。たとえば、軽度の記憶障害や注意障害であれば9級か12級前後、重度で常時介護を要するレベルなら1~2級となる可能性もあります。
Q5:高次脳機能障害は、被害者本人が気づいていないこともありますか?
あります。自覚が乏しいのも特有の症状で、家族や周囲が「行動が変わった」「仕事のミスが増えた」と感じて初めて異常に気づくケースが多いです。被害者自身は「事故前と変わらない」と思い込んでいることも少なくありません。
Q6:弁護士に依頼すると、高次脳機能障害の検査や後遺障害認定をサポートしてもらえるのですか?
はい。頭部外傷を疑わせる事故(頭を強くぶつけた、意識を失ったなど)の場合、弁護士が専門医の受診や神経心理学検査の案内、後遺障害診断書の書き方などを支援します。適切に書類整備すれば後遺障害等級が認定され、示談金が大幅に増える可能性があります。
解説
高次脳機能障害の症状例
- 記憶障害
- 新しい情報を覚えにくくなる「新しい記憶の形成障害」が代表的。
- 事故前の記憶は比較的保たれるが、事故後の出来事が思い出せないことが多い。単純な会話や約束をすぐ忘れる。
- 注意障害
- ぼんやりして集中が続かない、複数の刺激に対応できない。
- 仕事や家事でミスが増え、周囲の話が頭に入らずトラブルになる。
- 遂行機能障害
- 目標や手順を立てて行動することが困難に。複数ステップの作業を順序立てて行えない。
- 料理や買い物などの日常タスクでもミスや抜けが多くなる。
- 社会的行動障害
- 感情のコントロールが難しくなり、怒りっぽい、興奮しやすいなど人格面の変化が生じる。
- 遅刻や計画変更に臨機応変に対応できず、社会生活に支障をきたす。
交通事故で生じる高次脳機能障害の原因と経過
- 頭部外傷(脳挫傷・びまん性軸索損傷など)
- 強い衝撃で頭部が揺さぶられ、脳の一部が損傷。CTやMRIで出血や損傷が確認できる場合もある。
- びまん性軸索損傷(DAI)のように微細な損傷は画像に映らないことが多く、見落としリスク大。
- 意識障害の有無
- 長時間の意識不明や軽い意識障害だけの場合でも、脳機能に後遺症が出る場合がある。
- 事故直後は外傷が軽く見えても、後日リハビリや生活に戻ってから問題が明らかになるケースも。
- 回復とリハビリ
- 脳の損傷部位や程度によって回復度合いは大きく異なる。早期リハビリや専門医の診察が重要。
- 完全に元の状態に戻るのは難しく、ある程度の障害が残る可能性。
後遺障害認定と示談交渉
- 後遺障害等級
- 高次脳機能障害は、脳器質的損傷が確認され、認知・行動障害が残ると1級〜9級あたりで認定されることが多い。
- 軽度症状(記憶・注意障害がわずか)でも9級や12級が認められる事例があり、証拠集めがポイント。
- 神経心理学的検査の実施
- WAIS-Ⅳ(知能検査)やWMS-R(記憶検査)、注意機能検査などを行い、客観的に認知機能低下を証明。
- 弁護士が専門医やリハビリ病院を紹介する場合もあり、検査データで後遺障害を立証。
- 損害項目と示談金
- 後遺障害等級が上がれば、後遺障害慰謝料と逸失利益が大幅増額。重度の場合、介護費や家屋改造費なども請求可能。
- 被害者自身に症状の自覚が薄いケースもあり、家族の観察や日常生活状況の記録が示談交渉で役立つ。
弁護士に相談するメリット
- 見落とし防止
被害者や家族が「頭をぶつけたけど検査で異常なし」と思い込んでいても、弁護士のアドバイスで「高次脳機能障害を疑い、専門医を受診する」流れができ、適正な後遺障害認定を得られる。 - 証拠収集
医療記録、画像検査、神経心理学的検査結果の入手をサポートし、因果関係(事故と脳機能障害)を立証するために必要な書類を整理。 - 後遺障害等級の認定
等級申請や異議申立で、不適切な低い認定に対抗。弁護士が医師との連携で症状を正しく反映した診断書を作成。 - 高額賠償を狙える
重度の高次脳機能障害なら、介護費用や逸失利益が相当額になる。弁護士が裁判例を活用し、保険会社と対等以上に交渉。 - 弁護士費用特約
費用リスクなく弁護士に相談できるため、脳外傷案件で長期の交渉・裁判も安心して依頼可能。
まとめ
高次脳機能障害は、交通事故で頭部に衝撃を受けた後に生じる認知・行動障害で、見た目に分かりにくく、被害者自身も気づかない場合が多々あります。
- 症状例
記憶障害、注意障害、遂行機能障害、感情コントロール困難など - 後遺障害等級
1級〜9級程度が認定されるケースもあり、適切な診断と神経心理学的検査が重要 - 示談交渉
認定されれば後遺障害慰謝料や逸失利益が大幅増。家族の観察・証言も証拠になる
弁護士法人長瀬総合法律事務所では、高次脳機能障害を含む脳外傷案件に豊富な実績があり、専門医やリハビリ施設とのネットワークも活かして、正しい後遺障害認定や高額賠償を狙う戦略を一括サポートいたします。頭を強くぶつけたり意識障害があった事故で、記憶や注意力の低下を感じる方は、ぜひお早めにご相談ください。
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