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交通事故の加害者と連絡先交換|聞いておくべき必須情報と渡してはいけない個人情報
はじめに
交通事故が発生した直後、被害者の方は突然の出来事にパニック状態に陥ってしまうことがほとんどです。しかし、警察への通報や怪我人の救護といった緊急措置が済んだ後、必ず行わなければならない重要な手続きがあります。それが「加害者との情報交換(連絡先交換)」です。
「警察が全部調べてくれるから、自分は何もしなくていいのでは?」
「相手は怖そうな人だし、自分の個人情報を教えるのは不安だ」
このように考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、警察は刑事事件としての捜査は行いますが、民事的な損害賠償請求(治療費や慰謝料の支払い)の手続きまで代行してくれるわけではありません。将来、適切な賠償金を受け取るためには、被害者自身の手で相手方の情報を正確に把握しておく必要があります。
一方で、不用意に詳細な個人情報を伝えすぎると、執拗な連絡やトラブルに巻き込まれるリスクもゼロではありません。
この記事では、交通事故の直後に被害者が加害者と連絡先を交換する際、「具体的に何を聞き出すべきか」、逆に「どのような情報は教えるべきではないか」について、法的リスク管理の観点から解説します。
加害者との連絡先交換に関するQ&A
まずは、事故現場での連絡先交換において、被害者の方が抱きやすい疑問や不安にQ&A形式でお答えします。
Q1:警察が介入していても、自分で相手の連絡先を聞く必要がありますか?
はい、交換するようにしましょう。
警察官は「民事不介入」の原則に基づき、損害賠償請求に必要な相手方の詳細な連絡先を、被害者に手取り足取り教えてくれるわけではありません(※「交通事故証明書」には相手方の住所・氏名が記載されますが、電話番号や勤務先、任意保険の情報までは記載されません)。
事故直後の示談交渉をスムーズに進めるためにも、その場で直接情報を交換しておくことが基本です。警察官が立ち会っている場面であれば、安全に交換を行うことができます。
Q2:相手が「免許証を見せたくない」と拒否した場合はどうすればいいですか?
無理に奪おうとせず、警察官を通じて確認を求めてください。
加害者が免許証の提示を拒む場合、無免許運転や免許不携帯、あるいは身元を知られたくない事情がある可能性があります。無理に見せてもらおうとするとトラブルになりますので、到着した警察官に「相手が免許証を見せてくれないので、確認をお願いします」と伝えてください。警察官には免許証を確認する権限があります。また、最低限、相手の車のナンバープレートを写真に撮っておくことは必要です。
Q3:自分の電話番号を教えるのが怖いです。教えなくてもいいですか?
今後の補償手続きのため、連絡先は伝える必要があります。
損害賠償の話を進めるためには、相手方(または相手の保険会社)からの連絡を受ける必要があります。どうしても自宅の電話番号や携帯番号を教えたくない場合は、「連絡はすべて私の保険会社を通して行ってください」と伝え、自分の保険会社の連絡先を教えるか、あるいは弁護士に依頼して弁護士の連絡先を伝える方法があります。ただし、事故現場では最低限の連絡手段(携帯番号など)を交換するのが一般的であり、これを拒否すると「逃げた」と誤解される等のトラブルになる可能性もあるため、慎重な対応が必要です。
解説:加害者から「聞いておくべき」情報リスト
後日、損害賠償請求を行う際に困らないよう、以下の情報は漏れなく収集してください。口頭で聞くだけでなく、スマホのカメラで撮影して記録に残すことがよいでしょう。
1. 運転者の身元情報(免許証の確認)
最も基本となる情報です。相手が口頭で名乗った氏名や住所が正しいとは限りません。「運転免許証」を提示してもらい、表と裏の両方を撮影させてもらいましょう。
- 氏名: 漢字の読み方も確認しておくと良いでしょう。
- 住所: 損害賠償請求書や内容証明郵便を送る際に必要となります。現住所が免許証の裏面に記載されている場合もあるため、裏面の確認も意識しましょう。
- 電話番号: 携帯電話の番号を聞き、その場でワン切り(発信)して、繋がるかどうか確認することをお勧めします。
2. 車両の所有者情報(車検証の確認)
ここが見落としがちなポイントです。「運転者」と「車の持ち主(所有者)」が違うケースは少なくありません(社用車、親の車、友人の車、レンタカーなど)。
法律上、車の所有者にも「運行供用者責任」として損害賠償義務が発生する場合があります。特に運転者に支払い能力がない場合、所有者に請求することが重要になります。
- 確認方法: ダッシュボードに入っている「自動車検査証(車検証)」を見せてもらい、撮影します。
- チェック項目: 「所有者の氏名・住所」と「使用者の氏名・住所」。
3. 保険加入状況(自賠責・任意保険)
治療費や修理費が支払われる財源となる保険の情報は重要です。
- 自賠責保険(強制保険):
- 車検証と一緒に保管されている「自賠責保険証明書」を確認し、撮影します。
- 保険会社名と証明書番号を控えます。被害者請求(相手を通さずに直接保険金を請求する手続き)を行う際に必要になります。
- 任意保険:
- 加入している保険会社名を聞きます。証券番号までわかればベストですが、不明な場合は「会社名(例:〇〇損保)」だけでも聞いておきましょう。
- 相手が「保険に入っているかわからない」と言う場合は、かなり危険な兆候です。その場で家族や会社に確認してもらうよう促してください。
4. 勤務先情報(業務中の事故の場合)
相手が仕事中(営業車やトラックなど)に事故を起こした場合、雇用主である会社に対しても「使用者責任」として損害賠償を請求できます。
- 確認方法: 名刺をもらうのが一番です。名刺がない場合は、会社名、所在地、電話番号を聞き取ります。
- 重要性: 相手が無保険だったり、個人で賠償金を支払えなかったりする場合、会社が支払い能力を持っていることが多いため、重要な担保となります。
解説:加害者に「渡してはいけない」・慎重になるべき情報
情報は「交換」するものですが、被害者側が必要以上にプライバシーを開示する必要はありません。トラブルを避けるために、伝える情報の範囲をコントロールしましょう。
1. 必要以上のプライバシー情報
損害賠償の手続きに必要なのは、「氏名」「住所」「連絡先電話番号」の3点です。これらは教える必要がありますが、以下のような情報は教える必要はありませんし、教えるべきではありません。
- 勤務先の詳細: 「どこにお勤めですか?」と聞かれても、「会社員です」程度に留め、具体的な社名や部署名を教える義務はありません(※相手が業務中である場合と異なり、被害者の勤務先情報は初期段階では不要です。休業損害請求の段階で保険会社に提出すれば足ります)。
- 家族構成: 一人暮らしか、子供がいるかなどは事故処理に関係ありません。
- SNSアカウント: LINEのIDやInstagramなどを教えると、プライベートな領域にまで連絡が来る恐れがあります。連絡手段は電話番号(ショートメール含む)に限定すべきです。
2. 「大丈夫です」「私の不注意でした」といった言葉
これは「情報」ではありませんが、事故現場で相手に伝えてはいけない「言葉」です。
日本人は謝罪の文化があるため、自分が被害者でもつい「すみません、大丈夫です」と言ってしまいがちです。しかし、これらの発言は「自分の過失を認めた」「怪我はないと認めた」と解釈され、後の示談交渉で不利な証拠として使われるリスクがあります。
対策
相手への気遣いは必要ですが、責任の所在や怪我の有無については断定的なことを言わず、「今は混乱しているので、詳細は後ほど保険会社を通じて話します」と伝えるに留めましょう。
3. その場での念書や示談の合意
相手によっては、「警察を呼ばずにここで解決したい」「〇〇円払うからこれで終わりにしてほしい」と持ちかけてくることがあります。
このような申し出には応じるべきではありませんし、念書などにサインをすべきでもありません。一度でも「これで示談とする」という趣旨の合意をしてしまうと、後から重い後遺症が出ても追加請求ができなくなる可能性があります。
相手が高圧的な場合や無保険の場合の対処法
事故の相手が良い人とは限りません。中には怒鳴り散らす人や、連絡先を教えようとしない不誠実な人もいます。
相手が高圧的・協力的でない場合
二人きりで交渉しないようにしましょう。
- 警察官を呼ぶ: 警察官が来るまで車の中で待機するか、安全な場所に移動します。警察官到着後に、警察官立ち会いのもとで連絡先交換を行います。
- 会話の録音: スマートフォンのボイスレコーダーをオンにし、相手の暴言や威圧的な態度を記録します。これは後日、慰謝料増額の事由になり得ます。
相手が無保険(任意保険未加入)の場合
厄介なケースです。
- 情報の徹底収集: 保険会社が代行してくれないため、相手本人に請求するしかありません。勤務先や実家の連絡先など、資産を差し押さえられる可能性のある情報をできるだけ多く収集する必要があります。
- 弁護士への相談: 無保険者との交渉は、個人では限界があります。回収可能性の調査を含め、早期に弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士に依頼することで得られるメリット
連絡先交換を含む事故直後の対応において、弁護士に依頼することは安心とメリットをもたらします。
1. 加害者と直接連絡を取る必要がなくなる
弁護士に依頼すれば、弁護士がすべての窓口(受任通知を送付)となります。被害者の電話番号を加害者に教える必要がなくなり、教えた後でも着信拒否をして弁護士に対応を任せることができます。高圧的な加害者や、しつこい連絡に悩まされるストレスから解放されます。
2. 相手方の調査を代行できる
相手が嘘の住所を教えていたり、連絡が取れなくなったりした場合でも、弁護士であれば職務上請求(戸籍や住民票の取り寄せ)や弁護士会照会を利用して、相手方の正確な所在や資産状況、保険加入状況を調査できる可能性があります。
3. 初期対応のミスを防げる
事故直後にどのような情報を伝え、どのような証拠を残すべきか、リアルタイムで助言を受けることができます。これにより、「言わなくていいことを言ってしまった」という失敗を防ぎ、有利な条件での解決を目指す土台を作ることができます。
まとめ
交通事故直後の連絡先交換は、その後の損害賠償請求を左右する重要な第一歩です。
改めて、ポイントを整理します。
- 必ず聞くべきこと: 運転免許証(表裏)、車検証(所有者)、自賠責・任意保険情報、連絡先電話番号。これらを「スマホで撮影」するのが鉄則。
- 業務中の場合: 相手の勤務先情報(名刺)も必ず入手する。
- 言わないこと: 勤務先詳細や家族構成などの不要なプライバシー情報。
- 約束しないこと: その場での示談や「大丈夫」という安請け合い。
もし、相手方が協力的でなかったり、情報の信憑性に不安があったりする場合は、無理に自分で解決しようとせず、すぐに警察官に助けを求めるか、弁護士にご相談ください。
弁護士法人長瀬総合法律事務所では、事故直後の不安な状況にある被害者の方をサポートし、相手方との窓口となって適正な解決へと導きます。
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【保存版】交通事故の証拠保全リスト|ドラレコ・写真・目撃者の確保で過失割合が変わる!
はじめに
交通事故の被害に遭った際、怪我の治療と同じくらい重要なのが「事故現場での証拠保全」です。
事故直後、相手方は「私が悪かったです、すべて弁償します」と謝罪していたのに、数日経って保険会社を通して連絡が来ると、「自分は青信号だった」「相手が急に飛び出してきた」と、主張を180度覆してくるケースは決して珍しくありません。
このような「言った言わない」の水掛け論になったとき、あなたの正当性を証明し、守ってくれるのは、「客観的な証拠」だけです。
証拠が不足していると、本来自分に過失がない事故(0対10)であっても、相手の嘘の主張が通り、不当な過失割合を押し付けられて賠償金が減額されたり、最悪の場合は加害者扱いされたりする理不尽な結果になりかねません。
しかし、事故直後のパニック状態の中で、何をどう記録すればよいのか冷静に判断するのは困難です。
そこで今回は、交通事故の解決実績豊富な弁護士法人長瀬総合法律事務所が、「事故直後にこれだけは残しておくべき」という証拠保全リストを作成しました。ドライブレコーダーの扱いや、スマートフォンのカメラを使った効果的な撮影方法など、被害者が現場で取るべき具体的なアクションを解説します。
証拠保全に関するQ&A
まずは、事故現場での証拠集めに関して、よくある質問にお答えします。
Q1:自分の車にドライブレコーダーがついていません。スマホの写真だけで対抗できますか?
はい、写真は強力な証拠になります。ただし「撮り方」にコツがあります。
ドライブレコーダーの映像は動かぬ証拠として最強ですが、写真であっても、車の壊れ方、停止位置、路面の痕跡などから、衝突時の速度や進入角度を工学的に解析・推認することが可能です。
重要なのは「傷のアップ」だけでなく、「道路全体の状況(引きの写真)」を撮ることです。全体の状況がわかれば、警察の実況見分調書と照らし合わせて相手の矛盾を突くことができます。
Q2:相手がドライブレコーダーの映像を見せてくれません。どうすればいいですか?
無理に見ようとせず、弁護士や警察を通じて保全を求めましょう。
相手がその場で映像を見せるのを拒否したり、SDカードを抜いて隠したりする場合、無理やり奪うことはできません(トラブルの原因になります)。
まずは「相手の車にドラレコがついていること」自体を写真に撮り、記録に残してください。その上で、警察に「相手のドラレコを確認してほしい」と要望するか、後日、弁護士を通じて「証拠保全」の手続きや開示請求を行うことで、映像を入手できる可能性があります。
Q3:目撃者がいたのですが、声をかける前に立ち去ってしまいました。もう手遅れでしょうか?
まだ諦める必要はありません。周辺の防犯カメラや警察の捜査に期待しましょう。
事故現場付近のコンビニ、ガソリンスタンド、マンションなどの防犯カメラに事故の瞬間が映っている可能性があります。個人で頼んでも見せてもらえないことが多いですが、警察や弁護士からの照会であれば開示されることがあります。また、警察が目撃者を探す看板を設置することもあります。できるだけ早く弁護士に相談し、映像が上書きされる前に確保に動くことが重要です。
解説:過失割合を左右する「証拠保全」完全リスト
ここからは、事故現場で被害者が確保すべき証拠をカテゴリー別に解説します。いざという時に見返せるよう、チェックリストとして活用してください。
リスト1:【最重要】スマートフォンのカメラによる撮影
今や誰もが持っているスマートフォンは、最強の記録ツールです。写真は「枚数制限なし」と考え、できるだけ多く、様々な角度から撮影してください。
① 車両の撮影(多角的アングルで)
- 4方向からの撮影
自分の車と相手の車、それぞれの「前」「後」「右」「左」の4方向から全体像を撮ります。 - 損傷箇所の撮影
衝突した部分の「アップ」と、その周辺がわかる「少し引いた写真」の両方を撮ります。傷の深さや方向は、どちらが動いていたかを示す重要な手がかりになります。 - 停止位置の撮影
事故後、車を動かす前に、2台の車がどのような位置関係で止まっているかを撮影します(※ただし、交通の危険がある場合は安全確保を最優先し、移動後の撮影でも構いません。その場合は路面のタイヤ痕などを重点的に撮ります)。
② 事故現場・路面状況の撮影
- 遠景(引きの写真)
事故現場の道路全体が見渡せる写真を撮ります。信号機、一時停止標識、横断歩道などが写り込むようにしてください。 - 痕跡
- ブレーキ痕(タイヤの黒い跡): ブレーキをかけた地点や速度の推定に役立ちます。
- 散乱物: 車の破片やガラス片が落ちている場所は、衝突地点(衝突箇所)を特定する材料になります。
- スリップ痕・油染み: 路面状況の記録になります。
③ 相手方の情報
- ナンバープレート: ナンバーだけでなく、車両全体が写るように。
- 車検証・運転免許証: 相手に見せてもらい、文字が読めるよう鮮明に撮影させてもらいます。
- 相手の車両の装備: ドライブレコーダーの有無、タイヤの磨耗状況(スリップ事故の場合)など。
リスト2:ドライブレコーダー(映像)の確保
ドライブレコーダーは「見たまま」を記録する決定的な証拠ですが、取り扱いを間違えると「肝心な部分が消えてしまう」という致命的なミスが起こり得ます。
① SDカードの「上書き」を防止する
これが最も重要です。多くのドラレコは、容量がいっぱいになると古いデータから順に上書き消去していきます。また、衝撃感知で別フォルダに保存される機種でも、その後の走行でデータが消えるリスクがあります。
- アクション:
- 事故直後に電源を切る(エンジンを切る、またはケーブルを抜く)。
- 可能であれば、その場でSDカードを抜き取り、大切に保管する。
- 帰宅後すぐにパソコン等にデータをバックアップする。
② 相手方のドラレコの確認
前述の通り、相手の車にドラレコがついているかを確認し、カメラ本体を写真に撮っておきます。「ついているはずだ」という証拠があれば、後で相手が「ついていない」と嘘をついても追及できます。
リスト3:目撃者と音声の確保
「第三者の声」は、当事者同士の主張が対立した際に、裁判官や保険会社が最も信用する証拠の一つです。
① 目撃者の確保
- 通行人や後続車の運転手などが事故を見ていた場合、その場で声をかけます。
- 「警察が来たら証言をお願いできませんか?」と頼むのがベストですが、急いでいる場合は「お名前と電話番号」だけでも教えてもらいましょう。「後で揉めた場合に連絡させていただくかもしれません」と伝えます。
② 会話の録音(ボイスレコーダー)
- スマホのボイスレコーダー機能をオンにして、現場でのやり取りを録音しておきます。
- 事故直後の相手方は、気が動転して本音を漏らすことが多いです。「すみません、スマホを見ていました」「赤信号を見落としました」といった謝罪や過失を認める発言が録音できていれば、後で主張を変えられた際の対抗手段になります。
リスト4:警察対応と実況見分
警察が行う捜査への協力も、証拠保全の一環です。
① 人身事故としての届出
- 怪我がある場合は、診断書を提出して「人身事故」として処理してもらいます。物損事故のままでは、詳細な事故状況を記した「実況見分調書」が作成されず、過失割合の立証が難しくなります。
② 実況見分での主張
- 警察官が作成する実況見分調書は、刑事記録として非常に高い信用性を持ちます。
- 警察官に「ここでお互いがぶつかったということでいいですか?」と聞かれた際、自分の記憶と違う場合は妥協せずに「違います」とはっきり伝えてください。一度作成された調書を後から覆すのは困難です。
証拠保全における弁護士の役割とメリット
どれだけ注意していても、自分一人では集めきれない証拠があります。また、集めた証拠が法的にどう評価されるかを知るには専門知識が必要です。
1. 「弁護士会照会」による証拠収集
個人の力では入手できない証拠でも、弁護士であれば職権に基づく「弁護士会照会」という制度を利用して収集できる可能性があります。
- 防犯カメラ映像: 店舗や管理会社に対して開示を求める。
- 信号サイクル表: 警察署に対して、事故当時の信号機の点灯サイクル(何秒で赤になるか等)を照会する。
- 119番通報記録: 通報時刻や通報内容の記録を取り寄せる。
2. 証拠の分析と過失割合の修正
入手したドライブレコーダー映像や写真を詳細に分析し、過去の裁判例(判例タイムズ等)と照らし合わせて、保険会社が提示してきた過失割合が適正かどうかを判断します。
例えば、「相手は10:90と言っているが、映像から相手の速度超過が読み取れるため、0:100を主張できる」といった具体的な戦略を立てることができます。
3. ドライブレコーダーがない場合の「工学鑑定」
映像がない場合でも、車の損傷状況や路面の痕跡から、物理法則に基づいて事故状況を再現する「工学鑑定」を専門機関に依頼することも可能です。弁護士はこうした専門家とのネットワークを持っており、必要に応じて鑑定を活用し、真実を明らかにします。
まとめ
交通事故の現場は混乱していますが、その一瞬の対応が、その後の補償内容を大きく左右します。
【これだけは忘れないでください】
- スマホで撮る: 車の4方向、損傷アップ、道路の遠景、相手の免許証・車検証。
- ドラレコを守る: すぐに電源を切り、SDカードを抜いて確保する。
- 人を確保する: 目撃者の連絡先を聞く、会話を録音する。
もし、「証拠が足りないかもしれない」「相手の言い分が強気で不安だ」と感じたら、できるだけ早い段階で弁護士にご相談ください。
時間が経過すればするほど、防犯カメラの映像は消え、目撃者の記憶は薄れていきます。事故直後から弁護士が介入することで、消えゆく証拠を迅速に保全し、あなたの正当な権利を守るための活動が可能になります。
弁護士法人長瀬総合法律事務所では、交通事故直後の証拠保全のアドバイスから、保険会社との交渉まで、被害者の方をサポートいたします。
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事故直後にまずやるべきこと完全手順|警察連絡から病院受診までの流れを弁護士が解説
はじめに
交通事故は、ある日突然、予期せぬタイミングで発生します。「自分は大丈夫」と思っていても、不注意な他人の運転に巻き込まれる可能性は誰にでもあります。いざ事故に遭ったとき、頭が真っ白になり、パニック状態に陥ってしまうのは無理もありません。
しかし、事故発生直後の初期対応(初動)は、その後の被害回復や損害賠償請求において、極めて重要な意味を持ちます。この段階で適切な行動が取れなかった場合、「本来もらえるはずの治療費が支払われない」「過失割合で不利な主張を覆せない」といった取り返しのつかない不利益を被るリスクがあるのです。
この記事では、交通事故の被害に遭われた方が、事故現場から病院を受診するまでに取るべき行動を、時系列に沿った「完全手順」として解説します。法律の専門家である弁護士の視点から、なぜその行動が必要なのか、法的リスクを回避するためにはどうすればよいのかを具体的に説明します。
万が一の事態に備えて予備知識として読んでいただくことはもちろん、今まさに事故に遭い、どうすればよいか困惑されている方にとっても、冷静な判断の一助となることを目指しています。
事故直後の対応に関するQ&A
まずは、事故直後の混乱した状況の中で、特に判断に迷いやすいポイントをQ&A形式で解説します。
Q1:怪我も軽く、相手も急いでいるので、警察を呼ばずにその場で示談してもいいですか?
その場で示談すべきではありません。警察へ連絡してください。
どんなに軽微な事故であっても、また相手が誠実そうに見えても、その場で示談の約束をしたり、金銭を受け取ったりすることは厳禁です。
警察へ届け出をしないと、交通事故の事実を公的に証明する「交通事故証明書」が発行されません。これがないと、保険会社への保険金請求ができなくなる恐れがあります。また、後になって身体に痛みが出た場合、「事故とは無関係だ」と主張され、治療費が支払われないトラブルに発展する可能性が高いため、警察(110番)に通報してください。
Q2:体に目立った外傷や痛みがない場合でも、病院に行く必要はありますか?
はい、事故当日に、遅くとも翌日には病院を受診してください。
交通事故直後は、脳が興奮状態(アドレナリンが分泌されている状態)にあるため、痛みを感じにくくなっていることがよくあります。数日経ってからむちうち症状(首の痛みや吐き気など)が出るケースもあります。
受診が遅れると(例えば事故から1週間以上経過してから受診すると)、保険会社から「その痛みは事故によるものか分からない(因果関係がない)」と判断され、治療費の支払いを拒否されるリスクがあります。自覚症状がなくても、整形外科を受診し、レントゲンやMRI等の検査を受けておくことが重要です。
Q3:加害者が「警察には言わないでほしい」と頼んできました。どうすればいいですか?
毅然と断り、被害者自身が警察に通報してください。
加害者が免許停止や点数の加算を恐れて、警察への通報を妨げようとすることがあります。しかし、これに応じるメリットは被害者には一つもありません。むしろ、道路交通法上の報告義務違反(法第72条)に問われる可能性すらあります。
相手が通報しない場合、または通報を渋る場合は、躊躇せずご自身で110番通報を行ってください。「相手が怖くて通報できない」という場合は、安全な場所に移動してから通報しても構いません。
解説:交通事故発生から病院受診までの完全手順
ここからは、事故発生直後にとるべき行動をステップごとに詳しく解説します。
Step 1:安全確保と負傷者の救護(最優先事項)
事故直後に最初に行うべきことは、「これ以上被害を拡大させないこと」と「人の命を守ること」です。
1. 車両の移動と安全確保
- 後続車による二次災害(追突など)を防ぐため、可能な限り車を路肩や安全な場所に移動させてください。
- ハザードランプを点灯させ、発煙筒や三角表示板を設置して、周囲に事故の発生を知らせます。
2. 負傷者の確認と救護
- 自分自身や同乗者、相手方に怪我人がいないか確認します。
- 意識がない、出血がひどい等の場合は、直ちに救急車(119番)を要請してください。
- 道路交通法第72条により、運転者には負傷者の救護義務が課されています。自分が被害者であっても、相手が負傷している場合は可能な範囲で救護を行う必要があります(※ただし、自身の怪我が重い場合は無理をしてはいけません)。
Step 2:警察への110番通報
安全が確保できたら、速やかに警察(110番)へ通報します。これは法律上の義務です。
伝えるべき内容
- 事故の発生場所(住所がわからなければ、近くの目標物や信号機の名称、自動販売機の住所表示などを伝えます)
- 事故の状況(車同士の追突、歩行者との接触など)
- 負傷者の有無と程度
警察官の到着を待つ
- 警察官が到着すると、「実況見分(じっきょうけんぶん)」が行われます。これは事故状況(双方のスピード、衝突位置、ブレーキ痕など)を記録する重要な捜査です。
- ポイント: 自身の記憶と違うこと(例えば「自分はもっとスピードを出していた」などと誘導される場合)には、安易に同意せず、「違います」とはっきり伝えてください。ここでの記録は、後の過失割合の決定に大きく影響します。
Step 3:加害者の情報確認と証拠保全
警察の到着を待つ間、あるいは警察対応と並行して、加害者の情報を確認し、自らも証拠を集めます。
1. 加害者の情報を記録する
以下の情報を必ず確認し、可能であればスマホで写真を撮らせてもらいます。
- 運転免許証: 氏名、住所、免許証番号
- 車検証: 所有者、使用者、ナンバープレート番号
- 自賠責保険証: 保険会社名、証明書番号
- 連絡先: 携帯電話番号、勤務先(業務中の事故の場合)
- 任意保険会社: 加入している保険会社名
相手が名刺を渡してくる場合もありますが、名刺の情報だけでは不十分な場合があるため、公的な身分証(免許証)を確認してください。
2. 事故現場の証拠を記録する(写真・動画)
記憶は時間とともに薄れ、変容します。客観的な証拠を残すことが、自分の身を守ります。スマホのカメラ機能を活用しましょう。
- 車両の損害状況: 自分の車と相手の車の、壊れている箇所だけでなく、全体の状況(ナンバープレートが読めるように引いた写真と、傷のアップ)。
- 事故現場の状況: 道路の形状、スリップ痕(タイヤの跡)、散乱した破片、信号機や一時停止標識の位置関係など。
- ドライブレコーダー: 搭載している場合は、データが上書きされないようにSDカードを抜くか、保存ボタンを押してデータを確保します。相手方のドライブレコーダーの有無も確認しておきましょう。
3. 目撃者の確保
もし事故を目撃した第三者がいれば、警察が来るまで待ってもらうよう依頼するか、それが難しければ連絡先(氏名・電話番号)を聞いておきましょう。当事者の意見が食い違った際、第三者の証言は決定的な証拠となります。
Step 4:自身の保険会社への連絡
現場対応が一段落したら、自分が加入している自動車保険(任意保険)の会社(事故受付センター)に連絡を入れます。
なぜ自分にも過失がない場合でも連絡するのか?
- 弁護士費用特約の確認: 被害者に過失がない(0対10の)事故では、保険会社は示談代行ができませんが、「弁護士費用特約」を使えば、弁護士への依頼費用を保険でカバーできます。
- 搭乗者傷害保険などの利用: 自身の怪我に対して支払われる保険特約が付いている場合があります。
- 報告義務: 保険約款上、事故発生時の通知義務が定められていることが一般的です。
Step 5:病院(整形外科)への受診
ここが最も重要なステップの一つです。たとえ痛みが軽くても、病院へ行くことをご検討ください。
診療科の選択
基本的には「整形外科」を受診してください。整骨院や接骨院は「病院(医療機関)」ではなく、医師がいません。診断書を作成できるのは医師だけです。まずは整形外科で確定診断を受け、その後の治療方針として整骨院を併用するかどうかを医師と相談するのが正しい順序です。
医師への伝え方
- 「どこが痛いか」だけでなく、「事故の状況(後ろから強い衝撃を受けた等)」を正確に伝えます。
- 少しでも違和感がある部位はすべて伝えてください。「首がメインだが、手首も少し痛い」といった場合、手首を伝え忘れると、後から手首の治療費が認められない可能性があります。
診断書の取得
「交通事故用」の診断書を作成してもらいます。これには傷病名(頚椎捻挫など)や全治見込み期間が記載されます。
Step 6:診断書の警察署への提出(人身事故への切り替え)
病院で診断書を取得したら、事故現場を管轄する警察署へ提出し、「人身事故」として処理してもらう手続きを行います。
物損事故扱いのリスク
- 当初は「怪我なし」として「物損事故」で処理されていることが多いです。そのままにしておくと、実況見分調書(詳しい事故状況の記録)が作成されず、過失割合で揉めた際に立証が難しくなります。
- また、自賠責保険の請求においても、人身事故証明書があることが原則となります。
手続き
警察署の交通課に行き、診断書を提出して「人身事故への切り替えをお願いします」と伝えます。担当警察官のアポイントが必要な場合もあるので、事前に電話連絡を入れるとスムーズです。
弁護士に相談するメリット
「事故直後に弁護士に相談するのは大げさではないか?」と思われるかもしれません。しかし、事故直後だからこそ、弁護士のアドバイスが最大の効果を発揮します。
1. 今後の流れと見通しが明確になり、不安が解消される
事故直後は「治療費はどうなるのか」「仕事は休めるのか」「車はどうすればいいのか」と不安が尽きません。弁護士に相談することで、今後の手続きの全体像や、受け取れる可能性のある賠償項目について具体的な説明を受けることができ、精神的な負担が大幅に軽減されます。
2. 不利な状況を作らないためのアドバイス
保険会社の担当者は交渉のプロです。事故直後の動揺している被害者に対し、「こちらの修理工場を使ってください」「治療費は今月で打ち切りの目安です」など、保険会社側の都合の良い提案をしてくることがあります。また、被害者の何気ない一言(「私も不注意でした」など)が記録され、後の過失割合で不利に使われることもあります。
弁護士は、保険会社への対応方法や、医師への症状の伝え方など、被害者が不利益を被らないための具体的なアドバイスを提供します。
3. 正しい証拠保全のサポート
ドライブレコーダーの映像解析や、現場の状況確認など、時間が経つと失われてしまう証拠の保全を指示します。過失割合で争いになりそうなケースでは、事故直後の証拠収集が勝敗を分けます。
4. 弁護士費用特約の活用
ご自身の保険に「弁護士費用特約」が付帯していれば、相談料や着手金などの弁護士費用は保険会社が負担します(上限300万円が一般的)。実質的な自己負担ゼロで、事故直後から専門家のフルサポートを受けることができます。この特約を使っても、翌年の保険等級には影響しないことがほとんどです。
まとめ
交通事故直後の対応は、時間との勝負であり、かつ正確性が求められます。
改めて、重要な手順を振り返ります。
- 安全確保と救護: まずは命を守り、二次被害を防ぐ。
- 警察へ110番: どんなに軽微でも必ず通報する。
- 証拠保全: 相手の身分証確認、現場や車の写真撮影。
- 保険会社へ連絡: 事故報告と特約の確認。
- 病院受診: 痛みを感じなくても当日か翌日には整形外科へ。
- 人身切り替え: 診断書を警察へ提出し、人身事故として処理してもらう。
この一連の流れを「漏れなく」行うことが、将来適正な賠償金を受け取り、元の生活を取り戻すための土台となります。
もし、事故直後でパニックになっていたり、相手方の対応に不信感を抱いたりした場合は、一人で抱え込まずに弁護士へご相談ください。初期段階で専門家が介入することで、回避できるトラブルやリスクは数多くあります。弁護士法人長瀬総合法律事務所は、事故直後の不安な気持ちに寄り添い、被害者の方が正当な権利を守れるようサポートいたします。
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