はじめに
交通事故の後、被害者が保険会社とやり取りを進めるなかで、思わぬトラブルに直面することがあります。たとえば「過失割合を一方的に押し付けられた」「まだ通院が必要なのに治療費を打ち切られそうになった」など、被害者としては納得のいかない展開も珍しくありません。
保険会社がすべて「悪意」を持って対応しているとは限りませんが、企業としてコストを抑えるべく、結果的に被害者が不利になってしまう交渉方針がとられる場合もあります。本稿では、保険会社対応で頻出するトラブル例を紹介し、対処方法や防止策を解説します。
Q&A
Q1:保険会社から「過失割合はあなたが3割」と突然言われました。自分では納得できないのですが?
過失割合は一方的に決まるものではありません。相手が独自に計算した結果を提示しているだけの可能性があります。納得できない場合は、その根拠を具体的に示すよう求め、必要なら弁護士に相談して修正を主張しましょう。
Q2:治療中なのに、保険会社が「これ以上の治療費は出せない」と言ってきました。どうすればよいでしょうか?
医師の診断書や意見書を取り寄せ、治療継続が必要であることを根拠として主張することが大切です。セカンドオピニオンを受けるなどして、医学的な裏付けを強化するのも有効です。
Q3:保険会社から電話が頻繁にかかってきて困っています。出なくてもいいのでしょうか?
業務妨害レベルの頻度や内容でなければ、無視するとかえって話がこじれる恐れがあります。ただし、弁護士に依頼している場合は、窓口を弁護士に一本化することで電話対応を減らせます。
Q4:保険会社が書いた示談書の内容がよく分からないのですが?
理解しないままサインしてはいけません。示談書には「清算条項」など、あとから追加請求ができなくなる文言が入っている場合が多いです。弁護士や専門家にチェックしてもらうのが安全です。
Q5:保険会社の担当者が頻繁に変わって、話がまとまらないのですが?
担当者交代はよくある話です。その都度、メールや文書で交渉内容や経緯を整理して残しておくと、話がスムーズに引き継がれやすくなります。
Q6:保険会社からの対応に不満があり、苦情を言いたいのですが、どこに言えばいいのでしょう?
まずは当該保険会社の相談窓口やカスタマーセンターに伝える方法があります。また、社内で解決できない場合は、弁護士や損保ADRなどを通して主張することが考えられます。
解説
よくあるトラブル事例と対処法
- 過失割合の一方的な押し付け
- 事例:保険会社が「あなたに○割の過失がある」と根拠を示さずに主張
- 対処:警察の実況見分調書やドライブレコーダー映像を確認し、客観的な証拠をもとに再交渉。納得いかないときは弁護士へ依頼。
- 治療費打ち切り通告
- 事例:まだ痛みや不具合があるのに「そろそろ症状固定」と言われ、治療費を出し渋る
- 対処:主治医の診断書やセカンドオピニオンを活用し、治療継続の必要性を医学的に証明。
- 示談書の不透明な条項
- 事例:示談書に難解な法的文言があり、意味を理解しないままサイン
- 対処:サイン前に弁護士など専門家に内容を確認してもらう。必要があれば修正交渉。
- 連絡窓口の混乱(担当者が頻繁に変わる)
- 事例:保険会社の担当者が入れ替わるたびに説明をやり直す必要があり、交渉が長引く
- 対処:メールや文書で履歴を残し、変更時に情報をスムーズに引き継げるよう対策する。
- 過剰な電話や督促
- 事例:頻繁な電話で精神的に追い詰められる
- 対処:時間帯の制限や連絡方法をメール中心に切り替えるよう要望し、弁護士に依頼すれば窓口を一本化できる。
保険会社がトラブルを起こす原因
- コスト削減志向
保険会社にとっては、支払う保険金を最小限に抑えることが利益に繋がる。その結果、治療費打ち切りや過失割合の引き上げなどを提案しがち。 - 担当者の交代・業務多忙
大手保険会社では担当者一人あたりの案件数が多く、細かい対応が不十分になりやすい。 - 専門知識不足
事故の特殊事情や医学的判断に関して、担当者が十分に理解していない場合、被害者が不利になる交渉が進められることもある。
被害者ができる具体的な対処法
- 証拠をしっかり集める
事故現場の写真、ドライブレコーダー映像、医師の診断書、領収書などを確保 - 医師との連携を強化
痛みや不調をしっかり伝え、必要な検査や診断書を適切に取得 - 交渉履歴を文書化
電話でのやり取りも日時・担当者・内容をメモし、可能ならメール対応に切り替える - 弁護士への相談
過失割合や治療費打ち切りを巡るトラブルは弁護士が介入することで解決が早まる場合が多い
弁護士に相談するメリット
- トラブル対応の経験が豊富
弁護士は多くの事例を見てきているため、保険会社対応で陥りがちなトラブルの対処法を熟知している。 - 法的根拠を示した交渉
過失割合や治療費継続の正当性を、判例や法的根拠をもとに主張し、保険会社を説得しやすい。 - 心理的負担の軽減
交渉窓口を弁護士に一本化することで、被害者は頻繁な電話や交渉ストレスから解放される。 - 示談金増額の可能性
適切な損害計算や後遺障害認定サポートにより、当初の保険会社提示額より高い金額で示談できる場合が多い。 - 弁護士費用特約の活用
保険契約に弁護士費用特約が付いている場合、費用面のハードルも低くなる。
まとめ
交通事故後の保険会社対応では、過失割合の一方的押し付けや治療費の打ち切りなど、被害者にとって不利な展開が起こりやすいです。こうしたトラブルは、被害者が十分な知識や証拠を揃えないまま保険会社と直接やり取りを続けると深刻化しがちです。
- よくあるトラブル
過失割合の押し付け、治療費打ち切り、示談書の不透明条項など - 対策
- 証拠収集、医師との連携、交渉履歴の文書化、弁護士への早期相談
弁護士法人長瀬総合法律事務所は、保険会社対応で行き詰まった被害者の方々を数多くサポートしてきました。もし保険会社とのやり取りで不安や疑問を抱えたままの状態なら、遠慮なくご相談ください。正確な法的根拠と経験に基づき、最善の解決策をご提案いたします。
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