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脊椎の構造と主な損傷部位(頸椎・胸椎・腰椎・仙椎など)
はじめに
交通事故による脊椎損傷は、首(頸椎)から腰(腰椎)、さらに下部(仙椎)に至るまで、脊椎のさまざまな部位で起こる可能性があります。脊椎(背骨)は椎骨が連なった複雑な構造を持ち、神経(脊髄・神経根)を保護しながら身体を支える重要な役割を担っています。事故の衝撃でこの構造が損なわれると、一部の椎骨が骨折・脱臼したり、軟部組織が損傷して、深刻な神経障害や長期リハビリを要する重症につながる場合もあるのです。
本稿では、脊椎のうち頸椎・胸椎・腰椎・仙椎の基本的構造を整理し、交通事故でどのような損傷が発生しやすいか、その特徴を解説します。脊椎損傷が疑われる場合は、骨格構造の理解とともに、適切な画像検査と早期リハビリが不可欠です。保険会社が軽視しがちな脊椎の微妙なズレや神経障害を見落とさず、後遺障害認定や適切な賠償を得るために、医師や弁護士との連携が重要となります。
Q&A
Q1:脊椎は首から仙骨までどのように分かれているのですか?
人の脊椎は、上から頸椎(7個)→胸椎(12個)→腰椎(5個)→仙椎(1個:5個の仙椎が癒合)→尾椎(3〜5個が癒合)という構成になっています。普段の医学的分類では、頸椎、胸椎、腰椎、仙骨と呼ぶことが多いです。
Q2:交通事故では、どの部分が特に損傷しやすいのでしょう?
衝突の角度や形態にもよりますが、追突事故などで頸椎に衝撃が集中し、頸椎捻挫や頸椎骨折が発生しやすいです。大きな衝撃だと胸椎や腰椎にも圧迫骨折が起こることがあります。シートベルトの形状や姿勢によっては、腰椎に集中する例もあり、部位はケースバイケースです。
Q3:仙椎(仙骨)も事故で骨折することがあるのですか?
はい。後方からの強い衝撃や転倒で臀部を強打した場合、仙骨骨折が起こり得ます。仙骨は脊柱の最下部で腰椎の下に位置する大きな骨ですが、ここが損傷されると座る動作や排泄に影響が出やすいです。
Q4:脊椎損傷で「部分的に神経症状が残る」とは具体的にどういう状態でしょうか?
脊椎の椎骨に骨折や変形が生じ、神経根や脊髄が圧迫・損傷されると、しびれ・麻痺・感覚鈍麻・排尿障害など多彩な神経症状が出ます。頸椎なら上肢の麻痺、腰椎なら下肢のしびれ、仙骨なら膀胱直腸障害といった形で現れます。
Q5:脊椎損傷が軽くても、後遺障害認定を受けられる可能性はあるのでしょうか?
可能です。軽度な圧迫骨折や椎間板の損傷でも、腰痛やしびれが長期残存し、14級や12級を狙える場合があります。医師の画像所見(レントゲン・MRI)や神経学的テストの結果をしっかり整えておくことが重要です。
Q6:脊椎損傷で裁判までいく事例では、どのくらいの高額賠償が認められるのでしょう?
重度で脊髄損傷(四肢麻痺など)に至れば、数千万円〜1億円超の賠償事例もあります。たとえ軽度でも12級や9級の後遺障害が認められれば、示談金が数百万円〜数千万円に達することがあり、弁護士が裁判所基準を適用して高額賠償を得るケースが多々あります。
解説
脊椎の構造
- 頸椎(C1~C7)
- 首の部分で、頭部を支え回転させる機能を担う。追突事故のむち打ちでは主に頸椎捻挫や椎間板損傷が起こる。
- C1(環椎)やC2(軸椎)周辺の骨折は特に危険で、脊髄を傷つければ重度麻痺につながるリスクがある。
- 胸椎(T1~T12)
- 肋骨と連結し、胸郭を形成。外力に対して比較的安定しているが、高所からの落下や強い衝撃で圧迫骨折が起こることがある。
- 胸椎の損傷で下肢麻痺や呼吸機能への影響が生じるケースも。
- 腰椎(L1~L5)
- 上半身を支える主要部位で、腰痛の原因となりやすい。交通事故で急激な前屈や圧縮力が加わると圧迫骨折、椎間板ヘルニアなどが発生。
- 腰椎損傷により下肢にしびれや感覚障害が起こる場合も多い。
- 仙椎(S1~S5が癒合して仙骨となる)
- 仙骨は骨盤の後面を構成し、脊柱の土台として重要。
- 交通事故でお尻から落下したり強打すると仙骨骨折が起こり、座位・排泄動作に大きな支障を及ぼす。
主な損傷部位と特徴
- 圧迫骨折(Compression fracture)
- 椎体(前方)の骨が縦に圧縮され、くさび状に潰れる骨折。胸椎・腰椎に多く見られ、事故で強い縦方向の衝撃が加わると発生。
- 軽度でも長期の腰痛を引き起こし、後遺障害認定(12級〜11級)となるケースがある。
- 椎間板損傷・ヘルニア
- 椎間板が後方や側方へ突出し、神経根を圧迫する。腰椎だけでなく頸椎でも発生し、しびれや麻痺が強く出ると12級や9級認定も。
- MRIで異常が映れば、症状立証がしやすい。
- 椎弓根・椎体骨折、脱臼
- 高速衝突などで椎骨が骨折・脱臼し、脊髄損傷や神経根障害を伴う重症例がある。
- 頸椎上部(C1, C2)骨折は致死率・麻痺リスクが高く、最重度の後遺障害(1級〜2級)となる可能性。
- 仙骨骨折
- 尻もちを強打して仙骨にヒビや粉砕骨折が起こると、坐骨神経痛や排泄障害が生じることも。
- 痛みが慢性化し、座位や歩行が困難になる場合があり、9級〜12級の認定を得る例がある。
交通事故での留意点
- 画像検査と神経学的検査
- レントゲンで骨折形状や配列異常を確認、必要に応じてCTで3D画像化。神経圧迫が疑われるならMRIで詳細検査を行う。
- しびれ・麻痺症状があるときは神経学的テストも欠かせない。後遺障害申請の際に重要なエビデンスとなる。
- 専門医・リハビリ科
- 事故後腰痛だけと思って放置していると、実は椎体に小さな骨折や椎間板ヘルニアがあり、症状が長引くことがある。
- 早期診断と専門的リハビリが回復に大きく寄与し、後遺障害リスクを減らす。
- 後遺障害認定と示談交渉
- 圧迫骨折などの脊椎損傷で痛みやしびれが残れば、14級や12級、症状が強ければ9級〜5級もあり得る。
- 保険会社が「軽度外傷」「画像の異常は加齢性」と主張することもあり、弁護士が医学的根拠を整えて反論が必要。
弁護士に相談するメリット
- 医療ネットワークの活用
脊椎損傷に精通した整形外科医、脊椎外科医を紹介し、早期に正確な診断を受けることで症状固定後の後遺障害認定を有利に進められる。 - 保険会社との交渉力
レントゲンで目立たない圧迫骨折や椎間板損傷もMRIやCT所見で立証し、長期治療の必要性や後遺障害を保険会社に認めさせる。 - 示談金アップ
裁判所基準で後遺障害慰謝料や逸失利益を算定し、保険会社の任意保険基準の低提示を大幅増額。数百万円〜数千万円の差が出ることも。 - 異議申立・裁判対応
非該当や低い等級に納得できない場合、追加検査や医師の意見書を揃えて異議申立、最終的に裁判で高次級認定を勝ち取るサポートを行う。 - 弁護士費用特約
脊椎損傷は重症化しやすく示談金も大きくなる可能性があるが、特約があれば費用負担を心配せず専門家に全面委任できる。
まとめ
脊椎損傷では、
- 頸椎
むち打ちや骨折で首の神経圧迫、四肢麻痺のリスク - 胸椎
高エネルギー衝突で圧迫骨折が起こりやすい - 腰椎
圧迫骨折、椎間板ヘルニアで下肢しびれや腰痛 - 仙椎(仙骨)
尻もち衝撃で骨折、坐骨神経痛や排泄障害
が主要な損傷パターンとなり、しびれ・麻痺・排尿障害など重度症状の場合、後遺障害5級〜12級が認定される可能性があります。
弁護士法人長瀬総合法律事務所では、脊椎損傷の医学的知識と医療ネットワークを活用し、圧迫骨折や椎間板ヘルニアの神経症状を正確に立証することで、保険会社の過小評価を正し、高額賠償を勝ち取る支援をしています。背骨に異常が疑われる方は、事故直後から専門医に相談し、後遺障害のリスクを軽視せず早期に弁護士へご相談ください。
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