Q&A
Q: 交通事故で目元に傷を負い、常に涙があふれるような症状が残ってしまう場合、どのような問題が生じ、どのような手続や治療を行うべきでしょうか?
交通事故による「涙小管断裂(るいしょうかんだんれつ)」では、涙が常にあふれ出てしまう「流涙(りゅうるい)」という症状が残ることがあります。この症状は、後遺障害等級の認定対象となり、適切な医療的・法的対応が重要です。
本稿では、涙小管断裂の原因・症状・治療・後遺障害認定、さらに保険会社対応への対策や弁護士に相談するメリットなど、被害者の方が知っておくと良い情報を解説します。
はじめに:交通事故で生じる涙小管断裂とは
交通事故によって顔面や目元に強い衝撃を受けると、眼に関する微細な組織が損傷することがあります。その一つが「涙小管断裂(るいしょうかんだんれつ)」です。
人間の眼では常に涙が産生され、眼球の乾燥を防ぎ、眼球や結膜(けつまく)の清浄を維持するために必要な役割を果たしています。通常、涙は目頭(めがしら)から涙点という小さな開口部を通じて涙道(るいどう)に入り、鼻腔(びくう)へ排出されます。しかし、交通事故の衝撃で目頭周辺が損傷すると、涙を鼻腔へ流し込むための「涙小管(るいしょうかん)」が断裂してしまい、適切な涙排出が困難となります。
涙道(るいどう)の仕組み:涙の流れと排出経路
涙道は、以下のような器官によって構成されています。
- 涙点(るいてん):目頭近くにある涙の吸入口。
- 涙小管(るいしょうかん):涙点から涙を吸い込む細い管。
- 涙嚢(るいのう):涙が一時的に蓄積される袋状の部位。
- 鼻涙管(びるいかん):涙嚢から鼻腔へ涙を排出する管。
この流れがスムーズに機能することで、眼表面は潤いと清浄が保たれます。交通事故で涙小管が断裂すると、この一連の流れが途絶し、涙は眼から頬(ほほ)へとこぼれ落ちるようになります。
涙小管断裂の症状と流涙(りゅうるい)の悪循環
主な症状
- 常に涙が目からあふれ出る「流涙(りゅうるい)」状態
- 眼の清浄作用低下による結膜炎(けつまくえん)の発症リスク上昇
涙が常に溢れることで、眼表面の汚れが洗い流されずに溜まります。その結果、結膜炎が起こりやすくなります。そして結膜炎が生じると、炎症を抑えようと更に涙腺が刺激され、涙が過剰分泌されて流涙が悪化するという悪循環に陥ります。
治療法の概要:手術・整復・管内チューブの挿入など
涙小管断裂の一般的な治療法
- 外科的縫合
断裂部分をつなぎ合わせる - シリコン製チューブの挿入
涙小管内にチューブを一定期間挿入し、狭窄や癒着を防ぐ
挿入期間は損傷の程度によって異なり、軽度なら約2週間程度、重度の場合には6ヶ月以上になることもあります。手術により涙道が再開通すれば、流涙は改善し、結膜炎などの二次症状も軽快します。
鼻涙管損傷との関係とその再建治療
鼻涙管損傷(びるいかんそんしょう)とは、鼻涙管が通る上顎骨(じょうがくこつ)の骨折・変位によって管が閉塞した状態です。涙小管断裂と併発するケースもあり、以下の治療が行われます。
- 整復(せいふく)
手術を行わず、素手で骨片を元の位置に戻す方法 - 涙嚢鼻腔吻合術(るいのうびくうふんごうじゅつ)
整復で回復が難しい場合には、涙嚢と鼻腔を直結し、新たな涙の排出路を作る手術が行われます。
これらの手法によって涙道が回復すれば、流涙症状は改善し、眼への負担も軽減します。
後遺障害等級認定のポイント:流涙の残存症状について
交通事故による涙小管断裂で後遺症として流涙が残った場合は、後遺障害等級の認定対象となります。
- 片眼に常時流涙がある場合:後遺障害等級14級相当
- 両眼に常時流涙がある場合:後遺障害等級12級相当
後遺障害等級が認定されれば、被害者は相応の賠償金を受け取ることが可能になります。
弁護士に相談するメリット
ここで大きな力を発揮するのが、交通事故に精通した弁護士への相談です。
- 法的知見による後遺障害診断書作成支援
症状や治療経過、生活状況などを踏まえ、医師に対して適切な記載を促します。 - 保険会社との交渉力
後遺障害認定後の賠償金額について、弁護士が保険会社と交渉することで、適正な補償を得やすくなります。 - 総合的なサポート
医療機関との連携や書類収集など、被害者が単独で行うと負担が大きい手続きも、弁護士が代行・アドバイスを実施します。
「弁護士法人長瀬総合法律事務所」は、交通事故の紛争解決に豊富な実績があり、後遺障害認定手続きの経験も多く有しています。相談者の方の事情を総合的に判断し、最適な方策をご提案します。
保険会社との対応の心得と適切な記録管理
交通事故後は、保険会社とのやり取りも重要な課題となります。
- 交渉前提の情報整理
診断書、手術記録、通院記録、写真など、証拠となる資料は細かく保管しておくことが大切です。 - 主張の一貫性確保
事故発生時の状況、治療経過など、時系列で整然と記録しておくことで、後々の交渉や等級認定がスムーズになります。 - 弁護士のサポート
保険会社が示す示談案は必ずしも適正とは限りません。弁護士のアドバイスを受けることで、より良い条件での解決が期待できます。
まとめ
交通事故による涙小管断裂は、日常生活の質を大きく損ねる可能性のある障害です。しかし、適切な治療と後遺障害等級認定手続きを経ることで、必要な補償を受けることが可能になります。
後遺障害診断書の作成、保険会社との円滑な交渉、そして弁護士のサポートを活用することで、公平かつ納得できる賠償を獲得しやすくなります。
弁護士法人長瀬総合法律事務所では、初回相談無料で交通事故に関するご相談を受け付けています。特に涙小管断裂や流涙など、専門的な知見が求められるケースにも幅広く対応し、法的・医療的両面からサポートを提供します。被害者の方が少しでも有利な状況を作るために、ぜひお気軽にご相談ください。
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