はじめに
交通事故による怪我は、後遺症を引き起こすことが少なくありません。その中でも「変形性肩関節症」は、肩関節に大きな負担がかかることで発症し、日常生活に深刻な影響を与えます。本記事では、変形性肩関節症の概要や、後遺障害等級の認定基準、適切な等級を得るための主張立証のポイントについて解説します。
Q&A
Q1. 交通事故で肩を負傷しました。変形性肩関節症になる可能性はありますか?
はい。交通事故による肩の骨折や脱臼、靭帯の損傷が原因で、変形性肩関節症が発症するケースがあります。特に適切な治療が行われなかった場合、後遺症として認定されることがあります。
Q2. 後遺障害等級とは何ですか?
後遺障害等級は、交通事故による障害がどの程度日常生活や労働能力に影響を及ぼすかを等級化したものです。変形性肩関節症の場合、症状の重さに応じて等級が認定されます。
変形性肩関節症とは?
変形性肩関節症とは、肩関節の骨が変形し、炎症や摩耗による痛みや可動域制限を伴う病気です。以下のようなメカニズムで発症することがあります。
- 交通事故による直接的な影響
肩関節への外力が軟骨や腱を損傷する。 - 不十分な治療による二次的な影響
骨折後の不適切な固定やリハビリ不足が原因で、関節が不自然な形で癒合し、摩耗が進行する。 - 腱板損傷による合併症
腱板の断裂によって骨同士が接触し、骨棘が形成され、痛みや炎症が発生する。
症状としては、肩の痛み、可動域の制限、腫れ、さらには肩を動かす際の「ゴリゴリ音」やクリック音が挙げられます。
想定される後遺障害等級
変形性肩関節症が交通事故の後遺症として認定される場合、症状の程度によって以下のような等級が考えられます。
可動域制限に基づく等級
- 8級6号: 肩関節が完全に硬直し、全く動かない状態。
- 10級10号: 健側(けんそく:負傷していない側)に比べて可動域が1/2以下。
- 12級6号: 健側に比べて可動域が3/4以下。
関節の不安定性(動揺)に基づく等級
- 10級10号: 常に硬性装具が必要。
- 12級6号: 時々硬性装具が必要。
人工関節挿入に基づく等級
- 10級10号: 人工関節の挿入による障害。
- 8級6号: 挿入後も可動域が1/2以下に制限されている場合。
神経症状に基づく等級
- 12級13号: 他覚的所見がある頑固な痛みやしびれ。
- 14級9号: 自覚症状のみで医学的証明が不十分な場合。
適切な後遺障害等級が認定されるための主張立証のポイント
後遺障害等級を適切に認定してもらうためには、次のようなポイントを押さえた主張・立証が重要です。
医学的証拠の準備
- 画像検査結果
レントゲンやMRI、CT画像を用いて、骨の変形や軟骨の損傷を客観的に証明します。 - 診断書・後遺障害診断書
医師に正確な診断書を作成してもらい、詳細に症状や機能障害の程度を記載してもらいます。
自覚症状と日常生活への影響を具体化
- 日常生活報告書の提出
症状がどのように日常生活や仕事に影響を与えているかを具体的に記載します。 - 症状固定時の状況を説明
治療を継続しても改善が見込めない状態であることを証明します。
保険会社や医師との連携
- 診断内容や検査結果に誤解が生じないよう、保険会社や医師と密に連絡を取り、必要に応じて弁護士を介入させることで、的確な情報を共有します。
弁護士に相談するメリット
変形性肩関節症の後遺障害等級認定には専門的な知識と経験が求められます。弁護士に相談することで、次のようなメリットが得られます。
- 適切な等級認定をサポート
医療機関との連携を通じて、後遺障害診断書の作成や、必要書類の整備を支援します。 - 保険会社との交渉代理
保険会社からの不適切な低額提示に対して、法的根拠を持って交渉を進めることができます。 - 損害賠償の最大化
逸失利益や慰謝料の適正な算出を行い、交通事故被害者が適切な補償を受けられるよう支援します。
まとめ
交通事故による変形性肩関節症は、被害者の生活に深刻な影響を及ぼします。適切な後遺障害等級を認定してもらうためには、医学的証拠や日常生活への影響をしっかりと立証することが重要です。
弁護士の力を借りることで、等級認定のプロセスや保険会社との交渉をスムーズに進めることができます。変形性肩関節症の後遺障害に悩む方は、ぜひ専門家に相談し、正当な補償を得るための第一歩を踏み出してください。
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