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交通事故後遺障害・死亡事案における逸失利益の算定方法のポイント
はじめに
交通事故による後遺障害や死亡事故に直面した際、逸失利益という用語は非常に重要な概念となります。逸失利益とは、被害者が交通事故によって失った、将来的に得られるはずだった収入の減少を補填するためのものです。この利益は、適切に算定されることで、被害者やその遺族が生活の安定を図るための重要な基盤となります。
この記事では、後遺障害や死亡事案における逸失利益の算定方法と、それに関連する重要なポイントについて解説します。
逸失利益とは?
逸失利益とは何ですか?
逸失利益とは、交通事故による後遺障害や死亡により、被害者が将来的に得られるはずだった収入が減少することを指します。この減少分を金銭的に補償するのが逸失利益の目的です。交通事故の被害者が後遺障害を負った場合、もしくは死亡した場合、その事故がなければ得られたはずの収入を計算し、その金額が逸失利益として認められます。
逸失利益の算定方法のポイント
逸失利益はどのように算定されるのですか?
逸失利益の算定は、被害者の基礎収入や労働能力喪失率、労働能力喪失期間、そして中間利息控除の各要素を考慮して行われます。以下にそれぞれの要素について説明します。
基礎収入
基礎収入とは何ですか?
基礎収入とは、被害者が交通事故に遭う前に得ていた年収を指します。給与所得者の場合、源泉徴収票などの資料から計算されます。事業所得者の場合は、確定申告書などから収入を確認し、その金額が基礎収入として用いられます。また、専業主婦や就労前の者の場合、収入の状況が明確でないため、統計データなどを基に適正な基礎収入が算定されます。
労働能力喪失率
労働能力喪失率はどのように決定されますか?
労働能力喪失率は、被害者が負った後遺障害の程度に基づいて算定されます。自賠責保険が認定する後遺障害等級により、等級に応じた一定の労働能力喪失率が設定されます。等級が高ければ高いほど、労働能力の喪失率も高くなります。なお、被害者の職業や個別の事情に応じて、保険会社により高い労働能力喪失率を主張することも可能です。
労働能力喪失期間
労働能力喪失期間はどのように算定されますか?
労働能力喪失期間とは、被害者が労働能力を失った期間のことです。通常は、症状が固定した時点から被害者の定年(67歳)までの期間が認められます。ただし、軽度の後遺障害であれば、数年しか認められないこともあります。被害者が高齢であった場合や、特定の職業に従事していた場合など、労働能力喪失期間は個別に判断されることがあります。
中間利息控除
中間利息控除とは何ですか?
中間利息控除とは、逸失利益を一括で前払いする際に、将来得られるはずの収入を現在価値に換算するための控除を指します。東京地裁などでは、ライプニッツ係数が用いられ、この係数に基づいて控除が行われます。中間利息控除により、将来得られる収入が現在の価値に引き下げられることで、公平な賠償金額が算出されます。
死亡事故における逸失利益の算定
死亡事故の場合、逸失利益はどのように算定されますか?
死亡事故における逸失利益は、被害者が事故に遭わなければ得られたであろう将来の収入を基に算定されます。この場合、基礎収入に生活費控除率を掛け、そこから就労可能期間に対応する中間利息控除係数を掛けて算出されます。生活費控除率は、被害者が家庭の支柱であったかどうか、被扶養者の有無、性別などの要素により決定されます。また、就労可能期間は、被害者の年齢や健康状態、職業により異なりますが、一般的には死亡時から67歳までとされます。
弁護士に相談するメリット
交通事故の逸失利益算定において、弁護士に相談するメリットは何ですか?
交通事故における逸失利益の算定は、非常に複雑で専門的な知識が必要です。弁護士に相談することで、以下のメリットがあります。
- 適切な賠償金の請求
弁護士は、逸失利益の計算や証拠の収集に精通しており、被害者が適正な賠償金を受け取れるようサポートします。 - 保険会社との交渉
保険会社との交渉を弁護士が代行することで、被害者が不利な条件を押し付けられるリスクを避けることができます。 - 裁判手続きのサポート
必要に応じて裁判に移行する場合でも、弁護士が全ての手続きをサポートし、被害者が安心して法的手続きを進められるようにします。
まとめ
逸失利益の算定は、交通事故における重要な賠償項目です。算定方法は複雑であり、被害者が適切な賠償金を受け取るためには、専門的な知識と経験が求められます。したがって、交通事故に遭われた場合は、逸失利益の適正な算定のために、弁護士に相談することが有益です。
当事務所では、交通事故に関するご相談を随時受け付けておりますので、ぜひお気軽にご連絡ください。
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交通事故逸失利益算定におけるライプニッツ係数とは
はじめに
交通事故の被害に遭った場合、適切な損害賠償を受け取ることは、被害者にとって重要な問題です。特に、将来の逸失利益を正確に算定するためには、「ライプニッツ係数」と呼ばれる専門的な数値を理解する必要があります。しかし、このライプニッツ係数の概念は一般の方にとっては難解であり、理解するのが困難なことも少なくありません。
本記事では、交通事故における逸失利益の算定に欠かせないライプニッツ係数について、わかりやすく解説します。
ライプニッツ係数とは?
ライプニッツ係数とはどのようなものですか?
ライプニッツ係数は、交通事故の逸失利益を算定する際に用いられる数値で、将来受け取る予定の金額を現在の価値に割り引くために使用されます。被害者が前倒しで受け取る金額から利息分を控除し、正確な現在価値を求めるための指数です。
逸失利益の算定において、なぜライプニッツ係数が重要なのですか?
逸失利益とは、交通事故によって失われた将来の収入や利益のことを指します。この逸失利益を前倒しで受け取る際、将来得られるべき金額をそのまま受け取るのではなく、早期に受け取ることで生じる利息分を差し引く必要があります。ライプニッツ係数は、この利息を計算に入れて、適切な賠償額を算定するために不可欠な役割を果たします。
ライプニッツ係数の具体的な計算方法
ライプニッツ係数はどのようにして計算されますか?
例えば、1年後に100万円を受け取る予定があるとします。この100万円を今すぐ受け取る場合、通常そのままの金額を受け取るわけではなく、年利3%(民法で定められた利率)を考慮して現在価値に割り引きます(令和2年4月1日以降に発生した交通事故の場合に妥当します)。
具体的には、300万円を1.03(=1+0.03)で割ることで、291万2621円となります。これが1年分の現在価値です。
長期間にわたる逸失利益の場合、ライプニッツ係数の計算はどうなりますか?
2年後に300万円を受け取る予定がある場合は、1.03の2乗で割る必要があります。この場合、現在の価値は約282万7787円になります。
このように、ライプニッツ係数を使用することで、異なる年数にわたる金額を適切に現在価値に換算できます。年数が増えるほど、割引率が増え、受け取れる金額は少なくなります。
ライプニッツ係数を使った実際の計算例を教えてください。
例えば、年収600万円の方が交通事故により14級の後遺障害を負い、その影響が5年間であると認定された事案があると仮定します。14級の後遺障害は、労働能力の喪失率が5%とされます。この5年間におけるライプニッツ係数は4.5797です。
したがって、逸失利益は137万3910円(600万円×0.05×4.5797)となり、この金額が一括で現在受け取れる金額として計算されます。
ライプニッツ係数の役割とその重要性
ライプニッツ係数は、交通事故における逸失利益の計算において非常に重要な役割を果たします。これを正しく適用することで、被害者が適切な賠償を受けることができるのです。
ライプニッツ係数を用いない場合、将来受け取るはずの金額をそのまま現在受け取ることになり、本来得られるべき利息分が含まれてしまうため、賠償額が過剰になるリスクがあります。
ライプニッツ係数は、公正かつ正確な損害賠償の計算に欠かせない要素といえます。
弁護士に相談するメリット
逸失利益の算定において弁護士に相談する利点は何ですか?
交通事故の損害賠償請求において、ライプニッツ係数を用いた逸失利益の算定は非常に複雑です。弁護士に相談することで、計算ミスや不正確な金額による損失を避けることができます。
弁護士法人長瀬総合法律事務所では、交通事故に特化した専門チームが対応し、被害者が最大限の賠償を受けられるようサポートします。専門家に相談することで、法律に基づいた適正な慰謝料や損害賠償の請求が可能になります。
まとめ
交通事故の逸失利益を正確に算定するためには、ライプニッツ係数の理解と適用が不可欠です。この係数を用いることで、公正な賠償金額を算出し、被害者が適切な補償を受けることが可能になります。また、複雑な賠償計算においては、弁護士に相談することでより安心して対応できることが期待できます。事故に遭われた際は、弁護士法人長瀬総合法律事務所にぜひご相談ください。
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交通事故の慰謝料に関する基準とは?赤本と青本のポイント
はじめに
交通事故に遭った場合、まず気になるのは「慰謝料はどれくらいもらえるのか?」という点です。この慰謝料を算定する際に、よく使われる基準が「赤本」と「青本」です。これらの基準を理解することで、自分にとって適切な慰謝料を受け取るための第一歩となります。
本稿では、赤本と青本の基本的な内容や、それらがどのように利用されるのかについて解説します。また、これらの基準を活用する上で弁護士に相談するメリットについても触れます。
Q1:赤本と青本とは何か?その基本ポイント
A1:「赤本」と「青本」は、交通事故の損害賠償額を算定する際に用いられる基準書籍です。赤本は、日弁連交通事故相談センターが毎年発行している「損害賠償額算定基準」の通称であり、青本は同センターが定期的に発行する「交通事故損害額算定基準」の通称です。これらの基準書籍は、交通事故における慰謝料を算定する際の指針として、弁護士や裁判所などで幅広く利用されています。
Q2:赤本と青本の違いと、その使用場面
A2:赤本と青本は、交通事故における損害賠償額の算定基準として使われますが、その使用方法や適用範囲に違いがあります。実務上、赤本はより広く利用されており、特に裁判所が和解案を提示する際に参考にされる傾向にあります。しかし、これらの基準はあくまで参考値であり、裁判官が各ケースの事情を考慮して、赤本や青本と異なる金額を裁定することもあります。青本は、赤本に比べて利用頻度がやや少ないものの、特定のケースにおいては有用な指標となります。
Q3:保険会社は赤本・青本に従って慰謝料を提示するか?
A3:保険会社は赤本や青本の存在を認識しているものの、必ずしもそれに従って慰謝料を提示するわけではありません。多くの場合、保険会社は自賠責基準や独自の基準を基に、より低額な慰謝料を算出して提示します。このため、提示された金額が赤本や青本の基準に比べて著しく低い場合があります。このような場合には、専門の弁護士に相談し、正当な慰謝料を受け取るための手助けを得ることが重要です。
Q4:赤本・青本の基準を用いた慰謝料の算定方法
A4:赤本と青本の基準は、それぞれ異なる方法で慰謝料を算定します。赤本には、重傷のケースに適用される「別表I」と、比較的軽傷のケースに適用される「別表II」があります。
例えば、治療期間(通院のみ)が6ヶ月の場合、別表Iでは約116万円、別表IIでは約89万円が慰謝料の目安となります。一方、青本では一つの目安表に幅が設けられており、同じ治療期間(通院のみ)6ヶ月の場合、76万円から139万円が目安とされています。
どちらの基準を適用するかは、ケースごとの状況や怪我の程度により異なります。
弁護士に相談するメリット
交通事故の慰謝料に関する交渉は、保険会社が提示する金額に対して不満を感じることが少なくありません。このような場合、弁護士に相談することで、赤本や青本に基づく適正な慰謝料を主張することができます。弁護士は、これらの基準を理解し、あなたのケースに最も適した対応策をご提案します。特に、保険会社が独自の基準を用いて慰謝料を低く見積もっている場合、弁護士が介入することで、賠償金額が増額されるケースが少なくありません。
まとめ
交通事故の慰謝料を算定する際には、赤本や青本という基準が有用です。しかし、これらの基準が適用されるかどうかは個別の事情によります。保険会社との交渉において適正な慰謝料を受け取るためには、赤本・青本を理解し、適切な基準を用いることが重要です。そして、納得のいかない場合には、お早めに弁護士に相談し、専門的な助言を受けることをご検討ください。弁護士のサポートを受けることで、より適正な慰謝料を獲得する可能性が高まります。
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交通事故の慰謝料についてお悩みの方へQ&A
はじめに
交通事故に遭われた方は、突然の出来事に直面し、治療や手続きの煩雑さに戸惑われることでしょう。特に、適正な慰謝料が支払われるのか、保険会社の提示する金額が妥当なのかについて、不安を感じる方が多いのではないでしょうか。このページでは、交通事故の慰謝料に関する基本的な情報から、弁護士に依頼することの重要性まで、ご説明いたします。
Q&A:交通事故の慰謝料増額交渉
Q1:保険会社が提示する慰謝料はどのように計算されていますか?
A1:交通事故の被害者に対する慰謝料は、一般的に「自賠責基準」もしくは「任意保険基準」で計算されます。自賠責保険は、車両所有者が必ず加入しなければならない強制保険であり、その補償は最低限の範囲に限られています。このため、自賠責基準で計算された慰謝料は、裁判所基準に比べてかなり低くなってしまうのが実情です。
また、任意保険会社が提示する慰謝料も、独自の基準に基づいて計算されますが、その算定方法は不透明であることが多く、自賠責基準と大差がない金額となる場合が少なくありません。結果として、被害者が受け取るべき正当な額とは大きくかけ離れた提示がなされることが多いのです。
Q2:多くの被害者が低い金額の慰謝料で示談に応じてしまうのはなぜですか?
A2:被害者の多くは、交通事故による慰謝料の計算方法について詳しく知らないため、保険会社から提示された金額を正当なものと考えてしまうことが多いです。交通事故に関する専門的な知識がないため、裁判所基準などのより高額な慰謝料があることに気づかない場合もあります。
また、事故後の治療やリハビリに専念している中で、示談交渉に対する精神的・肉体的な負担を避けたいという気持ちも働き、保険会社の提示をそのまま受け入れてしまうケースも少なくありません。しかし、その結果として、受け取れるはずの適正な慰謝料を得られずに示談してしまうリスクがあります。
Q3:慰謝料の増額交渉を弁護士に依頼することにはどのようなメリットがありますか?
A3:弁護士に依頼することで、保険会社の提示する低額な慰謝料に対して、裁判所基準に基づく適正な額への増額交渉が可能になります。弁護士は、交通事故に関する法律知識と過去の裁判例を活用し、被害者にとって最善の結果を目指して交渉を進めます。保険会社も、弁護士が介入した場合、裁判所基準に近い金額での示談を受け入れるケースが多くなります。
さらに、弁護士に依頼することで、被害者自身が示談交渉に時間や労力を割く必要がなくなり、安心して治療に専念できるというメリットもあります。弁護士が専門的な知識と経験を持って交渉を進めるため、被害者は不当な低額での示談を避け、正当な慰謝料を受け取る可能性が高まります。
Q4:どのような弁護士に依頼すれば、慰謝料の増額が期待できますか?
A4:交通事故における慰謝料増額交渉においては、経験と実績を持つ弁護士に依頼することが重要です。特に、交通事故案件を多く扱い、過去の判例や法律知識に精通している弁護士が最適です。交通事故に詳しい弁護士は、どのような事実が増額につながるのかを熟知しており、被害者に有利な条件で示談を進めるための戦略を立てることが期待できます。
また、交渉力も重要です。保険会社との交渉において、強く交渉し、適正な金額を引き出す能力を持った弁護士を選ぶことで、慰謝料の増額が期待できます。
弁護士法人長瀬総合法律事務所にご相談ください
当事務所では、数多くの交通事故案件を取り扱ってきた豊富な実績があります。これにより、様々なケースにおいて、被害者の方々にとって最適な結果を導き出すためのノウハウを蓄積してきました。私たちは、被害者の権利を守り、適正な慰謝料を受け取るためのサポートを提供します。
弁護士に相談するメリット
交通事故の慰謝料増額交渉において、弁護士に相談することの主なメリットは以下の通りです:
- 専門的な法律知識と経験に基づくアドバイス
弁護士は、交通事故に関する法律知識を活用し、被害者にとって最適な解決策を提案します。 - 時間とストレスの軽減
被害者自身が示談交渉に費やす時間やストレスを軽減し、専門家に任せることで精神的な安心感を得られます。 - 交渉力
保険会社との交渉において、適正な慰謝料を引き出すための交渉力を発揮します。
まとめ
交通事故による慰謝料の増額交渉は、被害者にとって重要なプロセスです。適切な法律知識と交渉力を持つ弁護士に依頼することで、適正な慰謝料を受け取ることができる可能性が高まります。
弁護士法人長瀬総合法律事務所では、多くの経験と実績を活かし、依頼者の方々に最善の結果を提供いたします。交通事故でお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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交通事故における損益相殺香典の扱い
Q&A
Q:交通事故での損益相殺とは何ですか?
A:損益相殺とは、交通事故によって被害者が被った損害と、事故に関連して得た利益を比較し、その利益分を損害額から差し引く法律上の手続きです。例えば、被害者が自分の保険から保険金を受け取った場合、その保険金が利益としてカウントされることがあり、損害賠償額から差し引かれる可能性があります。この手続きは、損害と利益のバランスを取るために行われますが、被害者側にとっては納得しがたいことも多いです。
Q:香典は損益相殺の対象になりますか?
A:香典が損益相殺の対象になるかどうかは、その香典が誰から渡されたかやその性質によります。一般の参列者からの香典は、社会的儀礼としての贈与と考えられ、損益相殺の対象にはならないのが一般的です。一方、加害者から渡された香典については、損害賠償の一部とみなされ、損益相殺の対象になる場合があります。
損益相殺とは何か?
損益相殺は、交通事故によって被害者が被った損害と、その事故に関連して受け取った利益を比較し、その利益分を損害額から差し引く法律的な概念です。たとえば、被害者が加入している保険から保険金を受け取った場合、その保険金は損益相殺の対象となり得ます。これにより、加害者から支払われる賠償金額が減少することがあります。
損益相殺は、公平性を保つための制度ですが、被害者側にとっては、損害の全額が補償されないという不満が生じることもあります。このため、損益相殺が適用されるかどうかについては、慎重な判断が求められます。
香典と損益相殺の関係
交通事故で被害者が亡くなった場合、葬儀が行われ、その際に香典が交付されることがあります。この香典が損益相殺の対象になるかどうかについては、法律的に議論の余地があります。以下に、香典が損益相殺の対象となるケースとそうでないケースについて説明します。
1.一般の参列者からの香典
通常、一般の参列者からの香典は、社会的儀礼として交付されるものであり、損益相殺の対象にはなりません。この香典は、喪主に対する個人的な贈与と考えられるため、損害賠償の計算から控除されることはありません。また、香典返しも同様に、損益相殺の対象とはなりません。香典返しは、香典に対するお礼として行われるものであり、損害としては認識されないからです。
2.加害者からの香典
一方、加害者からの香典については、損益相殺の対象となる可能性があります。加害者が贈与ではなく、損害賠償の一部として香典を渡したと主張する場合、その金額が損益相殺の対象となることがあります。この場合、裁判所は香典の性質や金額を考慮し、損害賠償額からどの程度差し引くべきかを判断します。
裁判例に見る香典と損益相殺
裁判例においても、加害者からの香典が損益相殺の対象となるかどうかについては、判断が分かれています。
控除の対象とした例
一部の裁判例では、加害者からの香典を損害賠償の内払として認定し、その金額を損害賠償額から控除したケースがあります。これは、香典が単なる贈与ではなく、損害賠償の一部と見なされる場合に適用されます。
控除の対象としなかった例
一方で、加害者からの香典も損益相殺の対象としなかった裁判例も存在します。これらの例では、香典はあくまで社会的儀礼としてのものであり、損害賠償とは別に扱われるべきだと判断されています。
一部のみ控除の対象とした例
また、香典の一部のみを損益相殺の対象とした裁判例もあります。具体的には、香典としての金額が過大であった場合、その超過部分が損害賠償の内払と見なされ、損益相殺の対象となるケースです。例えば、100万円の香典のうち、30万円が妥当な香典として認められ、残りの70万円が損益相殺の対象とされた例があります(大阪地判平成6年8月26日交通事故民事裁判例集27巻6号1907頁)。
弁護士に相談するメリット
交通事故における損益相殺や慰謝料の問題は複雑であり、専門的な法律知識が必要です。弁護士に相談することで、適切な損害賠償を受け取るためのアドバイスや、法的手続きのサポートを得ることができます。特に、過去の裁判例に基づいた判断が必要な場合や、加害者との交渉が難航する場合には、弁護士のサポートが重要です。弁護士は、被害者や遺族が最大限の補償を得られるよう、法的な知識を駆使してサポートします。
まとめ
交通事故における損益相殺と香典の扱いについては、法律的な判断が必要となる繊細な問題です。特に、香典が損害賠償の一部と見なされる場合、損益相殺が適用されることがあり、その判断はケースバイケースで行われます。被害者や遺族が適切な補償を得るためには、弁護士の専門的なアドバイスが重要です。困ったことがあれば、専門家のサポートを受けることをご検討ください。
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交通事故死亡事故事案における損害賠償請求のポイント
はじめに
交通事故による死亡事故事案は、突然家族を失った遺族にとって大きな衝撃と悲しみをもたらします。その一方で、残された遺族は加害者に対して損害賠償を請求するという複雑な手続きを踏まなければならない場合も少なくありません。本稿では、死亡事故における損害賠償請求のポイントを、Q&A形式で解説します。
Q&A
Q1:死亡事故における損害賠償請求とは何ですか?
A1:交通事故による死亡事故では、遺族は加害者に対して、損害賠償を請求する権利を有しています。これには、亡くなった方が得るはずだった将来の収入(逸失利益)や、遺族が受けた精神的苦痛(慰謝料)などが含まれます。また、葬儀費用や治療費などの具体的な経済的損失も損害賠償の対象となります。
Q2:慰謝料にはどのような基準がありますか?
A2:慰謝料には、「自賠責基準」と「裁判基準」の二つがあります。自賠責基準では、被害者本人への慰謝料が400万円と定められています。遺族への慰謝料は、請求者が1名の場合550万円、2名で650万円、3名以上で750万円となります。一方、裁判基準では、被害者本人と遺族の慰謝料が合算され、例えば一家の支柱が亡くなった場合には2800万円が相場となります(但し、あくまでも参考であり、実際の事案によって慰謝料は増減します)。
Q3:逸失利益とはどのように計算されますか?
A3:逸失利益は、亡くなった被害者が将来得るはずだった収入を基に計算されます。これには、被害者の年齢、収入、仕事の種類などが考慮されます。計算方法は複雑であり、適切な証拠や資料が必要なため、専門家のサポートを受けることが望ましいといえます。
Q4:その他に請求できる損害項目は何がありますか?
A4:死亡事故におけるその他の損害項目としては、葬儀関係費用や事故後の治療費が挙げられます。葬儀費用については、裁判基準で150万円程度が認められることが多く、治療費は実費での請求が可能です。また、これに加えて、被害者の車の修理費や物損の費用なども請求対象となります。
Q5:家族が死亡事故に遭った場合、示談交渉で注意すべきことは何ですか?
A5:示談交渉では、保険会社が加害者の代理として遺族に示談金額を提示してきますが、この金額が必ずしも適正とは限りません。保険会社は、賠償金を低く抑えようとすることがあり、そのため示談金額が裁判基準よりも低いケースが少なくありません。また、一度示談が成立すると、後で内容を変更することは非常に困難になります。そのため、示談書にサインをする前に、弁護士に相談することをご検討ください。
弁護士に相談するメリット
死亡事故に直面した遺族が損害賠償請求を行う際、弁護士に相談することには大きなメリットがあります。以下に、その主な理由を解説します。
1.裁判基準での適切な賠償金額の獲得
自賠責基準と裁判基準では、賠償金額に大きな違いがあります。裁判基準は、自賠責基準に比べて、より被害者側に有利な金額となることが多いため、可能な限り裁判基準での賠償金額を目指すことが望ましいです。しかし、裁判基準に基づいた賠償金額を獲得するためには、専門的な知識と経験が必要です。弁護士に相談することで、裁判基準での賠償金額を目指した交渉が可能となり、結果的により高額な賠償金を獲得できる可能性が高まります。
2.示談交渉の負担軽減と有利な条件での解決
示談交渉は、保険会社との長期にわたる折衝が必要となる場合が多く、精神的にも肉体的にも大きな負担がかかります。弁護士に依頼することで、交渉の窓口を弁護士が代行し、交渉の全体をスムーズに進めることができます。また、弁護士は法的な知識を駆使して、被害者側に有利な条件で示談を成立させることが可能です。これにより、遺族は煩雑な交渉に巻き込まれることなく、安心して結果を待つことができます。
3.複雑な法的手続きのサポート
死亡事故の損害賠償請求には、非常に複雑な法的手続きが伴います。例えば、損害賠償額の計算や必要書類の作成、保険会社や裁判所との対応など、専門的な知識が求められる場面が多々あります。弁護士は、これらの手続きをすべて代行し、遺族が直面する負担を軽減します。また、法的手続きに不慣れな方でも、安心して進めることができるようサポートを行います。
4.心理的なサポートと安心感
家族を突然失った遺族にとって、法律的な問題に直面することは非常にストレスフルな状況です。弁護士に相談することで、法的なアドバイスを受けられるだけでなく、心理的なサポートも得られます。弁護士は、遺族の気持ちに寄り添いながら、適切な対応を進めてくれるため、安心して手続きを進めることができます。
まとめ
交通事故による死亡事故は、残されたご家族にとって大きな悲しみと苦痛をもたらしますが、適切な法的支援を受けることで、遺族が受けるべき正当な補償を確保することが可能です。損害賠償請求や示談交渉は非常に複雑であり、弁護士のサポートをご検討ください。当事務所では、交通事故に関する豊富な経験と実績を持つ弁護士が、遺族の皆様を全力でサポートいたします。お困りの際は、ぜひご相談ください。
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交通事故の被害者が知っておくべきこと|弁護士基準で慰謝料を請求するために
はじめに
交通事故に遭うことは予期せぬ出来事であり、その後の対応について不安を感じる方も多いでしょう。特に、保険会社から提示される賠償金額に対して「これで十分なのだろうか?」と疑問を持つ方は少なくありません。
本稿では、交通事故被害者が正当な賠償を受けるために知っておくべき基準や、弁護士に相談するメリットについて解説します。
Q&A
Q1:交通事故に遭った後、保険会社からの賠償金額提示に対してどのように対応すればよいですか?
交通事故に遭った際、多くの方は最終的に示談に至ります。しかし、示談にあたり提示される賠償金額が必ずしも適正であるとは限りません。保険会社は、被害者に対して自社の利益を考慮した基準で金額を提示することが一般的です。このため、被害者自身がしっかりとした知識を持たずに示談に応じると、本来受け取るべき賠償金を得られない可能性があります。
例えば、保険会社から「この金額が限界です」と言われた場合でも、それが全てのケースで正しいとは限りません。保険会社の基準は一つの目安に過ぎず、他にも考慮すべき基準があります。したがって、賠償金額の提示を受けた際には、すぐに了承するのではなく、他の基準と比較して妥当かどうかを確認することが重要です。
Q2:賠償金額を決定する基準にはどのようなものがありますか?
交通事故の損害賠償には、主に以下の3つの基準があります。それぞれの基準は異なる視点から算出されるため、提示される金額も異なります。
1.自賠責基準
自賠責基準は、強制加入保険である自賠責保険が支払いの際に用いる基準です。これは最低限の補償を目的としており、交通事故被害者に対して最低限の賠償金を支払うための基準です。この基準は法的に定められているため、弁護士が介入してもこの基準が大きく変わることはありません。しかし、自賠責基準による賠償金額は通常、他の基準と比べて低額であるため、適正な補償を受けたい場合には注意が必要です。
2.任意保険会社の基準
加害者が任意保険に加入している場合、その任意保険会社が独自に定めた基準で示談交渉が行われることが一般的です。この基準は各保険会社によって異なるため、同じ事故でも保険会社ごとに提示される金額が違うことがあります。任意保険会社の基準は、自賠責基準よりも高額になることが多いですが、弁護士基準よりも低い場合がほとんどです。
3.弁護士基準
弁護士基準は、弁護士が示談交渉を行う際に基準とするものです。裁判所の判例や過去の事例を基にしているため、自賠責基準や任意保険会社の基準よりも高額になることが一般的です。被害者が適正な賠償金を受け取るためには、最終的にこの弁護士基準での請求を目指すことが重要です。
Q3:弁護士基準での慰謝料請求はどうすれば可能ですか?
弁護士基準で慰謝料を請求するためには、示談交渉の段階で弁護士に依頼することが不可欠です。被害者自身が弁護士基準での金額を調べ、保険会社に対して請求を行ったとしても、保険会社がその金額を受け入れることはほとんどありません。なぜなら、保険会社は自社の基準を優先し、被害者が提示する金額に応じないことが多いからです。
弁護士が介入することで、交渉力が大きく向上し、保険会社に対して弁護士基準での賠償金を求めることが可能になります。実際に、弁護士が介入したことで示談金額が大幅に増額された事例も多くあります。このため、交通事故の被害者が適正な賠償金を受け取りたいと考えるならば、早期に弁護士に相談することをご検討ください。
弁護士に相談するメリット
弁護士に相談することで得られるメリットは以下の通りです。
1.専門的な知識と経験
交通事故案件に精通した弁護士が担当することで、被害者にとって最も有利な結果を得るための戦略を立てることができます。弁護士は、判例や過去の事例を基にして、最適な交渉を行います。
2.交渉力の向上
保険会社との交渉は専門的な知識が要求されます。弁護士が交渉に加わることで、保険会社に対して強力な交渉力を持つことができます。これにより、被害者が適正な賠償金を受け取れる可能性が高まります。
3.手間の軽減
交通事故に関連する手続きや書類作成は非常に煩雑です。弁護士に依頼することで、これらの手続きを代行してもらうことができ、被害者の負担が大幅に軽減されます。弁護士がすべての手続きを進めてくれるため、被害者は安心して他の重要な事柄に集中することができます。
4.迅速な対応
交通事故に遭った直後は、精神的・肉体的なショックから冷静な判断が難しくなることがあります。弁護士に相談することで、迅速かつ的確な対応が可能となり、被害者が有利な条件での示談を成立させることが期待できます。
まとめ
交通事故に遭った場合、被害者が適正な賠償金を受け取るためには、弁護士基準での慰謝料請求が重要です。保険会社が提示する金額が本当に妥当かどうか、自己判断だけでは難しい場合があります。そのような場合には、早期に弁護士に相談し、専門的なアドバイスを受けることが被害者にとって最良の結果となることがあります。当事務所では、交通事故案件に豊富な経験を持つ弁護士が対応いたしますので、ぜひご相談ください。
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交通事故の慰謝料に納得できない場合の対処法
はじめに
交通事故に遭った際、保険会社から提示される慰謝料の金額に不満を抱くことは多くあります。しかし、保険会社の提示額にそのまま従うことが必ずしも最善ではありません。適正な慰謝料を受け取るためには、どうすればよいのかについて解説します。
Q&A
Q1:保険会社から提示された慰謝料が低いと感じるのはなぜですか?
A1:保険会社が提示する慰謝料は、必ずしも被害者にとって最適な金額ではありません。保険会社は、自賠責保険や任意保険の独自基準に基づいて金額を算定しますが、これらは最低限の補償にとどまることが少なくありません。したがって、被害者が受け取るべき正当な金額と比べて、提示額が低いと感じることはよくあります。
Q2:慰謝料の金額はどうやって算定されるのですか?
A2:慰謝料にはいくつかの算定基準があり、それぞれの基準によって金額が異なります。主な基準として以下の3つがあります。
自賠責保険基準
最も低い基準であり、通院1日あたり4300円(令和2年4月1日以降)として計算されます。この基準は最低限の補償であり、被害者の損害を完全にカバーするものではありません。
任意保険基準
各保険会社が独自に定めた基準で、自賠責保険基準よりもやや高額になることが多いですが、裁判所基準よりは低い金額となることが一般的です。
裁判所基準
裁判所が判決に基づいて適正と考える金額であり、被害者にとって最も高額な補償を受けられる基準です。この基準に基づいて示談交渉を行うことで、納得のいく慰謝料を得られる可能性が高まります。
Q3:保険会社の提示額に納得がいかない場合、どのように対処すれば良いですか?
A3:まずは弁護士に相談することを強くお勧めします。弁護士は交通事故案件に詳しく、保険会社との交渉を有利に進めるための知識と経験を持っています。保険会社は、弁護士が介入することで、裁判を意識して裁判所基準に基づいた示談金を提示することが多くなります。また、弁護士は被害者の権利を最大限に守るため、必要に応じて裁判手続きを進めることも可能です。
慰謝料の算定基準とその違い
1.自賠責保険基準
自賠責保険は、交通事故に遭った際の最低限の補償を提供することを目的としています。そのため、慰謝料の金額も低めに設定されています。たとえば、通院1日あたりの補償額は4300円で、被害者の損害を十分にカバーすることは難しいのが現状です。
2.任意保険基準
任意保険は、各保険会社が独自に定めた基準に基づいて慰謝料を算定します。自賠責保険基準よりも高額になることが多いものの、金額は保険会社によって異なり、全体的には裁判所基準よりも低めです。保険会社はコストを抑えるため、低い示談金を提示することが多いため、被害者は慎重に対応する必要があります。
3.裁判所基準
裁判所基準は、過去の裁判例に基づいて算出される金額であり、被害者にとって最も有利な基準です。裁判所基準での算定により、通院期間や後遺障害の有無などを考慮した適正な慰謝料が得られる可能性が高くなります。被害者が納得できる金額を受け取るためには、この基準に基づいた交渉を行うことが重要です。
弁護士に相談するメリット
交通事故による慰謝料交渉を進める際、弁護士に相談することには多くのメリットがあります。
- 示談金の増額
弁護士が介入することで、保険会社は裁判所基準に基づいた示談金を提示する傾向が強まります。これにより、当初の提示額よりも高額な慰謝料を受け取ることが可能です。 - 交渉のサポート
交渉の過程で、保険会社とのやり取りは精神的にも負担が大きいものです。弁護士に依頼することで、これらの交渉をすべて任せることができ、被害者自身の負担を軽減することができます。 - 迅速な解決
弁護士は交通事故の法的知識や経験が豊富であるため、スムーズかつ迅速に問題解決となるよう尽力します。適切な手続きを踏むことで、無駄な時間をかけることなく、被害者に有利な結果を得ることが期待できます。
まとめ
交通事故の慰謝料に納得できない場合、交通事故に精通した弁護士に相談することが重要です。適切な慰謝料を受け取るためには、保険会社の提示額に疑問を持ち、正しい知識と方法で対処することが求められます。弁護士のサポートを受けることで、納得できる解決を目指していきましょう。
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交通事故による休業損害の計算方法と賠償請求のポイント
はじめに
交通事故によってケガを負い、仕事や日常生活に支障をきたすことは少なくありません。その中で、仕事ができず収入が減少した場合、休業損害として相手方に賠償を請求することが可能です。しかし、休業損害の計算方法は職業や状況によって大きく異なり、複雑さを伴います。
本記事では、サラリーマン、自営業者、専業主婦、兼業主婦それぞれの休業損害の計算方法と、そのポイントについて解説します。賠償請求をスムーズに進めるために、ぜひ参考にしてください。
Q&A:休業損害の概要説明
Q1:休業損害とは何ですか?
A1:休業損害とは、交通事故によって仕事や家事ができなくなったことで収入が減少した場合、その損害を相手方に賠償請求できるものです。これは、治療中や後遺障害が固定するまでの間に発生する損害であり、賠償請求の一環として求めることができます。
Q2:休業損害の計算はどのように行われますか?
A2:休業損害の額は基本的に、「収入日額×休業日数」という計算式で求められます。ただし、具体的な計算方法は職業や収入の状況に応じて異なります。例えば、サラリーマンの場合は給与明細や休業証明書、自営業者の場合は確定申告書などが基礎となります。
Q3:計算方法は職業によってどのように異なりますか?
A3:サラリーマン、自営業者、専業主婦、兼業主婦それぞれに異なる計算方法があります。サラリーマンは給与を基に、自営業者は事業所得を基に計算し、専業主婦は家事労働の価値を評価して賠償請求します。兼業主婦の場合は、家事と仕事の両方に対する影響が考慮されるため、特に注意が必要です。
サラリーマンの休業損害の計算方法
1.基礎日額の計算
サラリーマンの休業損害を計算する際の基礎日額は、交通事故前の3か月間の給与を基に計算されます。具体的には、事故前3か月間の総支給額を90日(又は稼働日数)で割ることで算出されます。なお、ここでの「給与」とは手取り額ではなく、総支給額が基準となります。90日ではなく稼働日数で除する場合もあり、これによって基礎日額が変動することがあります。
2.休業日数の計算
休業日数の計算は、会社から発行される休業損害証明書を基に行われます。この証明書は、交通事故によって就業不能となった日数を明確に証明するために必要です。さらに、欠勤だけでなく、有給休暇を使用した日数も休業損害として請求可能です。特に、有給休暇を事故により不本意に使用した場合、その日数も相手方に賠償を求めることができます。これは、本来自由に使用できるはずの有給休暇を事故の影響で使用せざるを得なかったという損害を補填するものです。
3.入社直後の場合の計算方法
入社直後で、事故前の3か月間に給与が支給されていない場合、基礎日額の計算は異なる手法が用いられます。このようなケースでは、雇用契約書や賃金台帳などが代替資料として使用されます。また、事故前の勤務実績が短期間であるため、給与の算定には注意が必要です。こうした場合には、事故後の給与水準や勤務条件を考慮して、より適切な基礎日額を算出することが求められます。
4.早退・遅刻・時間休の場合
サラリーマンが早退、遅刻、時間休を取った場合でも、これらは休業損害の対象となります。通常、早退や遅刻は半日分(0.5日分)として休業損害に算定されます。時間休については、すべてを合算した後、1日の勤務時間で割ることで休業日数を算出することが一般的です。このようにして算定された休業損害も、交通事故による影響として賠償請求が可能です。
自営業者の休業損害の計算方法
1.基礎日額の計算
自営業者の休業損害を計算する際の基礎日額は、交通事故前年の確定申告書に記載された事業所得を基に算出されます。具体的には、事業所得から固定費や青色申告特別控除額を加算して計算します。しかし、確定申告が実態より低い額で申告されていた場合や、そもそも申告が行われていなかった場合は、立証が非常に困難です。そのため、正確な事業所得を基にした計算が重要であり、必要に応じて弁護士や税理士などの専門家の支援を受けることもご検討ください。
2.休業日数の計算
自営業者が休業日数を証明することは、サラリーマンと比較して難易度が高い傾向にあります。通常、自営業者は自分で仕事のスケジュールを管理しているため、休業日数を証明するための第三者証明がありません。よく用いられる方法として、病院に通院した日を休業日数として扱うことが挙げられます。これは、通院日が仕事を休む必要があったことを証明するものとして認められるためです。ただし、通院日以外の日も休業日数に含めることが可能な場合がありますが、この場合はさらに詳細な証拠が必要です。
主婦の休業損害の計算方法
1.基礎日額の計算
専業主婦が休業損害を請求する場合、その基礎日額の計算には厚生労働省の賃金センサスが使用されます。具体的には、女性・全年齢・学歴計の数字が基準とされます。この賃金センサスの金額は毎年変動しますが、日額ベースでは10,000円前後になる傾向にあります。専業主婦が家事に従事することにも社会的価値があると認められ、この価値を基に休業損害が算定されます。
ただし、示談交渉の場では、賃金センサスの使用に対して相手方が難色を示すことがあります。そのため、計算方法が複雑になりがちです。交渉が難航する場合には、自賠責基準である日額6100円に通院実日数を乗じて休業損害を算出する方法も広く用いられています(令和2年4月1日以降に発生した交通事故の場合)。
2.休業日数の計算
専業主婦が休業日数を証明することは、サラリーマンや自営業者と比較してさらに難しいです。家事労働は、外部から見て休業日数を証明することが困難なため、どのようにして休業日数を認定するかが問題となります。通院した日を休業日数としてカウントする方法のほか、通院期間を基準に一定の割合を計上するという方法もあります。
通院日以外にも家事への支障が生じることが多いため、総通院日数を基に休業日数を計算する方法もあります。また、症状が時間経過とともに改善する場合には、逓減方式を用いることが一般的です。具体的には、事故発生から1週間は100%、その後3~4週間は80%、さらに2か月間は50%といった割合で計算されます。
3.兼業主婦における仕事と家事の整理
兼業主婦の場合、仕事への支障と家事への支障が関連することが多いため、休業損害の請求には特に注意が必要です。具体的には、仕事での欠勤や早退、遅刻があったかどうかが、家事にも支障があったことの証明として用いられることがあります。そのため、休業損害を請求する際には、無理をして仕事に出るよりも、必要に応じて休むべき時には休むことが重要です。そうしないと、後に家事に支障がなかったと判断されてしまう可能性があります。
弁護士に相談するメリット
交通事故による休業損害の計算や請求手続きは、非常に複雑であり、専門的な知識が求められます。特に、自営業者や主婦の場合は、証拠を集めるのが難しいことが多く、適切な賠償を得るためには弁護士の支援が不可欠です。弁護士に依頼することで、休業損害の適切な計算や証拠の収集が可能となり、相手方との交渉も有利に進めることができます。また、弁護士が関与することで、自己対応よりも高額な賠償金を得られる可能性も高まります。
さらに、弁護士に依頼することで、複雑な計算や法律的な判断を専門家に任せることができるため、被害者自身は治療や日常生活に専念することができます。これにより、精神的な負担が軽減され、より安心して賠償請求に臨むことができます。
まとめ
交通事故による休業損害の請求は、被害者の職業や状況に応じて適切に行う必要があります。サラリーマン、自営業者、専業主婦、兼業主婦それぞれに異なる計算方法があり、証明の方法や請求手続きにも違いがあります。休業損害の計算が難しい場合や、相手方との交渉が困難な場合は、早めに弁護士に相談することもご検討ください。弁護士の支援を受けることで、適切な賠償を得るための手続きがスムーズに進みます。
関連動画動画の紹介
交通事故によるむちうちや休業損害について、さらに詳しく知りたい方のために、以下の動画解説をお勧めします。
これらの動画は、交通事故後の対応に役立つ情報を提供します。交通事故により発生する休業損害の請求方法を理解し、適切な賠償を受けるための参考にしてください。弁護士法人長瀬総合法律事務所のウェブサイトやYouTubeチャンネルでご覧いただけます。
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交通事故における休業損害証明書作成上の留意点
はじめに
交通事故に巻き込まれた際、仕事を休むことを余儀なくされることがあります。このような場合、被害者は「休業損害」として、休業中に支払われなかった給与の補償を請求できます。その際に重要となるのが「休業損害証明書」です。しかし、正確に補償を受け取るためには、証明書の作成において注意すべきポイントがいくつかあります。このガイドでは、休業損害証明書の作成上の留意点をQA形式でわかりやすく解説します。
Q&A
Q:休業損害証明書とは何ですか?
A:休業損害証明書は、交通事故によって仕事を休まざるを得なかった被害者が、未払いの給与分を賠償してもらうために必要な書類です。加害者やその保険会社に対して、事故による休業の事実とその影響を証明するために、被害者の勤務先が作成します。この証明書は、損害賠償請求の基礎資料となり、適切な補償を受けるためには欠かせません。
Q:休業損害証明書は誰が作成するのですか?
A:この書類は、被害者の勤務先が作成します。通常、人事課や労務課が担当することが多いですが、小規模な会社では代表者や事業主が対応することもあります。誰が担当するかは勤務先によって異なるため、まずは確認して担当者に作成を依頼する必要があります。
Q:休業損害証明書にはどのような情報を記載する必要がありますか?
A:証明書には、以下の事項を正確に記載することが求められます。
1.休業期間の明記
交通事故により、仕事を休んだ期間を具体的に記載します。この期間は、診断書や医師の指示に基づいて決定される傾向にあります。
2.欠勤日数、年次有給休暇取得日数、遅刻回数および早退回数
休業期間中の欠勤日数、有給休暇を使用した日数、さらに遅刻や早退の回数も記載します。これにより、休業の具体的な状況を明確にします。
3.休業日の内訳
各日付ごとに休んだ日には〇、勤務先のもともとの休日には×を記載します。遅刻や早退の場合は△を使用し、実際に勤務しなかった時間数も併せて記載します。
4.休業期間中の給与の取り扱い
休業期間中に給与が支払われていた場合、その分は損害賠償の対象から除外されます。ただし、有給休暇を使用して給与を受け取っていた場合、通常であれば別の日に有給を使用できたとみなされ、休業損害の対象となるのが一般的です。
5.事故前の給与額と稼働日数
事故前3か月間に支給された給与総額と、その期間の稼働日数を記載します。これにより、1日当たりの賃金額が算出され、休業日数に応じた損害額が計算されます。
6.社会保険の利用状況
健康保険や労災保険から既に補償を受けている場合、その内容を記載します。二重に補償を受けることはできないため、正確に報告する必要があります。
7.作成者の署名と勤務先情報
勤務先の名称や連絡先、そして証明書を作成した担当者の署名を忘れずに記載します。これにより、証明書の信頼性が担保されます。
Q:休業損害証明書以外に必要な書類はありますか?
A:休業損害を請求するためには、休業損害証明書の他に、事故前年度の源泉徴収票が必要です。源泉徴収票は、前年の収入と税額が記載された重要な書類であり、勤務先から発行してもらいます。また、源泉徴収票が手元にない場合には、事故前3か月程度の賃金台帳の写しなどの代替書類が求められることがあります。
弁護士に相談するメリット
交通事故の被害者が適切な損害賠償を受けるためには、法的手続きや書類作成において専門的な知識が求められます。ここで弁護士に相談することには多くのメリットがあります。
- 適切な損害賠償の請求
弁護士は、被害者が受け取るべき損害賠償額を最大限に引き出すために、保険会社との交渉を代理します。法的な知識を駆使し、被害者の権利を守ります。 - 書類作成のサポート
休業損害証明書をはじめとする必要書類の作成を支援します。書類の内容が不備なく整えられることで、手続きがスムーズに進行し、補償の受け取りも迅速に行われます。 - 精神的な負担の軽減
法的な手続きや交渉を専門家に任せることで、被害者自身の精神的な負担が軽減されます。事故後のストレスを少しでも減らし、治療や回復に専念できる環境を整えます。
まとめ
交通事故により仕事を休む場合、適切な補償を受けるためには「休業損害証明書」の作成が欠かせません。本ガイドで紹介した留意点を参考に、勤務先に正確な証明書を作成してもらいましょう。また、弁護士に相談することで、損害賠償請求がよりスムーズに進み、精神的な負担も軽減されます。事故後の対応において、ぜひ専門家のサポートを活用してください。
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