遷延性意識障害と損害賠償問題

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はじめに

Q: 遷延性意識障害とはどのような状態を指しますか?

遷延性意識障害は、交通事故や外傷などによって、意識が回復しないまま自律神経機能が保たれた状態が長期間続くことを指します。この状態では、運動や知覚、知能活動がほとんど失われ、日常生活を送るには常に介護が必要です。

弁護士法人長瀬総合法律事務所では、このような深刻な状態に陥った被害者やご家族の権利を守るために、適切な賠償請求に向けたサポートを行っています。本記事では、遷延性意識障害の定義や症状、損害賠償請求の際の注意点についてわかりやすく解説します。

遷延性意識障害とは?

遷延性意識障害(せんえんせいいしきしょうがい)は、以下の基準で定義しています。

  1. 自力移動が不可能
  2. 意味のある発語が不可能
  3. 簡単な命令にかろうじて応じることはあるが、それ以上の意思疎通が不可能
  4. 眼で物を追うことはできても、それを認識することは不可能
  5. 自力での摂食が不可能
  6. 排泄の失禁がある
  7. 上記の状態が治療にかかわらず3カ月以上続いている

このような状態に該当する場合、自賠責保険での後遺障害認定では、最も重い等級である「1級」が認定されます。これにより、被害者が必要とする介護費用や生活補償について賠償請求が可能となります。

遷延性意識障害による損害賠償請求の課題

交通事故で遷延性意識障害になった場合、損害賠償の請求にはいくつかの課題が伴います。

1. 余命年数に関する問題

Q: 加害者側が余命を短く見積もることはありますか?

あります。加害者やその保険会社は、「遷延性意識障害の状態では平均寿命より短命になる」と主張することがあります。しかし、多くの裁判例では、被害者の余命年数を健常者の平均寿命と同じと認定しており、この間の介護費用を損害として認めています。

弁護士のアドバイス

被害者の余命を不当に短く見積もる主張には、判例を引用して反論することが重要です。適切な法的根拠を提示することで、被害者の権利を守ることができます。

2. 生活費控除の問題

Q: 寝たきりの被害者でも生活費は考慮されるのですか?

はい。加害者側は、「流動食や衣服代が少なくて済むため生活費を控除すべき」と主張することがあります。しかし、多くの裁判例では、被害者の生活費を控除しない立場を取っています。

弁護士のアドバイス

生活費控除を主張された場合も、裁判例を根拠に適切に反論することができます。

3. 慰謝料に関する問題

Q: 遷延性意識障害の場合、近親者にも慰謝料が認められることがありますか?

あります。遷延性意識障害の状態は、死亡に匹敵する精神的苦痛を伴うため、被害者本人だけでなく近親者固有の慰謝料が認められる場合があります。

弁護士のアドバイス

慰謝料請求の際には、近親者の固有の精神的苦痛も含めて主張することで、賠償額を適正に評価してもらうことが可能です。

弁護士に相談するメリット

Q: 弁護士に相談することでどのようなメリットがありますか?

  1. 適正な後遺障害等級認定の取得
    遷延性意識障害は、最重度の後遺障害等級(1級)に該当するため、適切な申請手続きが重要です。弁護士は、医師との連携を図り、必要な書類や診断書の作成をサポートします。
  2. 損害賠償額の適正化
    保険会社との交渉では、提示される賠償額が実際よりも低くなることが多いです。弁護士が介入することで、法的根拠に基づいた適正な賠償額を請求できます。
  3. 裁判対応のサポート
    万一、交渉で解決しない場合でも、裁判での主張や証拠提出を全面的にサポートします。

まとめ

遷延性意識障害は、被害者本人とそのご家族にとって大きな試練です。しかし、適切な法的手続きや主張を行うことで、正当な賠償を受けることが可能です。弁護士法人長瀬総合法律事務所は、被害者とそのご家族の権利を守るため全力でサポートします。お気軽にご相談ください。

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