はじめに
交通事故による「橈骨・尺骨骨幹部骨折」は、被害者の生活に大きな影響を及ぼす重大な怪我です。事故後、適切な治療を受けることはもちろん重要ですが、後遺障害等級の認定を正しく受けることも、損害賠償請求を成功させるためには欠かせません。
本記事では、橈骨・尺骨骨幹部骨折における後遺障害等級の具体例と、適切な認定を得るための主張・立証のポイントについて解説します。
よくある質問(Q&A)
Q: 橈骨・尺骨骨幹部骨折とは何ですか?
橈骨(親指側の骨)と尺骨(小指側の骨)が骨折する怪我です。交通事故で前腕を強打したり、手を突く衝撃で発生します。
Q: 想定される後遺障害等級にはどのようなものがありますか?
骨癒合不全や運動制限、骨の変形によって、6級から12級までの等級が認定される場合があります。
Q: 後遺障害等級認定の申請で何が重要ですか?
医学的根拠を示す診断書や検査結果、事故当時の状況を明確に主張することが重要です。
橈骨・尺骨骨幹部骨折とは
橈骨・尺骨骨幹部骨折とは、前腕にある2本の骨のうち、いずれかまたは両方が骨折することを指します。事故の際に腕を捻る、強く突くなどの衝撃が加わることで発生します。
主な症状
- 単独骨折: 橈骨または尺骨のどちらかが骨折。
- 両骨骨折: 橈骨・尺骨の両方が骨折し、治療がより複雑になる場合が多い。
治療方法
- 単独骨折: ギプス固定が一般的。2か月程度で骨癒合が期待されますが、骨癒合不全の場合には手術が必要となる場合があります。
- 両骨骨折: 手術(観血固定術)によりスクリューやプレートで固定するのが標準的です。
想定される後遺障害等級
橈骨・尺骨骨幹部骨折による後遺障害等級は、骨の癒合不全や運動制限、骨の変形の程度によって認定されます。以下は具体的な例です。
主な後遺障害等級
- 第6級
- 両骨骨折による阻血性拘縮で手関節が用廃し、手指の機能が全廃した場合。
- 第7級9号
- 橈骨・尺骨両骨の癒合不全で、硬性補装具が常に必要な場合。
- 第8級8号
- 橈骨または尺骨の片側骨幹部の癒合不全で、硬性補装具が時々必要な場合。
- 第12級8号
- 骨の変形(15度以上の屈曲)や軽度の運動制限が残る場合。
後遺障害の影響
- 前腕の運動制限や変形による生活の質の低下。
- 職業復帰が困難になるケース。
適切な後遺障害等級が認定されるための主張立証のポイント
後遺障害等級の認定は、被害者の今後の生活や損害賠償額に大きく影響を与えるため、正確な立証が重要です。
1. 医学的資料の収集
- 診断書・検査結果
骨折の状態を証明するため、レントゲンやMRIの画像データを提出。 - 治療経過の記録
ギプス固定や手術の記録、経過観察の詳細を医師に書いてもらうことが重要です。
2. 症状固定のタイミング
- 後遺障害の申請は、医師が「症状固定」と診断した後に行います。症状固定後も痛みや運動制限が続く場合、その詳細を記録してください。
3. 日常生活への影響を示す証拠
- 家事や仕事に支障が出ている場合、それを証明する資料や証言を用意します。
- 被害者本人や家族の日記や陳述書も有効です。
4. 損害賠償請求との連携
後遺障害等級認定により、休業損害や逸失利益の計算が大きく変わります。適切な等級を得るため、弁護士などの専門家と連携しましょう。
弁護士に相談するメリット
交通事故被害における後遺障害等級認定の申請は、複雑で専門的な知識を要します。弁護士に相談することで、以下のようなメリットを得られます。
- 適切な等級認定のサポート
弁護士が医学的知識を活用して資料を整え、最適な等級認定を目指します。 - 保険会社との交渉
保険会社は被害者にとって不利な条件を提示する場合があります。弁護士が代理人となり、適正な賠償額を引き出します。 - 交渉や手続きの負担軽減
書類作成や保険会社とのやり取りを代行し、被害者の負担を軽減します。 - 損害賠償額の最大化
逸失利益や慰謝料を正しく計算し、被害者の権利を守ります。
まとめ
橈骨・尺骨骨幹部骨折は、日常生活や仕事に大きな影響を与える怪我です。後遺障害等級の認定は被害者の生活を再建する上で重要な要素であり、適切な認定を受けるためには、主張と立証が欠かせません。また、交通事故に関する知識を持つ弁護士に相談することで、被害者が最大限の補償を受けられるようサポートを得られます。まずは専門家に相談し、適切なアドバイスを受けることをおすすめします。
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