交通事故による浅腓骨神経麻痺を受傷した場合のポイント後遺障害認定、治療等

ホーム » コラム » 交通事故による浅腓骨神経麻痺を受傷した場合のポイント後遺障害認定、治療等

Q&A

Q:交通事故で足の甲にしびれや感覚異常が出た場合、どのような障害を疑うべきですか?

交通事故後、足の甲まわりにしびれや痛み、感覚の鈍さが続く場合、浅腓骨神経麻痺(せんひこつしんけいまひ)などの腓骨神経関連の損傷が考えられます。これは、足の甲を主に支配する感覚神経にトラブルが生じた状態を指します。

Q:浅腓骨神経麻痺は後遺障害として認定される可能性はありますか?

浅腓骨神経麻痺は、一般的に感覚障害が中心で、足関節や足趾(あしゆび)の運動機能に大きな影響を及ぼしにくいため、後遺障害認定は困難な傾向があります。ただし、ケースによっては深腓骨神経や総腓骨神経など、より重度の神経損傷が併発している可能性もあるため、専門医の診断や専門的な知見を有する弁護士のサポートが重要となります。

Q:なぜ医師や保険会社は見逃しやすいのですか?

浅腓骨神経麻痺は、構造上の複雑さや症状が軽微に見えやすいことから見落とされがちです。また、専門医でない場合、腰や血行不良など他の原因に起因する症状と混同されることがあり、正確な診断が遅れることがあります。

Q:弁護士に相談するメリットは何ですか?

交通事故に精通した弁護士に相談することで、適切な医療機関へのアドバイス、後遺障害認定申請手続きのサポート、保険会社との交渉支援など、法的な側面から適正な補償を得るためのサポートが受けられます。特に、後遺障害認定に必要な医学的資料の整理や主張立証活動は、弁護士の関与によって有利に展開できます。

交通事故後の足のしびれや感覚異常は、日常生活に少しずつ支障を来し、被害者にとって深刻な問題となり得ます。

しかし、その症状が軽度であったり、医師が必ずしも神経疾患に精通していなかったりする場合、問題の特定自体が難しくなることも珍しくありません。

本稿では、交通事故における浅腓骨神経麻痺をはじめとする腓骨神経系の症状・特徴、後遺障害認定のポイントや留意点、適切な治療や専門医選びの重要性、そして弁護士に相談することによる法的メリットなどを解説します。

浅腓骨神経麻痺とは何か

浅腓骨神経は、膝下部付近で総腓骨神経から分岐し、下腿外側を走行して足背(足の甲)へと至る感覚神経です。この神経は、足の甲や足指背側の感覚を担っており、交通事故など外的要因で圧迫・損傷を受けることで、「浅腓骨神経麻痺」と呼ばれる状態になることがあります。
ここで重要なのは、浅腓骨神経は主として感覚を司る神経であるため、麻痺といってもいわゆる「足が動かなくなる」といった運動麻痺とは異なり、主症状はしびれや感覚鈍麻、鋭い痛みなどの感覚異常に留まることがあります。

その結果、筋萎縮や足趾の自動運動の欠如といった明確な運動障害が起こりにくく、深刻な後遺障害として扱われにくい特徴があります。

浅腓骨神経麻痺が起こりやすいケース

浅腓骨神経麻痺は、以下のような状況で発生しやすいと考えられます。

  • 交通事故時の衝撃
    足首やすね付近に強い圧迫や衝撃が加わり、神経が一時的に絞扼(こうやく)される。
  • 内返し捻挫との関係
    捻挫によって足関節周辺の骨がわずかに突出し、浅腓骨神経を下から押し上げる形で伸展・圧迫することで感覚障害が発生する。

特に足首の内側への捻りなど、ごく軽度の捻挫でも、微妙な神経圧迫が起こるとしびれや痛みが持続する場合があります。

深腓骨神経麻痺や総腓骨神経麻痺との違い

腓骨神経には、「総腓骨神経」から分かれる「深腓骨神経」と「浅腓骨神経」の2つがあります。深腓骨神経は、足関節背屈(足首を上に持ち上げる動作)や足指の伸展など、運動機能を司る部分が大きく、これが断裂や重度損傷を受けた場合は、足首を上げられない「下垂足(ドロップフット)」など、明確な機能障害が生じるため、後遺障害として認定されやすくなります。

一方で、浅腓骨神経麻痺は、先述の通り感覚異常が主であり、機能的な動作障害が軽微なため、後遺障害認定は難しい傾向があります。

後遺障害認定のハードルとその背景

なぜ浅腓骨神経麻痺は認定が難しいのか?

後遺障害認定は、日常生活や労働に支障をきたす程度の障害が残存していることを医学的に明確化する必要があります。浅腓骨神経麻痺の場合、足の感覚異常が続くとはいえ、多くの場合、足首や足指を動かす能力そのものが完全に失われるわけではありません。そのため、保険会社や自賠責保険調査事務所は「機能的支障が軽微」と判断し、後遺障害等級の認定がしづらいのです。

診断の難しさと医師選びの重要性

浅腓骨神経麻痺は医師側で見落とされるケースもゼロではありません。

このような誤診・見落としは、適切な治療を受ける機会を逸し、結果として後遺障害認定に必要な医学的根拠づくりを阻害してしまいます。

したがって、腓骨神経に精通した専門医等、適切な検査(MRI、神経伝導速度検査、専門的な触診)を受けることも場合によっては検討が必要となります。

後遺障害認定への道筋

交通事故で被害を受けた場合、後遺障害認定を受けることにより、相応の慰謝料や逸失利益が補償される可能性があります。ただし、浅腓骨神経麻痺のように認定が難しいケースでも、下記の点に留意することで有利に働く可能性があります。

  • 詳細な症状記録
    日々の症状変化、しびれの範囲、痛みの度合い、日常生活で困難となる動作など、細かな記録を残すことで、後に医師や弁護士が主張を組み立てやすくなります。
  • 複数医師の意見を仰ぐ
    一つの医療機関で納得いく診断が得られない場合、セカンドオピニオンを活用しましょう。専門医による診断が確保できれば、後遺障害等級認定申請書類の説得力が増します。
  • 法律事務所への相談
    法的な手続きや交渉は複雑になりがちです。弁護士法人長瀬総合法律事務所では、交通事故分野に精通した弁護士が、症状に応じた最適な戦略を立案し、後遺障害認定に向けての申請をサポートします。

弁護士に相談するメリット

後遺障害認定や保険会社対応に関して、弁護士に相談することには以下のような利点があります。

  • 的確な後遺障害認定申請サポート
    弁護士は、医学的知見に基づく証拠資料の整理や医師との連携を通じて、後遺障害認定申請書類を整えます。これにより、単独で申請するよりも格段に認定獲得の可能性が高まることがあります。
  • 保険会社との交渉力強化
    保険会社は、被害者側が法的知識や交渉経験に乏しい場合、低い賠償額や不十分な条件で合意を迫ることがあります。弁護士を介入させることで、法的な観点から公正な条件を引き出しやすくなります。
  • 精神的な負担軽減
    後遺障害認定手続きや保険会社とのやり取りは、被害者にとって精神的負担となりがちです。弁護士が代行することで、交渉・書類作成・スケジュール管理などの手間とストレスを軽減でき、治療やリハビリに専念できます。
  • 全国対応でのサポート
    弁護士法人長瀬総合法律事務所では、全国各地からの相談・依頼に対応しています。遠方であってもオンライン相談などを活用し、地理的制約を超えてサポートが受けられます。

浅腓骨神経麻痺対策

浅腓骨神経麻痺に限らず、交通事故による後遺障害認定は、単純な因果関係や一般的なケーススタディだけでは片付けられない場合があります。ここで重要となるのが「水平思考」です。

水平思考とは、固定観念や既存の知識枠組みに囚われず、多角的なアプローチを考える思考方法です。たとえば、次のような発想が役立ちます。

  • 病院は整形外科だけでなく、リハビリテーション科や神経内科、ペインクリニックなど多面的な専門科を検討する。
  • 単純なMRI画像所見だけではなく、神経学的テストや末梢神経伝導検査など、特殊検査を組み合わせて原因を特定する。
  • 医師と弁護士、そして被害者本人が連携し、医学的知見と法律的知見、さらに被害者自身の生活実態を総合的に考慮して最適解を見出す。

こうした水平思考により、見逃されがちな神経麻痺の本質を捉え、後遺障害認定や適切な賠償獲得につなげることが可能となります。

まとめ

交通事故による浅腓骨神経麻痺は、その症状が比較的軽微にみえることで見落とされがちであり、後遺障害認定においても難しい局面が多々存在します。しかし、被害者としては、決して軽視できる問題ではありません。しびれや感覚異常が長引くことは、日常生活への支障や精神的ストレスを招く要因となり得ます。

本稿で示したように、医療機関での正確な診断、適切な治療、後遺障害認定のための的確な証拠収集、そして専門家への相談は、被害者が正当な補償を得るための鍵となります。交通事故被害者として後悔しないためにも、浅腓骨神経麻痺などの神経障害や後遺障害の認定取得に際しては、早めに専門家に相談して適切な手を打つことが大切です。

弁護士法人長瀬総合法律事務所は、全国からのご相談に応じ、後遺障害認定申請や保険会社対応、損害賠償交渉など包括的なサポートを提供しています。ぜひお気軽にご相談ください。

関連動画動画の紹介

交通事故についてさらに詳しく知りたい方のために、当事務所では交通事故後の対応に役立つ解説動画を配信しています。ご興味がある方はぜひご視聴及びチャンネル登録をご検討ください。


初回無料|お問い合わせはお気軽に

その他のコラムはこちら

keyboard_arrow_up

0298756812 LINEで予約 問い合わせ